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大好きな愛犬に捧ぐ独り言。

1 名前:◆4hEFic5SYU :2006/05/31(水) 12:25:15
前スレ
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1084373396/l50

大好きな先生に送る独り言。
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1084373396/l50
前前スレ
好きな人を相対化しつつ待つスレ
http://etc.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1046583324/-100

基本的にぼやきとかなので、スルーでお願いします。
今回はセンセではなくて、先日他界した愛犬と
いつも話してたことを書いたりします。
話す場所がなくなってつらいです。

柊(しゅう)はsageで日記見たく電波を書くので
疲れるのでレスは基本的にいらないです。
でもたまにあると励みになります。
宜しくお願いします。

2 名前:◆4hEFic5SYU :2006/05/31(水) 12:31:13
愛犬は13年生きてました。
それで今はなくなって10日くらいで、
13年と10日だと圧倒的に13年のほうが歳月が長く
当たり前ですが悲しみはなくなりません。

両親との衝突も愛犬がクッション役をかってくれてたり、
励ましてくれたりしてたので、
それがナイと本当につらいです。
それだけではなくて、たくさんのよい思い出も
現実でなく、思い出の中に変わってしまったのも
受け入れなくてはなりません。

センセとの出会いも同じようなものでした。
大切なモノって失うとちょっと精神不安定になります。

わたしはもともと精神不安定気味なので
こうやってレスを書くことにより安心するので
書かせていただいてます。電波板では3スレッド
立てることが出来ました。これも一重にそんな電波を許してくださった方々の
おかげだと思います。ありがとうございます。
そっとどうか見守っていてください。
仕事もなかなか続かなかったり、人間関係が苦手で
生きるのに不器用なんですが、そっとしておいてくだされば
害は与えないので。宜しくお願いします。

3 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/01(木) 00:09:51
明日も嫌な職場に行きます。。。
定期一か月分買ってしまったから(買うようにコピーとらせられたし)
ビックリするほどイジワルな社員がいて、
私以外にも同期の人をいじめるので
人間性かもしれないです(わたしだけならわたしだけが原因だと思うけど
そうじゃないし)。

中途ってなかなかいい職場にめぐり合えないからつらいです。
でも愛犬も最期本当にがんばったのだし、と思って何とか。。。
愛犬と話したいなぁ。。

4 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/01(木) 23:07:51
明日で二週間です。
まだ物心がついてない姪がなくなった愛犬の写真を見て
あれー**ちゃん、こんなところにいた。
今度からここでネンネすることにしたんだー。そうなんだーって
いってました。少し慰められました。


5 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/02(金) 21:08:53
同期の人がどうしてももういやだというのでやめるようです。
わたしもその人がいたからなんとかやれたけど、
面接もいっぱい入ってるし辞めにくくなる前にやめようと思います。
それにしてもどうしていつもこうなるんだろう。
でも今回は40代後半で今までキャリアウーマンで同じ職場にずっと
働いていた人が最近結婚して、ここに入社したらあまりに
おかしな職場で体調が悪くなったと言ってました。
まともな人がここはダメだって言ってたから、特別ヘンだと思います。

6 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/03(土) 20:59:49
ソファに気配を感じて後ろを振り向いたら誰もいなかったんだけど、
愛犬がいつも寝そべっていた場所でした。
もしかしてしばらく後ろにで寝そべっていたのかな?
49日まではまだ現世にいるといいますし。
愛犬が見守っていてくれてると思って元気出してがんばらないと。。。

7 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/04(日) 01:55:55
ハロワの人に募集要項がPC入力程度っていうのに、
CADで作成する図面をエクセルで入力させられて、
出来るわけないのに、今日の3時までヤレっていきなり言われて、
出来ないと怒り出す上司がイヤになったって言って
それでその書類を見せたらビックリされました。
あまりに誠意のない酷い会社ですねって言ってました。。。。


8 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/04(日) 18:11:12
ハロワ経由の仕事下見に行ったら
バスはないし、自転車で20分、歩いたら40分。
普段はそれでもいいけど、雨とかの日はつらそうなので
他の案件を探そうかなって思いました。
下見って大切ですね。

9 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/04(日) 23:52:47
今日からまた少しずつ、いつもの生活が出来るようになりました。
通教の勉強したり。

愛犬がいたらもっとたのしいだろうなって思うけど、
がんばって虹の橋まで見送らないとね。。49日までには。。

10 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/05(月) 12:58:47
ハロワの職業相談員に今回の会社のことを相談したら
人事がこの会社の人じゃなく外注のシステムの人で
2週間くらい自分の仕事を手伝って欲しいといわれたのでやってたら
三ヶ月はこの仕事だといわれ、それも全く違う仕事で
すごいスキルを要求し、
出来ないと怒鳴るので自信がなくなりました。と、言ったらば、
職員さんが、しばらく手伝うとかなんとかは騙しです。
あなたは募集の仕事ではなく外注の仕事の請負を騙されましたねと言われました。

実際の募集は受注センターの端末データ入力でした。


わたしは騙されたようです。
でもそんな騙しが世の中すべてではないのですから
力になりますからがんばりましょうって言われて心強かったです。


11 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/07(水) 12:15:16
昨日は二箇所面接に行きました。
一昨日は一件、一昨日の所から採用ありましたが、
夜10時まで(バスなし自転車通勤)がちょっと道が怖いので
辞退しました。
ちょっと疲れました。
愛犬の夢をよく見ます。応援してくれてるのでしょうか。

前職の上司から同期が辞めたことについて何かしらないかという電話が
かかってきました。知らないっていうの。。
上司の管理能力が悪いのかと思いますというのをのど元まで出ましたが
言いませんでした。



12 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/08(木) 23:20:07
わんこの生まれかわりにいつかまた会えますように。

最近ちょっと心労で疲れてます。。

13 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/09(金) 11:45:56
大雨の中歩いてハロワに。でも更新されてなかったから
愛犬との散歩道をすこし遠回りして歩いて帰ってきました。

先日の会社からは遠いという理由で不採用通知がきました。
遠いっていう感覚は企業、企業によるからあんまり気にしないようまたがんばろう。。

14 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/10(土) 21:18:56
広告にドッグフードとかペットシーツを見ると
あ、安いなとか思ってしまう。
もう必要ないんだけど・・・。

15 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/11(日) 21:05:43
最近辛いことが多かったので笑うことってなかったんだけど、
吾輩は主婦であるのビデオ(現在お昼放送中)を
友達から借りてみたら、ちょっと元気になりました。
また明日から仕事探しがんばろう。そしてわんこ飼えるようになりたいな。

16 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/12(月) 23:49:21
料理をしてるとついつい後ろを振り返ってしまいます。
いつも愛犬がわたしが料理を作ってるのをじーっとみてたからです。
おそらく、なにかつまめたらいいなー、とか思ってるのです。

玄関開けてもただいまーと愛犬に言ってしまいます。
でもまだ49日まではそばにいると思ってるからいいや。なかなか慣れません。

17 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/13(火) 23:19:01
なんでいないんだろ

18 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/14(水) 21:36:36
母がまた一切使ってないのに、自分の化粧品がなくなるのが早い
使ってるでしょと文句。これで何度目なんだろう。
本当に使ってないのに。使ってないといってるのに嘘ついてる
出て行ってもらう。こればかり。疲れる。
更年期障害って困りものです。

19 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/15(木) 20:33:17
今日の夕飯は愛犬が好きなトマトと鶏肉のから揚げが出ました。
心の中でおすそ分けしてあげました。

20 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/16(金) 22:17:56
愛犬のお腹なでなでしたい。。タオルをとりあえずなぜてみました。
さびしい。。。

21 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/17(土) 20:04:20
夕方散歩に行くとわんちゃんたちのお散歩ラッシュに遭遇。
少し癒されました。
来週は面接がんばる。

22 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/18(日) 18:35:01
なくなってもうすぐ一ヶ月。
でも生きていた年月のほうが多いのでまだまだ慣れないです。
朝起きていないのが不思議。

23 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/19(月) 21:01:19
愛犬がなくなって一ヶ月です。
土のお布団の寝心地はどうですか?

今日私は30度の猛暑の中長袖シャツで面接に行きました。
今までは面接終わって帰ってきたら愛犬がしっぽを振ってくれるのが
唯一の慰めでした。
それがないので違和感を感じました。

24 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/20(火) 19:47:21
愛犬は白い犬だったのです。
だからか白いタオルとかを見るとドキっとしてしまいます。
今日なんかは、ソファに白いタオルがバサと置いてあったので
本当にビックリしました。

25 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/21(水) 20:36:07
夕べ夢を見ました。
父と愛犬が散歩をしてて
わたしがその50メートルくらい先にいました。
愛犬がわたしに気がつき、リードをしたまま
必死になってこちらに駆け寄ってきます。
そして飛びついてきました。
それを思い出したら今日は何回も涙が出てきました。

26 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/22(木) 23:44:59
父が趣味で家庭菜園をしているのでそこで
大きく育った春菊の花を愛犬に捧げようと思ってつんできました。
ガーベラに似たかわいい花です。


27 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/23(金) 20:52:17
何か過去の出来事とか(たとえば前回のwカップ)
報道されると、ああこのときは愛犬元気だったなーと
思ってしまいます。

28 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/24(土) 22:42:13
NHK土曜ドラマのディロンを見るとわんこに癒されます。

29 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/25(日) 21:12:32
あっという間にもうすぐ今年も半分過ぎるんだね。。。
いろいろありすぎた半年だった

30 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/26(月) 23:31:41
女性ファッション雑誌に連載してる町田康さんのネコのエッセイに
大変かわいがっていたねこちゃん、ゲンゾーちゃんが亡くなったとありました。
大変ショックで俺も早く死にたい、苦しいと。

エッセイを読んでいてわたしも涙してしまいました。
おそらく私の愛犬が亡くなった時期と同じくらいかもしれません。
ゲンちゃんの追記を読むとなくなった愛犬のことを重ね合わせてしまいます。

ゲンちゃんとわたしの愛犬は
もしかしたら、あちらの世界で会えるかもしれません。

31 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/27(火) 23:23:53
シナモロールのシナモンが
愛犬にそっくりなので
ポケットシナモンを携帯してます。
ポケットピカチュウのシナモン版です。
すこし癒されます。

32 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/28(水) 22:42:41
夢で愛犬が出てきました。
こうやって少しずつ土にかえっていくんだから心配しないで、と。
愛犬は私のことを心配してるのかな。。

33 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/29(木) 10:21:06
今日は職場の説明会です。
どんな感じなんだろう、、気体はしてないけど続けられるようなところだったら
いいなって思いますが、初めて立ち上げるところらしく不安です。

愛犬が眠ってる所から一番近い窓際にいつも花を飾ってます。
49日までは花を切らさないようにしたいと思いますが、
母親が気持ち悪いとかいうのでちょっといやです。
うちのお母さんどうしてこうなんだろう。。。

34 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/29(木) 23:02:27
職場なんとかなるといいなって思いました。。。

しかしあと一週間後に出勤だとかでシフト危うい感じ(そんなに入れない???)
早くシフトでないかなって思います。

愛犬、来週で49日。49日経ったらあの世に送り出さないといけないんだっけ。
なんだかとてもとてもさびしい。

35 名前:◆4hEFic5SYU :2006/06/30(金) 22:56:36
朝起きて、一階にいき、愛犬が何時もいた場所を見ると
ああいないんだなって実感させられる。毎日これが続くのかな。。

新職場来週からみたいです。一体いつからなんだろう。
平行して仕事探したほうがいいのかなぁ。。上半期はいいことが
全くなかったです。下半期はその分あるといいのだけれど。

36 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/01(土) 21:00:09
今日は遊佐未森さんの「くろ」という歌をテレビで彼女が歌ってるのをみました。
飼っていたくろねこがある日突然星になったという内容の歌です。
NHKみんなのうたでもおなじみの。
聞いていたら涙があふれて止まらなくなりました。

今は梅雨なので愛犬が眠るお庭は雨にさらされてます。
そのたびに大丈夫かなぁ、って思います。
カサを立ててあげたいです(けれど、それをすると近所で目立つから
やめろと母に言われました)。
そうやってずっと思ってたら>>32のような夢が出てきたのでしょうか。

37 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/02(日) 11:48:42
昨日のことがあり(犬また飼ってはダメといわれて落ち込んでたので)
気分転換に美容院に行ってきました。
鎖骨の下くらいまでの長さが通常なのですが
今回は肩下2センチくらいに切りました。結構思い切って。。。
でもきったら切ったで切らなかったらよかったーっとかえってきて後悔したり。。
髪の毛はすぐ伸びるからいいけど
髪の毛がまた伸びたころ犬飼いたいといってみようかな。でもまた落ち込むだけかなぁ。。


38 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/02(日) 20:02:40
犬が飼いたいです。

わたしの愛犬が亡くなりすごいショックで何も出来ない状態になったとき
母が新しい犬を迎えてがんばりなさい。あなたがお金出して世話するならいいと
言ってきたの。でもわたしはなくなった愛犬の49日が過ぎるまでは飼いたくないと
言ったら、早く飼ったほうが新しい犬を愛犬に紹介できるし(49日までは
魂は現世にあるというから)愛犬も新しい犬を飼い主がかわいがってるのを見ると
癒されるから、って言ってくれて、また犬がいる生活ができるのだと
思ったら、少し悲しみは救われました。少し元気が出て。

それを言った後で母は勝手にその日の午後、ペットショップにいき
(わたしは午後から学校だったから知らなかった)、
ペットショップの人に
「毛の抜けない犬が欲しい、絶対吠えない犬が欲しい」と母がいったみたいで
ショップの人は当たり前に
「そんな犬はいませんよ」といわれたようです。
それを聞いた母は家に帰って
「やっぱり犬は飼えない。絶対飼いません」とかわりました。

すごいショックでした。自分のいないところでいきなりペットショップに行って
それで勝手に飼わないと決めてきてしまうなんて。
正直言ってそれが普通の精神状態のときならまだ(頭にくるでしょうけど)
許せても、愛犬がなくなってまだ一週間も経ってない状態のときに
していいことでしょうか?!
今回のことは本当に許せないしだからそれ以降、わたしは母とは事務的会話しか
してません。

もうわんこがいる生活には戻れないのかなぁ。。つらいです。
昨日実は衝動的に髪の毛を切ってしまったので
今日美容院で髪の毛を整えてきたのです。

39 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/04(火) 20:19:44
夏のスコールってスキです。
暑い昼間に突然の雷そして大雨。
その後の涼しい風。
そんな中お散歩してたことを思い出します。


40 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/05(水) 11:38:08
明日49日です。とてもさびしくて昨日は眠れませんでした。

41 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/06(木) 00:06:35
49日です。
死んじゃないたいと思ったけど、愛犬は最後の最後まで
くうぅうって言いながら一生懸命生きようとしてました。
その最期をしっかりみてたわたしはやっぱり生きないといけないのかなって
思いました。
今日は精一杯弔って送ってあげたいです。

42 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/06(木) 00:07:37
今日虹の橋に向かうんですよね。。。

43 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/06(木) 12:35:47
午前中、愛犬の法要を終えました。
好きなものをお供えし、お花をたくさん飾り追悼しました。
今まであらゆるシーンで愛犬がそこにいてくれたんだと
思ったら、これからいないという現実に涙が止まらなくなったけど
愛犬のかわいらしい姿や思い出を思い起こすと
自然と笑顔になれました。
いつまでも彼女は大好きなパートナーです。

44 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/08(土) 00:41:56
七夕でした。
逢いたい人に会えるといいなって思う七夕。
愛犬は虹の橋にいったばかりだけど。

今日は仕事でした。
来週のシフトもらいました。
週に2日しか入ってない(みんなそうみたい)。
ちょっと様子見るけど、ずっとこうならまた探さないと。。。
仕事運は全くない柊です。

45 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/08(土) 22:13:04
半年前に申し込みしてたのでスクーリングに出ました。
愛犬がなくなってから目立って行動したりしてなかったので
久々でちょと疲れました。
明日も出ます。


46 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/08(土) 22:14:26
帰宅時に待っててくれるわんこがいないってさびしいです

47 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/10(月) 00:09:29
スクーリングも終わり。
長丁場なので(一日3コマとか)
結構疲れました。

クラシック理論だったのですが、レクイエムの曲がかかり
ちょっとうるうるしてしまいました。

48 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/10(月) 20:43:43
夕飯に親子丼を作りました。
親子丼を作るときはいつも、愛犬用に少しだけ鶏肉を取り分けて
ゆでてこっそり(みんなの夕飯より先に)あげてました。
それを思い出してたら、また泣けてきました。
まだまだおいしいものをたくさん食べたかっただろうな。私だけ
愛犬が好きな鶏肉を食べてごめんね。

49 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/11(火) 19:17:01
もうすぐテストだから気持ちを少し安定させて勉強がんばろう。。

仕事のシフトまたカットされました。
新しい職場探すしかないかも。かなり入れない。。

50 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/12(水) 11:46:24
最近ご近所で小型犬を飼った家があるらしく、
ワンワンとかわいらしい鳴き声がきこえてきます。
愛犬が鳴いてるみたいでちょっといやされますが
同時にすごいさびしいです。

51 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/13(木) 18:47:20
仕事きちんとしてまたわんこ飼えたらいいなって希望があったのに
今週も来週もシフト週に2回しか入ってない(他のヒトもそうだった)。
はぁ。。わんちゃんは飼うの難しいなかなかうまくいかない。つらいです。

任天堂DSの任天堂ドッグスでもはじめようかな。
犬をまた飼うという希望は捨てないけど、
毎日夜になるとすごい悲しくて涙が止まらないので。
癒しになることを期待して。
本体持ってないので近々おもちゃ屋さんに入荷したら並ぼうと思う。

52 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/14(金) 23:25:13
サラダを作ろうとトマトを取ったらコロコロコロコロと
床に転がっていきました。
愛犬のイタヅラではないかと思う。
愛犬はトマトが大好物でした。

53 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/16(日) 10:04:52
一日だけ愛犬が戻ってきてくれたらなにをしようかなって
考えていました。
やっぱりいつもの散歩道を歩くのかもしれない。
愛犬が亡くなったときよりも、田んぼ道の稲は
青々と茂って背が高くなってるのを見せてあげたいな。

54 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/18(火) 19:52:21
家に帰ってくると愛犬の鳴き声が聞こえてくる気がする。。

仕事シフトは入れないは、時間カットされるは、
そのくせ1時間にXセットやれというノルマだけはしっかりあって
かなりきついかも。また仕事探ししながらとりあえず今のところに
行こう。。愛犬にいい報告いつもできない。。新しいわんこ飼うなってことかなぁ。。

55 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/20(木) 23:38:22
今週来週は試験勉強です。
集中したらば少しは憂鬱が晴れるかなぁ。

わんこのお墓に新しい花を供えました。

56 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/21(金) 19:48:00
机に愛犬の写真を置いて勉強してます。
疲れたときなどかなり癒されます

57 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/23(日) 09:32:59
今日から試験です。がんばろう。
仕事の人疲れとノルマでなんだかあんまり勉強できなかった。。

58 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/23(日) 22:39:05
愛犬はマルチーズだったのです。
マルチーズのミニチュアフィギアを友達からいただきました。涙が出るくらい
感激しました。

59 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/24(月) 20:28:50
ニンテンドッグスを入手。
でも、試験前だから一日15分だけしか遊ばない予定。。

60 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/26(水) 12:59:42
トマト苦手だったんだけど、この夏はたくさん食べてます。
愛犬の遺志を受け継ぐのだ!
トマト大好きだったから

61 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/28(金) 15:03:44
わんこが亡くなって10週目。
少しずつもういないんだなって言うのが実感
でも慣れません。

62 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/28(金) 21:12:29
わんちゃん飼いたいと母に言ったら絶対ダメってまたダメ出しされた。
最近はわんこが飼える様に家でお料理作ったりと一生懸命だったから結構ショック。
でも飼えると思うようにしてる。じゃないと辛すぎるから・・

DSのわんこ育てるソフトやってるとたのしいけど悲しくなる。。

63 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/30(日) 21:13:55
夏なので、愛犬の遺影に供えてるお花がすぐ暑さにだめになっちゃうのが
悩み。だけど、意外と蘭の花は長持ちするのに気がつきました。
タイに行ったとき、そこらに木でたくさん咲いてたから暑さに強いんだろうな。

64 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/31(月) 20:59:17
梅雨明けましたね。暑中お見舞い申し上げます。

65 名前:◆4hEFic5SYU :2006/07/31(月) 23:05:22
隣に近所で有名なくらい神経質で頭がおかしい人がいて
その人のせいで母が犬を飼ってもいいといってくれない。。
辛い。騒音おばさんみたいなんだもん。

66 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/02(水) 02:43:00
今日は両親が旅行で留守番です。
そんなときないつも愛犬と二人で留守番だったので
ああ、ひとりなんだなって実感してます。愛犬がいないんだっていう実感

67 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/03(木) 23:28:38
ここ最近、悲しみがまたピークになり毎日夜涙が。。
突然なんだろう。。。愛犬が私を置いていってしまった気がして。

68 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/04(金) 23:11:37
わんこ今なにしてるのかなー。亡くなったおばあちゃんと遊んでるのかな。
お盆には帰ってきてね

69 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/05(土) 22:59:22
花火大会が隣町であったけど、わたしは家の前で線香花火をしました。
大きな花火の音を聞きながら小さい線香花火の光を見つめてると不思議な気持ち。

70 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/05(土) 23:00:05
朝はおはよう。
夜はおやすみ
愛犬に今もいってます。そうすると気持ちが落ち着くから。

おやすみ

71 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/06(日) 22:41:35
水族館でくらげをみました。
ゆらゆらゆらゆらと漂って気持ちよさそうでした。
生まれ変わってくらげになりたいです。
くらげは愛犬のしっぽのようでした。

72 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/07(月) 22:43:50
うちのわんこ、暑さにとても弱かったから、
夏場はクーラーを一番高い温度に設定して出かけてた。
暑いときは大丈夫かなっていつも心配してた。
心配がなくなってもやっぱり今なにしてるのだろうって
考えてしまいます。

73 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/09(水) 01:38:37
愛犬のおなかなでなでしたいなぁ。。
今日は疲れた。

74 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/10(木) 20:46:45
お盆に早くならないかなー
愛犬がかえってくる

75 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/11(金) 23:21:18
お盆の用意も少しずつ整えました。
いつでも準備オッケー
愛犬の夢がみれますように

76 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/12(土) 16:17:50
今日は一日雨が降ったりやんだり
雷が発生したり。一瞬の停電があったり。
うちのわんこ怖がりだったから心配。

77 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/13(日) 23:09:04
愛犬がかえってきてると思います。
いろいろ写真にむかって話をしよう。
愛犬はお酒が飲めないのが残念

78 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/15(火) 21:41:17
今日は自然と愛犬の話題が家族内で出ました。
やっぱりかえってきてるのかなって思いました。

79 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/16(水) 23:03:42
今日でお盆が終わり。送り火はたきたくないのでしませんでした。

いつでも遊びに来て欲しいです。愛犬はいつもそばにいてくれてると信じてます。


80 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/17(木) 23:33:05
愛犬は女の子だったけど、シナモンに似てたのでシナモングッズを買い
こころ慰めてます。。

81 名前:隣人某カナリエ氏 ◆groMilKs4. :2006/08/19(土) 20:21:25
悪人ノリスケはいずれイササカ家の愛犬を陥れるに違いない。

82 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/19(土) 23:12:33
今日で愛犬が亡くなって三ヶ月です。
三ヶ月は辛いよーといわれてました。
とりあえず三ヶ月経ったのです。不思議です。

83 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/19(土) 23:13:37
タマの声っていつまで「?」なんでしょうかね、、

84 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/21(月) 00:47:20
夕方わんこを散歩してる人を見るとうらやましく感じます

85 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/21(月) 22:29:12
ミュージカルに行ってきました。
今までそういう気分になれなかったのに今日は行こうと思いました
(ご招待券をいただいたので)。
少しずつ実感がないけど立ち直ってるのかなって・・・。でも愛犬を思い出すと
自然と涙があふれます。

86 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/22(火) 23:46:13
これで愛犬がいたらよかったのに・・って思う瞬間がさびしい

87 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/23(水) 21:26:06
愛犬の夢をみました。
知らない男の人が愛犬そっくりのマルチーズを連れていたのです。
そのわんこがわたしの顔をじっとみるので、しゃがみこんでわんこの顔を覗きました。
するとわんこがわたしに顔を近づけてふんふんにおいを嗅いできます。
すごい顔が近づいたら、そのわんこがわたしの愛犬だと気がついたのです。

そして目がさめたら、壁に貼ってある愛犬の写真がはらりと落ちてました。


88 名前:-【存在】-:2006/08/24(木) 11:10:57
 ─── 、 ⌒ヽ
(___ノ(   )
(^  ⌒   |  /
□-□──6 /
⊂      ソ  そ。
(__,,_   /     
  ヽ、` /

89 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/24(木) 22:38:36
この時期ってつよい日差しで花がすぐだめになるので
日差しと日陰に強い花を探してました。お墓近くに植えるためです(お墓は
日陰なので)カランコエって結構つよいみたいです。それを買ってきたので
なんとか根付いてくれたらいいのだけどなぁ。今時期ってむつかしい。

90 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/25(金) 23:02:13
明日は百箇日です

91 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/26(土) 13:53:00
早いものでもう100日です。

昨日、友達からまた犬飼ったらいいよ、といわれ犬用の服をもらったんだけど
(郵送されてきた)今そんなものをいただいてもどうにもならないし、
犬飼えるかわかんないからかなりナーバスです。
仕事も人間関係が(虚言・暴言吐くちょっとヘンな人に付きまとわれてる)
イヤで体調悪いし。

でも愛犬が死をもってわたしに教えてくれたこともあるから
今日からまたがんばろうって愛犬に誓う。なかなか根性なしなんだけど。。
最期に看取ったときの愛犬の重さが感覚としてまだ残ってます。自分の中に。

92 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/27(日) 20:19:53
今日は比較的過ごしやすい気候でした。
そんなときは愛犬はいびきをたておなかを見せぐうぐう寝てました。
今日はお庭も涼しかったから過ごしやすかったかもしれません。
ゆっくりしてね。

93 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/28(月) 21:17:08
なんだかとてつもなくさびしい。
写真はいつも穏やかな笑顔のうちのわんこ。

94 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/30(水) 17:14:55
愛犬のお墓に愛犬の名前の由来をつけた植物を植えました。
元気に育つといいな。

95 名前:◆4hEFic5SYU :2006/08/31(木) 23:00:23
嫌なことがあったときはわんこが最期すごくがんばってたことを
思い出して何とかやってます。きょうもそうでした。

96 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/02(土) 10:33:30
早くコスモスがたくさん咲かないかな。
わんこが大好きな花

97 名前:有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず:2006/09/03(日) 12:05:41
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有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず ◆Pj.rsagelo

98 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/03(日) 20:28:37
ニンテンドックスのわんこの性格が愛犬に似てきましたw

99 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/04(月) 23:04:43
夕方仕事帰りあるいてるとわんちゃんのお散歩ラッシュに
遭遇します。一日の疲れをそれで癒してます。
だんだんと日が落ちるのが早くなりひとり出歩くと心細い感じ。
わんこがいたらちょっと心強かったかもしれない。がんばろう。。。

100 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/06(水) 08:51:08
涼しくなってくるとさびしさが増しますね。。。

101 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/07(木) 23:39:26
職場データ入力の仕事だからか誰とも一日会話しないで
終わることが多くて(ちょっと今まで振り回されてきた
職場の困ったチャン最近来なくなったから)
それはそれでほっとしてるのだけど(そのこ疲れるから)
でもまた誰とも話さずに一日終わるというのもさびしくて
辛い感じですが、
わんこの最期の辛さを考えたらがんばらないといけないなーって
思います。わんこはとても私にいろいろなこと(アドバイスやらを)
残していってくれました。

102 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/08(金) 23:05:31
わんこを飼ってたときはあんまり気にとめなかったんだけど
最近よくわんこを連れた人を見かけ、遭遇します。
それはたぶんペットブームもあるけれど、意識して観察してるからなんだろうなぁ。。
またいつかわんこ飼えるといいなぁ・・・。

103 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/10(日) 22:35:30
暑い日だったけど、確実に秋は訪れているのですよね。。
こんな日はとても信じられないけれど。
今はまだわんこのことで悲しみがいっぱいだけど
よいことも訪れつつあると信じたいものです。

104 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/11(月) 22:53:23
日中暑いとわんこ大丈夫かなってついつい思ってしまう。
それで、あ、そうだ。。って。
亡くなったのだけど、どこかで生きてると感じてる瞬間が多々ある。

105 名前:有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず:2006/09/14(木) 11:42:09
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有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず ◆Pj.rsagelo

106 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/14(木) 23:01:56
疲れたのでプチ旅行に行ってきました。
箱根は文学作品の舞台地になってるので
比較的近くだけどスキです。
今までは旅行から帰ってきたら愛犬がお出迎えしてくれていたのです。
でも今回は姿は見えなかったけど声は聞こえた気がします。
おかえり、と。

107 名前:有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず:2006/09/16(土) 11:12:41
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有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず ◆Pj.rsagelo

108 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2006/09/16(土) 11:29:57
わんわん赤いの吐いてた

109 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2006/09/16(土) 11:30:28
にくください、いぬの。

110 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2006/09/16(土) 11:43:12
犬好きな愛太に棒ぐ独り言。

111 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2006/09/16(土) 12:29:42
びよ

112 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/17(日) 01:24:28
ちょっと最近涼しくなったのでお昼寝にちょうどいい感じ。


113 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/17(日) 23:23:00
もうすぐお彼岸かー。。
ぼたもち(おはぎ)愛犬が欲しがったのでこっそりあんこだけあげたことあったっけ。

114 名前:有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず:2006/09/18(月) 13:52:25
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有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず ◆Pj.rsagelo 

115 名前:有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず:2006/09/18(月) 22:16:23
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      l! ;!::     ':;l,_;;..  r-' ヽ、,   l !   引っ越し引っ越し
      .} ;{:::.   ,     ̄   ヽ,     |"      さっさと引っ越し!
      {,,.j::::;:: ::'' _,. -― ''''ユ∧   !    しばくぞ!
        ゙:, ヽ. :.弋;;;:::ニニニ‐"    /
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有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず ◆Pj.rsagelo 

116 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/18(月) 22:49:22
もうすぐ4ヶ月なんだね。早いなぁ。。


117 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2006/09/18(月) 22:58:14
にくくださぁーい

118 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/19(火) 23:56:29
彼岸入りです。

119 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/20(水) 21:26:44
今日はたくさんりんごをお供えしようっと

120 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/21(木) 22:29:13
冷蔵庫に磁石でメモを貼ってあるんだけど
その磁石がころころと棚に転がったのでキャスター付の棚を
ずらしたら、愛犬のおもちゃが出てきました。
愛犬が生前遊んでて隠したかなくしたかしたものみたいです。
今日はお彼岸。
愛犬がかえってきたのかなって思いました。ありがとう。

121 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/22(金) 23:01:49
イタヅラをしたとき、愛犬はおなかを見せてしっぽを振るしぐさをします。
今日はその姿が目に浮かびました。またどこかでイタヅラしてるのかなぁ

122 名前:有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず:2006/09/23(土) 23:34:53
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     ヽ ヽ       ヘ    ̄`゙゙゙''''‐        ,;、ゞン; '/.  l'   l .ll     掲示板でニートに勝つのは不可能だわ。
   .  ヽ ヽ、       ゝ //////        ////゙゙./    ゙, l .l
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        ヾヽ、`゙゙''''''i‐‐;'''"          ''`     /   / .l ノ
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有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず ◆Pj.rsagelo 

123 名前:◆4hEFic5SYU :2006/09/23(土) 23:52:32
今日は電車男みるか只野仁みるか迷ってしまった。
のんびりした一日。


124 名前:有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず:2006/09/24(日) 00:01:19
はぁーい!!
あんた、弱ぶってるわりにふてぶてしいわねーーー♪♪
さっさと引っ越しーーーーっ!!

125 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2006/09/24(日) 00:07:32
なあ、なんか今日なにもかもやる気が出なかったんだ
明日はすばらしい一日、送れるかな??

126 名前:柊@他のPC:2006/09/24(日) 17:06:25
パソコンいきなり壊れた。。。。
ネットで購入。早く届かないかな。
きたら愛犬の写真をディスクトップ画面にするぞ〜。

127 名前:有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず:2006/09/25(月) 08:53:48
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.  ,r'".   ,,,、、--''",´'  ,、-'" // /  ./   /   /  l  /l    ./  l
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    ヘ  l  /'    i  、、、、,/,,,,__   / /       .l / / l/ / .l l
    ヘ ヘ      . l  `; ゞン; `''' /'´   ,,、-,---、レ,,/. l./゙、. l l
     ヽ ヽ       ヘ    ̄`゙゙゙''''‐        ,;、ゞン; '/.  l'   l .ll     愛犬の死体の写真ね。
   .  ヽ ヽ、       ゝ //////        ////゙゙./    ゙, l .l
       \ ` 、       `'‐,、         ,      i    ノ l
        ヾヽ、`゙゙''''''i‐‐;'''"          ''`     /   / .l ノ
          `l====,l  .ヽ     `゙''''‐‐‐''     ,、 "ー-''"  /
           l r'"`'‐-、 `.- 、        ,、-'"

有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず ◆Pj.rsagelo 

128 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2006/09/25(月) 11:37:08
愛犬を食ったから電波だとか、愛犬と姦ったから電波だとか言うのは考え違いもはなはだしい!

129 名前:柊@他のPC:2006/09/25(月) 23:08:38
今日は秋晴れだった。。。気持ちも少し晴れてました。

130 名前:有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず:2006/09/25(月) 23:48:25
                        , -‐´ ̄ ̄`ー-< ̄ ̄>
                      /           \/
                     ,ノ           l       `ヽ
                    / /  ___,l      l |、 lヽ \ ヽ
                    I l /   |  l   ハ l l l、 lヽ ヽ、l
                      l /     |  l   l | l l lヽ|-ヽ l l
                    /    ,.ィl  l.  ,r l/ ! /  ,.、 | l l
     ,,            ∠ -r T T  .I I l l / ,.、l/  l::l`l /l,/
    ヽ',`ヽ;ヽ          l  l l   | | | /,//ヽ     じ,,l´
      ヽ  ヽ         l  l l  l レl/.∧!、::::y   .   'ハ
      `',;    ',        il  l l  l  l/| l._ ̄''   ,-、ノ||  スレを捨ててもっとせいせいなさい。
      '、;     ;          i.l  l l  l   l ト、`┬‐-/;;;;;∨/  
     ヽ:'   ;'          !.l  l l  ,ハ  | l  ヽl /;;;;;;;;;;;〉
      `',   ;         / l / l / l.  l/ , -‐ヽヽ;;;;;;;/
        :     '、     / /|/  /,イ  ! ,/|/     l ヽ/
       ',     `、   ./ /./  // l  l/ /       l
       ヽ',     ヽ,/ /7  // /l   | /      /
        ヽ、     `ヽ::::/  /,ノ/ヽ l  //       /
         `'- ..,..,..,..,.,/  /'´レ'::(/ //       /!
       ____/:::::::/::/  /::::::::: ::/ /ノ       / lニヽ
      >'´:::::::/::/ /::::::::::/,.ィ´        /l l<´
     /:::::::/ ̄:::/ ,.ィ´::::::::// i|l       / ,/ ̄
    i´:::::::::/::::::/ //::::::://l /:|.l       / /l_  _
    l::::::::::l::::::/ /!l./::::::::: ̄::://,.ィ l        / lヽl'マ7!

有為の奥山今日越えて浅き夢みじ酔ひもせず ◆Pj.rsagelo 

131 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2006/09/25(月) 23:53:15
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1156859187/82-83

132 名前:>131修正:2006/09/25(月) 23:55:30
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1156859187/182-183

133 名前:柊@他のPC:2006/09/28(木) 22:58:16
シナモンの新シリーズ買わないと

134 名前:柊@他のPC:2006/10/01(日) 16:40:15
コスモス買ってきた〜
コスモスが大好きなわんこへ

135 名前:柊@他のPC:2006/10/02(月) 23:26:32
またコスモス畑にいつかお散歩に行こうね。

136 名前:柊@他のPC:2006/10/03(火) 19:45:53
来年はお庭にコスモスをたくさん植えてあげたいな。

137 名前:柊@他のPC:2006/10/04(水) 20:06:43
東京ディズニーランドに行ってきました。
ハロウィーンパーティをあんなに楽しんだのははじめてかも。
ナイトメアクリスマスのゼロみたくわんこもお空を飛び回ってるのかな

138 名前:柊@他のPC:2006/10/05(木) 23:04:55
キャラクターではやっぱりわんこがすき

139 名前:柊@他のPC:2006/10/06(金) 20:49:42
今日は大嵐。
わんこはあたかい土のお布団ですやすやと眠ってることでしょう。。


140 名前::2006/10/07(土) 23:52:29
パソコン来ました。
トリップはまた明日くらいから。

愛犬が生まれ変わったら一緒にディズニーランドに行きたいな

141 名前::2006/10/09(月) 13:36:47
衣替えなので、秋服をたくさん出してきました。
愛犬との思い出もたくさん詰まった服が出てきたよ。

142 名前::2006/10/10(火) 22:44:22
今日は結構暑い一日。
夏が戻ったかのよう。
夏が戻り春になりわんこも戻ったらいいのにね。
でも思い出はいつもいっぱいだから大丈夫

143 名前::2006/10/11(水) 21:08:36
お供えに秋バラを買ってきました。
ハローウィンカラーのオレンジ。
オレンジってなんか見てると元気になるね。

144 名前::2006/10/12(木) 23:32:25
今日は暑かったから秋バラもしおれ気味。
お花をお世話してると気分がまぎれます。
わんこをお世話してた気持ちが癒される。

145 名前::2006/10/13(金) 23:44:17
明日あさってちょっと出かけてきます。わんちゃんお留守番よろしくね

146 名前::2006/10/15(日) 22:19:32
ただいまー
富士山をみてきました。逆さ富士もきれいだったよ。
わんこ連れの家族とかもたくさん来ててうらやましかった。
わんこが生きてたときはたくさん旅行に連れて行ったなって
思い出した。

147 名前::2006/10/16(月) 20:51:37
旅行で私がバスに乗ったら地元のおじいさんに
中国人?フィリピン人って聞かれました。
日本人なんですけど。。

それにしても中国はアジアだけどフィリピンってぜんぜん違うじゃんw
顔濃くないのに。。。
なんか地元のおじいさんって外国人が旅行にたくさん来るからって
なんでもかんでも外国人と思うのはどうかと思った。複雑。。

148 名前::2006/10/18(水) 23:09:20
先日樹海に行ってきたのですが逆に私は力をもらってきました。
岩から木々が立派に生えてる地から強さ。。。

明日で5ヶ月です。月日ってあっという間です。。。

149 名前::2006/10/19(木) 23:54:05
秋晴れが続き、気候がとてもいいと愛犬と散歩に行ったときの
楽しい思い出が目に浮かび、ああ楽しかったなーって感謝の気持ちで
いっぱいになります。

150 名前::2006/10/21(土) 01:21:17
今日仕事最中にふっとわんこの匂いがした。なんだろう

151 名前::2006/10/23(月) 08:27:36
ふんわりふわふんわりふあ

152 名前::2006/10/23(月) 23:32:45
わんこが眠ってる近くに白い花が咲きました。
いつもは赤い花が咲くその木なのに。。。
わんこは白い犬でした。

153 名前::2006/10/24(火) 23:21:45
今日は寒くてホットカーペットをつけました。
ホットカーペットつけると真っ先にいい場所に寝そべったわんこ。
わんこの分も席を空けておきました。

154 名前::2006/10/26(木) 00:17:53
昨夜の大雨で白いサザンカ(>152)が結構散ってたけどまだまだ咲いてます。
それをみるとちょっと元気なれます。

155 名前::2006/10/26(木) 23:50:36
今日は団体作業だったのでちょっと疲れました。
集団って疲れます。
愛犬に癒されたいので写真見てます


156 名前::2006/10/28(土) 13:50:43
仕事で腱鞘炎になり苦戦中です

157 名前::2006/10/29(日) 14:02:06
真っ白い花きれいだな

158 名前::2006/10/30(月) 21:21:56
腱鞘炎がひどく仕事休みましたあすはがんばろ

159 名前::2006/10/31(火) 21:23:45
がんばって行きました。
今日はハローウィーン
愛犬もナイトメアのゼロのように
遊びに来てね

160 名前::2006/11/01(水) 22:47:45
11月、酉の市より3日早めに浅草に行ってみました。
童話に出てくるようなわんこがいました。
わたしの愛犬も負けずかわいいと思いました。

161 名前::2006/11/02(木) 23:51:27
きのう見たわんこはどこかで見覚えがあるとおもったら
タンタンの絵本に出てきたわんこだったのでした。
どうりで。。



162 名前::2006/11/05(日) 00:56:06
紅葉は桜をみる次に好き。
わんこと紅葉みにいったことあったなぁ

163 名前::2006/11/05(日) 23:30:38
明日はわんこのお花を買ってこよう

164 名前::2006/11/06(月) 23:16:44
室内で育てられるベゴニアを買ったよ。
愛犬だと思って大事に育てようっと

165 名前::2006/11/08(水) 21:06:57
昨日の強風でさざんかが白い雪のように
愛犬が眠る土の上を舞ってました。


166 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2006/11/09(木) 01:37:37
 ウチのコはとってもお馬鹿。
 でも変わった動きとかしてるの、凄く可愛い。大×大好き☆

167 名前::2006/11/09(木) 22:52:42
おばかな子ほどかわいいよお

わんこかわいい写真見てもそう思う

168 名前:ブサイクさん ◆3qCqwgwpfI :2006/11/09(木) 23:06:20
うちのゴールデンは俺に似て出無精かつ面倒くさがりや。
散歩には行こうとしないし外に出てもすぐ近道をして帰ろうとする。
でも俺はこいつがいないと外に出る気もしない…(`・ω・´)

169 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/11/10(金) 07:34:23
ノス ゚Д゚ノここ見たら犬マジで飼いたくなった…

170 名前::2006/11/11(土) 13:39:43
ゴールデンはかわいいよね。
わたしのわんこはちび犬だったけど
大きなわんちゃんは一緒にいると安心するんだよね。
いいなぁ。かわいがってください。

>>169
わんこいいですよ〜
わたしは飼えないのでDSのわんこで我慢してます。。

171 名前:ブサイクさん ◆3qCqwgwpfI :2006/11/11(土) 15:59:09
犬はいいぜー!

172 名前::2006/11/11(土) 21:37:41
わんこはイイ!

173 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/11/11(土) 22:32:45
ノス ゚Д゚ノ飼うんなら絶対この仔と腹で決めてるんだ
http://www.gem.hi-ho.ne.jp/abu-kumaji/new_page_285.htm
カワイイでしょ?

174 名前::2006/11/13(月) 21:10:16
>>173
カコイイ!!
守ってくれそう。素敵なわんこですね。

PC規制でアクセスできないのでなかなかお返事できずすいません。

うちのわんこの写真はいつもわんこが笑ってる写真から
落ち込んだときみると励まされます

わんこ飼いたいなーって思っても
だめだと両親が反対するので
もう飼えないのがとても辛く、
すごい落ち込んだりします。

でもこの家には愛犬のにおいがまだ残ってるし
しばらくは思い出と暮らすもの悪くないかもしれません。

今日は思い出し涙してしまいました。

175 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/11/13(月) 23:43:45
ノス*゚Д゚ノでしょ?
可愛いと言うかカッコカワイイと言った感じだろうか?
ベットに連れ込んで添い寝したい…

後PCからのアクセスはhttp://c-docomo.2ch.net/test/-/denpa/i
からどうぞ
携帯のブラウザからだから負担は少ない

176 名前::2006/11/14(火) 07:45:28
初めてしりました。そのわんこのこと。
カッコカワイイ!!

なんかプロパイダ自体が規制中だったらしく
本当かけなくてすいませんでした。
携帯のサイトも教えてくれてありがdです。

177 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/11/14(火) 10:48:10
ノス ゚Д゚ノしかし子犬は一匹50万もするのが現実
飼育も難しくて餌代もかさむからハスキーとかで我慢するか?

178 名前::2006/11/14(火) 20:45:52
>>177
そうなんですか。希少価値があるのかな?
でもどんなわんこでも飼ったら愛情が移って
犬種なんか二の次になりますよ。
縁があるわんこと出会えるといいですね。


帰宅時にわんこの散歩ラッシュに出会うと
いいなーって思ってしまいますね。
気のせいかわんこをみてるとわんこがこちらに寄ってくるしw

179 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/11/15(水) 15:52:44
ノス*゚Д゚ノもう少し現実見て言うなら♂のハスキーの子犬飼いたいな★
毎日遊んであげて毎晩同じベットで寝るんだ

180 名前::2006/11/16(木) 07:45:00
ハスキー犬かわいいよねー
動物のお医者さんという漫画を読むとハスキーのかわいさが堪能できます。
いいなぁ。。

181 名前::2006/11/16(木) 20:49:27
なんだか今日はとても嫌な出来事がありました。
わんこがいたらなーって思いました。

182 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/11/17(金) 08:03:17
ノス;゚Д゚ノそんな事より昨日動画で
「ハスキー♀×人間♂」
の動画を見た…
あんな愛の形が…

183 名前::2006/11/18(土) 13:44:37
いろんな動画があるものなんですね。。

明日でわんこがなくなって半年なのでお供え物を買ってきます。

184 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/11/20(月) 00:23:14
ノス ゚Д゚ノわんこ死んじゃったんだね…
自分達も寿命の事を知っていながらもその傍ら永遠の命を持っているような気がするんだよね…
わんこの寿命は決して長くはないからわんこ自身も死の事に関しては毎日恐れていたんじゃないかな…

185 名前::2006/11/20(月) 23:26:19
うーんどうかなぁ、恐れてるという感じはなかったよ。
本当に最期の一週間だけ辛そうだっただけであとは元気元気だったから。

今もきっと元気だと思う。

186 名前::2006/11/22(水) 23:40:36
今日はお散歩中にトイプードルを二匹別の場所でみました。
わんこというよりかわいいティディベア(カットがそうだからかな)。
目がくりくりしてて、飼い主さんをしっかりと見つめる目は
かつてのわたしのわんこを思い出してしまいます。

187 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/11/23(木) 16:35:15
ノス ゚Д゚ノにしても今日は寒いな…
もしわんこが居たらベットの中で抱き合って暖をとるだろうね…

188 名前::2006/11/24(金) 00:12:37
お布団でねんねしてると一番よい場所を陣取ってた愛犬w
少しでも移動させると怒ってたっけw

189 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/11/25(土) 09:28:04
ノス ゚Д゚ノさて…
堅パンで犬に勝る強靱な顎を…


てか歯が欠けたからインプラントで鋭利な犬歯を…

190 名前::2006/11/25(土) 16:56:44
でも意外とわんこも硬いものって食べないんだよね〜
硬い犬のガムとか残すもの。贅沢なんだよね。

191 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/11/26(日) 09:38:13
ノス ゚Д゚ノそっか…
犬用ガムって美味しいのかな?
少し食べてみたい気も…

192 名前::2006/11/27(月) 23:04:33
今日長期旅行から親が帰ってきました。
愛犬は両親のこと大好きだったから
さぞよろこんでいることでしょう。


193 名前::2006/11/27(月) 23:05:27
犬のガムってハミガキの役割も果たすみたいです。

194 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/11/28(火) 08:01:17
ノス ゚Д゚ノうん、やっぱり食べてみたいね…

195 名前::2006/11/29(水) 23:55:46
犬用ガム食べたら是非レポートお願いしますw

寒くなりストーブをつけるようになりました。
愛犬は寒いとストーブの真ん中で暖を取ってました。
そんなにちかづくと燃えちゃうよ、とよく話してました。
でも気持ちよさそうに温風のそばにいてその姿を思い出します。

196 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/12/02(土) 07:57:19
ノス;゚Д゚ノ今日は何故か犬耳尽くしの夢を見た…
良くは覚えていないが自分が犬耳付けた弟と戯れてた…

197 名前::2006/12/02(土) 23:49:49
愛犬に似てるわんこをみるとやっぱり切ない。。

犬耳??

198 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2006/12/03(日) 12:53:21
柊さんのレスは優しい感じがするなあ
成犬で良ければウチのロンチー♂の里親になって欲しいくらいだよ
病気がちで満足に世話してやれない自分が心苦しい・・・

199 名前::2006/12/03(日) 22:08:01
いやー優しくないですよ。グチばかりでしたから前スレは・・・。
わんこにいつも悩み聞いてもらってました。
ロンチーちゃんは絶対>>198さんのこと大好きですよ。
そばにいさせてもらえるだけで幸せなんです。
わんちゃんとの1日1日はあとから宝だったと思えると感じますよ。


200 名前::2006/12/04(月) 23:18:46
にゃんこもかわいいけどやっぱりわんこ派!
わんこの笑った顔が好き。
愛犬の笑った顔も大好きだったな

201 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/12/05(火) 23:25:47
ノス*゚Д゚ノやっぱりわんこは可愛いよねっ!
特にアラスカ系のわんこは!

202 名前::2006/12/06(水) 23:10:01
アラスカ系わんことは???


今日は迷っていたけど、やっぱり喪中はがきを出しました。
でもわんこのための喪の知らせなので、大げさにならぬよう、クリスマスカードに
一言添えて喪中であるとお伝えした次第です。やっぱり家族だしね。
喪中にしたかったのです。

203 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/12/06(水) 23:14:32
ノス ゚Д゚ノアラスカ系?
ハスキーとかウルフドッグとか雪国で活動するわんこだよ

204 名前::2006/12/09(土) 02:28:16
雪国わんこいいですね

パソコン
公開プロシキ規制中となり書き込み出来ないのがつらい
です。

205 名前::2006/12/10(日) 23:35:48
こんな状況になりとにかく大変でした。
DSBLのリストにたまたま割り当てられたIPが
ブラックリストに載ってたようです。
削除依頼やらなんやらで疲れました。。

http://homepage3.nifty.com/holly2001/bbq/dsbl.html
http://homepage3.nifty.com/holly2001/bbq/dsbl_isp.html

わんこに癒されたい。。

206 名前::2006/12/11(月) 21:08:12
夜になるとキラキラと光る首輪をつけてワンコが夜散歩してるのを見ると
サンタクロースのトナカイを思い出すw

207 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/12/12(火) 13:00:19
ノス ゚Д゚ノソリはトナカイよりソリ犬に引かせた方が良いと思うのは俺だけで十分か…

208 名前::2006/12/14(木) 08:24:17
ソリ犬、よく走りそう。でもスピードが出てプレゼント落とすかもw

209 名前::2006/12/16(土) 00:58:45
今日はとても精神的に疲れました。
そんなとき愛犬の名前をつぶやくと疲れがすーっと消えていきます。
愛犬の名前って不思議な力をもつんだなって

210 名前::2006/12/17(日) 22:53:03
昨日、今日とスクーリングに行ってきました。
先生に私が発表したことについてすごいとほめられたのが
とてもうれしかった。家にかえり愛犬の写真にしっかり報告しました。

211 名前::2006/12/19(火) 01:24:24
さむさむ。。寒い日は
わんこはこたつでいつも丸くなってました。

212 名前::2006/12/19(火) 23:19:51
ずっと気になるけど
入れない(入りにくい)お店に意を決して入ってみました。
アジアン雑貨屋なんですが個人の家なんですよ。
お店の一角が。だから余計に入りにくかったのです。

でも、入ったら結構セレクトがよくて何で今まで入らなかったんだろうって
思ったら悔しくなりました。
そのお店では、インドのクリスマスオーナメントと
フィリピンの仔豚の(シャーロットの贈り物にちなんでほしくなり)
置物を買ってきました。
お店の、やや気の弱そうな中年男性いわく、
フィリピンでは日本の犬と同じように
ブタさんがラッキーアイテムでグッズが多いそうです。

それで日本だと来年はいのしし年になるけど
フィリピンだとイノシシじゃなくてブタになります、といわれ
へーそうなんだーって思って帰宅しました。
けど、フィリピンには干支ってあるのかな?って
思ってしまいました w

日本ではわんこはラッキーアイテム。確かにそう思います。

213 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/12/19(火) 23:41:50
ノス ゚Д゚ノ素朴な質問なんだけど…
一人暮らしの身で大形犬を飼うのは大変だろうか?

214 名前::2006/12/21(木) 01:27:26
いざとなったときにお世話してくれる人がいたら大丈夫じゃないかな、と思います。
いざというのは、たとえば災害とか、仕事で帰れなくなったとき、ペットホテルじゃなくて
身内などで預かってくれる人がいれば、、。。どうなんだろう。

215 名前::2006/12/22(金) 23:18:56
サンタさん、白いふわふわのわんこをくれないかなぁ。。

仕方ないのでシナモンのクリスマスグッズを買いました。


216 名前::2006/12/23(土) 23:27:11
半年振りにディロンに会えました。
ディロンとはNHKでやっていた土曜ドラマの中で活躍する
セラピー犬です。そのドラマのスペシャルがあったのです。
ちょうどそのドラマを毎週やっていた時期にわんこがなくなり
落ち込んでいたのでディロンに励まされたのです。
今日久々にディロンをみれれまたがんばらないとなーって思いました。

217 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/12/24(日) 19:15:46
ノス ゚Д゚ノ俺も犬飼う側になったら変われるかなぁ

218 名前::2006/12/24(日) 23:52:54
メリークリスマス。
一緒にわんこと成長できたら一番イイ関係だよね〜

219 名前::2006/12/26(火) 20:19:19
 クリスマスが終わったら一気にお正月〜
毎年わんこと一緒に家族写真を写すのが恒例だったけど
今年はどうするかなぁ。。

220 名前::2006/12/27(水) 20:35:35
今日はダリ回顧展45分待ちで疲れました。
年末になってもダリ人気、、、

221 名前::2006/12/27(水) 23:37:31
並んでいるときに上野公園をわんこが散歩しててかわいかった。

222 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/12/28(木) 07:52:25
ノス ゚Д゚ノ昨日親から来年分の犬のカレンダーをもらった
小型犬しか載ってなくて少し残念だった
自分は大型犬にしか興味が無いから…
因みに朝家から駅に行く途中でパピヨンを7匹散歩に連れてる夫婦がいるよ

223 名前::2006/12/28(木) 23:29:45
パピオン七匹!!いいなー
一匹でもパピオンって華やかだから七匹もいたら
圧巻でしょうね。遭遇したいなぁ。

わたしも企業のだけど子犬カレンダーもらいました
( 蛇の人さんと同じだったらおかしいけどw)
そういえば大型犬のカレンダーって見かけませんね。。
 
来年のカレンダーはその企業のと
ファンケルから毎年もらう卓上カレンダーと
そしてスヌーピーのスケジュールが書き込み出来るカレンダー
なのでなんか代わり映えしないけど、使い慣れてるから
新鮮さより実用さを重視していますw

224 名前::2006/12/30(土) 00:00:11
関東地方は今日は強風でした。
そのなか散歩に出かけたんだけど
歩いてる人は、わんこの散歩に出かけてる人ばかりで
普通の人は出歩いてませんでした。
すごい強風だったけど散歩って楽しい

225 名前::2006/12/30(土) 00:14:37
明日は愛犬のためにシーザーとお正月用のお花買ってこなくっちゃ。
年越し一緒にしたかったなって、悲しい気持ちになったけど
そうやってると一緒に年越ししてる気がするから。
今年は生きてる中で一番辛かったことがあった年だったな。

226 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2006/12/31(日) 14:54:46
ノス ゚Д゚ノ生きものには必ず死という末路があるからな…
その傍ら永遠の命を司っているような感じもする
お別れの時は辛かったろうね

227 名前::2006/12/31(日) 20:59:20
もう一年終わるんですね。
今年は試練の年でした。来年はよきワンコの思い出とともに
楽しい一年としたいです。
蛇の人さんレスありがとうございました。
来年のお正月はわんこ喪中なのですが
おめでとうとあえて言いたいです。
わんこもそのほうが喜ぶし。
明るく楽しいおいしいことが大好きなワンコだったから。
よいお年を!

228 名前::2007/01/05(金) 12:21:29
あけました おめでd

229 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2007/01/06(土) 00:05:11
ノス;゚Д゚ノしばらく書き込みが出来なくてごめんね…
どうもネタが無くてネタ無しのくせにカキコもアレだったから…
そうだね!
とりあえずあけましたおめでとう!

230 名前::2007/01/06(土) 02:41:09
いえいえ、お正月は楽しいことを書いたほうがいいから
大丈夫です。
わんこカレンダー使ってます〜

231 名前::2007/01/08(月) 00:19:38
今日はすごい強風だったけど、散歩に行きました。
歩いてるのはわんこのお散歩の人だけ。
わんちゃんも寒そうでした。

232 名前::2007/01/09(火) 23:14:20
ちょと最近体調不良気味。
年末年始の疲れかな?何の疲れかわかんないけど。
でもわんこ散歩ラッシュ時に外に出ると癒される。

233 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2007/01/10(水) 08:32:58
ノス ゚Д゚ノ最近朝が寒いね
そんな中でも飼い主さん達は散歩に行くから偉いよね

234 名前::2007/01/10(水) 23:30:57
CREAっていう女性雑誌が今年もまたわんこ特集してます。
毎年この時期はわんこ特集。明日買いに行こうかな。
http://www.cybercrea.net/crea_info/

もうすぐ今期の芥川賞。ノミネート作家の一人に
とてもファンな作家がいるのでどうなるか、ちょっとドキドキです。

235 名前::2007/01/12(金) 22:40:03
2CH閉鎖するみたいですね。
愛犬への想いを書いてとても大切なスレッドだったのにな。
これからどうしようかな。15日くらいに閉鎖とのことですから考えます。。

236 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2007/01/13(土) 08:12:21
ノス;゚Д゚ノ閉鎖するのか…
そうなるとこのままでは御主人様にもう会えなくなってしまう…
これからどうしよう…

237 名前::2007/01/13(土) 22:32:08
どうなんでしょうね。
15日動きがあるとか何とか。
レンタル掲示板でも借りようかな。一人でぶつぶつ、とw

わんこがなくなって八ヶ月。
最近はわんこに関する少し楽しい思い出を考えられるようになりました。
今まではどちらかというと悲しい思い出が多かったので。

238 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2007/01/15(月) 16:16:16
ノス;゚Д゚ノとりあえず今現在は何とも無いな…
無くなっちゃヤダぜ?


因みに自分、将来は犬の調教師になろうかと思ってるんだ
今から犬の訓練に携わるためにも体を鍛えなければ…

239 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/01/15(月) 20:10:02
わんこの訓練士いいなぁ。
力はいりそうですよね。大きいわんこにひっぱられないためにも。

2ちゃんどうなるんだろうね。気になるわん

240 名前::2007/01/15(月) 20:11:16
あらら、ななしさんになってた。
2ちゃんねる閉鎖?の動揺がw

241 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2007/01/17(水) 08:24:33
ノス ゚Д゚ノ将来はドッグトレーナーになるつもりだが…
専門学校に通ったり体を鍛えたり…
成功までの道程は長いな…

とりあえず2chが閉鎖しそうになっても慌てず移住先を探した方が良いよ
ふたばちゃんねる辺りが良いんじゃないかな?

242 名前::2007/01/18(木) 00:08:11
ニュー速みたら、なんとか?大丈夫みたいですね。
掲示板。
でももし、消えたりなくなったら
双葉ちゃん♪の趣味板か
3ちゃんねるの夢独り言に同じタイトルでスレたてします。

姪に今日、わんちゃんお星様になったの?
いつになったら戻ってくるの?って聞かれました。
だからすぐ戻ってくるといいねって言いました。
覚えていてくれてうれしかったです。


ドッグトレーナーってなんかいいですよね。
犬って人間にとって最高のパートナーだと思うから
需要があるお仕事だと思います。

243 名前::2007/01/21(日) 00:55:25
今日はとてつもなく落ち込んだ1日。
わんこがいたときは家に味方がいてくれたという
心強さがあったのだけど。
今は写真に語りかけるしかないのがちょっと辛いです。

244 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2007/01/21(日) 18:00:35
ノス ゚Д゚ノやっぱり人はみなそれぞれ違うものを背負って生きているんだな…
俺に今いる背負うべき人は御主人様…
どちらかと言うと背負いあってる感じかな…?

245 名前::2007/01/22(月) 00:07:35
背負い投げw

去年の誕生日は愛犬が生きていてくれたことが
一番のプレゼントだった。
今年は写真でしか一緒にいれないけど
今日も1日愛犬とともにすごしたいと思う。
いてくれてありがと。

246 名前::2007/01/24(水) 20:29:42
冬の寒い日のお散歩って温かい服装をしたわんちゃんをみかけます。
かわいいんだけど、わんこに洋服を着せるっていうのがわたしにはちょっと抵抗があります。
でも本当に寒いときは着せたほうがいいともいうけど。

247 名前::2007/01/28(日) 14:01:29
わんちゃんも暖かいと足取りが軽いのかしっぽをふりふり楽しそうに散歩してます。
蝋梅の香りが楽しい最近のお散歩道。

248 名前::2007/01/30(火) 23:14:33
今とても悩んでいることがあります。
それをしったら多分愛犬は悲しむだろなって思う。
愛犬に心配されないようにしないと。。。

249 名前::2007/02/02(金) 00:10:48
今朝、目覚めたら壁に貼ってある愛犬の写真と目が合いました。
なんだか心配そうな顔をしてました。わんこって人の気持ちがわかるんだね。

250 名前::2007/02/04(日) 19:16:58
今日で試験が終わり。いろいろあって解答用紙が涙でびしょびしょになるアクシュデントも
ありましたが、なんとか終わりました。悩みは時が解決してくれますように。

251 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2007/02/06(火) 16:08:48
ノス ゚Д゚ノ思えば暫らく来てなかったなぁ

最近大型犬とかテレビで見るたんびに
犬飼いたいと呟いてるなぁ
きっと一人暮らし始めるならペットOKの場所を選んでるよ……

252 名前::2007/02/06(火) 21:12:36
暖かくなると(今日は暖かかった)無償に犬がほしいと思いますよね。
わんこと一緒に走りたい、と。

おひさしぶりです。

253 名前::2007/02/10(土) 19:35:03
散歩中のわんこが寄ってきてくれるとうれしくなる。
飼っていた愛犬の匂いがきっとするんだろうなって思って。

254 名前::2007/02/13(火) 23:45:07
わんこが眠ってる近くに植えたハーブがいい感じで育ってきました。
香りって癒されます。ハーブ植えてよかった。

255 名前::2007/02/14(水) 20:32:25
今朝起きたらふっとわんこの匂いがした。いたのかな

256 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/02/15(木) 19:16:41
(▽・♀・▽)
OU__UO



ママとパパとお兄ちゃん達と離れちゃったけど…
でも寂しくないよ!
だって僕には「かぞく」がいるもん!

…ね

たくさんの中からぼくを選んでくれてどうもありがとう
ごはん忘れちゃってごめんねって謝りながら撫でてくれたから、ぼくの機嫌あっという間に直っちゃった!
くつ隠してごめんね
もの噛んじゃってごめんね
といれもちゃんと出来なくてごめんね


最期まで一緒にいてくれて…
本当にありがとう
幸せだった…

またね
おやすみなさい…

257 名前::2007/02/15(木) 23:26:51
ありがとう。

258 名前::2007/02/15(木) 23:29:19
今日とても辛いことがあったから愛犬に語られたように感じました。
愛犬が亡くなってからは、わたしをおいていかないでっていつも思ってました。
おいていかれたんだって。見守ってくれてありがとうって感謝しなくては。。

259 名前:黒検事 ◆JCFcH7P.Z2 :2007/02/17(土) 19:45:15
柊さん、獣人容疑であなたを逮捕します。

260 名前::2007/02/17(土) 23:29:21
??
秘密警察??
通報すますた???

261 名前::2007/02/17(土) 23:35:43
最近は届きそうで届かない月を想って落ち込んでいました。
届かないのに届くって思い込んでいてそれで体調悪くなって。
でも届くと想ってるうちはそれは夢なのかもしれないけど
大切な現実。
あんまりこういうことを考えてると愛犬が心配するだろうな。
カウンセリングとか受けたほうがいいのかもしれないけど
いいカウンセラーが見つからない。
好きな人がいてその人はお月様だったんだって想った。
でも見守ってくれてる存在。でも何かあっても助けてくれず見殺しにする存在。

262 名前:黒検事 ◆JCFcH7P.Z2 :2007/02/18(日) 15:06:27
否認、ということでよろしいですか?
それでは申し訳ないんですけど
ここに左手の薬指で指印をお願いします。

拘置所で携帯を赦される想い出はひとつだけです。
「先生」か「愛犬」か、
どちらかひとつだけを選んでください。

263 名前::2007/02/18(日) 17:23:45
キツネ憑きとかそういう意味なんですか?
キツネではなくてわたしは眠りねずみです。

想いはひとつだけはダメです。
だって想ってる想いはずっと同じ人へなんだもの。

264 名前::2007/02/18(日) 17:24:55
愛犬への想いも先生への想いも
自己投影で想ってる想いは同じなんです。

265 名前::2007/02/18(日) 17:30:20
アリスに出てくる眠りねずみの夢なんですよ。
ですから、先生への想いも愛犬への想いも両方です。
二つスレッド立てたらいけないみたいだったし。


266 名前::2007/02/18(日) 17:42:30
スレッド読んでくれてありがとうございます。

267 名前:黒検事 ◆JCFcH7P.Z2 :2007/02/19(月) 10:43:05
キツネ憑きではなく、獣人容疑です。
杵つき餅を殺人容疑と勘違いするひとがいますか?
キツツキは愛人ではありません。

柊さんの容疑は獣人です。殺人でも、愛人でもない。

「先生」と「愛犬」は異なる対象だが
それらに対する自分の指向姿勢が同一なので
同じ想いである、
したがってひとつと数えるべきだという主張ですね。
承っておきます。しかしほんとうにひとつなのでしょうか。

268 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2007/02/19(月) 20:41:20
ノス ゚Д゚ノ戻ってきたよ
一度間を開けると戻りにくくなっちゃうな…

しかし獣人容疑とはなんぞや…
月が恋人ってもしや貴女は…
狼女でしょうか…
俺より上等じゃん…

軽く冗談だがね

269 名前::2007/02/19(月) 22:56:41
>>267
?よくわかんないです。獣人とは住人でもありそうな。
てっきりユタとかそっちのきつね憑きかと思いました。電波だし。

でもわたしは不思議な国のアリスに出てくる眠りねずみが好きです。
眠りねずみの夢の中ってこんな感じかも。眠りねずみは不思議な国の住人です。

>>268
おひさしぶりです。戻ってきてくれてよかったです。
基本的に独り言なんで会話するの大変なら独り言書いていって下さってもいいし
ムシしてても大丈夫です。





270 名前::2007/02/19(月) 23:11:01
なんかよくわかんないんですけど。
あるものに精神的に依存してるんです。わたしは。
で、あるものっていうのは、相手のようでいて自分の中にある何かを
相手に投影してるんですよ。小さいころのトラウマと関係があるみたいな。
って書くとなんか違う方向に行くのでこれ以上は書かないです。この話。

愛犬も先生も同じことなんです。もちろん愛犬は大好きだし先生は尊敬してた。

271 名前:黒職員 ◆JCFcH7P.Z2 :2007/02/19(月) 23:50:10
なんか牢の窓に向かって独り言を言ってるな…

夕食です。メニューは
蝸牛丼、海牛のサラダ、ミルクティー。

獣人容疑の取調べは生暖かく厳しいけど、頑張ってね。

272 名前::2007/02/21(水) 20:20:03
すいません、今メンタル面でピークなんです。
で、適当にここにレス書いてたり自由にしたいんです。
初診の受付は3週間後と言われたのでそれまでいろいろ
書いたりして不安の軽減をと思ったのですが
監獄みたいなので、ちょっと憂鬱になりました。

273 名前:黒検事 ◆JCFcH7P.Z2 :2007/02/22(木) 10:34:50
「監獄みたい」ではなくて、監獄なんです、ここは。
現実を認識してください。狭い部屋に、壁があって、窓がある。

しかし、
「監獄みたい」ということと「憂鬱になる」ということのあいだに
なにか関係がありますか?
「監獄みたい」だから「とっても気分が良い」とか考えられませんか?
あるいは「とっても気分が良い」から「監獄みたい」に感じられるのかも知れないですね。

食事はちゃんと摂ったほうが良いですよ。
全部食べたのは海牛のサラダだけで、蝸牛丼をだいぶ残してますね。
ミルクティーには手をつけてない。困ったな。

獣人容疑について、記憶を整理しておいてください。
「記憶にない」では通りませんよ?

274 名前::2007/02/22(木) 20:03:18
なにが目的なんですか?
このスレから出て行けなんですか?

監獄っていうのは意識は監獄だからですか?
拘禁症状が出るかもしれないのであんまりこれなくなるかも。
>>1にあるように独り言で愛犬と話したりしたいんですけど。
愛犬には何でも話してきたので先生のこととかもその対話なんです。



275 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/02/22(木) 20:14:10
柊さんこんばんは。私も以前愛犬を失って、
このスレを静かにROMってきた者です。
スルーしましょう、いつかまた静かになりますよ。

276 名前::2007/02/22(木) 20:19:52
>>275
こんばんは。ご心配掛けてすいませんでした。
最近は愛犬のことと他のことが重なりちょっと神経過敏になっててすいません。
そうですね、愛犬に話してるつもりで。。

帰り道わんことすれ違う時ドキっとします。
愛犬とすれ違う気がするからです。

277 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/02/22(木) 20:25:15
いえいえ、謝ることはないですよ。
こちらこそ突然書き込んですみませんでしたね。

柊さんのスレですから、柊さんの書きたいことを
自由に書いて下さいね。では、また静かに見守ってます。

278 名前::2007/02/22(木) 20:39:21
このスレッド誰も見てないと思ってたときがあったのですが
見守っててくださる存在があったってことを知り、
安心しました。ありがとうございます。

279 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/02/23(金) 04:00:59
ひっそりといつも見てるよ 元気出して(-_-)

280 名前:黒検事 ◆JCFcH7P.Z2 :2007/02/23(金) 14:52:45
目的は獣人容疑の取り調べです。検察の一部には
ageやスリ潰しを主張する声も出ているのですが、私が担当している限り
静かな対話による取り調べが続きます。ご安心ください。

「拘禁症状が出るかもしれないのであんまりこれなくなるかも。」というのは不思議な言葉です。
「拘禁症状が出た」結果として「監獄に来られなくなる」というのは
むしろ良いことではないのですか? 柊さんは「監獄」=「憂鬱」という価値観かと
うかがっておりましたが…

柊さんのいわゆる「病気」は詐病でしょう?
「弱者」を演じることはそんなに面白いですか?
壁の染みが顔になって、名無し、
顔無しの類いが微笑んでくれるから? 「弱者」を

強硬に演じ続ける柊さんは獣人なのです。
その本来の「強い自分」が前面に出せたら、たぶん、監獄の窓から月が覗いてくれるでしょう。

さて、まだ話す気になれませんか?

281 名前::2007/02/23(金) 20:24:32
もうすぐ愛犬の誕生日。いちごとトマトを買って来ようと思う。




282 名前::2007/02/25(日) 23:46:50
愛犬が亡くなった時に植えたバラがまたつぼみだしました。

283 名前::2007/02/26(月) 15:59:24
愛犬を狂わすシャボン玉
ttp://paparacchi.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_e193.html

284 名前:柊♯ももんがもん:2007/02/26(月) 20:19:09
なんか偽者が出たのでトリップふたたびつけます。

クローズアップ現代で千の風の歌の特集がありました。
聴いていて心地よかったです。


285 名前:◆.G.dDa2zds :2007/02/26(月) 20:20:56
あれ、まちがえちゃった。トリップ変えますw
久々なので。

286 名前:◆.G.dDa2zds :2007/02/26(月) 20:22:48
ももんがもんとか適当なの入れておいてよかったwヤバヤバ。。

今日は秋川さんのその歌のおかげで元気です。

287 名前:◆.G.dDa2zds :2007/02/27(火) 22:39:33
もうすぐ三月です。
今年は雪が降らなかった。
愛犬はとても寒がりで雪の日は散歩に出たがらなかったから
ちょっとよかったのかもしれない。

288 名前:◆.G.dDa2zds :2007/02/28(水) 23:50:12
二月が今日で終わります。
短い二月ですがいろんなことがありすぎて
長く苦しい二月となりました。

来月は愛犬の誕生日です。
笑顔でお祝いが出来ればいいなぁ。

289 名前:◆.G.dDa2zds :2007/03/01(木) 23:11:55
三月。でも冬が懐かしい感じの春。
ももの花を買ってこようと思う。
毎年お雛様と愛犬とわたしで写していた写真も飾ろう。

290 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/02(金) 09:27:40
好きな人を相対化しつつ待つスレ
http://www.denpark.net/2003log/1046583324.html
大好きな先生に送る独り言。
http://www.denpark.net/2004log/1084373396.html

291 名前:◆.G.dDa2zds :2007/03/03(土) 15:55:57

今日は愛犬の誕生日でした。
それで今日はカウンセリングでした。
昨日のお昼に電話がかかってきて、
今日の朝イチならカウンセリングあいてますって。

奇しくも愛犬の誕生日。
愛犬が導いてくれたんだと思う。

依存してしまうということを相談した。
そう、先生に対しても愛犬に対しても
愛情(自己投影)してしまうものに対して。
だから愛犬に語るのも先生に語るのも同じなんです。
カウンセラーじゃないとわかんないだろうけど。

今日はトマトといちごそして愛犬がすきな雛あられと
モモの花でお祝い。

292 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/05(月) 09:26:48
前スレだと犬犬言ってないね

293 名前:◆.G.dDa2zds :2007/03/05(月) 23:04:57
タイトルが違うから。
タイトルが先生のスレッド立ててもいいなら書きますよ。

今日は嵐でした。
かさが折りたたみなのでどうしようかと思ったけど
帰宅するまで雨はなんとかもちこたえました。

294 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/06(火) 23:31:36
猫飼ってるてゆうか犬飼ってる
犬飼ってたてのは嘘
センセイも嘘
みーんな嘘
あーあ

295 名前:柊。:2007/03/06(火) 23:34:33
犬なんていなかった
犬の話皆無なのはあまりにも不自然
へんなのー

296 名前:柊。:2007/03/06(火) 23:37:57
なんだろこの犬
なんだろこの犬
猛犬注意!!
わんわわw

297 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/07(水) 12:58:00
なぜ電波板で書いてるかの理由を考えると見えてくる。

298 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/07(水) 12:59:43
>>275-278 ジエンも上手。

299 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/07(水) 15:55:03
http://homepage1.nifty.com/obiobi/page/off9.html

300 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/07(水) 21:08:12
これ柊のオフ? 案外若いじゃん

301 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/07(水) 21:16:51
どう見ても婆あだろ

302 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/08(木) 09:13:48


        /ヽ   /ヽ
      _ /  ヽ_/  ヽ_
    /            \
   /  /       \   \
  |    ●     ●     |     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
  |       ( ● )      |\    ヽ_________/
  |         |      .| \  . //////l l l l l l l l l l l l
   |       .ヽ_人_/      |   \  |/  \    l l l l l
   \               /\   \ |=  =    l l l l l
    \            /   \  .\| し        l l l
    /           |     \   | __      /
   /             |       \  \_____/   もう漬かれたよ…
_/            ∩ |        \         \
            ⊂ ̄ \__________      |
            ⊂ ̄    |                  |
            ⊂ ̄    |                 /
            ⊂ ̄ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l
              ̄ ̄             |        |

303 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/08(木) 14:36:50
ぽーん

304 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/08(木) 14:57:10
犬って食べれるらしいね。
食べたことある??

305 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/08(木) 16:32:46
チーズ味したよ

306 名前:隣人某カナリエ氏 ◆groMilKs4. :2007/03/08(木) 20:16:19
愛犬→埴輪→土偶→偶像→架空→崇拝

307 名前:◆.G.dDa2zds :2007/03/08(木) 20:33:21
ふわふわふわわ〜
桜みにいかないとな。お散歩よくしたっけな。

308 名前:◆NKuG8ME/TU :2007/03/08(木) 23:00:33
さくらんしそう。もうだめだ。

309 名前:◆NKuG8ME/TU :2007/03/08(木) 23:03:18
だからそれが柊の作戦で実はすべて嘘。
キチガイぶってるだけ弱者ぶってるだけ。弱者ブッテル。

310 名前:◆NKuG8ME/TU :2007/03/08(木) 23:04:08
237 :柊:2007/01/13(土) 22:32:08
レンタル掲示板でも借りようかな。一人でぶつぶつ、とw

242 :柊:2007/01/18(木) 00:08:11
双葉ちゃん♪の趣味板か
3ちゃんねるの夢独り言に同じタイトルでスレたてします。



なぜそうしないのか?それでいいはず。
なぜ電波板で書いてるかの理由を考えると見えてくる。

311 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/09(金) 10:12:12


        /ヽ   /ヽ
      _ /  ヽ_/  ヽ_
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    \            /   \  .\| し        l l l
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312 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/09(金) 10:13:43


        /ヽ   /ヽ
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313 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/09(金) 11:13:41
                        ヽ
     ー  ー  │┼  七 ヽ. ニ|ニ ーフ  /Τヽ
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    | ̄| 三 ̄| 巾_|三 | ¨.    ┼  i |  ニ|ニ ┼┼   /
    | ̄| □| ̄ | |乂 し'  や  (工メ  ノ   Cト、  l__  人_ノ
     ̄     ̄
                   ,,,..、,, 、
                  ∠__人 )
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            )`チ ( `ヽー1___  〔
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             ) ウ l´   _>,、/  `-、ノっ
             `vヽ(  ゙-'´


314 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/09(金) 12:57:37


        /ヽ   /ヽ
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315 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2007/03/14(水) 07:46:17
ノス;゚Д゚ノ暫らく見に来ないうちに…

何やら大変な事になってるな
最近電波板にも程度の低い荒らしが増えて困ったもんだな

電波板で語る理由があるんだよ
この人はね

316 名前: ◆USO800B5B. :2007/03/15(木) 20:39:35
ずっとそばにいて欲しいなんて贅沢だったね僕は
永遠なんてあるわけないのに
勘違いさせてほしかったんだ僕ら

きみを火葬場に連れて行ったとき
眠ってるみたいな顔のままだったね

また逢えると信じてるから別れの言葉は言わない

愛して(る)
きみのいない部屋はとても寂しい

これからきみのいない生活になれていくとしても
きみとすごした年月はなくならないから
17年間ありがとう

愛して(る)
きみのいない人生はとても寂しい


317 名前:◆.G.dDa2zds :2007/03/15(木) 22:02:39
最近は花冷えで寒いですね。愛犬の誕生日も無事終わりました。

318 名前::2007/03/15(木) 23:03:21


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      _ /  ヽ_/  ヽ_
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   /             |       \  \_____/   最近は花冷えで寒いですね。
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319 名前::2007/03/15(木) 23:05:43


        /ヽ   /ヽ
      _ /  ヽ_/  ヽ_
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   /  /       \   \
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   |       .ヽ_人_/      |   \  |/  \    l l l l l
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   /             |       \  \_____/   柊(しゅう)はsageで日記見たく電波を書くので
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            ⊂ ̄ \__________      |
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              ̄ ̄             |        |

320 名前::2007/03/15(木) 23:06:48
                        ヽ
     ー  ー  │┼  七 ヽ. ニ|ニ ーフ  /Τヽ
    、_  、_  │.d、 (j `j  Cト、 /ヽ_ し' ノ
           
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    | ̄| 三 ̄| 巾_|三 | ¨.    ┼  i |  ニ|ニ ┼┼   /
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                  ∠__人 )
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          日X 帳    (  ゚_/)dVレi
          / \ ,、 _fL__,ゝー二-ゝ、ノ
            )`チ ( `ヽー1___  〔
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             ) ウ l´   _>,、/  `-、ノっ
             `vヽ(  ゙-'´



321 名前::2007/03/15(木) 23:13:32
「あんちゃん、麻酔は無しやで。打ってやってもええんやが、一本100万円だしな。
あんちゃんじゃあ払えんやろ?」
男の一人が言った。言い終わるや否や、柊の弛んだ腹に青鉛筆で目印の線を引くと、
手に持ったメスで一気に腹を引き裂いた。
「ギャーッ!」
今だかつて無い凄まじい激痛が柊を襲った。
大暴れする柊。しかし周りにいた他の作業員が柊の手足を押さえつけて抵抗
を抑えた。そうしている間にもメスを持った男はヘイドレクの腹をどんどん切り裂いてゆく。

全身から凄まじい量の脂汗が、ブワッと溢れ出した。柊の精神は崩壊し、目玉が飛び
出んばかりに見開いた目は、白眼の毛細血管が方々で破裂したのか真っ赤に染まっている。食
いしばった口は力みすぎて歯を砕き、さらに頬の内側の肉を食いちぎった。口角から溢れ出る
血が顎を伝い、台の上に滴り落ちる。
柊の全身はガクガクと痙攣を始めた。先ほど失禁したばかりなのに、再びまた失禁を
始める。それを作業員の一人が笑いながら始末する。
その間も腎臓摘出手術は進行していた。多分医師であろう彼らのリーダーは柊の腹を
大きく裂くと、溢れる血を大量のガーゼで拭った。さらに複雑に入り組む小腸を掻き分けて腎臓
を発見すると、状態の良い左側の腎臓を手で撫でた。止血カンシを手にした彼は、腎臓動脈と
腎臓静脈、そして尿管をそれぞれ扼止して出血を防止し、メスを巧みに用いて柊の腎臓
を丁寧に摘出した。

遂に柊は腎臓を一つ失った。しかし今の柊にはそれがわかっていなかった。
殆ど発狂した柊は緩みきった顔で笑いながら泣き、泣きながら笑った。
そして甲高い叫び声を上げ続けながら意識を失った。

322 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/16(金) 10:42:37
291 :柊:2007/03/03(土) 15:55:57

今日は愛犬の誕生日でした。
それで今日はカウンセリングでした。
昨日のお昼に電話がかかってきて、
今日の朝イチならカウンセリングあいてますって。

奇しくも愛犬の誕生日。
愛犬が導いてくれたんだと思う。

317 :柊:2007/03/15(木) 22:02:39
最近は花冷えで寒いですね。愛犬の誕生日も無事終わりました。



いみふめ

うそね

323 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/16(金) 13:55:20
誰かを待つ姿勢からフェミニンな雰囲気を出すという
柊のビジネスモデルは
既に某コテにパクられていて、で、某コテのほうがビジネス上手だから
柊のニッチ(棲みか)は消滅したんですよ。

たしかに柊もジエン上手ですけど。
>>275-278

324 名前: ◆USO800B5B. :2007/03/16(金) 19:15:51
玄関が寂しい
いつだってそこにいたから
振りむけば淡い幻影がよぎる

325 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/17(土) 02:15:01
別コテ持ってる

326 名前:柊物語:2007/03/19(月) 10:39:05
「経過は順調よ」真奈美医師は言った。

医師の前には輪郭がぼやけた感じの中年男、柊がもじもじしている。
ヘンなワッペンを貼り付けた貧乏臭いジャンパーが
でっぷりメタボライズした腹を覆い、下半身は
ファッションじゃなくマジすり切れたジーンズ。

柊の唯一の友人は一匹の赤犬だった。
奇しくも3月3日、桃の節句に生まれたという設定のオス犬だ。
でも死んじゃった。
柊は赤犬の死体を自分の肥満体に溶接してもらいたいと
タイ人移植の権威、真奈美医師に頼んだのだった!!

「経過は順調よ。これからはワンちゃんの首があなたのペニス。
使えなくなってた古いのはとっちゃったわ。
この術式は東京浪花大学の安倍サダヲ方式なのよ。うっふん。」

「あ、ありがとうございまっするッ
これでわしもsageで日記みたく電波が出せるでござりまっしょい。」

327 名前:クロミ:2007/03/19(月) 13:47:14
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
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♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
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328 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/19(月) 15:13:41
ゾナ

329 名前: ◆USO800B5B. :2007/03/19(月) 19:05:09
狂犬病の予防接種の葉書が来た。

330 名前::2007/03/19(月) 23:04:52
狂人用の予防狗禁の葉書が来た。

331 名前::2007/03/19(月) 23:41:04


        /ヽ   /ヽ
      _ /  ヽ_/  ヽ_
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   /  /       \   \
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332 名前::2007/03/19(月) 23:42:08


        /ヽ   /ヽ
      _ /  ヽ_/  ヽ_
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333 名前::2007/03/19(月) 23:42:51
                        ヽ
     ー  ー  │┼  七 ヽ. ニ|ニ ーフ  /Τヽ
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             ) ウ l´   _>,、/  `-、ノっ
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334 名前:◆.G.dDa2zds :2007/03/20(火) 00:13:21
あ、クロミが。でも先輩じゃないよ

335 名前: ◆USO800B5B. :2007/03/20(火) 22:02:58
まだそばにいて欲しいと願うのはいけないことかな
いかないでほしいと思うのは傲慢かな

336 名前:◆.G.dDa2zds :2007/03/21(水) 20:26:14
ちょっとだけ先に行ってしまったときも
しっぽをふりながら振り返って待っててくれてありがとう。

337 名前: ◆USO800B5B. :2007/03/22(木) 23:41:47
うなぎのしっぽ
卵焼き
ヨーグルト
パンの耳

きみが好きだったものを忘れない

338 名前::2007/03/23(金) 14:07:45



スレを守ろうと依怙地になるうちに
愛犬に捧げる素直な気持ちが涸れてしまいそうです。
見せるためのレスになっちゃう。

もともと板違いだし、
無理して書き続けるよりよそにスレを立てるか
レンタル掲示板でも借りようと思います。
ひとりでぶつぶつ。
わたしの独り言は天国にいる愛犬だけが聴いてくれればいいんだから。

さようなら。ありがとう。

339 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/25(日) 02:16:17
わんわん、わん、

くぅ〜んくぅ〜ん

ガブゥッ!!

340 名前:◆.G.dDa2zds :2007/03/25(日) 12:10:20
愛犬はいつも傍にいる。



341 名前: ◆USO800B5B. :2007/03/25(日) 18:21:07
もうすぐ桜が咲く
いつもきみと歩いた桜並木を
今年はきみの思い出と歩くよ

342 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/26(月) 10:20:15
へー

343 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/26(月) 11:19:22
( ^Д^)<ペロペロw

344 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/26(月) 11:22:09
( ^Д^)<ペロペロw

345 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/26(月) 11:22:46
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw

346 名前::2007/03/26(月) 17:54:35
柊おぢさんは孤独なアパート暮らしで
犬なんて飼えなかったよ

347 名前::2007/03/26(月) 17:59:31
柊おぢさんはハロワの帰り寒い路上で死ぬときネロみたいに
犬にみとられたかったんだよもう疲れたから

348 名前::2007/03/26(月) 18:02:31
柊おぢさんはニククダサイ言ったけど金ないしxaiから追い払われて
犬・・じーーーっと見てたら噛まれたよ

349 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/26(月) 18:44:06
それ、犬食えばよかったんじゃね?

350 名前::2007/03/26(月) 19:00:45
柊おぢさんは貧乏だし貧弱だから
犬と喧嘩しても噛まれてカマ掘られて負けたよ喰えねえでも助言サソクス

351 名前::2007/03/26(月) 19:04:14
柊おぢさんはカマ掘られてあたたかくて
犬を愛してしまったのよ忘れられないあのセクロス

352 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/26(月) 19:20:57
( ^Д^)<ペロペロw

353 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/26(月) 19:22:15
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw

354 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/26(月) 19:24:08
( ^Д^)<ペロペロw

355 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/27(火) 00:22:45
へー

356 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/30(金) 14:16:23


             ゚   凵 [!.п
            [] 「|  [] , |:!
              ∴∵∴{!iП゚
               Π∵(・)∴∵l | 。
           _ | L!、∴○ (・)П
            ||」 ∴三 | 三∴ |l]
            |  [] ∴∵∴∵ L「!
           Τ 。[!∴∵п∴||
            , l.∴∵ .l」 _├′
              i┐| :| l∴∵∴:|l」 ゚
           .L! | Γ∴∵∴ロ
                ゚ 凵 !。:Τ°||
              [] | 冂  上′。
              ° | | | |
                 L!┌| 詫
              ロ    |└┘\
                l] | | °∵\
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  \∵∴∵∴∵∴/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\∵∴∵∴∵∴/
    \∵∴∵∴/__.l]._____    \∵∴∵∴/
      \∵∴/   .______/  /  .\∵∴/
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    /∵∴∵∴\       .\          ./∵∴∵∴\
  /∵∴∵∴∵∴\                /∵∴∵∴∵∴\
/∵∴∵∴∵∴∵∴\______/∵∴∵∴∵∴∵∴\
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\∵∴∵∴/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                \∵∴/
                  \/tanasinn

357 名前:柊軍曹:2007/03/30(金) 14:19:04
転送された。この地点が次の主戦場になる。もちろん敵の犬は皆殺しだ。殲滅だ。

358 名前:柊軍曹:2007/03/30(金) 14:20:39
味方の犬は非常食として確保。ぎりぎりまで酷使する。
きゃんきゃん吠える犬ほど肉質は良く煮ると柔らかい。

359 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/30(金) 14:21:56
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
                        / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
                       _.|000OOOOOO000OOOOOO000|_
                      |___________________|
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                      |||┃              °    |   
                      |||┃      /⌒ヽ_,._,.ξ        |
                      |||┃     ノ <・>:∴∵:ヽ、    |
                      |||┃ ゜  ノ∴`ー´∴∵:〜:ヽ、   |
            tanasinn      |||┃。  .(∴、:・∵・  ヽ∴l´<・>)  |
                      |||┃    )・∵/`一´ ●\:`ノ   .|
       ∧. ╋            |||┃    |∵ノ ヽ   | 三|・:|    .|
       / †|、┃            |||┃     ヽヽ  `ー、/´ |.ノ    |
      |`ー┐∂.           |||┃      \____/      .|
       |:   | |┃           |||┃            °      |   
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      ノ::::...ノ |┃           |||┃              °    |   
       :::::::::::::::::::          |||┃ ゚       。          |    
        ::::::::::::::::::::         { ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄}


360 名前:柊軍曹:2007/03/30(金) 14:28:35
転送の失敗はノイズ混入による遺伝子の撹乱因子として有用である。
単為生殖の不利益を転送の失敗で補うことが出来る。
なぁに、1000人に999人までサバイバル不能な致死転送だとしても
最後の1人がきゃんきゃん吠える犬になれば王は喜ばれる。

361 名前:柊軍曹:2007/03/30(金) 14:32:11
きゃんきゃん吠える犬ほど肉質は良く煮ると柔らかいのだ。

362 名前:柊軍曹:2007/03/30(金) 14:35:39
刻むぞ!

363 名前:柊軍曹:2007/03/30(金) 15:05:12
右から来た犬を左に受け流せ。これは提案ではない。命令だ。

364 名前:柊軍曹:2007/03/30(金) 15:10:23
四肢を切り落とされた軍用芋虫犬が都市の地下、
迷宮のような水道チューブのなかを這い回りきゃんきゃん吠える。
水道の蛇口からべろを垂らしてはぁはぁ息をする。
築年が古い団地では蛇口をひねると毛が どさー と流れてきたりする。

365 名前:柊軍曹:2007/03/30(金) 15:15:49
「軍曹殿!水道チューブ内の軍用芋虫犬はどうやって排泄するでありますか?」

馬鹿者!水道チューブ内はおのずから水洗便所になっておる!
都市住民は犬の糞尿水が飲めて幸せだ。
不幸な金持ちだけがコンビニで水を買う。

366 名前::2007/03/30(金) 15:20:41
柊おぢさんはニククダサイ言ったけど金ないしxaiから追い払われて
公園の水道の蛇口を叩き壊して軍用芋虫犬を掘り出し喰ったけど、
きゃんきゃん吠えない弱り切った軍用芋虫犬の肉質は悪く
ぐずぐずのぼろきれみたいだった。

367 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/30(金) 15:21:26
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw

368 名前:柊印の犬脚の削り節:2007/03/30(金) 15:35:58
軍用芋虫犬製作工場裏手の資材置き場には4つの山がある。
それは積み上げた犬の左前脚、右前脚、左後脚、右後脚の山だ。
山は発酵し、あぶくをたてながら汁を垂らしている。
たまに下の方を削り取って売る。
「柊印の犬脚の削り節」
一番高いのは右前脚だが、ツウは右後脚を好む。左は受け流せ。

369 名前:柊マンセブン:2007/03/30(金) 15:38:42
猫脚のバスはもう
ここにはないよ。(あるのは犬脚の血のバス)

370 名前::2007/03/30(金) 15:39:49
あ、NANAだ。なんてな。

371 名前:柊ハロワ:2007/03/30(金) 15:43:23
軍用芋虫犬を水道チューブに突っ込む仕事はハケンだが、
ハケンの地位は駄犬より低い。
駄犬は四肢を切断されるがハケンは首を切られる。
首なしハケンは夜の街をさ迷い、朝には死ぬ。

372 名前::2007/03/30(金) 15:44:46
愛犬はいつも傍にいる。なんてな。

373 名前: ◆USO800B5B. :2007/03/30(金) 19:31:17
これからも桜を見るたびに思い出んだろうな
あの幸福な季節

374 名前::2007/03/30(金) 19:38:28

                                     /\
                  , -一ー---、       __/\/   \/|__
               | ::::       |        \           /
                | ::::     |           >  | な な  /_
                    ,ヒ二二ニ._‐-|       /   | ん :   /
           _,._-‐_'゙__;;;;____,,..二ニ=‐-、_,  \   | だ :   \
           \ /;"|{叭{ィテvヽ=‐'`ヽ-<´   /   | っ      /
             `) i |〈f,.`^ヽ {.__,,.. ミ `ー、 \.  | て       \
    ( ̄, ̄,\    (,'_;_i|,r=-、 ' ヽ.__,,,.   ミ _,,`ヽ/   !? ェ      /
    ┌l ̄ \_ \ /´  |`ニ´/'/i ノ } |`ー'´ ̄`/               \
    「| | |`ゝ   `¨⌒)  `l7T´ / /__|      ´ ̄\/\   /\/ ̄
   ヽ.Lノヽ -イ丁¨´   | /‐く   / `>              \/



375 名前:柊軍曹:2007/03/30(金) 19:47:19
軍用芋虫犬製作工場の一番奥に貞子の井戸のような井戸があり
その上に斜めに樋が差していて
四肢を切断された軍用芋虫犬が だー っと注ぎ込まれる。

井戸の底にはハケンがいて、注ぎ込まれてきた犬を井戸の底の穴から水道チューブに
刺し込んでゆくのだ。(穴は井戸の底に24本開いていて、8人のハケンが3本ずつ担当している)

刺し込んだ軍用芋虫犬が動いてゆかないと
ハケンは軍用芋虫犬の尻の穴に指を突っ込んでけし立てる。軍用芋虫犬は
むぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞ と穴のなかに這いこんでゆく。

376 名前:柊軍曹:2007/03/30(金) 19:59:04
ノルマがこなせないハケンは中間管理兵が操作するクレーンによって
背中をフックで引っ掛けて宙に釣られる。中間管理兵がボタンを押すと
フック上部についた刃がぎろんと回転してハケンの首を落とす。
井戸の脇に落ちたハケンの首の処理は専門の中間管理兵が行う。
いっぽう、フックに引っ掛けられた首なしハケンは
そのまま ぶんば と振られて軍用芋虫犬製作工場の外に放り出される。
首なしハケンは夜の街をさ迷い、朝には死ぬ。
さ迷う首なしハケンをさらに腰のところで半分に両断し、
下半身だけを家に持ち帰る鬼畜民間人もいる。

377 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/30(金) 20:00:15
( ^Д^)<ペロペロw

378 名前:柊ハロワ:2007/03/30(金) 20:03:41
ハケンが下級管理兵に成り上がるコースは名目上存在し、
ハケンの意欲向上効果を見込んで極少数の成功例が作られているが、
現実にはハケンはハケンのまま首を切られ首なしハケンとなり
夜の街をさ迷って朝には死ぬ。


379 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/30(金) 20:04:21
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw

380 名前::2007/03/30(金) 20:08:15
築年の古い団地に住む民間人はご飯に柊印の犬脚の削り節をかけて食べる。
水は軍用芋虫犬の糞尿水を蛇口から飲む。
このような民間人は犬の臭いがする。

381 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/31(土) 01:46:27
へー

382 名前::2007/03/31(土) 08:38:53
柊おぢさんがひとりで暮らす貧乏なアパートで水道の蛇口をひねると
疲れ切った軍用芋虫犬の首が ぬー っと垂れてきた。
つぶれたような犬の瞳と、眼を合わさないように視線をそらしながら、見る。

ぼた

軍用芋虫犬が台所のシンクに落ちた。シンクの上で芋虫みたいな体をむぞむぞさせている。
むぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞ

「むぞ・・」「むぞ・・」「刻むぞ・・」
柊おぢさんは力のない声で呟く。
そして軍用芋虫犬の体をまな板にのせて包丁で刻み始めた。
理由は分からないが柊おぢさんの涙腺からある種の液体が分泌され始めた。

383 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/31(土) 08:39:26
( ^Д^)<ペロペロw

384 名前:柊軍曹:2007/03/31(土) 08:46:59
柊軍曹は犬臭い民間人が嫌いだった。宿営地に近い住宅街のコンビニで
ジャンプを買った帰り、夕暮れだった、団地の小さな公園でしゃがんでいる
小型犬みたいな女の子がいた。

着ている服は、たしかに可愛らしいキャラプリントで、女の子ものだった。
柊軍曹がそばを通るときその生き物が顔をあげた。

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ゴブリンみたいなごつごつした顔だった。
ぷーん と犬の臭いがした。

385 名前:柊ハロワ:2007/03/31(土) 08:51:18
首なしハケンが夜の街をさ迷う。
首なしハケンが夜の街をさ迷う。
首なしハケンが夜の街をさ迷う。
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386 名前:柊軍曹:2007/03/31(土) 09:02:49
中間管理兵がボタンを押すと
刃がぎろんと回転し、ハケンの首がとんだ。
ハケンの首が ぼと と井戸のかたわらの地面に落ちる。
首係の中間管理兵が勢いよくハケンの首を蹴る。

軍用芋虫犬製作工場は国策会社であるが、名目上、軍とは独立な組織であり、
その経営者は将軍の娘婿であるメタボライズされた男だった。

シュートされたハケンの首は厨房に調理され将軍の娘婿の食卓に提供される。
将軍の娘婿はハケンの脳髄ばかり食べてすっかりメタボライズされたのだ。

将軍の娘婿の食欲を満たすため一定の割合でハケンの首を切る必要があった。
だから、一定の割合でノルマをこなせないハケンが発生するように
生産計画は厳密に計算されていたのである。

387 名前:柊ニュース:2007/03/31(土) 09:10:48
では、次のニュースです。
31日未明、軍用芋虫犬製作工場裏手の資材置き場から
右前脚の発酵山がまるごと盗まれました。

この資材置き場には軍用芋虫犬製作の副産物である
犬の左前脚、右前脚、左後脚、右後脚が発酵山として積まれていましたが
犯行グループはこのうち、いちばん価格の高い右前脚の発酵山を
まるごと持ち去ったものです。

現在、駐屯軍と地元警察が犯行グループの行方を追跡しています。

388 名前:柊軍曹:2007/03/31(土) 09:11:50
刻むぞ!

389 名前:柊コメンテーター:2007/03/31(土) 09:58:58
お昼のニュースです。

「柊印の犬脚の削り節」の右前脚の価格が暴落しました。
良質の右前脚が大量に市場に持ち込まれたためで、
「盗難品の疑いがある」という当局に対し、市場側は
「善意の第3者を経由している以上、市場としては受け入れるほかない」と述べています。

コメンテーターの柊さん、いかがですか。

「市場は困っていると思います。現実に右前脚の値崩れが起こっているわけで
出来れば受け入れたくなかった。しかし、当局の介入を招くのも、
ニュートラルな商品を受け入れないという実績を作ってしまうのも、
自由市場の理念に反するわけで、
市場は「喰いたくも無い軍用芋虫犬を蛇口から飲む」という状況でしょう」

390 名前:柊刑事:2007/03/31(土) 10:07:41
地元警察の柊刑事は困惑していた。

証拠を総合すると・・

軍用芋虫犬製作工場裏手の資材置き場から
右前脚の発酵山を盗み出した犯行グループは・・

駐屯軍、ということになってしまうのだ。

軍用芋虫犬製作会社社長である将軍の娘婿の協力なしには
とても不可能な犯行なのだった。もちろん、
極めてありそうも無い偶然が7個重なれば物理的に可能な犯行ではある。
だが、蓋然的にありそうな犯行の流れを考えると・・

犯行グループは駐屯軍、ということになってしまうのだった。

「いいか、このことは誰にも漏らすな。絶対にだ」
柊刑事は部下に言った。

391 名前::2007/03/31(土) 10:16:22
ハケンは井戸の底でぐったりうろうろ作業をしていた。
頭の上から流し込まれる出来立ての軍用芋虫犬を井戸の底の穴に刺し込んでゆく。
切断された四肢の断面からまだ温かい血がほやほやしている。
今日はなんだか井戸の外が騒がしい。
明け方、トラックの音で眼が醒めてしまったので、ただでさえ寝不足なのだ。
不意に背中に衝撃を感じた。
フックだ!!
ハケンは宙に釣り上げられ、一気に井戸を見下ろす高さにいた。
次の瞬間、刃がハケンの首を狩った。
証人に成り得たハケンの脳髄は
こうしてその晩の将軍の娘婿の食卓に供されたのである。

ぶんば と工場の外に放り出された首なしハケンは
住宅街に向けてうろうろとさ迷い始めた。

392 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/31(土) 10:17:13
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw

393 名前:柊軍曹:2007/03/31(土) 10:43:12
なぜだっ

柊軍曹は駐屯軍の倉庫で大量の犬の脚を引きずったみたいな
血と発酵臭のあとを見つけて驚愕していた。

一瞬の後、柊軍曹は遭遇した事実を忘れた。
柊に正義とか真実の観念は無い。
あるのはひたすら犬臭い服従の眼だけだ。

柊軍曹は狭くて臭い宿舎の個室に戻ると
燻製犬脚を齧りながら自分のなかを見つめた。
柊軍曹の脳内であのゴブリン顔の女の子がにたりと笑った。

ぷーん と犬の臭いがした。

394 名前:柊ニュース:2007/03/31(土) 10:52:31
谷川クリステルです。

価格安定に失敗した責任をとって
市場委員会会頭が自慰を表明しました。

これを受けて
軍経済戦作戦部の榎少佐が市場浄化委員会を組織し
価格安定のため、厳密な生産販売計画を指揮するとのことです。

395 名前:柊ハロワ:2007/03/31(土) 10:53:23
首なしハケンが夜の街をさ迷う。
首なしハケンが夜の街をさ迷う。
首なしハケンが夜の街をさ迷う。
首なしハケンが夜の街をさ迷う。
首なしハケンが夜の街をさ迷う。
首なしハケンが夜の街をさ迷う。
首なしハケンが夜の街をさ迷う。
首なしハケンが夜の街をさ迷う。
首なしハケンが夜の街をさ迷う。
首なしハケンが夜の街をさ迷う。
首なしハケンが夜の街をさ迷う。
首なしハケンが夜の街をさ迷う。
首なしハケンが夜の街をさ迷う。

396 名前:柊ハロワ:2007/03/31(土) 10:54:10
首なしハケンは朝には死ぬ。

397 名前:柊会頭:2007/03/31(土) 12:13:54
市場委員会の柊会頭の前にカメラの砲列が並んでいた。
「自慰を表明します」
カメラのシャッターがいっせいに切られた。
バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ

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        ●    ● ●      ●__ ____,,,... --‐'''^~   ヽ   ゛゛:ヽ
         ●  ●    ●  ●:::::::::....:""""  ・    ・  . \::.   丿
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           ●       ●:::::::::::::::::::::::::::::;;;;;,, ---‐'' "^~
            ●●●●●-‐‐ ''^~


398 名前:柊ニュース:2007/03/31(土) 12:26:33
めざましニュースです。

昨日、価格安定失敗の責任を問われ自慰を表明した柊会頭の、
エーデルワイスに3個のほくろがあるのを見た80歳の老婆が
「もしやお前は50年前生き別れた息子じゃないかえ」と名乗り出て
波紋を呼んでいます。

市場浄化委員会の榎少佐は
「ものごとには悪い面と良い面がある」とコメントしたということです。

399 名前:柊の国の榎少佐:2007/03/31(土) 14:37:15
榎少佐のふたりの優秀な部下、鰆と鰍は猫系の天才美少女だった。
鰆は戦略社会経済学者であり、榎少佐の市場浄化委員会のもとで、この柊の国の全産業を無駄なく組織する。
鰍は新生物創成工学者であり、軍用芋虫犬に寄生させる特殊な腹中虫のDNA構築を研究していた。

こんな柊の国に生まれついてしまったのは榎少佐の生にとって不幸な条件であった、が、
所与の条件が不幸であったとしても、この国の愚劣な柊たちを上手にコントロールするゲームは
榎少佐にとって「楽しいこと」だった。

ノックの音がして扉が開き、
部屋係の柊三等兵が榎少佐に珈琲を運んできた。

400 名前::2007/03/31(土) 14:57:54
柊おぢさんは水道の蛇口から垂れ落ちてきた軍用芋虫犬を刻んで喰うと
残骸を公園に運んで桜の樹の下に埋めた。

芝生に寝転がって見上げると満月を背景に桜の花びらがきれいに舞い降りてきた。
足音がした。

おやぢ狩りだったらやばい、そう思って柊おぢさんが起き直ると
首なしハケンが ぎっちょんぎっちょん とさ迷っているのだった。

柊おぢさんはハケンにだけはなりたくないと思った。
柊おぢさんは金なくてxaiけど腐っても正社員だった。
唯一の救いだった。

401 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/31(土) 14:58:36
( ^Д^)<ペロペロw

402 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/31(土) 14:59:10
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw

403 名前::2007/03/31(土) 15:02:19
でも、柊おぢさん、解雇された。今日から無職だ。どうする柊おぢさん。

404 名前: ◆USO800B5B. :2007/03/31(土) 21:29:19
桜並木を歩いてきた
これからしばらくは君の思い出と一緒に毎日歩くだろう


405 名前::2007/03/31(土) 21:35:52

                                     /\
                  , -一ー---、       __/\/   \/|__
               | ::::       |        \           /
                | ::::     |           >  | な な  /_
                    ,ヒ二二ニ._‐-|       /   | ん :   /
           _,._-‐_'゙__;;;;____,,..二ニ=‐-、_,  \   | だ :   \
           \ /;"|{叭{ィテvヽ=‐'`ヽ-<´   /   | っ      /
             `) i |〈f,.`^ヽ {.__,,.. ミ `ー、 \.  | て       \
    ( ̄, ̄,\    (,'_;_i|,r=-、 ' ヽ.__,,,.   ミ _,,`ヽ/   !? ェ      /
    ┌l ̄ \_ \ /´  |`ニ´/'/i ノ } |`ー'´ ̄`/               \
    「| | |`ゝ   `¨⌒)  `l7T´ / /__|      ´ ̄\/\   /\/ ̄
   ヽ.Lノヽ -イ丁¨´   | /‐く   / `>              \/



406 名前:◆.G.dDa2zds :2007/03/31(土) 21:39:09
桜きれいでした。

407 名前::2007/03/31(土) 21:47:03
          _,,,,,,,,,,,,,,,__
        ┌''ニ三三三三三ミミミ=、,
     ,.-┤三三三三三三ミミミミ,\
    ,/,彡l三三三三三三ミミミミミミミミ\
   /〃,彡レべキ三三三三ミミミミミミミミミヾ、
  ,//〃彡{"     ~゙''=ニ三ミミミミミミミミミミミ;;}
  レ〃三l; ,,        ~゙"''ーーー=弌ミミ三;}
  l/彡三;j , . - ' '   ,   :._,,..-―‐‐、ヾ;三j
  ,!;三;三j ,.-'''~ ̄`ヽ i  ::.,,..-―‐'' 、_!'i"
  'ヾ;三;;j ,.:-'ニ二ニ'⊥  ≡~ ̄    !i
    ヾツ ;      .:;l     i;_       !l
      l! ;!::     ':;l,_;;..  r-' ヽ、,   l !   桜きれいでした。
      .} ;{:::.   ,     ̄   ヽ,     |"  
      {,,.j::::;:: ::'' _,. -― ''''ユ∧   !
        ゙:, ヽ. :.弋;;;:::ニニニ‐"    /
         ,入.ヽ, 、  = = =      ,/
      _,,.:ぐi. ゙ヾ:; ゝ..         ノト、
,,,.. --::ァ'':::::::::::l#ii_ ゙ヽ:;,_    ,.-'' j#;lヽ
:::::::::::/::::::::::::::::::!####llliii~~゙""~,,,,.::iii##l::::\
::::::;/:::::::::::::::::::::::::l#################!::::::::::::ヽ、

408 名前::2007/03/31(土) 21:51:09
無職になった柊おぢさんは駅前の桜並木をとぼとぼ歩いていた・・

桜の花びらが舞う下を軍用車両たちがパレードしていた。
グレイの護衛車両群の中央に位置する、華やかな赤いオープンカーの
後部座席に座っているのは鰆主任経済官だった。
猫系の美少女だが、彼女の新産業構造計画のせいで、
柊おぢさんは解雇されたのだった。

コンビニで雑誌コーナーを見るとヤングジャンプのグラビアが
「ちゃんとついてこれる?――鰆と鰍」だった。
このふたりはグラビアもこなし、
国民男子を精神的にも支配する高級官僚なのだ。

409 名前::2007/03/31(土) 21:58:39
「桜きれいでした」
柊おぢさんは遺書の一行目にそう書いた。
無職になってしまった。ハケンはイヤだ。もう死ぬしかないのだ。
なぜだか笑えて来た。
ははは はははははは ははははははははははは

そのとき ぼた という音がした。
今日も蛇口から軍用芋虫犬が垂れ落ちてきたのだ。
(おれは意外とついてるのかも知れない・・)
柊おぢさんは思った。今日は泣きながらではなく、猛然と軍用芋虫犬の胴をつかむと
ホットドッグみたいにかぶりついた。

410 名前:蛇の人 ◆HOUNDw.ViI :2007/03/31(土) 22:39:13
ノス;゚‐゚ノ……

お前等何してる…

411 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/31(土) 22:59:00
へー

412 名前:隣人某カナリエ氏 ◆groMilKs4. :2007/03/31(土) 23:05:47
吉沢さんの愛犬を殺したのは軽井沢の子猿だ
猿は吉沢さんのスイートホームに猿々しく忍び込んだのだ
吉沢さんの愛犬が気の弱い小型犬なのをいい事に
後ろから飛び付き吉沢さんの愛犬の背中を引っ掻きまくったのだ
吉沢さんの愛犬は抵抗も出来ず怯えて小さく丸くなり
ひたすら子猿の攻撃の痛みに耐え続けた
ひたすら痛みに耐えて耐え続けたのだ
吉沢さんの愛犬の背中は一面血が滲み、優しい毛並みは血が付着しパリパリになった
子猿はそれが愉しくて仕方が無くずっと吉沢さんの愛犬を攻撃した
ずっと、ずっと攻撃し続けたのだ
すると子猿は突如腹痛を訴え下痢をした
その排泄物の中に小さな宇宙人の様な物があり
小さな宇宙人はとことこと歩き吉沢さんの家の窓から去って行った
それから子猿はその場にうずくまったままぴくりとも動かなかった

413 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/31(土) 23:11:55
吉沢さんの愛犬は抵抗も出来ず怯えて小さく丸くなり
ひたすら子猿の攻撃の痛みに耐え続けた
ひたすら痛みに耐えて耐え続けたのだ

うそだろ柊おぢさんはもっとふてぶてしい

414 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/31(土) 23:15:29
>>242
確かに不思議だ

415 名前::2007/03/31(土) 23:27:25
それからの柊おぢさんはラテンアメリカ文学的についていた。
7日間連続で水道の蛇口から軍用芋虫犬が垂れ落ちてきたのである。
無職の柊おぢさんも蛇口から垂れてきた軍用芋虫犬を毎日ホットドッグみたいに
貪っていれば、喰うに事欠かなかった。
「うまいっ」「なんてうまいんだ」「軍用芋虫犬サイコー」

だが、個人的な好運が巨視的な事件の一断面であることがある。
実はこの頃、水道チューブ内の酸素環境がかつてなく悪化し、
都市の至る所で軍用芋虫犬が蛇口から外に出ようとしていたのだ。

鰍主任科学官は水道チューブ内の酸素状況の悪化が
人為的な操作である可能性をつきとめた。

416 名前::2007/03/31(土) 23:34:25
無職の柊おぢさんの好運も8日目で尽きた。
もう水道の蛇口から
あのホットドッグみたいな肉の塊が垂れ落ちてくることは
なかった。

一日中、狭い臭い部屋で蛇口を試し続けた柊おぢさんは
夜になって絶望した。
たぶん、もう二度と蛇口から軍用芋虫犬が垂れ落ちてくることはないのだ。

部屋の畳の上には軍用芋虫犬6匹分の頭や毛皮や骨が転がっていた。
最初の1匹だけは公園の桜の樹の下に埋めてあげたのだ。
最初の1匹の時だけは、喰らう時、涙を流したのだった。
この7日間は、柊おぢさんが人外の魔境に堕ちるための時間だった・・

417 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/03/31(土) 23:41:38
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw

418 名前::2007/03/31(土) 23:52:17
喰いたい・・
犬が、喰いたい・・・・
軍用芋虫犬が、
ホットドッグが、喰いたい・・

419 名前:柊の国:2007/04/02(月) 22:44:37
そもそも柊の国における軍用芋虫犬とは何か。

いにしえの柊の国で、
最初の芋虫犬は自然発生だったという・・

刺客が王の命を狙ったとき、
水道チューブにもぐり込んで棲みついていた四肢のない犬が
きゃんきゃん吠えたおかげで王がたすかった。

こうして人工的に四肢を切断した犬を作り、
水道チューブ内にすまわせる仕組みが始まった。

システムが一度始まると独自の慣性を獲得する。
やがて本来の生産物である軍用芋虫犬自体よりも、
副産物である犬脚が特産品として売れるようになり、
軍用芋虫犬製作が産業として成り立つようになった。

水道チューブ内の軍用芋虫犬が蛇口から垂れ落ちてきて一般の柊たちの蛋白源になったりして、
軍用芋虫犬製作産業を維持することは、
ケインズ的な福祉政策としての意味も持った。

ほんらい芋虫犬自体にはあまり意味がないのだが、
軍用芋虫犬製作産業は柊の国の体制において重要な位置を占めているのだ。

420 名前:柊の国の鰍:2007/04/02(月) 22:55:18
鰍主任科学官が追究しているアイディアは、
この国家的な無駄ともいえる軍用芋虫犬の
画期的な利用法を提案するものだった。

鰍は軍用芋虫犬に寄生させる腹中虫をDNA構築していた。
この腹中虫は
水道チューブ内の水に含まれる微量物質によって情報のやりとりをする演算素子であり、
水道チューブ網を通して国全域を覆うネットワークを形成するのだ。

神経系的な電子情報ネットワークではなく、
ホルモン系的な化学物質情報ネットワークである。

こうして軍用芋虫犬と腹中虫を通して、
国のすべての柊たちを情報端末として酷使することが可能になるのだ。

鰍がシステム設計で苦慮していたのは
「オブジェクト指向で、かつ、中央集権的なシステム」の構築だった。
鰍は粘菌の生態を参考にした。

421 名前:柊革命組:2007/04/02(月) 23:16:48
柊革命組は
国家的な無駄といえる軍用芋虫犬体制の
転覆を画策していた。

水道チューブ内の酸素分圧を削り、
軍用芋虫犬の追い出しを図ったのも
この柊革命組だった。

だが、当局としては、
@ 柊革命組に対する、現時点での直接的な弾圧は、かえって反撥を招く。
A 柊革命組が酸素分圧を下げても、その分、当局が酸素を補えば、現象は起こらない。
B 鰍主任科学官が腹中虫を完成させた後は、
   腹中虫を寄生させた新−軍用芋虫犬を水道チューブ内に放流していかなければならないので、
   旧−軍用芋虫犬の削減は、むしろ、好ましいくらいだ。
などの理由から、
柊革命組を放置することに決定した。

422 名前::2007/04/02(月) 23:23:37
哀れな柊おぢさんをもてあそんだ個人的な運命は、
このような巨視的な渦巻きの一断面だった。

こうして、巨視的な必然、個人的な偶然に導かれて、
ひとりの人外が誕生したのである。

柊おぢさん――犬喰らいの鬼。

喰いたい・・
犬が、喰いたい・・・・
喰いたいよぉ・・

犬が喰いたい。
犬が喰いたい。
犬が喰いたい。
犬が喰いたい。

軍用芋虫犬が喰いたい。
犬が喰いたい。

ホットドッグが、
喰いたい・・

423 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/04/02(月) 23:24:11
( ^Д^)<ペロペロw

424 名前::2007/04/02(月) 23:57:38
蛇口から垂れ落ちてくる軍用芋虫犬を喰い続ける7日間の後、
もう、垂れてこない軍用芋虫犬に絶望した柊おぢさんは、
髭だらけの顔に眼だけを光らせて
うろうろと立ち上がった・・

ハケンはいやだ、ハケンはいやだ。

柊おぢさんはハロワに仕事探しに行くことにしたのだった。

「残念ですが、無理ですね〜」
ハロワの職員が言った。
「な、なんでですかっ」

「あなた、前職を解雇されてから一週間、何してたんです?
新産業構造法で、
解雇後一週間以内に職探しを始めない退職者は
サボり癖がある劣等者とみなすことになりました。
もうあなたは正社員就職は出来ないんですよ、
二度とね」

あああああぁああぁあああああああああああ!!!!!!
あの、犬を喰い続ける日々。
社会は柊おぢさんに劣等者の烙印を押していたのである。

425 名前::2007/04/03(火) 00:02:47
喰いたい・・
犬が、喰いたい・・・・
喰いたいよぉ・・

犬が喰いたい。
犬が喰いたい。
犬が喰いたい。
犬が喰いたい。

あの、筒状の体を両手でつかんで、
柔毛にかぶりつきたい・・

頭に喰いついて表皮を噛みちぎりたい!
内臓が喰いたい。
腸のなかのウンコすら珍味だ。

犬が喰いたい。
犬が喰いたい。
犬が喰いたい。

ホットドッグが、
喰いたい・・

426 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/04/03(火) 00:03:56
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw
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( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw
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427 名前: ◆USO800B5B. :2007/04/03(火) 23:10:21
ウィッシュボーンキボンヌ

428 名前::2007/04/03(火) 23:52:22
柊おぢさんは
たむけんみたいに赤褌一丁で立っていた、
軍用芋虫犬製作工場のグラウンドに、
他のハケンたちと整列して。

棒でこずかれて、井戸に誘導される。
梯子で井戸の底に降りる。
井戸の底は犬の血の臭いでむせ返るようだ。
柊おぢさんは嘔吐を抑えるので必死だった。

機械の音がして、頭上の樋から軍用芋虫犬がきゃんきゃん降り注いできた。
柊おぢさんは(喰いたい・・)という衝動に貫かれた。

軍用芋虫犬の筒状の胴体を両手で握る。
(喰いてぇえええええええええぇえええええ!!!!!!!!)
だが、喰ったらフックで釣られて首を落とされる。

柊おぢさんは泣きながら軍用芋虫犬の胴体をつかみ、
井戸の底の穴に刺し込んだ。
ちゃんと、仕事をした。

不意に背中に打撃を受けた。フックだ!
柊おぢさんはみるみる宙に釣られて井戸を上から見下ろした。
刃がギロンと回転して、柊おぢさんの首を落とした。
夢だった。びっしょり汗をかいていて、
ただでさえ臭い部屋に、どうしようもない悪臭が立ち込めている。

近い将来、
現実になりそうな状景だった。

429 名前:柊ゴブリン:2007/04/04(水) 00:09:42
めざましトレンドハイパー。

きょうはいま女子中学生のあいだで大流行の、
軍用芋虫犬のウィッシュボーンを、
柊ゴブリンちゃんがレポートしてくれます。

ゴブリンちゃんどぞー。

はぁ〜い、ロリータブスドルの
柊ゴブリンでっす♪

あのねー 蛇口から軍用芋虫犬が垂れてくることがあるよねー
したら、食べたあとの軍用芋虫犬の骨を桜の樹の下に埋めるの。

お花見でたくさんひとが来るでしょー?
軍用芋虫犬の骨の上で13人の酔っ払いがゲロしたら
軍用芋虫犬の骨はウィッシュボーンになって、
掘り出してお祈りするとお願いをかなえてくれるんだよ。

骨を口に含んで、
「夢見る子犬、夢見る子犬、芋虫ごーろごろ」て唱えるの。
そのあとお願いを言うの。

とっても良く効くんだよ。
ともだちのブブリンちゃんなんか、お母さんを殺しちゃった。
お願いしたら車に轢かれちゃったの。
びっくりして泣いちゃったけど、あとで
落ち着いてよく考えたらこれで良かった、て。

430 名前::2007/04/04(水) 00:11:21
柊おぢさんは公園に行って
あの軍用芋虫犬の骨を掘り出してみようと思った。

431 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/04/04(水) 00:13:14
( ^Д^)<ペロペロw

432 名前:◆.G.dDa2zds :2007/04/04(水) 22:49:56
夢見る子犬ウィッシュボーン

433 名前: ◆USO800B5B. :2007/04/04(水) 22:53:00
>432
あれはいいドラマだった
ジャックラッセルテリアっていう犬種はあれで知ったしな

434 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/04/05(木) 00:15:23
>432
検索か!

435 名前:柊の国の鰍:2007/04/05(木) 09:39:16
鰍は、杣台の地図を前にしている。

杣台軍用芋虫犬製作工場は先々週の7日間、
鰍の腹中虫を寄生させた軍用芋虫犬を水道チューブに放流し続けた。先週の7日間、
生態系の安定を待って、
今日はシステムの試運転なのだ。

「軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティング、試運転第1回、開始します」
鰍はふつうに声を出しているだけだが、
室内にいた下男の柊三等兵はお嬢様の可愛らしい声にうっとりした。

鰍は液晶画面のなかの実行ボタンをクリックする。鰍が組んだ試運転プログラムが起動し、
杣台地図上のいくつかのポイントでイボガノン酸ナトリウムを表わすオレンジが濃くなった。
鰍のきらきらした瞳が一心に液晶画面群をみつめている。

水道チューブ内の微量物質の電子的モニター、
数箇所に仕掛けられた水道チューブ内の暗視カメラ映像、
杣台全域の監視カメラ映像、
その他、交通監視、電力消費、民間TV、携帯電話のランダム盗聴、メールのランダム盗読、など、
リアルタイムでの杣台の全体像を構築する液晶画面群が鰍の前に展開していた。
鰍はそのすべての画面を同時に把握する能力をもっていた。

画面に見入りながら、膝の上で小さな両手が軽やかに舞い、画面を切り替えて情報を収集しながら
試運転のすべてを全身に浴びている。
鰍の脳内では都市の奏でる交響曲が鳴り響いていた。

436 名前:柊の国の鰍:2007/04/05(木) 10:07:16
不意にクリフロード商店街で
オレンジ色のフルートがメロディを響かせ始める。

「あれ? あれ何?」
「なんかへん。ちょっと待って」
「たいへん! なんだかわかんないけどおじさんが」
「はなび?」
「だめだよ、だめ!」
「レッカー移動された」

携帯電話のランダム盗聴にも事態の推移が反映してきた。
監視カメラ映像のなかではスーツのおじさん集団がある雑居ビルの階段に殺到しているのが見えた。
彼らはなんだかわからないがこのビルの二階を破壊しなければならない衝動に動かされている。

どぉーーーーーーーーーーーーーーーんん!!!!!

おじさんの一人がガス栓を開け、一人がライターで火を点けた。
実験の成功に鰍は くす と笑った。
この部屋は柊革命組のアジトだったのである。

437 名前:柊の国の鰍:2007/04/05(木) 10:25:41
責葉通りではいきなりマラソン大会が始まった。
アエレでは客がビルの上へ上へ昇る衝動にかられた。
杣台メディアテークではみんながキスした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



実験は成功した。
だが、鰍は
自分の内面の底のほうに、何か引っ掛かる
棘のような印象を感じた。

鰍は、この微細な棘のような印象を削除することなく、しかし不活性化して、
実験の全体を「成功」としてまとめた。

438 名前:柊三等兵:2007/04/05(木) 10:48:13
「うん、そろそろ帰るよー」
「楽しかったー」
鰍主任科学官が鰆主任経済官とケータイで話してるのを
下男の柊三等兵はそわそわしながら盗み見ていた。

サインをお願いしたら、降格されるだろうか。

439 名前:柊の国の鰍:2007/04/05(木) 10:53:36
鰍が
不意に
その声に気づいたのは
帰りの軍用機に搭乗しようとした瞬間だった。

「あ・・・・・・・」
「な・・・・・・・・・・・・」
「た・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「は・・・」
「だ・・・・・・・」
「レ・・・・・・・・」

これが鰍の内面の底に
棘のように引っ掛かっていた印象の正体だった。
ランダム盗聴した携帯電話の会話が、鰍に
サブリミナルメッセージを送っていたのだ!

――これは何??? 〈杣台〉の声?????

鰍は急遽、軍用機への搭乗を取り止めた。

下男の柊三等兵が満面の笑みで喜んでいたが、
脳内記憶を眺めなおすので忙しい鰍には
何も眼に入っていなかった。
もともと眼中にないし。

440 名前:柊軍曹:2007/04/05(木) 14:44:01
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/356n-393

柊軍曹が「見てしまった」ということは、上層部の知るところとなったらしい。
配置転換命令が来た。
いま柊軍曹は、杣台駐屯軍司令ビルの図書室係だ。
軍を辞める踏ん切りもつかないまま、飼い殺しの毎日を送っていた。

441 名前:柊軍曹:2007/04/05(木) 15:17:26
あの右前脚山盗難事件及び市場における右前脚価格暴落が
ある種のテロ、というかむしろクーデタであったことは、
柊国のちゃんとした大人たちのあいだでは常識となっていたが、柊国民の大部分は
「ちゃんとした大人」ではなかったので
何ひとつ気づかなかった。

あの事件以後、
産軍共同体のイニシアチブは榎少佐の市場浄化委員会に完全に掌握され、
鰆主任経済官の新産業構造プログラムの下、
国としての基本体質の改造が始まっていた。

一方の鰍主任科学官は、
国の基本的な情報インフラの構築に従事しているとされていたが、
その実態は秘密のベールに――というよりか、専門的知識のベールに包まれていた。

鰍は自分が設計しつつあるシステムについて、
なにひとつ隠さず偽らず論文に書いていたのだが、
「ちゃんとした大人」ではない柊国民は論文が読めなかったし、
鰍の論文を読んだ学者やジャーナリストの警告も本気にしなかったのである。

鰍の論文に明確に書かれていることは、
ヤングジャンプのグラビア・キャプションにもはっきり書かれていた。
「支配しちゃうからっ♥」

442 名前:柊軍曹:2007/04/06(金) 11:11:30
「見てしまった」ことが柊軍曹を成長させた。
「見てしまった」柊軍曹には、いま、この国で起こっている変化が見えた。
ときどきこういう男がいる。
学識があるわけでも無く、
社会的地位があるわけでも無いのに、
物事の本質を正しく見抜いて、かと言って「俺が俺が」と主張することも無く、
黙って毎日を――昆布を噛み締めるようにして生きている男が。
柊軍曹もそんな男だった。
ハリウッド映画でよくある設定だ。

杣台駐屯軍司令ビルで鰍を見掛けた柊軍曹は
鰍の本質的な武器が良く分かった。
鰍にしろ、鰆にしろ、とても真面目で真正面なのだ。
メタボライズしたおやじたちと違って、
見るからに清く正しく美しいのである。

443 名前:柊軍曹:2007/04/06(金) 11:20:27
鰍たちに支配されてしまいたい、という気持ちと、それに対する抵抗感が、
柊軍曹のなかで鬩ぎあっていた。
そんなとき、柊軍曹の脳内に浮かんで来るのは、ブスドル柊ゴブリンの
ゴブリンづらだった。鰍のあまりにも整った顔やスタイルが、
逆に柊軍曹のなかに「悪趣味」というフェティシズムを反動として生み出し、
いつしか柊軍曹はゴブリン顔に萌える脳になってしまっていた。
理屈では鰍の方が優れていると分かっているのに、
脳と体はゴブリンコのゴブリンづらに反応してしまうのだ。

444 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/04/06(金) 11:21:23
( ^Д^)<ペロペロw

445 名前::2007/04/06(金) 14:34:45
柊おぢさんは素手で土を掘り返している。
土の下には犬の死骸が眠っている。

公園の桜の樹の根元に、喰った後の軍用芋虫犬の残骸を埋めたのだ。
既に桜の時季も過ぎた。
花見で賑わったこの公園で、軍用芋虫犬の
死骸の上にゲロを吐いた人間も13人くらいいるだろう。だから、あの軍用芋虫犬の骨は、いまでは
ウィッシュボーンになっているはずなのだ。

解雇され、かつ劣等者の烙印を押され、
もう二度と正社員雇用してもらえない無職の柊おぢさんには、これが
人生を切り開く残された唯一の思いつきに見えた。

柊おぢさんは素手で土を掘り返す。掘る、掘る、掘る。
土の臭いがする。
掘り起こされた土の上を、
小さな小さな蟲たちが這いまわっているのが目に入る。

土の下には犬の骨が眠っている。

446 名前::2007/04/06(金) 15:15:50
掘っても掘っても犬の骨が出てこない。

桜の樹を間違えているのか、それとも誰か別の奴が
犬の骨を掘り出してしまったのか。

柊おぢさんは疲労と空腹と絶望で
芝生に寝転がって空を見上げた。
犬の残骸を埋めたときは満月がきれいだった。
満月に桜、この世のものとも思えない美しい光景だった。

足音がした。足音だけでなく、声もした。
「おい、おやじが寝てるぜ」
「浄化しようぜ」
「xai !!!!!」

おやじ狩りだ!!
柊おぢさんは慌てて起きたが遅かった。ガキの一人が
起きかけた柊おぢさんの脚を蹴った。ぶっ転んだ柊おじさんの背中の上に
もう一人のガキがジャンプして落下した。背骨が折れそうに痛んだ。
こ、殺される・・
土の上を虫のように這う柊おぢさんの尻の穴のど真ん中に
ガキのスニーカーの靴先が叩き込まれた。

447 名前::2007/04/06(金) 16:39:29
ぽんっ

ガキの回し蹴りが柊おぢさんの後頭部にヒットした瞬間、
柊おぢさんの右眼が ぽんっ と眼窩から跳び出た。

うがぁああぁぁああああぁあああ!!!!!!!!!!!!

激痛とともに、
従来の枠組みでは処理出来ない、未体験の視野が脳に開かれた。
柊おぢさんの意識が落ちた。

「うわ、きもっ」
「眼、跳び出た!!」
「目玉のおやじみてぇ」

これで柊おぢさんは命拾いしたのだ。
限度を知らないガキたちは、ほんとうなら
柊おぢさんの体が完全に壊れるまで遊び続けるはずだったのに、
眼窩から跳び出した、鬼太郎のおやじみたいな目玉を見て
ゲームに区切りがついたのである。

「ぺっ」
ガキたちは
痙攣する柊おぢさんの体に唾を吐くと立ち去った。

1時間後、通り掛かった警察官が
死に掛けた柊おぢさんを発見し、連絡を受けたQQ車が
体を病院に運んだ。

448 名前: ◆USO800B5B. :2007/04/06(金) 21:01:37
桜の下の死者が喰らった紅色の月

449 名前:◆.G.dDa2zds :2007/04/06(金) 23:30:59
>>433
糸井重里さんがジャックラッセルテリアを飼っていて
それで知りました。

450 名前: ◆USO800B5B. :2007/04/07(土) 00:11:51
小倉智昭 糸井重里
で検索すると二人がジャックラッセルテリアを連れて対談している動画が出てきた。
ブイヨンさんもかわいいんだな。
小倉さん曰く『飼ってはいけない』犬種らしいが(笑)

451 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/04/07(土) 08:38:29
へー

452 名前::2007/04/07(土) 09:41:10
柊おぢさんが苦痛に満ちた時間を通り抜けて意識を取り戻すとそこは
見知らぬ天井の下、清潔な直方体の部屋のベッドの上で、
つまりは病院の一室だった。時間の前後が失われて柊おぢさんは混乱した。
フラッシュバックのように深夜の公園の状景が浮かんだ。
舞い散る桜と満月。
土を掘る、土を掘る。
掘り出された土の上を小さな小さな蟲たちが這いまわっている。
土の下に犬の骨は無かった・・

がぁああぁああああああぁあああああああぁあああああ!!!!!!!

おやじ狩りのイメージが再生されると
同時に柊おぢさんはのた打ち回った。現実から外れていた脳が
全身のリアルタイムの痛みを見つけてしまった。熱湯のような痛みが
脳の鉢のなかにどんどん注ぎ込まれてくる。

カメラで遠隔監視していた看護師が駆けつけてきた。

453 名前::2007/04/07(土) 09:58:50
柊おぢさんは右眼の視力を失った。
眼窩から跳び出た右眼球は、いちおう元の穴に戻されたものの、
もはや使いものにならなかったのだ。

頭蓋骨が変形し、
顔が歪んでしまった柊おぢさんには、
医療費600万園が借金として残された。

454 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/04/07(土) 09:59:47
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw
( ^Д^)<ペロペロw

455 名前::2007/04/07(土) 10:29:18
警察も事情聴取に来た。いちおう被害者扱いはしてくれるが、
柊おぢさんが何のために深夜の公園にいたのか、
胡散臭がっている口ぶりだった。

「まっとうな人間だったら行かないけどねぇ 深夜の公園なんか。
何にもないもん。
何にもないから、泥棒だって行かないよね、深夜の公園はさぁ」

福祉のケースワーカーは
600万園が支払えなければ腎臓を売る方法があると教えてくれた。

「この病院でやっちゃえばいいから、便利よね。めんどくさくないでしょ?」



夜、柊おぢさんは ぽろぽろ 泣いた。
すると思い出されるのは解雇された後の7日間、
軍用芋虫犬を喰いまくったあの日々の状景だった。

犬のお腹なでなでしたい。。

病院のタオルを
とりあえず撫でてみた。

456 名前:◆.G.dDa2zds :2007/04/08(日) 00:50:28
>>450
ブイヨンかわいいですよね。写真集持ってます。

457 名前:柊の国の鰍:2007/04/08(日) 10:08:41
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/435n-443

「う〜ん・・ やっぱり気のせいなのかなー」

第1回試運転のレコードをひととおり検索し終えた鰍は
さすがにちょっと疲れた様子で伸びをした。
携帯電話のランダム盗聴の頭出しに意図的なサブリミナル通信を聴いたのは
鰍の気のせいで、ただの偶然だったのだろうか。

鰍が帰還の軍用機搭乗を取り止めてまで杣台に残ったのは、
意識的に気づく前から、自分の内面の底のほうに、
何か引っ掛かる棘のような印象としてメッセージが浮き上がっていたところに、
ある種の「文体性」というか、「異化効果」というか、
意図的なメッセージであることを思わせる特徴を感じたからだが、――それが
単なる気のせいだったという可能性ももちろんある。

458 名前:柊の国の鰍:2007/04/08(日) 10:17:18
それに、仮に単なる気のせいでなかったとして、
それでは「何」だったというのか。
鰍がちょうどランダム盗聴するタイミングにあわせて
六人の人間にしかるべき会話をさせる・・
とても無理だ。まだありうるのは、ランダム盗聴が鰍の耳元に届けられるまでの
ライン上のどこかのポイントから、偽の盗聴(あらかじめ作成された六つの会話)を注ぎ込まれた可能性だが、
調べた限り、そのようなライン割り込みはなかった。

だから、もしあの〈声〉が偶然ではなく「何か」だったとしたら、
その「何か」は想像を絶する存在だということになる。
事実、あの〈声〉を聴いた(メッセージとして意識の上で分節化した)瞬間に
鰍が最初に受けたのは、「〈杣台〉の声????? 」という印象だった。

「あ」「な」「た」「は」「だ」「れ」

鰍は自分の直感を信頼していた。鰍が最初の直感で即座に読み取ったことが、
その後の証明や実験で結局 正当化されてゆくことを、科学の世界で
彼女はしばしば経験してきたのである。

459 名前:柊の国の鰍:2007/04/08(日) 10:25:02
鰍は軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングの第2回試運転を
なるべく早い時期にやってみようと思った。もう一度あの〈声〉が聴けるかも知れない。

そしてもし、もう一度〈声〉が聴けたら・・
――今度は〈声〉に、わたしから話し掛けてみよう♪

鰍はわくわくした。

460 名前:柊三等兵:2007/04/08(日) 10:49:07
下男の柊三等兵は
椅子の上で小さな猫のように伸びをする鰍主任科学官を遠くから じー っと盗み見ていた。

握手をお願いしたら、降格されるだろうか。

461 名前::2007/04/08(日) 22:02:47
>>460
鰍と鰆、かわいいですよね。写真集持ってます。

462 名前:柊の国の鰆:2007/04/08(日) 23:26:07
鰆主任経済官は、ほんとを言うと、
最近の鰍ちゃんに少し危惧の念を抱いていた。

鰆も鰍も第一級の個人主義者だったが、
戦略社会経済学を専門とする鰆にとって、その個人主義の発露は、
国家と一体化し、国益を最大化するために尽力することが個人的な「快」の方角と一致する、
という形式をとった。

一方、鰍は新生物創成工学者であり、
これは「新生物の創成」という神の領域にさえ軽々と踏み込んでゆく学問だから、
国家が恣意的に引く境界線など、決して鰍の内面深くには食い込んでいなかった。
鰍の個人主義からは、
数学のようなアナーキズムの響きが明瞭に聴き取れたのである。

(もちろん、鰆にとっても「国家が恣意的に引く境界線」は深く内面化されているわけではなかったが、
それは、鰆が「法は操作可能な変項」と考えているからで、
鰍のともすれば「無法」な無邪気さとは異なっていた。)

もともと、鰍の軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングの研究は、
都市を有機化して国家の体質向上を図るための新インフラ構築が目的のはずだった。そう、
鰆の観点からすればそれが目的であり、だからこそ予算と権限がついたのだ。だが、
杣台で〈声〉を聴いてからの鰍は、
いよいよ研究すること自体を目的化してしまっている。

仕方ないかなー
そんなふうに無邪気な鰍ちゃんだからこそ、色んなことが思いつくんだもん。

鰆は執務室の窓の外の空を見上げながら、そう考えた。

463 名前:柊の国の鰍:2007/04/09(月) 00:32:42
もともと鰍が構築しようと考えていたのは、既に存在する電脳網のような
神経系的なネットワークではなく、
ホルモン系的な化学物質情報ネットワークだった。

だから、軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングは決して
電脳網の下位システムなどではなく、電脳網と対等な、
もうひとつの別の網を編むものとして設計されていた。

それどころか、ひとたび軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングが「離陸」したら、
それはオートポイエーシス的な意味で独自の「生命」を獲得し、
外部からの一切の干渉を越えて自律するはずだった。
だが、そんな制御不能な代物は、研究への出資者(国家)が喜ばない。

(この場合の「制御不能」とは、原子炉のメルトダウンのような「暴走」という意味ではなく、
出資者が「制御による利得をうることの不可能性」である。
ひとたび「離陸」した軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングは、「暴走」どころか、むしろ
外部から何ら制御しなくても、自律的に安定した自己保存を維持する。)

というわけで、現行の軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングは
何段階ものリミッターで枷をはめて、決して「離陸」しないように作られていた。

鰍が無邪気といっても「非常識なわがまま」というわけではないし、
研究への出資者と上手くやる必要はわきまえていた。鰍は賢いから。

(それに、オートポイエーシス的な意味でのシステムについては、
「動くかどうかは動かしてみなくてはわからない」というところがある。
危機管理の点から見ても、リミッターをつけて運転するべきではあった。)

だからといって、
鰍が夢見なかったわけではない――自分が構築したシステムの「離陸」を。

464 名前:柊の国の鰍:2007/04/09(月) 09:46:22
でも、
鰍は現実と妥協するとき、別に
熱く苦悶したり、葛藤したりするわけではない。

現実の矛盾が脳に入って来ない石頭(理想主義者)ではないし、
矛盾とぶつかって無駄に嘆く愚か者でもない。

鰍は肯定的な現実主義者だった。

鰍の賢さとは、現実を明晰に見透かす眼であり、
所与の条件を読み取り、短期的・中期的・長期的に
最適な経路を選択し続ける躰の柔軟さだった。

鰍はいつでも楽しそうで、そんな鰍を、鰆は、
無邪気だと言うのだった。

465 名前::2007/04/09(月) 10:13:18
こんなとこにいたら、腎臓をとられる!!!!

柊おぢさんは病院から逃げた。
逃げるといっても逃げ場所などない。
本気で600万園の借金から逃げるつもりなら
どこかの地方都市にでも高飛びして隠れるべきだったが、
柊おぢさんにそんな才覚はなかった。
柊おぢさんはもとのぼろアパートの自分の部屋に逃げ込んだのだ。
それは「逃げた」「隠れた」などというものではない。
「頭隠して尻隠さず」ですらない。
ただただ目前の恐怖から逃避する動物的な行動だった。

アパートのドアを開ける。
ぼわぁ っと押し寄せてくる異臭。
6匹分の犬の残骸(喰いかす)の腐敗臭だった。
「いぬ、いぬぅ、いうぅ、うあぁ、あえぇ、えあぁ」
柊おぢさんは、這いつくばりながら畳に嘔吐した。
変形した岩石顔の片目の男が、畳を転げまわるようにして嘔吐し続けた。

車が走ってくる音が聞こえた。車のドアが開き、ばんっ と閉じられる。
足音が近づいてくる。
アパートのドアが開かれた。

「柊さん、逃げてどうするんですか?」一人が優しい声で言う。
「っめえ!! っざけんじゃねっぞぉ!!!!」もう一人が怒鳴る役だ。

466 名前::2007/04/09(月) 11:52:21
そのとき、
畳に這いつくばる柊おぢさんの
左眼に、吐瀉物まみれの犬の骨が跳び込んで来た。

柊おぢさんは、犬の骨の
腐敗肉汁、吐瀉物ソースがけを両手で口に頬張ると
もごもご力ない声で叫んだ!

「夢見る子犬、夢見る子犬、芋虫ごーろごろ。
うわぁあああああああぁあああ!! ウィッシュボーン!!!!」

467 名前::2007/04/09(月) 22:43:43



一瞬、静寂が空気を支配し、天使が通った。

「あ? っまえ、なに ってんだ?」怒鳴る役のほうが心底不思議そうに言った。

「・・・・もしかして柊ゴブリンのおまじないですか?
あんなもの、信じてんの?」優しい役のほうが心底哀れむ口調で呟くように言った。

468 名前::2007/04/09(月) 22:45:48
水道チューブから垂れ落ちてくる軍用芋虫犬を食べることは、タブーとしては、
ゴミ集積所に捨てられた残飯を口にするような感じだった。物理的には
容易に実行可能だが、「まともな人間」には
到底実行出来ない行動である。
深く内面化されている境界線が「この線を踏み越えたら人間以下」と告げているからだ。

だが、ホームレスなど、残飯を常食とする人間たちが存在するように、
水道チューブから垂れ落ちる軍用芋虫犬も、貧困階層の柊たちにとっては重要な蛋白源だった。だから、
軍用芋虫犬を水道チューブのなかに注ぎ込み続けることは、多少は
福祉政策としての意味も持っていたのである。

しかし、柊おぢさんの場合は違った。解雇されて無職になっても、
自意識においては まだ「正社員」だった彼は、
7日間軍用芋虫犬を喰らい続けたとき、胃袋の欲求に突き動かされて、というよりは、
「正社員・が・犬を喰らう」という脳の倒錯に向けて、雪崩れ込み、溺れていったのである。
生活上の必要というより、異常嗜欲だったのだ。

柊おぢさんの倒錯性欲は、犬の肉を求めて餓えていた。

犬のおなかなでなでしたいなぁ。。
タオルみたいな毛皮を ぐり とねじって、
はみ出てきた腸をすすりたい。。
犬が、喰いたい。
喰いたいよぉ。。

469 名前::2007/04/09(月) 22:47:38
だから、
6匹の犬の残骸が腐敗している臭気に満ちたアパートを
入ってきた二人の男に見られ、しかも、汚物まみれの犬の骨を口にくわえて
「ウィッシュボーン!!!!」と叫ぶ醜態まで
披露してしまった柊おぢさんは、正社員時代には
自分より人間として下に見ていた暴力要員の男から、
逆に心底見下されるという屈辱に耐えなければならなかった。

「・・んだ、っいつ、ヘンタイかよ。きもー」
怒鳴る役のほうが、
    こいつが何やってるのか不思議 → こいつがヘンタイだと分かった
という理解とともに、確信に満ちた侮蔑を顔に出した。

「まあ、趣味は個人の問題ですからね。ま、ずいぶん臭いですが、それはともかく
柊さん、ビジネスの話をいたしましょう。
600万園、どんなふうに返済してくださるおつもりですか?」

470 名前::2007/04/10(火) 01:38:49
おどおどした柊おぢさんが畳に四つん這いのまま
何も言えずにいると、空間に満ちた威圧が
巨大な石になって柊おぢさんの背中にのしかかってきた。

「とりあえず、腎臓を一個、売却していただく。これで250万園になります。
それでもまだ残りが350万園ありますが、
病院としても、商売でやっていますから
ここは勉強させていただきます。腎臓を売却していただけるなら
治療代の600万園を450万園まで値引きいたします。
ですから、腎臓が売れて250万園、
治療代は450万園になりますから
借金の残りは200万園ということになります。
いかがです?
これならハケンで働いても充分返済できる金額でしょ? ね。
人生に夢が持てる金額ですよね」

腎臓とか、売却とか、ハケンとかいった単語が
柊おぢさんの脳内を ぅわんわん と駆け回り、
あぶら汗と涙が、
ぽたぽたと畳の上に落ちた。

そのとき、ぼた という音がした。

471 名前::2007/04/10(火) 01:40:24
台所で、水道の蛇口から
軍用芋虫犬が垂れ落ちてきたのだ。

柊おぢさんの脳内に 犬! 犬!! 犬!!!! というサイレンが鳴り響いた。
犬の体にかぶりつきたい。。

「あ、どうぞ。いいすよ。
わたしたちはビジネスのお話に来ているだけですから、
個人的なご趣味はどーぞ、
ご自由になさってください」

暴力要員の男も、
お前はヘンタイなんだからしかたないんだろ、
という寛容なジェスチャーを示した。
眼は、汚物を見る眼だった。

柊おぢさんは立ち上がり、台所に駆け寄ると
シンクの上で蠢いていた軍用芋虫犬を両手でつかみ、
握ったり、ねじったりした後、不意に
あたたかいおなかにかぶりついた。

脳は快楽に満たされていたが、その顔は
まるで苦痛に耐えているような表情だった。

472 名前: ◆USO800B5B. :2007/04/11(水) 19:04:43
きみのいない日常に侵食されていく僕の視界を許してくれるかい
きみのカケラはいつもそばにある
寂しさだけを薄めてしまおう
涙の味は忘れて新しい季節の匂いをかごう

473 名前::2007/04/11(水) 22:41:07
「満足した っすかー?」優しさ担当が軽くリズムをつけて歌うように言った。
「んじゃ、こっちが腎臓売却の書類ね。で、こちらがハケン労働契約と。お願いしますね」

「んぁ ぁぁー でもー んーと」柊おぢさんの血まみれの口が、ちょっと
甘えたような口調で言った。途端に優しさ担当が豹変した。

「あー!! もーいーっすよ。ってられねーなっ!!
んならねー いいですか。こっちから、
お・こ・と・わ・り ですよ。
わたしたちはね、柊さんの場合、おやじ狩りに合われてお気の毒だなーと思うから、
病院から無銭入院で逃げ出しても強く責めなかったし、
腎臓売却のチャンスをご提供申し上げようと考えていたんですよ。しかも、
治療費を150万園も値引きして差し上げる特約つきでね。
あーもー いいやっ バカらしくなってきた。
さっきの話、何もかも無しね。そのかわり、600万園、ちゃんと支払ってね。
払えんの?
払えなきゃ、訴訟だからね。あんたの所有物全部、弁済に充ててもらうよ。もちろん腎臓とかも、
「可処分臓器は私有財産と見なす」んだから、取り立ての対象ね。
バッカじゃね。けっきょく取られちゃうんだから、
有利な条件で交渉するのが大人ってもんだよなー
あー くだらね。
帰るぞ!! バカの相手はしてらんないや」
優しさ担当は、暴力要員にそう言うと、立ち上がった。

474 名前::2007/04/11(水) 22:44:02
すると暴力要員が、
今度は心底思いやるような眼差しで柊おぢさんを見た。

「あの な」

ぽつりと言った。そして、
ポケットからごそごそ、写真を取り出してきた。それは
ビキニの水着を着て笑っている可愛い幼女の写真だった。

「腎臓 間に合わなく て、こういう 子が な、死んで くんだ」

次の写真は元気そうに鉄棒につかまっている坊やだ。

「こども には 何の罪も ないのに さ」

コワモテの暴力要員の眼に涙がにじんでいた。

475 名前::2007/04/11(水) 22:45:36
柊おぢさんは腎臓売却契約書とハケン労働契約書に署名し、指10本分の指紋を押した。
両手が真っ黒に汚れたが、柊おぢさんは
自分が何かどえらいことを成し遂げたような、誇らしい気持ちだった。
150万園も負けてもらえたんだもんなー
すっげー 得した。
犬も一匹喰えたし、おれはツイテル!

476 名前::2007/04/12(木) 23:39:52
麻酔は局部だけだった。
柊おぢさんが天井を見つめているあいだに、
白い遮蔽布の向こうでは彼の左の腎臓が取り外されているのだった。
医師たちは事務的で、柊おぢさんと口をきこうとしなかった。いや、それどころか、
遮蔽布のこっち側の首のことなど、見ようともしなかったのだ。

それでも柊おぢさんの心のなかは、
なんだか春のお花畑みたいにうきうきしていた。うっかり
「それ」に気づいてしまうととんでもないことになると分かっているから、「それ」の方角を見ないように、
見ないようにして、柊おぢさんは笑っていたのだ。彼が
見ないようにした方角とは――「絶望」である。

右眼が見えなくなっちゃってー
顔もでこぼこ  なっちゃってー
左の腎臓  売っちゃってー
あすから  ハケンになっちゃってー
なっちゃってー に なっちゃってー

腎臓を摘出した翌日にはハケン会社に連行された。
勤務地は杣台だと聞かされて、
柊おぢさんが「え? え?」と声をあげると、管理の正社員たちに殴られた。
服をすべて脱ぐよう、命じられた。
脱ぐのをためらってのろのろしてると、管理の正社員たちに殴られた。

他のハケンたち(みんなフルチン)と一緒に貨物車両に詰め込まれた。
ハケンの鮮度が落ちるので、満員電車で立たせたりはしない。
貨物車両のなかは4段ベッドというか、棚になっていて、
1段につき25人ずつ、ハケンを寝かせて並べる。杣台まで、
エサなし。糞尿は垂れ流し。だから丸裸なのだ。

477 名前::2007/04/12(木) 23:42:32
摘出された左の腎臓は、
持病の糖尿病が悪化した市場委員会の元会頭に移植された。
榎少佐に自慰表明を強いられたとは言え、それなりに蓄財していたから、
金に糸目をつけない上客だった。だから病院としては、
組織適応抗原が偶然マッチしていた柊おぢさんの腎臓を、
なんとしてでも入荷したかったのだ。

安く入荷できたので、うまみのある商売になった。

柊おぢさんに請求した治療費600万園のうち、実費は200万園程度だから、
柊おぢさんの身柄をハケン会社に売り払って得た200万園で帳尻が合う。
(正確に言うと、柊おぢさんがハケン契約によって得た200万園を病院に支払ったのである。)
一方、元会頭が腎臓移植に支払ったカネは、
なんだかんだひっくるめて5000万園にも上ったから、病院は大儲けである。

暴力要員が柊おぢさんに見せた「腎臓が間に合わなくて死ぬ子供たち」の写真は、
暴力要員が借金のかたに売り飛ばした子供たちの写真だった。

478 名前::2007/04/13(金) 18:42:15
カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン

貨物車両の4段の棚には泡剤が敷き詰められ、その上に
1段につき25人ずつ、100体のハケンたちが整然と並べられた。泡剤は
時間とともに固化するが、固化するといっても
ゴムみたいに弾力を帯びた固まり方をして、クッションの働きをする。
到着したらホースから放水を浴びせて分解する、使い捨ての特殊化学剤だった。

体軸をレールと平行に、頭部を進行方向に置いて、仰向けに寝かされている。灯かりもない
暗闇のなかで、列車が走る単調な音を耳にしながら、
レールの曲がりや、列車の加速減速、ときどきの不規則な振動を、
自分の体のなかに見つめている。

夜の底を眠ったまま飛んでいるようでもあり、状況が状況でなければ、
なかなかロマンティックな旅とも言えた。

だが、暗闇のなかでときおり鼻を突く臭いは、
左右や、頭の先、あるいは足の先に並ぶ、他のハケンたちのケモノじみた体臭であり、さらには
そのうちの誰かが垂れ流した尿や便の、尿臭・便臭であった。
吐瀉物の臭いも混ざっている。

凄まじい臭気に、鼻は嗅ぐのを止めてしまっているが、ときどき思い出したように嗅いでしまって、
そのショックで体はぐちゃぐちゃになり、尿を漏らしたり、便を漏らしたり、嘔吐したりして、
自分もまた臭気の醸成に貢献するのだ。

479 名前::2007/04/13(金) 18:48:15
柊おぢさんもこの臭気のなかに横たわって空間移動をしていた。

カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン

空間移動をしながら、自分の転落を漠然と回想していたが、
柊おぢさんは「ちゃんとした大人」ではなかったので、自分の運命が
鰆主任経済官の新産業構造プログラムと何か関係があるらしいとは思っても、
ほんとうのところ何がどうなのか、詳しくは見えなかった。

動物レベルの人間であり、
ハケンとして貨物車両に裸で積まれて
尿や便や吐瀉物を垂れ流しているのがお似合いだった。

480 名前::2007/04/13(金) 18:51:03
カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン

暗闇のなかで柊おぢさんは眼をつむる。すると・・ あれ?

見えないはずの右眼に、ぼうぅ っと、ひとの顔が浮かんでいるような気がした。
左眼を開け、閉じてみる。右眼を開け、閉じてみる。
目蓋をシャッターみたいにぱたぱたやってみる。

潰れたはずの右眼の視界に、たしかに白い顔が ぼうぅ っと浮かんでいるようだ。
ヤングジャンプのグラビアで見た
鰍主任科学官の顔に、どことなく似ているような気がした。

解雇されて無職になったときコンビニで見たグラビアのイメージを
鮮明に思い浮かべていたから、
だったかも知れない。

481 名前::2007/04/13(金) 18:52:59
うわっ!!!!!!!

鼻が、
臭いを、
嗅いでしまった!!

カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン カタタタン

柊おぢさんはこみ上げて来る嘔吐感で全身をぐしゃぐしゃにし、はずみで尿を漏らした。
チンコの先から生ぬるい液体が湧き出し、太腿を気持ち悪く濡らしてゆくが、
もうだいぶ人間として壊れてしまった柊おぢさんは無感動だった。
涙と鼻水がもともと低機能な脳をさらに濁らせる。
潰れた右眼に映った女性の顔のことも、記憶からとんでしまった。

482 名前:柊の国の鰍:2007/04/14(土) 13:18:27
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/457n-464

鰍はもう4日間も図書室に籠もり切りだ。
図書室のすべての机をひとりで占領して、机から机へ
渡り歩くようにしながら本を調べている。

机ごとに分担があるらしく、分野ごとに
鰍が書架から出してきた本が積み上げられ、
何冊かは書き散らしたメモと一緒に開きっぱなしだ。

食事はほとんど食べず、紅茶ばっかり飲んでいる。
眠るのも、柊三等兵に簡易ベッドを運び込ませて、
図書室のなかだ。

483 名前:柊の国の鰍と柊軍曹:2007/04/14(土) 13:28:19
柊軍曹は
杣台駐屯軍司令ビルの図書室係に左遷されていた。司書というか、
ただ、図書室に「いる」というだけの仕事なのだが、
籠もり切りの鰍を見るうち、4日目に見るに見かねた。
このままじゃ、体を壊しちまう。

ある机で本を見ながら計算を書き散らしていた鰍が
一段落したらしく、席を立って、
紅茶が用意されているテーブルに向かったときをとらえて、
柊軍曹は声を掛けた。

「鰍先生・・」

484 名前:柊の国の鰍と柊軍曹:2007/04/14(土) 13:33:47
鰍が「ん・・?」というように柊軍曹の眼を見た。
柊軍曹はどぎまぎした。なんて透明な視線なんだ。

「鰍先生、たまにはお風呂にでも入って、のんびりくつろいでください」

途端に鰍の顔が真っ赤になった。たしかに4日間も図書室に籠もり切りで、
お風呂にも入ってないし、髪もばさばさだ。
もしかしてわたし、くさいの?

柊軍曹にしてみれば、別にそんな意味ではなかったし、それに鰍の匂いは
鰍の体の存在感を ふわっ っと感じさせて、むしろどきどきするものだった。
でも、鰍がこの4日間お風呂に入っていなかったのも事実だったのである。

鰍が恥かしそうに顔を真っ赤にしたので、柊軍曹もうつむいたまま、
何と言って良いのかわからなくなってしまった。
不器用な軍人なのだ。

「ぅー   お風呂、入ります..」

鰍が小さな声で言った。
用意して、と柊三等兵に命じた。

485 名前:柊三等兵:2007/04/14(土) 13:35:00
鰍主任科学官が宿舎の自室の扉の向こうに消えるのを、
柊三等兵は廊下で見ていた。
これからバスルームに行くんだろうな・・

入浴を覗いたら、降格されるだろうか。(されるだろ)

486 名前:柊の国の鰍と柊軍曹:2007/04/14(土) 14:03:06
風呂上りの鰍は
ラフな部屋着に白いターバンで髪をまとめて、
シャンプーの匂いをさせながら、
それでも図書室に戻ってきた。

「ありがとう。お風呂、とーても気持ち良かった。気分転換♪」

にこにこ微笑みながら柊軍曹にそう言うと、また
本の積んである机に戻ろうとした。柊軍曹は
邪魔をしてはいけない、と思いながら、思わず話し掛けていた。

「いったい何のご研究をしていらっしゃるんですか?」

鰍は一瞬のあいだ困ったような顔をしたが、

「えーとね、どう話せばいいのかな..
十年位前、ここ(杣台駐屯軍)に、
ひとり、とっても優秀な科学将校さんがいたみたいなの。
そのひとの興味、関心を追体験してる。
ここの図書室って、
束京大学でも見たことがないような凄い文献を
たくさん蒐集してるんだよ」

鰍は柊軍曹に一冊の本を渡した。難しそうな専門書の表紙には
『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』と印刷されていた。

487 名前:柊の国の鰍と柊軍曹:2007/04/14(土) 23:20:39
『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』は、形而上物理学の古典である。
相対論と量子論を統合するさまざまな企図のうち、21世紀初頭に一時期流行したのが、
このmetaphysical physicsという「主観性の物理学」だった。

「この物理学はねー 「普遍的な客観世界」ということを認めないの。
出来事って、同じ出来事でも、
それに遭遇するひとの見方で全然違うでしょ?
それぞれの〈わたし〉に〈いま=ここ〉で与えられる場面のことをチャートという。
で、チャートの連鎖がモナドね。簡単に言えば
モナドって、それぞれの観測者にとっての「主観世界」のことなんだけど、形而上物理学では
モナドとモナドは食い違うもので、
すべてのモナドを包摂する「普遍的な客観世界」などない、と考えている。
実際、数学者のモヨコが凄い定理を証明しているの。

    アルジャーノンの相対性にもとづく時空の雛型において、
    チャート群Wにおける変換則Rが定められているとき、
    「Wを含むW’で、変換則Rを満たさないチャートを含むもの」が存在する。

簡単に言うと、ある狭い世界で、世界ってこういうものだと理解していたとしても、
必ずそれより広い世界があって、狭い世界で理解していたルールは破綻するってこと。」

もうだめだ・・
柊軍曹には、ついていけなかった。
柊軍曹の眼が泳いでいる様子を見て、鰍も話すのを止めた。
そのとき突然、柊軍曹には見えた。
鰍の孤独が。

488 名前:柊の国の鰍と柊軍曹:2007/04/14(土) 23:24:07
柊軍曹にはどうしてやることもできなかった。
たぶん、地球上に、鰍が見ている世界を本当に共有できる人間は誰もいないのだ。
いや、いるとしても数えるほどで、いろいろな国に、さまざまな立場で、
分散して生活しているのだ。

どんな研究をしているのかと聞いて、答えてくれる前に
鰍が一瞬戸惑ったのを思い出した。
気楽に質問されて、何とか答えようとしては
「理解されない」という拒絶に出会う。
もう何度も繰り返されて、いい加減学習したはずの罠に、鰍は
何でいまさら はまってしまったのか。
(真面目に答えないで、右からきた問い掛けは左に受け流すこと。)

――だが、鰍の内面をこんなふうに忖度すること自体が
もうひとつのありがちな罠ではないのか? と柊軍曹は思った。
こんなに楽しそうに生きている若い娘が
そんなに孤独だなんて、
自分に都合よすぎる想像じゃないか。まるで少年マガジンだ。

いずれにせよ柊軍曹はこういったことを言語的に明晰に思考したわけではない。
自分のなかを見つめたとき、こんな感じの角度が見えたように思っただけだ。

489 名前:柊の国の鰍と柊軍曹:2007/04/14(土) 23:25:37
柊軍曹は、こうして鰍の罠に捕らえられてしまったのだろう。

鰍は肯定的な現実主義者であって、
たしかに凄まじい孤独のなかで生きていたが、それはそういうものだと理解して終わりだった。別に
孤独は鰍の内面を蝕まなかったのである。だって、研究は楽しーし、鰆ちゃんだっているし。

鰍は したいように生きているだけだった。柊軍曹は
そこに過剰な意味を読もうとしてしまった。それが鰍が投げる罠なのだ。
鰍には何も謎などないのである。
鰍のなかに謎を読み始めた柊軍曹は、今後、
鰍の一挙手一投足、鰍の気まぐれな眼差しに、
際限もなく振り回されるようになるだろう。

でも、だからといって鰍が柊軍曹のことをなんとも思っていなかったわけではないのだ。
それは、ちょっとくらいは、良い男だなー と思ったから、
話し掛けられたとき思わず答えてしまったのである。
そしていつもの失敗を繰り返す。つい真面目に講義してしまうのだ。
(相手は引くって。)

恋は必ず片想い。個人のモナドの内側で営まれる孤独な作業。

490 名前:柊の国の鰍:2007/04/15(日) 22:57:57
鰍は、
柊軍曹ににっこり微笑みかけると机に向かい、
積み上げた本たちが描き出す世界へと――
一瞬にして没入する。

最初図書室で形而上物理学の本を眺めたとき、鰍は遊び半分のつもりだった。

鰍の構築した軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングは
いくつかの微量物質をシグナルとして使い、
神経系的というよりはホルモン系的な情報伝達を行うシステムだ。

電子的な通信が、結局のところ ON‐OFF によるデジタルな情報伝達を行うのに対して、
ホルモン系的な通信は、「濃度」「拡散」「複合」などの液体的性質を持つ。
鰍が企図したのは、言ってみれば
「言語ではなく、感情を直接伝える媒体」だったのである。

たとえば第4回試運転は 長期 低速度 運用実験だった。

このシステムの運用には大きく分けて二つのタイプがあり、
ひとつはあの第1回のときのような 短期 高速度の運用、これは
シグナル物質を高濃度で送ることによって刺激速度を上げ、短期で目的を達する運用、そして
もうひとつが第4回のような 長期 低速度の運用タイプである。

鰍はゆっくりゆっくり時間を掛けて、
メープルロード商店街の端に位置する十字路の
ひとつの角を「霊スポット」にすることに成功した。
「見た」という人間が続出し、WEB掲示板でもちょっとした騒動になった。実は
第4回試運転は継続運用されており、いまでも稼動中なのだ。

491 名前:柊の国の鰍:2007/04/15(日) 23:00:25
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングが
感情を直接伝える――というか、感情を感染させる媒体だとすれば、
それによって各個人のモナド的な世界はシンクロし、融合してゆくのではないか、
そしてそれこそがあの〈杣台の声〉の発生源ではないのか。

そう考えた鰍は、
モナドの融合について考察する足がかりとして、まずは
世界のモナド的なありように数学的定式化を与えた
形而上物理学を参照してみようと思い、――しかし、
最初は遊び半分のつもりで形而上物理学の本をひもといたのである。

というのも、形而上物理学という分野は、一時の爆発的な流行の後、
いまではすっかり廃れて「トンデモ科学」なみに見られていたからだ。
なにしろ、検証実験で結果が出ないのである。

いや、結果が出ないよりなお悪い。
初期の――アルジャーノンの相対性原理が提出され、モヨコの定理が証明された頃の
いくつかの検証実験では、確かに画期的な結果が出たのだ。
だが、不思議なことに、ある時点から以後、
形而上物理学的な実験を何度追試しても
まったく結果が出なくなってしまったのだ。ある雑誌のキャンペーンにより、
「成功した初期の実験結果が実は捏造だった」というスキャンダルが生まれ、
何人もの研究者が職を追われた。

しかし。

鰍が杣台駐屯軍司令ビルの図書室で出会った一群の文献は
恐るべき真相を語っていた。

492 名前:柊の国の鰍:2007/04/15(日) 23:02:26
形而上物理学者たちが
〈リアル〉というものをチャートのモナド的連鎖と捉えたとき、
チャートの書き換えによる現実操作の技法が開発された。
何人かの形而上物理学者たちは、こうして
チャートの書き換えによる未知の旅を開始した。

すべてのチャートが置かれている〈根底的な場所〉のことを
形而上物理学では「同一カオス」とか「7次元時空」などと呼ぶが、
いわゆる星の宇宙、つまり「4次元の客観世界」は
「7次元時空」のなかの不確かな沈殿膜であると考えられている。

形而上物理学者たちが「7次元時空」のなかで
「4次元の客観世界」に対してverticalな(垂直な)方向へ飛翔したとき、
そこで見たのはガイア(地球生命圏)の全域に浸透している未知の勢力だった。

21世紀初頭人たちが遭遇した「NOVA警察」と呼ばれる勢力が、果たして
未知勢力の本体なのか、それとも、ほんの前哨に過ぎないのかは、
かれらにはわからなかった。

未知勢力は
NOVA――つまり太陽の新星爆発――ガイアの全モナドの死、という究極のsingularityを通って、
「異世界」からガイアに侵入してきたと考えられている。
つまり、地球生命圏の〈死〉の時点から侵入し、
時間を遡行して全ガイアに浸透するに至ったらしい。

493 名前:柊の国の鰍:2007/04/15(日) 23:04:06
ある時点から以後、
形而上物理学的な実験を何度追試しても結果が出なくなったとき、
社会的なレヴェルではこれは
「成功した初期の実験結果が実は捏造だった」という解釈をされ、つまらないスキャンダルを生んだが、
当事者である形而上物理学者たちは真相を悟っていた。

NOVA警察がガイア圏における物理を改変してしまったのだ!
物理法則自体の書き換えさえ実行できるNOVA警察の力に、
秘密を知る一部の21世紀初頭人たちは震え上がった。
人類が「7次元時空」のなかを飛翔する手段を、
NOVA警察は徹底的かつ根本的な方法で破壊してしまったのである。

(もっと対症療法的な細かい工作も実行された。
実は、ある国家間協同組織は、衛星軌道上に
NOVA警察の廃棄した衛星都市を植民地として持ってさえいたが、
この衛星都市――フダラク市は、
謎の円盤にマイクロブラックホールを投げ込まれて消失してしまった。
まさしく跡形も残らない破壊活動である。)

杣台駐屯軍司令ビルの図書室に残存していたのは
形而上物理学のもっとも熱い時期の文献、
そして、NOVA警察やフダラク市など、
国家群のトップシークレットにも言及した極秘文献だったのだ。

鰍は読めば読むほど、どんどんのめり込んでいった。
お風呂に入ることも忘れ、眠っているあいだも
夢のなかでいろいろなことを考えてしまうので、不意に眼が覚めたら
すぐに本に当たって検討できるよう、
図書室に搬入させた簡易ベッドで寝た。

494 名前::2007/04/17(火) 01:03:38
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/465n-481

貨物車両の暗闇のなか、
糞尿や吐瀉物にまみれ、
無限にも感じられる時間、
絶えず振動に揺さぶられていた。

ぎぃー という音がして貨物車両の側面が開いたとき、
外部の光とともに意識がよみがえり、
ああそう言えばいつの間にか列車は停車していたんだな、
そう言えば振動が消えて静かになっていたな、と気づいた。

まぶしい光に眼が慣れる暇もなく、
ホースからの重量級の放水がハケンたちを直撃した。

「センパーイ、おれ、いつも思うんすけど、
杣台と束京なんて、新幹線なら2時間じゃないすかー
ハケンに新幹線使わなくていいすけど、
こんな、ウンコまみれにして12時間もかけて輸送する必要あるんすかねー」

どうやら、ホースを握っている正社員のひとりは新人のようだ。

「ばーか、こうやって奴らにあきらめさせるのが
だ・い・じ・な・ん・だ・よ。人間としての背骨を折るんだよ」

「そーすかー たいへんすねー もー」

495 名前::2007/04/17(火) 01:06:25
ハケンたちは両手の甲に印字された
001〜100の通し番号にしたがって、
線路脇の荷降ろし場に10×10の隊列を組まされた。
遅いハケンは正社員たちに棒で殴られた。
柊おぢさんの番号は047だった。

全員丸裸の
下流感漂う100人の男たちに混じって隊列を組んでいると、
荷降ろし場が、大地が、空が、あまりにもだだっ広く、
それに比べてあまりにも自分はちっぽけで、
柊おぢさんはふらふら、立っているだけでやっとだった。

隊列の男たちがみんな
腹部に手術創を持っているのが眼についた。

末尾の数字が奇数の5列が
行進を命じられて隊列から抜き出され、全体が
末尾偶数の10×5と
末尾奇数の10×5に分けられた。
とろいハケンは正社員たちに棒で殴られた。

荷降ろし場に続く道路に
2台の貨物トラックが待機していて、50体ずつ積み込まれた。
逃亡及び自殺の予防のため、
トラックの貨物コンテナーは外部から扉をロックされ、またしても暗闇。しかし、
外部から声だけは響いてきた。

496 名前::2007/04/17(火) 01:07:36
「発注元は――鰍主任科学官殿と軍用芋虫犬製作杣台工場だ。50体ずつ。
こーゆーときは、いいか、
001〜050、051〜100みたいに分けちまうと、
登録順でロットに偏りが出る場合があるから、
末尾の偶奇で分けるのが現場の知恵だからな。
よーく覚えとけ」

「はいっ! 覚えしたっ!!

はー
にしても、
鰍主任科学官殿と軍用芋虫犬製作杣台工場すかー
天国と地獄じゃないっすかー
どっちのトラックが鰍ちゃんなんすか?
鰍ちゃんて、白ビキニで研究してるんすかねー
うらやましーなー」

「ばーか言ってんじゃねー。

いいか、
トラックの行き先はこれからコイン投げて決める」

497 名前::2007/04/17(火) 01:10:16
暗い箱のなかの50人のハケンたち×2 は
外部の声に
必死で聞き耳を立てていた。

「やっ!」

コインを投げたらしい声が聞こえた。
結果が決まった雰囲気。
だが、どちらがどちらになったのかは
指差しかなんかで示された気配で、暗い箱のなかのハケンたちには
何ひとつ、つかめぬまま、
トラックは動き出した。



「鰍ちゃんかー いーなー」

「――そうとも限らんぜ。
あっちの50体は鰍ちゃんのオモチャだ。
実験動物扱いだから、まー、碌な死に方はしねーだろ。まーだ、
きれいに首を刎ねられっちまったほうがましかも知れん・・」

「そっすかー
鰍ちゃんにオモチャにされるんなら本望っすよー」

「おめーはほんとーにばかだなー」

498 名前: ◆USO800B5B. :2007/04/17(火) 19:26:23
骨まで愛してと彼女は言ったから
どうでしょう グリドルボーン
どうでしょう マンゴジェリー
デザートまで 彼女でいっぱい
犬喰らわば皿まで

499 名前:柊ハロワ:2007/04/18(水) 01:06:35
はじめのうちトラックは杣台市街を走っていたので、
信号待ちの停車のときなど、
街の女子高生の話し声がコンテナーのなかの暗闇まで響いてきて、
ハケンたちの何人かは泣いた。

「知ってる? 知ってる? メープルロードの角にさー、出るんだって」
「出るって?」
「霊が出るの。コワクナイ? 歌ちゃんが見たって言ってた。駆君と一緒のとき」
「えー? やっぱりつきあってるんだ、あのふたり。チョ仲好いよねー」
「いーなー あたしも彼氏欲しー」

だんだんトラックの外から人の声が消え、やがて
すれ違う車の轟音だけになった。
複雑なカーブの連続にハケンたちは
車酔いで吐き気がしてきたが、12時間、エサ無しで、
尿、便、嘔吐、涙、よだれなど、あらゆる液体を垂れ流し続けた後なので、
もはや吐くものが残っていない。
コンテナーの暗闇のなかで体を海老に折って痙攣するだけだ。

意識がとびそうになった頃、トラックが停車した。

トラックが停まり、コンテナーの扉が外からロック解除されたとき、
50体のハケンたちは、自分たちの運命が
地獄か――それとも、地獄よりたちの悪い天国か、
知りたくてたまらなかった。

かれらは見上げた、
鉄の門を。

門には「労働は自由をもたらす」という標語がデザインされていた。
軍用芋虫犬製作杣台工場だ。

500 名前:柊ハロワ:2007/04/18(水) 01:07:42
別の50体は杣台駐屯軍に輸送された。

これが本当に喜ぶべきことなのか、逆なのか、まだわからなかったが、
イレギュラーな運命だというだけで、とりあえず、
ハケンたちの人生にささやかなプレゼントだった。

しかし、鰍ちゃんが出迎えてくれるわけではなかった。

軍人がハケン50体の受領証に署名をし、
50体を倉庫に移動させた。
署名された名は「柊軍曹」といった。

初日の夜、ハケン倉庫から2体だけ、
どこか別の場所に連れて行かれ、残りの48体は、
12体ずつ4班の
班作りをするよう、命じられた。

次の日からは四方をビルに囲まれた狭いグラウンドで、
班同士、ドッヂボールをした。それが命令だったのだ。
ドッヂボールの勝敗が今後の生存に関係する可能性があるので、ハケンたちは
真剣にタマのやりとりをした。
(だが、勝つことが生存の資格なのか、負けることがそうなのか?)

501 名前:柊ハロワ:2007/04/19(木) 01:41:35
5日目。

ハケンたちが
これでもう4日もドッヂボールをしていると、
グラウンドを囲むビルの
広い窓の向こうに数人の軍人が並んだ。そのうちのひとりは
あの柊軍曹だった。

グラウンドにはコートが2面、設定されていて、
4班に分かれたハケンたちは、
軍人たちの視察に不安を感じながら
必死でドッヂボールを続けた。



小柄な「軍人」が眼に入った。
――軍服に身を包み、帽子で
髪と目元を隠しているが、あれは絶対に
鰍主任科学官だ!

直感したひとりのハケンは、
巧妙な演戯で敵のボールに当たると、
命を失って外野に出た。

視察の軍人たちが並ぶ窓は、彼の
外野側だったのだ。

502 名前:柊ハロワと柊軍曹と・・:2007/04/19(木) 01:44:17
赤褌一丁でドッヂボールをするハケンたちの腹部には、気味悪いくらい一様に
手術痕があった。

わざと命を失って
視察の軍人たちの窓のそばに移動したハケンは、
何気ない動作の流れのなかで腹部の手術痕を引っ掻いてこじ開けると、拳を
腹のなかに突っ込んで、
内臓のなかから拳銃を取り出した。

ドラえもんのポケット状の袋を、
手術で腹に形成し、なかに拳銃を隠して
袋の口を閉じていたのだ!



「危ないっ!!」
柊軍曹はとっさに
鰍の体を突き飛ばして床に伏せさせると、腰から拳銃を抜いてハケンを撃った!

どぅーーーーーんっ
どぅーーーーーんっ
どぅーーーーーんっ

銃声が交錯し、窓ガラスが砕け散った。

床に伏せたとき、鰍の頭から帽子が飛んで、
シニョンに結った髪が見えている。
見上げる鰍のきらきらした眼と視線を合わせて安心した柊軍曹は
拳銃を手に、
ドアを開けてグラウンドに出た。

503 名前:柊軍曹:2007/04/19(木) 01:46:03
「全員、伏せーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!
立ってる者は、
撃ぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーつっ!!!!!!!!!!!!!!」

大声でグラウンドのハケンたちに命じながら、
倒れているハケンテロリストに向かってゆく。

テロリストは血をまき散らして
どうやら死んでいるようだったが、油断せず近寄ってゆくと、
拳銃を握るテロリストの手を拳銃で撃ち抜いた。

テロリストの頭部を
足で激しく蹴り、
もう死んでいる(あるいは、少なくとも行動不能化した)ことを確認すると、
しゃがんでテロリストの拳銃を拾い上げた。

立ち上がると割れた窓の方を見た。

504 名前:柊の国の鰍と柊軍曹:2007/04/19(木) 01:49:34
グラウンドは鰍の実験場であり、
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングが高レベルで運用されている領域だった。

四方を囲むビルは
開口部を
密かに綿密にシールドされていて、
グラウンドの空気が漏れてこないようにしてあった。

だがいまは窓ガラスが割れ、柊軍曹はグラウンドに出ている。
空気中の微量物質――それ自体は別に毒性のある物質ではない――が
かれらにも影響を与えていた。



立ち上がった鰍が
割れた窓越しにグラウンドを見ると、47体のハケンたちがひれ伏していて、柊軍曹が
まっすぐ自分の方を見ていた。

眼を見交わす。

「わたしは、あなたがまもりたい」――という純粋な愛情が
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングに載せて
物凄い勢いで伝わってきて、
鰍の全身を暖かいオーラでくるんだ。

柊軍曹は前方にいるけれども、
鰍は
背後から大きな腕で
ぎゅっと抱きすくめられているように感じた。

505 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/04/19(木) 22:58:17
   tanasinn    ヽ 丶  \
           \ ヽ  ヽ     ヽ
/  /    ヽ    \ ヽ   ヽ
 /   |  ヽ \     \  ヽ  ゝ           (tanasinn)
ノ 丿       \      \   ヾ
 ノ  |   |  丶  \     \         (tanasinn)
   /           \     \/|                (tanasinn)
 ノ   |   |  .     \       |         ↑
     /\    .    \      |         (  ↑
   /   \   .    /      |          )  (
  /      \      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄         (   )
/_        \                    ) (        tanasinn
 ̄  |    t   | ̄         ノ⌒ ̄⌒γ⌒ ̄⌒ゝ            / /
   |   a   |         ノ    tanasinn .   ゝ          / /
   |   n   |        丿              ゞ      _/ ∠
   |   a   |       丿/|/|/|/|\|\|\|\|\ゝ     .\  /
   |   s   |               │                V
――|    i   |――――――――――┼―――――――――――――――――
   /    n   ヽ  ∵∴∵∴∵∴∵∴人∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵tanasinn
       n                   ∵∴∵∴∵
                          /∵∴∵∴\
                        . /∵/∴∵\∵\
                         /∵ <O>∴∴.<O>|
                        |∵∵ / ○\ ∵|
                        |∵∴/三 | 三|∵|

506 名前:柊の国の鰍と柊軍曹:2007/04/19(木) 23:06:11
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングは
微量物質をシグナルとして
感情を直接伝える媒体である。

「あなたをまもりたい」――という柊軍曹の愛が、
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングに載せて直接伝わってきて、
鰍の全身を暖かいオーラでくるんだ。

柊軍曹は前方にいるけれども、
鰍は、背後から大きな腕に
ぎゅっと抱き締められているように感じた。

両手をうしろあたまにまわしてシニョンを解くと、
髪がふわりと流れ落ちてくる。



しかし、柊軍曹が
鰍の心をじかに味わうことはできなかった。窓が割れる前、
建物のなかは遮蔽されていたので、微量シグナル物質は
グラウンドの高濃度から建物のなかへ向けてのみ、流入したからだ。

でも、はにかみながら花が咲き開いたみたいな
鰍のピンク色の笑顔が見られただけで、
柊軍曹には充分だった。

柊軍曹の足元には、血しぶきとともにハケンテロリストの死骸が横たわり、
周りには47体のハケンたちがグラウンドにひれ伏している。

軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングのことが頭にない柊軍曹には、
鰍がなぜ、あんなやすらいだ笑顔で自分のことを見ているのか、
ちょっと場違いな気がしたけど。

507 名前:柊の国:2007/04/19(木) 23:07:38
テロ実行犯は
柊革命組杣台支部の残党だった。公安警察は
柊革命組束京本部の作戦指揮があったものと考え、
捜査を始めた。いっぽう、軍の特務班は、
柊革命組を徹底的に破壊する策動を開始した。
公安と軍の特務班は、
時に協同し、時に対立しながら、
柊革命組を叩き潰してゆくことになる。

今回の事件を受け、
軍や軍用芋虫犬製作工場がハケンを購入するとき、
必ずレントゲンによる全頭検査をする
という内規が作られた。

既購入のハケンについて検査を実施したところ、
テロ実行犯と同じロットで購入され、
軍用芋虫犬製作杣台工場に配当されたハケンたちのなかにも、
腹部武器袋が形成されている者が1体発見された。

508 名前:柊の国:2007/04/19(木) 23:09:03
柊軍曹に射殺されたテロ実行犯の輸送ナンバーが079で、
軍用芋虫犬製作杣台工場で発見された潜在的なテロ犯の輸送ナンバーが034であったことから、
100体のハケンを鰍主任科学官分と軍用芋虫犬製作杣台工場分に振り分けるとき、
「偶奇法」が採られても、あるいは
ナンバー050/051で分けたとしても、
必ず一方は鰍のもとに届くように計画されていたのか――あるいは輸送ナンバー自体は偶然だったのか、
軍の特務班も、公安警察も、そしてワイドショーも、
捜査項目としていた。

柊の国の社会組織全体が責任追及の金切り声で狂ったようにきしみ、とばっちりはあの、
杣台駅のハケン管理正社員に及んだ。

「そうなんですよね、
かれらが単純な「偶奇法」ではなく、「乱数法」を使っていれば、テロが防げた
かも知れないんです。
関係者のセキュリティ意識の低さが今回の事件を招いた
とも言えるんじゃないでしょうか」

バッシングの嵐に、古参正社員は新人に罪をなすりつけ、検察も新人を生贄にすることに決めた。

新人の手帳に「末尾の偶奇で分ける」というメモがあったことを証拠として、
新産業構造法の職務怠慢結果責任罪で逮捕した。
スピード結審で有罪、新人正社員はハケンに降格となった。

「もー 信じられねっすよー ふんとにまー」

元・正社員の新人ハケンくんは、
杣台から
北梅道綱走の軍用芋虫犬製作工場まで貨物列車で輸送され、
人間としての背骨を折られた。

509 名前::2007/04/21(土) 12:24:23
柊おぢさんは夢にまでみた軍用芋虫犬製作工場 >>428 ――ではなく、
鰍主任科学官の実験動物に配当されていた。
輸送ナンバーは047 >>495 、末尾奇数だったからだ。

ドッヂボールの毎日は、(こんなことで済むはずがない・・)という持続的な不安を
通奏低音のように脳のまわりにうならせていたが、それはそれとして、
この5日間は確かにラクだった。
というか、楽しかった。
グラウンドでは、
なんでこんなにドッヂボールにのめり込めるんだろうというくらいエキサイトしたし、
突発的に色んな喜怒哀楽の感情が湧いてきて、
自分って、こんなに感情の豊かな人間だったっけ・・ と不思議な気がするときもあった。

夜、ハケン倉庫で寝るときには、
もう二度と戻ることができない娑婆が恋しくて泣けてきた。
人間でなくなってしまった自分がケモノなりに哀しかったのかも知れない。
そんなときは、潰れた右眼の奥で
カリリ、カリリ と何かを削るような音が聞こえることがあった。

人肌の暖かさを求めて男色まがいの行為に走る者たちもいたが、
柊おぢさんの夢は軍用芋虫犬だった。
あの筒状の体を握り締めたい。
きゃんきゃん吠える頭を齧りたい。
柔毛の生えた腹を喰いちぎって内臓をすすりたい。
柊おぢさんは軍用芋虫犬製作杣台工場に配当されていた場合の自分のことを夢想することさえあった。

510 名前::2007/04/21(土) 12:25:50
5日目。

同じドッヂボール班の男が、
敵のボールに当たって死んで、外野に出たかと思うと
腹のなかから拳銃を抜き出して、ビルの窓のなかで視察する軍人に向けて発砲したとき、
柊おぢさんはいつものように「え? え?」と声をあげた。

どぅーーーーーんっ
どぅーーーーーんっ
どぅーーーーーんっ

びっくりして柊おぢさんはグラウンドに四つん這いになった。
ガラスが割れて散乱する音が聞こえた。

「全員、伏せーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!
立ってる者は、
撃ぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーつっ!!!!!!!!!!!!!!」

軍人の良く通る声が響き、柊おぢさんはひゃあぁぁあああぁああああぁあああああ とひれ伏した。
凸凹に歪んだ顔で歯を喰いしばり、潰れた右眼も、まだ見える左眼も、ぎゅうぅうう っとつぶった。

511 名前:柊軍曹から柊准尉へ:2007/04/22(日) 15:40:55
軍の特務班の少尉は開口一番、こう言った。
「やあ、ヒーローくん。
死体は黒幕や情報源を吐かねーぜ。プロだったら、脳は生かしとくけどな」

柊軍曹は静かな声で
「申し訳ありませんでした」とだけ言って、
尋問者の眼の下1cmのあたりを、ただ、睨み続けた。

「まあ、そんなに固くなるなよ。鰍ちゃんのおもりは、大変だぜ。あんたに務まるのか? それに、
鰍ちゃんは誰かに守ってもらわなくてもだいじょうぶな女の子だ。
下手に保護者面する男が出てくると鰍ちゃんの能力活性が落ちる可能性すらある」

柊軍曹はこの事情聴取というか査問の
位置付け――目的・意味・性格が
図りかねて沈黙した。

「あんた、榎クーデタのときは、証拠を目撃したのに、逃げたろ。 >>393
ぎりぎりの状況で、どんなことがあっても鰍ちゃんを守り切れるか?
逃げない、というだけじゃだめだ。プロは結果責任だからな」

軍部は基本的に親榎派だ。榎クーデタのときに証拠を目撃した柊軍曹が「正義」を貫くことは、
むしろ反軍的な行動であり、それを
軍の特務班の少尉が「逃げたろ」と糾弾するのはアンフェアもいいところだった。

「鰆ちゃんは――嘘がつける女の子だ。あの子は問題ない。困るのは鰍ちゃんだ。
鰍ちゃんは嘘がつけない。悪戯好きだし、無茶苦茶なことも平気でするが、嘘がつけないんだ。
もう一度言うが、鰍ちゃんのおもりは大変だぞ。あとで降りるくらいなら、いま降りろ」

柊軍曹はただ黙って
特務班の少尉の眼の下1cmのあたりに眼を据えていた。
「柊軍曹、きょうから君は特務に配属だ。君を主任科学官護衛准尉に任命する」

512 名前:柊の国の鰍と柊准尉:2007/04/22(日) 15:45:15
柊准尉は
「少女神のお気に入り」――それも、国家公認の――という立場になったのだろうか?
何とも胡乱な話だった。

鰍が好きだ、という、どうしようもない自分の気持ちと、
国家から与えられた新しい任務を、
どうバランスさせれば良いのか、柊准尉には良くわからなかった。
蜘蛛の巣につかまった虫のような気分がした。

鰍が待っているというので、
柊准尉は第2研究室に向かった。ノックし、名乗ると、
鰍の「かみん!」という声が聴こえた。

ドアを開けて柊准尉はたじろいだ。
作業台の上に生首が一個置いてある。よく見ると、頭部と胴体をつなぐ部分という意味での
首を前後から板ではさみ、
板が合わさる部分の 半月+半月=● 型の穴から頭部を突き出させているのだった。
胴体は作業台の下にあるのだ。

生首は頭骨を剥がれ、脳を露出していた。

「このひとはねー 軍用芋虫犬製作杣台工場のほうで発見された柊革命組さん。
黒幕や情報源のデータを出力してもらうの♪」

鰍は歌うような声で
無邪気に言った。

513 名前:柊の国の鰍と柊准尉:2007/04/23(月) 01:32:42
柊革命組員の脳から
膨大な量の秘密情報をダウンロードすると、
鰍のその日の仕事は終わった。鰍は何をするにも一生懸命で楽しそうだ。

第2研究室には鰍、柊准尉の他にも、
鰍の実験助手や軍の特務班員がいたが、ダウンロードした情報を特務班員に渡すと鰍は、
柊准尉に「行こ」と言った。

夕暮れの図書室にふたりで入った。
全身をゆったり包み込むような安楽椅子が二台、
図書室に運び込まれていた。

「この椅子、わたしが設計したんだよ」

一台に鰍が座り、もう一台に柊准尉が座るということらしい。

「座って」と言われて、柊准尉は座ってみた。それは
ほんとうに座り心地の好い椅子で、しかもまるで
鰍と身を寄せ合って座っているみたいな暖かなオーラに全身を包まれた。

テーブルを隔てた向こうにいる鰍を見ると頬を紅潮させていた。
真っ赤な顔のなかで
大きな瞳がきらきら光っていた。

514 名前:柊の国の鰍と柊准尉:2007/04/23(月) 01:34:54
「知ってる? 鰆ちゃんとか、わたしって、孤児なんだよ? 榎くんもそう。
あ。――別に秘密とかじゃないから、重たくなっちゃ、やだよ。
公開情報。写真集にも書いてるし」

春とはいえ、たそがれ時ともなるとちょっと肌寒い図書室で、
鰍が歌うような口調で話す。

「「基本的信頼」って、知ってる?
こどもって親に対して、たぶん、全面的で根本的な信頼を抱くの。それが
人間に、自分はこの世界で安心して生きてていいんだ、という自然な自己肯定感を与える。

でもね、鰆ちゃんとか、榎くんとか、わたしとかみたいな孤児の場合、
「基本的信頼」が構築されずにおっきくなっちゃったりする。
そーするとね、そういうこどもはね、
――もっっの凄く頭が良くなるか、萎縮しちゃうか、どっちかなの」

鰍は自分の内面を明晰に言語化することができた。
グラウンドでのテロ事件のとき、
柊准尉(柊軍曹)が与えてくれた「あなたをまもりたい」という純粋な愛が、
鰍自身の構築した軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングによって
物質的に伝送されたものであって、
自分がいま、ある意味では「薬物中毒(愛物質中毒?)」みたいな状態であることを、
鰍は明晰に自覚していたが、――言語化できるということと、
自分のなかの感情の塊から逃れられるということとは違う。

鰍は自分がいま感染してしまった感情を、別に
恋と呼んでしまっても良いのではないかと思った。だって、
〈私〉と〈私〉は、物質化して、肉体を通してしかコミュニケートできないんだし、
だとしたら眼と眼が合ってどきどきすることと、
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングを通して感情が伝播することとを、
区別する意味なんてないよね。
前者は光子による情報伝達で、後者は微量物質による情報伝達。

515 名前:柊の国の鰍と柊准尉:2007/04/26(木) 13:49:27



知らないあいだに眠ってしまっていたみたいだ。

柊准尉は眼を醒ますと、
一瞬前まで自分がどこにいたのか、
時間のつながりを見失って慌てた。記憶のなかであたふたし、
――そして思い出した。
自分がついさっきまでどこにいたのかを。



安楽椅子に横たわったまま、前を見ると、
鰍が一心に、こっちを見つめていた。
ついさっきまで――

ふたりで楽園にいたのだ。

鰍の設計した安楽椅子は、
睡眠状態で仮想現実を作り出す機能をもっているらしい。ふたりに、
同じ夢の国を与える機能である。

それも、
ディズニーランドみたいな仮想客観世界が事前にデータとしてサーバ内に用意されていて、
それぞれのクライアントがそれを参照する、といったことではなく、
鰍の安楽椅子は、
ふたりのあいだで夢の通い路を開く働きをするようだ。
作り出された仮想現実はふたりが持ち寄った夢イメージの合成物であり、
〈私〉と〈私〉の共鳴であるようだった。

516 名前:柊の国の鰍と柊准尉:2007/04/26(木) 13:51:44
ある時ふたりは小学生の女の子と男の子で、
一緒にジャングルジムに登ったり、
深い考えもなく抱き合ったり、くすぐりあったりしていた。

ある時ふたりは束京の夜景を眺めながら、
なぜか一緒に温泉に入っていて、
タオルを巻いて隠しているけどふたりとも裸なのだった。

軍人の体はマッチョというよりよく締まっていて、
大きな腕が小さな白い猫の柔らかい体を抱き上げ、お姫様抱っこしようとすると、
タオルが外れそうになって場面が転換する。一面の野原だ。

ふたり一緒に樹海を歩いている。
繊細な時間の堆積に覆われた、物凄く太い樹を見て、いったい
樹齢何年なんだろうと話しながら
不意に宙に浮き、気がつくと
樹海を上空から見下ろして飛んでいる。広い大地。

ずっと手をつないでいた。
ずっと笑い合っていた。
ずっと体温を感じていた。

南の島の砂浜を歩いて吉佯寺にある彼の下宿に帰り、
男の脚と脚のあいだで、
安楽椅子に寝そべるみたいにして窓からビルを見上げていると、
背後から抱きかかえている男の手が
おへそのあたりを撫でていたのに
だんだん領域を広げてくる。

517 名前:柊の国の鰍と柊准尉:2007/04/26(木) 13:53:45
あごをつかんで
顔の向きを変えて――キスしようと思ったら
猫みたいに体をひねって逃げていった。



柊准尉はさっきまで味わっていた鰍の体温が
仮想現実だとしたら淋しいと思った。
鰍の体をじかに確かめたくて
安楽椅子から立ち上がった。

すると、――現実の鰍も
猫みたいにするりと体をひねって
安楽椅子から抜けて、
図書室のドアまで逃げていった。

ドアのところに立ち、すこしのあいだ
柊准尉の顔を
ためすように見つめて、
静かにドアを閉じると廊下に消えた。

おやすみなさい、
と言っていたような気がした。



閉じたドアを見つめながら、
追うべきなのか、追っていいのか、迷っているうちに
時間が過ぎ去った。柊准尉は溜め息をつくと
図書室の硬い椅子に腰掛けた。
2台のカラの安楽椅子を眺める。安楽椅子のなかで
何かの機構が がさ と音を立てた。

518 名前:柊の国の鰍と柊准尉:2007/04/26(木) 13:55:03
夢の国を構築する情報処理をこなすために、高性能な電脳を、
鰍は安楽椅子に仕込んだわけではなかった。

もし、安楽椅子の仕組みを知ったら、柊准尉は発狂せずにいられただろうか?

鰍が椅子に仕込んだのは電脳ではなく、――あの最初の夜、2体だけ、 >>500
どこか別の場所に連れて行かれたハケンたちの
人脳だったのだ。というか、脳だけが安楽椅子に仕込まれたわけではなく、
椅子はいわば「人間椅子」なのだった。

全身の腱を切られ、
チューブを接続され、
椅子に部品として組み込まれた人体。
大脳は最早、
〈私〉の思考の器官であることをやめさせられ、
流出入するデータの処理に追われる生体計算機に改造されていた。

人体人脳系こそ、人間の五感すべてに対応するインターフェイス網を
あらかじめ備えた高性能なプロセッサーなのだ。
鰍の驚異的な設計は
2体のハケン人体を美事に使い切っていた。

519 名前:柊の国の鰍と鰆:2007/04/27(金) 01:25:29
どうだったー?

楽しかった、けど。

夢空間共有システムはちゃんと動作したんでしょ…?

したけど。なんかねー 初デート、みたいなもんじゃん。なのになー

どうしたの…?

なんか、いきなりエッチなこと求めてくる感じがやだった。

しょうがないよぉ 鰍ちゃん。だって、夢空間て言ったら、無意識だよ。
なまの欲望が出てくるに決まってるじゃない。だーかーら
最初っから同じ夢を見るなんて危ないって言ったのに。
なんかやなことされたのー?

うー なんかねー 抱っこして脱がされそうになったし、
あごつかんでキスされそうになった。

あごつかまれたのー? すごーい。柊さんって、自信家なんだねー
拒否られてめげてない?

わかんない。わたしはふたりでいちゃいちゃしたかっただけなのにぃ

わたしは鰍ちゃんのその感覚がわかんない。いちゃいちゃしたいのにエッチなのはやなの?

いちゃいちゃとスケベは違うもん。

まー そだねー

そだよ、ぜんぜん違うよ。でも、一緒に温泉入った。いい体してたよぉ

520 名前::2007/04/29(日) 12:26:14
夜。47体のハケンたちはハケン倉庫に収納されている。
狭い廊下の両側に3段ずつ並ぶ、カプセルシート。
備品を置く棚のようでもあり、牢のようでもあった。

いまではハケンたちの首には金属製の首輪がはめられていて、
リモートコントロールで注射針が突き出し、いつでも
脳を眠らすことができるようになっている。眠らすだけで殺すわけではないのは、
自殺志願でバカをやるハケンが出て来ることへの抑止だ。
鰍は首輪に反対したが、

眼の前で実行されたテロがハケンたちに悪影響を与えたかも知れない
という懸念を持つ基地司令は、鰍の要望に同意しなかった。万が一、
叛乱じみた真似でもされれば基地司令の首がとぶ。

鰍としては、データ収集用の実験動物として使っているハケンに、
余計なストレスが掛かってノイズとなることをいやがったのであり、
基地司令に安全保障上の問題だと言われては、それ以上
反対する理由は別になかった。むしろ、
47体を軍用芋虫犬製作工場に下取りに出して、
新しいロットを買いなおすことを考えるべきなのかも知れなかった。

521 名前::2007/04/29(日) 12:28:11
カリリ、カリリ

カプセルシートに収納されて寝る柊おぢさんの
潰れた右眼の奥で、何かを削るような音が聞こえている。 >>509

カリリ、カリカリカリ、カリリリリリ

音はだんだん激しくなり、それに伴って
何かが焦げる臭いとか、
ずきずき貫いてくる激痛が起こるようになった。
柊おぢさんは両眼をギリリとつぶり、歯を喰いしばった。
異状がばれればどうせ殴られるに決まってる!

騒音や臭気や鈍痛がマックスに達したとき、不意に扉が開き、
潰れた右眼の奥の視界に、
白い強烈な光が刺し込んだ――

たどたどしい合成音声が聞こえてくる。

「ワたシ は クらリす。
ヴァーチャルリアリティシステム、《窓》へ ヨうコそ。
ワたシが 初期設定の お手ツダいヲ イタしマす」

黒メイドの衣装を着たふざけたアニメキャラが
白い光を背景に扉から出てきて言った。

「まズ、視覚の同調をイタ・・」

言いかけたところで誰かが何かをクリックし、
柊おぢさんの潰れた右眼の奥の視界は急に鮮明になった。

522 名前:柊の右眼の奥にて:2007/04/29(日) 12:34:28
そこは開放的なコテージで、
太陽の光が降り注ぐ庭を背にして若い女性が
柊おぢさんの眼を覗き込んでいる。


            <●>   <●> 


覗き込まれている柊おぢさんの眼が、おどおどしながら、もの欲しそうに、
彼女の白い胸元を覗き込む。

女性はどことなく鰍主任科学官に似ている。 >>480 だが、
鰍がまだハイティーンで少女少女してるのに対して、
柊おぢさんの右眼の奥の視界に登場したのは20代前半のおとなの女性だった。
とはいえ、柊おぢさんから見れば「今風の若い子」とカテゴライズされる、
「子供みたいなセクシーな女」である。

「うん。ちゃんと動作してる。聞こえてるよね」
こういう女性と話したことがない柊おぢさんは緊張しきった顔で軽くうなずき、
次に慌てて大きくうなずき、
最後に「き、聞こえてます」と口ごもった。

「聞こえてるのはわかってる。独り言だから返事しなくてもいーよ?」
女性に言われて柊おぢさんは泣きそうになった。
 
「あなたはこれからわたしの手駒になるの」

523 名前:柊の右眼の奥にて:2007/04/29(日) 12:40:25
女性は色の白い顔を、柊おぢさんのでこぼこの顔に
キスの距離まで接近させ、きれいな瞳で作業に没入しながら、
美味しそうな唇からときどき「独り言」を洩らした。
柊おぢさんにはあまりよく理解できない内容だったが、およそこんなことを話していた。

右眼に網膜が残ってて良かったぁ
視神経を脳へのコネクターに使えるからね。
ナノプラントを植えつけて、《蟲》が
網膜に並ぶ視細胞の一つ一つを巣にするのを待ってたの。
あなたの右眼は、いまでは、外から見たら銀色に光っちゃうから、右眼を開けちゃだめだよ。
とゆーか、開けられないように神経を結線しといたから、あなたがミスることはないよ。

柊おぢさんが、「なぜ右眼で映像が見えるだけじゃなくて声が聞こえるんですか」
という意味の質問を口ごもると、女性は答えてくれた。

視覚の「此れ性」と聴覚の「此れ性」が        ※ドゥンス=スコトゥスの「此れ性」
結局のところ何なのかは
わたしにもよくわかんないけど、脳は情報処理をしてるだけなんだから、
視覚用だった処理系の一部を流用して
聴覚情報や、嗅覚や、味覚、触覚を載せることはできるはずでしょ?

とくにあなたの場合、おやじ狩りに蹴られて右の眼球が跳び出したとき、
いままでの枠組みでは処理し切れない未体験の視野が脳に開かれていたから、 >>447
処理系がとぉーっても構築しやすかったよ。
右眼からの視覚入力だったラインの、一部を視覚入力に残して、
ただし、視野を狭くして、画素をちょっと落として、
その代わり、ラインの残りの部分に聴覚とか色々を載せたわけ。
わかる?

自分から質問しておきながら、柊おぢさんは、
彼女の胸元の白い谷間や、ミニスカートと
黒いオーバーニーソックスで区切られた絶対領域とかに眼をちらちら向けるのに忙しかった。バカだ。

524 名前:柊の右眼の奥にて:2007/04/29(日) 12:47:43
そのとき、柊おぢさんがつい左眼を開けてしまった。
途端に柊おぢさんは船酔いみたいになって吐き気を催した。

いままで、右眼の奥に開かれた仮想世界では
陽が燦々と差す庭に面したコテージのリビングで
椅子に腰掛けて女性に右眼を調整されていたのに、

左眼が開くと、リアルの柊おぢさんは
暗いハケン倉庫のカプセルシートに赤褌一丁で横になって、
上段のカプセルシートの黒い底部を天井として見上げていたからだ。

柊おぢさんが慌てて左眼を閉じると、右眼の奥の仮想世界の女性が あーあ というように
柊おぢさんを蔑んで見下ろした。

「まーだ、ふつーの性欲が残ってたんだ。こーゆーの、見たいの?」
そう言って女性は片方の太腿をゆぅくり振り上げると、
椅子に腰掛けた柊おぢさんの股間にパンプスの爪先を下ろした。
柊おぢさんの眼の前に、
すべすべした肌の絶対領域が咲き開いた。女の匂いがした。

「でも、あなたの脳から記憶をダウンロードしたところだと、
こーゆーののほうが、好きだと思ったんだけどなー」

そう言って女性は虚空から一匹の軍用芋虫犬をひねり出した。
きゃんきゃん鳴いてる。
柊おぢさんの鼻先に突き出すと女性は言った。

「食べたい? ん?」

525 名前:柊の右眼の奥にて:2007/04/29(日) 22:32:41
あ! あ! あ! あ! あ! あ! あ! あ!

柊おぢさんは仮想世界であぶら汗を滝のように流し、リアルの肉体では
両眼をギリリギリリとかたくつぶった、が、同時に、
眼を開けて仮想世界を手放してしまいたい
――選択することから逃げてしまいたい――という自分もいた。

だが・・

柊おぢさんは
軍用芋虫犬の手も足も無い筒状の体を両手でつかむと
でこぼこな顔をさらに歪めながら見つめた。

ああ・・

ぷっくりした腹に齧りついた。血が ぷっ と跳んだ。腸を啜っていると
気持ちが落ち着いてきた。眼を上げると、
飛び散った血が
女性の白い頬に紅い点々を描いていた。

「あ・・ お・・」
柊おぢさんは口ごもった。

「かまわないよ。――じゃね。
詳しいことはおいおい命令するから、ときどきこのコテージに来て軍用芋虫犬を食べていいよ。
イメージしながら空間を探るとつかめるからね」

そう言いながら女性の像はゆらめき不意に消えた。
柊おぢさんは陽射しがまぶしい庭に面したコテージに
ひとり取り残された。この場所は右眼の奥に存在するのだった。

柊おぢさんは朝までコテージに留まり、軍用芋虫犬を37匹喰った。

526 名前: ◆USO800B5B. :2007/05/03(木) 02:52:46
いけないことと知りながら
きみの身代わりを無意識に求めてる
不幸なものを増やすだけなのに

もうすぐ会えなくなる
永遠に?
この次に会うときには永遠に一緒
きっとね

527 名前:柊の国を見下ろすアイ:2007/05/05(土) 01:30:25
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/480n-493

アイは、
柊おぢさんに与えている仮想現実から自分自身を削除すると、
両手を頭の上高く組み、胸を張って大きく伸びをした。
作業を続けすぎてちょっぴり疲れた。



「4次元の客観世界」は、
「7次元時空」のなかの不確かな沈殿膜である。アイの秘密基地は
この沈殿膜からほんの少し浮上したあたりの、虚空に漂っている。

星の宇宙に、人工衛星のように漂っているわけではない。
星の宇宙とはつまり、「4次元の客観世界」のことに過ぎない。

アイの秘密基地が漂っている虚空とは、7=4+3の、
残り3次元の方向に少し浮上したあたりで、伝統的な言葉では
「冥界」などと呼ばれてきた場所に相当する。
一面にひろがる葦の原。

528 名前:柊の国を見下ろすアイ:2007/05/05(土) 01:33:12
NOVA警察はガイアの100億年の時空に神経系をはりめぐらせていた。
夥しいチャートの群れ。それを束ねる
無数の生い茂るモナドたち。そのあいだを縫って、
NOVA警察の情報伝達経路がこまごまとした網の目を描いている。

人類が化石燃料を大量消費していた時代の時空域のある点(地球周辺の宇宙空間)において、
分裂飛行をする質量体を確認したミドンさんたち(NOVA警察の下部組織)は、
質量体が当該時空域に出現するのと同時にレーザー光線を照射、
深海魚の形をした舟を航行不能にした。

ミドンさんたちの円盤は動きを止めた深海魚に近づくとき、
近くにいたフダラク市に、通りすがりにマイクロブラックホールを投げ込んだ。
小さな点はフダラク市の質量を飲み込みながら、市の中央を走るダイモン通りの上空で
青い光を放ち続けた。

フダラク市はNOVA警察の廃棄した衛星都市を地球人類が植民地化したもので、
富士の樹海のなかのある溶岩洞窟と次元回廊で結ばれていた。
フダラク市の矢場徹吾市長は衛星都市運用法第十二条にもとづき、次元回廊の出入り口を爆破し、
フダラク市の運命を地球から切り離した。

17時間後にはフダラク市は跡形もなく消滅していた。
市民の一部はスペースシャトルで宇宙空間に脱出し、
軌道上の宇宙ステーションに救出されたり、重力井戸を下って地球表面までたどり着いたりしたが、
大部分は市と運命をともにし、単なる質量にまで還元されてしまったという。

529 名前:柊の国を見下ろすアイ:2007/05/05(土) 01:35:32
この深海魚の形をした舟がアイの舟だった。NOVA警察から攻撃を受けたアイは、
畳んだ〈箱〉をバッグに仕舞い、ひじに掛けると、舟から外に跳んだ。
眼下に広がる青い惑星へのチャートを開こうと
「冥界」のなかを迷路を描きながら浮遊しているうちに――

いつの間にか、自分が、
滝壷に至る急流に乗ってしまっていることに気づいた。
アイの時間的前方に展開するガイアの多様体の支流では、
アルジャーノン指数が異様にゼロに近かったのだ。

アルジャーノン指数とは時空域の形而上物理学的な可塑性を示す指標で、
これがゼロのとき、形而上物理学は従来の物理学と一致する。
アイが追い込まれた時空の支流では、「チャートを開いて跳ぶ」ということが
限りなく不可能に近かった。

この支流がアイを閉じ込めるための牢なのか、だが、
こんな大掛かりな牢を用意するくらいなら、なぜ単純にアイを抹殺しなかったのか、
それとも、この未来のない支流が単なる自然現象とか、あるいは
巨大すぎるNOVA警察の別な下部組織が行っている何らかの実験に過ぎないのか――

アイには出来事の全貌はとても見通せなかった。
ただ、現下の状況を分析総合する限り、自分の時間的前方には
閉ざされた「4次元の客観世界」だけが展開していて、
先へ行けば行くほど、「7次元時空」での飛翔が不可能になるということだけは確実だった。

アイは「冥界」をさ迷い、
自分が居心地のよさを感じる場所を探して――その場所を見つけたとき、
〈箱〉を開けて秘密基地を展げた。そして武器を調達するため、
「下界」に――柊の国に干渉することを始めたのである。

530 名前:柊の国を見下ろすアイ:2007/05/05(土) 23:32:02
胸を大きく張って伸びをしたアイは、
床に座り込み早くも4匹目の軍用芋虫犬に齧り付いている柊おぢさんを、
見下ろした。



現実の柊おぢさんはハケン倉庫のカプセルシートに寝ているのだが、
その右眼の視神経からは、陽の燦々と降り注ぐコテージの
全覚的な仮想現実世界が注ぎ込まれている。

だが、仮想現実と言っても、
少なくとも右眼による視界に関しては、「右眼の視神経から」という正規ルートからの入力なので、
柊おぢさん本人にとっては「現実」以外のなにものでもない。
肉眼と仮想現実とのあいだに、器具とか投影膜をはさんでいるわけでは
ないのだった。そして、
視覚以外の感覚入力に関しても、
いままでと入力の位置が何か違うなという感じはするものの、
慣れてしまえば正規品と違いがあるわけではなかった。



柊おぢさんの脳とのデータの送受信によって、
この仮想現実世界における彼の自己像が構築され、それはまた、
右眼から注ぎ込まれる仮想現実にも反映される。

仮想現実における彼のこの自己像を、アイは
自分の脳にも送受信させて、現実の部屋に
レイヤーを重ねるようにして置いているのだった。
アイがいま見下ろしているのはその姿だ。

531 名前:柊の国を見下ろすアイ:2007/05/05(土) 23:35:05
それとは別に、アイの手術台の上には
きれいな網目状の生物組織みたいなものがいくつか載っていた。それは
「4次元の客観世界」に「+3次元」の方向から接近して得られた
柊おぢさんの右眼眼底の
リアルタイムの現物だった。脳の各部位の時空的断面もあった。
顕微鏡的な検査・手術になるため、
小さな組織は半球形のカプセルのなかにあり、
糸のように細いマニピュレータが無数に取り囲んでいる。

全体としての柊おじさんの人間的醜さとは別に、
組織の細部はとても美しい。

操作性を良くするため、手術野も仮想現実化して部屋にレイヤーを重ねている。
もともと顕微マニピュレータの操作は仮想現実的に行われるのだ。
さっきまでアイは、
仮想現実内の柊おぢさんの自己像の
右眼のすぐ横に眼底の現物の仮想現実化像や、
脳の各部位の時空的断面の仮想現実化像を置いて、
交互にチェックしながら
システムの微調整を行っていたのだった。――そしてその
作業をするアイ自身のリアルタイムデータを
柊おぢさんの右眼から注ぎ込む仮想現実に反映させていたのである。

532 名前:柊の国を見下ろすアイ:2007/05/05(土) 23:37:19
柊おぢさんに与えている仮想現実から自分自身を削除しても、
最初からこの部屋にいるアイにとっては
別に何も変化しない。ただ、
自分自身のリアルタイムデータが柊おぢさんの主観的現実に送信されなくなったことで、
いちおう、視線からの開放感はあった。もっとも、
最初から大して気にしたりする視線ではなかったが。



初めのうち、柊おぢさんは
ゆらめきながら消失した女性に呆然としていたが、
すぐに軍用芋虫犬に引き戻され、
空中からひねり出すと立て続けに貪り食いはじめた。

アイはその姿を特に憐れむでも、侮蔑するでもなく、
興味深そうに、いたずらっぽい眼で一瞥すると、
作業の終わった眼底や脳の時空的断面を解放し、手術終わりっ と呟いて
部屋を出た。

シャワーで髪とか体とかを洗い、ゆっくり湯舟につかって戻ってきたとき、
柊おぢさんがまーだ軍用芋虫犬を貪り続けているのを見たアイは、
さすがにあきれて あーあ と溜め息をついた。
そして柊おぢさんのレイヤーを脳内でオフにすると、仕事用の部屋を出て、
ピンク色の可愛い小部屋に帰り、ベッドの
ふかふかの布団にもぐりこんだ。

うー 疲れたー おやすみー

533 名前::2007/05/06(日) 19:17:47
「おいっ!!」

柊おぢさんが38匹目の軍用芋虫犬のお腹に齧り付こうとしたとき、
突然、現実が襲ってきた。

同じドッヂボール班の班員が
柊おぢさんを載せたカプセルシートの金具を引き抜き、
シートの足側が ばんっ! と落ちるのにまかせたのだ。柊おぢさんは叩き落され、
いまや斜面となったシートから ずず と崩れる。
「え? え?」

「なにが「え?」だよ!! え?」
班員が腹に蹴りを入れると、
柊おぢさんは通路にぶちまけられた生ゴミと化した。班員は
「くせー臭いさせてんじゃねっ!」と怒鳴った。

実際、朝まで37匹の軍用芋虫犬を貪り喰い続けた柊おぢさんからは
何とも言えない臭気が漂っていた。
犬を喰ったこと自体は仮想現実側での出来事だが、
それに対する現実の肉体の反応が、所詮肉の身である人間の哀れさを表わしていた。
ハケンたちのなかには
生理反応してしまう肉体への憐れみから
柊おぢさんに共感的に感じる者も何人かはいたが、大部分は無関心であった。

しかし、さらに何人か、
無関心でも、共感的でもない者たちがいたのである。
彼らは人数こそ少なかったが、暴力の独占という点ではハケンたちの「多数派」であり、
自らの肉体の力に何がしかの(ハケンなりの)「プライド」を残していたからこそ、
柊おぢさんがもたらした、肉体の肉体性の露呈が不快だった。
手短に結論を言えば、
彼らは柊おぢさんをぼっこぼこにしたのである。

534 名前::2007/05/06(日) 22:46:05
ハケン管理の柊三等兵はこのリンチを
「朝の体操」と見なして黙過した。

朝6時、規定の時刻に起床音が鳴り、
カプセルシートの金具がいっせいに外れた。
ほぼすべてのハケンが既に起床していたが、
まだ眠っていた数名は ばんっ! と叩き落され、苦痛に顔を歪めた。



朝礼のとき、3体のハケンに「どこか別な場所」での勤務が発令された。
4つのドッヂボール班のうち、
テロ実行犯を出さなかった3つの班から1人ずつ。



鰍主任科学官が購入した新品のハケンは50体だった。
そのうち2体は夢空間共有システムの開発に使った。 >>518

残りの48体は48=12×4のドッヂボール班に分け、
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングの実験動物として使っていた。しかし、
うち1体は柊革命組のテロリストで、柊軍曹(当時)に射殺された。
残りは47体。これはなんとも中途半端な数字なので、
あと3体間引いて、4の倍数になるようにしようと
鰍は考えたのである。

535 名前:柊の国を見下ろす葦の原のアイ:2007/05/08(火) 23:12:47
一面にひろがる葦の原。パステルグリーンの空洞。

7次元空間のなかでガイアの多様体からすこし浮上するとこの葦の原に出る。
一本一本の葦は、実は、ひとつひとつの〈生〉を体現している。
なぜこの場所にひとびとの〈生〉が
葦の形に析出してくるのかはよくわからない。

アイはフィールドを張りながら、
牛の胃袋みたいな大きなひろがりのなかを、遊ぶように翔んでいる。
こういう場所では直感が大事だ。
アイは浮遊しながら自分のこころのなかを見つめ、どの葦に惹かれるかを観察している。

これ・・
アイはある葦のそばに降下し、横に立つ。
身長と同じくらいの高さだ。
バッグからナイフを取り出すと葦の背すじを すーっ ときれいに切る。
葦の背中がみるみる開いて膨大な膜の重なりが羽衣のように湧き出して来る。
羽衣はアイの体を包み込み、そして――



アイは杣台駅前のペデストリアンデッキに立っていた。
あの葦が体現している〈生〉にとっての主観的世界(=モナド)のなかに入ったのだ。
〈私〉が空を見上げる。
〈私〉はともだちと二人で歩いていて、ともだちはセーラー服を来た女子高生で、
〈私〉も同じ制服を着ている。
鞄が重たいし、学校帰りで疲れているけど、二人でクリフロード商店街を通って帰ろうと思っていて、
ペデストリアンデッキから階段で降りる。

536 名前:柊の国を見下ろす葦の原のアイ:2007/05/08(火) 23:14:18
――ハズレかな・・
アイはこの作業を「テイスティング(味見)」と称していたが、
地球全人類の〈生〉が並んでいる葦の原のなかから、
作戦目的にかなう情報価値が高い〈生〉を
いきなり拾い上げるのは無理というものだった。

葦たちが並んでいる配列にどのような規則性があるのか――たとえば
葦の原での地理は、
現実の地球での地理をどのように反映するのか、なども不明だった。

このあたりの葦は、杣台と縁がある〈生〉である場合が多いようだが、
たまにそうとは限らない場合もある。
そもそも、葦たちの位置が確定しているのか、
「時間」とともに変動するのかすら、定かではない。もしかしたら、
PCのフォルダのなかのファイルの順番が
閲覧者がクリックして決めるソート順(名前順、種類順、サイズ順、・・)に依存するように、
観測者の興味にしたがって葦の配列が変化する可能性さえあった。
もし本格的に調査するなら、
多人数の研究者を投入して長期間に渡るフィールドワークを行う必要があるだろう。

「冥界」のなかで秘密基地を開くときに、
杣台に縁があるらしい場所を選んだということが、
アイの最初の直感の力だと言える。 >>529
なぜなら鰍がいたからだ、杣台には。

537 名前:柊の国を見下ろす葦の原のアイ:2007/05/08(火) 23:18:02
〈私〉がともだちとしゃべっている。

「知ってる? 知ってる? メープルロードの角にさー、出るんだって」
「出るって?」
「霊が出るの。コワクナイ? 歌ちゃんが見たって言ってた。駆君と一緒のとき」
「えー? やっぱりつきあってるんだ、あのふたり。チョ仲好いよねー」
「いーなー あたしも彼氏欲しー」            >>499

歩道に立っている〈私〉の横の車道で、ごつい貨物トラックが信号待ちをしている。
このトラックで、いま、柊おぢさんを含むハケン50体が輸送されているのだった。
実はこの「縁」がアイをこの葦に引き寄せたのだが、
アイはこのことに気づかず、ただ、ハズレだと考えて、
このモナドから離脱した。

葦はやはり観測者の観測に応える存在なのかも知れない。
アイが羽衣から外に抜けると、羽衣みたいな無数の膜は
重なり合いながらきれいに葦のなかに畳まれてゆき、
もとの葦に戻った。そしてこうなるともう、他の葦と見分けがつきにくくなる。
長持ちするマーカーを付けることもできず、
葦の「テイスティング」は行き当たりばったりになる他ないのだった。

アイは再び
牛の胃袋みたいな大きなひろがりのなかへ翔び立ってゆく。

538 名前:柊の国を見下ろす葦の原のアイ:2007/05/14(月) 00:15:22
「冥界」――このパステルグリーンの空洞を浮遊するとき、
アイがいつも眼の隅で探している形象がある。
黒衣の花嫁、というコードネームで呼ばれている存在の姿だ。
一度だけ出会ったことがある。

深海魚型の舟をNOVA警察に航行不能にされ、チャートを開いて
「冥界」に跳び込み、
追っ手を撒くため迷路を描いて浮遊していた頃のことだ。 >>529

黒衣の花嫁は、大きな空洞を取り囲む葦の原の
小さな丸い丘に脚を組んで腰掛け、
七弦の琴をかき鳴らしていた。
七つの弦の一本一本が七つの次元に対応していて、
かき鳴らすことによってチャートを変調させたり、
跳んだりすることができるのだ。

黒衣の花嫁が腰掛けている小さな丘と
アイとのあいだには、まだかなりの距離があった。
その、遠い景色のなかで、

眼を伏せていた黒衣の花嫁が、不意に眼差しをアイに向けた。
視線がアイを貫いた。


            <●>   <●>


――ずっとあとになってから、
あの時、黒衣の花嫁こそが自分を
この滝壷に至る時空の支流へと誘い込んだのではなかったか、と
アイは考え、悩んだ。
あの時、黒衣の花嫁はいったいどんな表情をしていたんだろう・・

539 名前:柊の国を見下ろす葦の原のアイ:2007/05/14(月) 00:17:05
眼と眼を交わした一瞬後、
黒衣の花嫁の清楚ななかにも華麗なドレスが
羽衣のように、湧き立つように宙に舞い、
気がつくとアイの眼の前には、
無人の葦の原が広がっているだけだった。

黒衣の花嫁は自ら去ったのか、それとも
なにものか(NOVA警察)の攻撃を避けて逃げたのか。
黒衣の花嫁が腰掛けていた小さな丘とアイのあいだにはまだかなりの距離があったから、
眼で見た光景以外には情報がなかった。

アイは小さな丘に接近することを避けて、さらに迂回迷路を描いた。

540 名前:柊の国の鰍:2007/05/14(月) 00:18:48
夢空間共有システムの基本設計に関する特許の貸与
及び製品化に向けての共同開発の契約を、
業界の次世代最大手と目されているケララと締結した鰍は、
この件が一段落したことで
〈杣台〉の声と形而上物理学の研究に集中できると思い、うれしかった。

http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/482n-493
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/511n-519

営城県知事からは、県の活性化の観点から
鰍主任科学官の杣台滞在を「県をあげて大歓迎する」という声明があり、
鰍にはさまざまな便宜が図られることになった。
一方、束京からの帰還要望も何度も繰り返されていて、いずれ
「帰還命令」という形になる可能性もあった。

ケララとの契約では、鰍は500億園の契約金を得た。
契約交渉の煩雑な作業は、鰍の意向のもと、
鰍マネージメントという専門の会社が行った。
実務を任されているのは、
束大で戦略経済学をマスターしただけでなく、執事免許1級も取得しているという、
「おつかえすること」のプロだった。
鰍は人格・能力ともに信頼していたが、だからといって
書類も確かめずにサインするようなセキュリティ意識の低い真似はしなかった。
信じられぬと嘆くのも、
人を信じて泣くのも、バカがすることであり、
鰍は人を信じて笑うのだった。

541 名前:柊の国の鰍:2007/05/15(火) 01:19:00
そもそも鰍が杣台を訪れたのは、
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングの試運転を行ううえで、杣台が
都市としての規模が適当だったからに過ぎない。
もちろん、軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングは、最終的には、
全国のすべての主要都市、特に束京にも導入される予定である。
だから、本当は、
もっと早く試用段階を抜け出すことが期待されていたのだった。

だが、〈杣台の声〉というべき現象を発見してしまった鰍は、
原因究明に夢中になった。
その過程で、鰍は、形而上物理学の没落の「真相」を知る。

軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングのスキームを最終的に定めるためには、
それに先立って、
〈杣台の声〉の形而上物理学的な解明が必要だ、とすら、いまでは鰍は考えている。
というのも、一度、最終的なスキームを定めてしまえば、
それが全国のすべての主要都市を覆ってしまうからで、〈杣台の声〉的な現象を
利用するにせよ、ノイズとして排除するにせよ、
もうちょっと現象の解明が必要だ、と感じるからだ。

542 名前:柊の国の鰍:2007/05/15(火) 01:22:07
だが解明には時間が要る。

軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングのほうで
すぐには「結果」が出せないことが見えた時点で、
鰍は、夢空間共有システムを組んでみることにした。

これなら、軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングのように、
「神経系的ではなくホルモン系的な情報伝達」みたいな基礎構築の転換までは必要としない。
鰍好みの「寄り添い型システム」※ だとはいえ、
    ※ 現象を外挿的に決定するのではなく、現象と装置が寄り添い、仲立ちを取りながら変調してゆく。
情報伝達自体は基本的にはデジタルだから、既存のソフトが活かせる。

何より、柊准尉と同じ夢が見てみたかった鰍は、
少女の底力を発揮して、あっという間に
夢空間共有システムを組み上げてしまったのだった。
(その結果は少女の夢的にはビミョーだったが。)

とにかく、これで中央に対しても仕事の「結果」が出せたし、
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングのほうは
1か月は猶予がもらえそうだった。
この猶予のあいだに鰍は形而上物理学の再検討と〈杣台の声〉の解明を果たしてしまうつもりだった。

だが、
この探究にはもちろん、ひとつの
深刻な気掛かりがあった。
――NOVA警察の存在である。
もし、それが実在するというのであれば。

543 名前:柊の国の鰍:2007/05/15(火) 01:32:17
もしNOVA警察が実在しないというのであれば、
形而上物理学の没落の「真相」はインチキということになる。
その場合、〈杣台の声〉を形而上物理学的に解明することは無意味だ。

だが、もしNOVA警察が実在するというのであれば、
形而上物理学に触ることは
途轍もない禁忌を犯すことになるのだった。

544 名前::2007/05/20(日) 20:37:08
柊おぢさんは二重生活をおくるようになった。

http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/520n-534

昼間は鰍主任科学官の実験動物としてドッヂボールをし、
夜になると、右眼の奥のコテージを訪れ、
軍用芋虫犬を貪り食いながら、
ハケンでなく、正社員だった頃みたいな「人間らしい」時間を過ごすのである。

師匠は、あれ以来、
柊おぢさんの前に姿を見せていないが、気配は感じられた。
コテージの設備で、やっていけない(らしい)ことは
端的に出来なかったから、出来ることはやって良いのだろうと
柊おぢさんは解釈した。

太陽の光が燦々と降り注ぐ庭を歩いたり、
デスクに向かって座り、PCを開いて
音楽を聴いたり、ネットを見たりした。

このネットは、
ヴァーチャルリアリティシステム《窓》が仲立ちして与えている
現実のネットのデータである。柊おぢさんは
電波お花畑というふざけた名前の掲示板を見つけた。

545 名前::2007/05/20(日) 20:38:33
柊おぢさんは
『愛する犬に捧げる独り言』というスレッドを立てると、
軍用芋虫犬を貪り食うことがいかに気持ち好いかについて、
妄言を書き連ねては悦に入った。

    1 :柊 ◆4hEFic5SYU
    大好きな犬!
    愛する犬の美味しさ!!
    基本的にぼやきとかなので、スルーでお願いします。

    柊はsageで日記見たく電波を書くので
    疲れるのでレスは基本的にいらないです。
    でもたまにあると励みになります。
    宜しくお願いします。

睡眠不足のため、みるみる体力は落ちてゆき、
昼間、ドッヂボールをしているとき、
ぼーっとしていてボールを取り損ねたり、
ボールをぶつけられて死んだりすることが増えた。

同じ班のハケンたちから「使えない奴」として
罵声を浴びせられたり、小突かれたりするようになったが、
夜になると、右眼の奥での別の「生」があるのだから、
柊おぢさんは平気だった。

お、おれの右眼は、銀色なんだぞ。
おまえらとは違うんだ。

546 名前::2007/05/20(日) 20:39:57
4つのドッヂボール班から1体ずつ、4体のハケンに
「どこか別な場所」での勤務が発令された。
これでドッヂボールをする残りのハケンは
10×4=40体になった。

547 名前:柊の国の鰍:2007/05/22(火) 01:06:56
鰍はまたもや図書室に籠もり切りだ。

机ごとに
積み上げた本の担当分野が異なるらしく、
すべて独り占めにした机から机へと渡り歩きながら、
本を調べ、ノートに数式を書き散らしている。

あの安楽椅子――夢空間共有システム――は、そのまま
図書室に置いてあったが、その後、
柊准尉との「添い寝」は(まだ?)してない。
ケララには、 >>540
間引いたハケン3体のうちの >>534 2体を使って
新たに2機を作り、試用機として譲り渡した。

警護ということで鰍に付き添っている柊准尉は
ときどき鰍に紅茶を入れたり、話し相手になったり、
ふと眼が合ってみたりしている。

いま、鰍が没頭しているのは、
「モヨコ双対モナドのモジュライ構造」の数学的研究だ。

アルジャーノン指数が低い現実世界において、
なんとか形而上物理学を実証してみたいと考えた鰍は、実験手法を考案するため、
数学的側面から詰めてみることにしたのだ。

物理学としての形而上物理学が凋落したあとも、事柄の
数学的側面の研究は、
ほそぼそとながら進展していたからである。
『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』の時代にはわからなかったことでも、
いま、鰍が考えれば見えるかも知れない。

548 名前:柊の国の鰍:2007/05/22(火) 01:10:01
第1研究室は
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングの制御室として
すっかり形を整えられていた。

鰍の座席を中心に、扇状に
鍵盤やコントローラや液晶画面・スピーカ群が展開している。
どちらかといえばここは
鰍が音楽を奏でる場所なのだが >>435 、見掛けはむしろ、
レコーディング・スタジオのコントロール・ルームを想わせた。

液晶画面・スピーカ群は――
水道チューブ内の微量物質の電子的モニター、
杣台全域の監視カメラ映像、
その他、電力消費、交通網、民間TV、携帯電話のランダム盗聴、メールのランダム盗読、など、
リアルタイムでの杣台の全体像を構築するための観測システムであり、一方、

鍵盤やコントローラで軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングを操作することで、この
杣台市を自在に
かき鳴らすことが出来るのだ。

鰍の真正面、
レコーディング・スタジオであれば「金魚鉢」と呼ばれる演奏家のブースに当たる場所には
巨大なプラズマ・ディスプレイが設置されていて、いまは、
別の場所にある正方形の部屋のなかで
不安げにうろうろしている4体のハケンを映し出している。 >>546

549 名前:柊の国の鰍:2007/05/22(火) 01:12:05
「軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティング、実験運転第73回、開始します」

演奏前のピアニストのように
鍵盤を前に、膝の上に指をそろえた鰍が、
蜜を含んだ可愛い声で真面目に宣言すると、
プラズマ・ディスプレイが12個の分割画面に切り替わり、その1個1個が、
正方形の部屋のハケンたちをさまざまな角度から映し始めた。
鰍直属の研究員が後方でスイッチを入れたのだ。

今回の運転では、制御演奏席の機能を
杣台市ではなく、
実験装置である正方形の部屋に限定的に振り向けて使う。

アルジャーノン指数が低い現実世界において、
なんとか形而上物理学を実証してみたいと考えた鰍は、
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングを
披験体をショートさせるくらいの超高速度で運用することで
モナドの融合をもたらす実験を考案したのである。

もともとは、〈杣台の声〉現象を
形而上物理学的なモナド理論によって解き明かそうとしていたのだが、逆に、
〈杣台の声〉的なモナドの融合によって形而上物理学の実証をしようというのだ。
このような構図の歪形は、科学的発見においてよく起こる事態である。

550 名前:柊の国の鰍:2007/05/22(火) 01:16:06
モヨコの数学的理論によれば、
7次元時空における4次元ガイア沈殿の周辺には「モヨコ双対モナド」が析出する。
(『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』では
この理論は第5章「数学的理論」で紹介されている。)

モヨコ自身は、
    「4次元の客観宇宙」に棲まう単体のモナドについて、
    チャート群の双対的な逆極限を考えると
    7次元時空のなかでは、4次元ガイア沈殿の周辺に「双対モナド」が析出する
という定理を証明しただけだったが、
鰍は図書室での研究で、この「モヨコ双対モナド」の
モジュライ構造を洞察したのだ。

モデュライ構造とは、つまり、
ひとつひとつの「モヨコ双対モナド」が
全体として織り成している構造のことである。

「モヨコ双対モナド」は相互に複雑に絡み合いながら、まるで
葦の原みたいな幾何学的構造を成しているのだった。

この葦の原の基層――ひとつひとつの葦が生えている大地――にこそ、
本来孤立しているはずの
モナドとモナドのあいだを〈底〉のほうで通じさせ、
〈杣台の声〉を現象させる仕組みがあるのではないか。

鰍は「4次元の客観宇宙(つまり、いわゆる現実世界)」の側から
どのように働きかければ、この
葦の原の基層に「話し掛ける」ことが出来るのか、
「モヨコ双対モナドのモジュライ構造」を突き止めた――と考えている。
それを
この4体のハケンで実験しようというのだった。

551 名前:柊の国の鰍と柊准尉と・・:2007/06/01(金) 00:07:26
4体のハケンたちがプラズマ・ディスプレイの
12個の分割画面のなかで、前衛舞踊みたいに体を動かし始める。輪を描きながら、
立ったり、しゃがんだり、腕を水平に揺らせたり・・

鰍がスライド・スイッチをゆっくり滑らせると、
液晶画面のなかでイボガノン酸ナトリウムを表わすオレンジが
急速に濃くなってゆく。

鰍は液晶画面群を一瞥して諸データを拾う。
脳内では実験の全体が音楽のように鳴り響いている。
いま序奏が始まったばかりの今回の音楽は、
『ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のためのコンセール』のような編成だった。
ソリストがふたりいるのである。

552 名前:柊の国の鰍と柊准尉と・・:2007/06/01(金) 00:08:57
ある液晶画面で「4.79×10のマイナス7乗」というデータを拾った鰍は
後ろを振り向いて研究員とアイ・コンタクトする。今回の実験では、
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングによってハケンたちのモナドを融合させた結果、
アルジャーノン指数が変化するかどうかが見極めたいわけだが、
アルジャーノン指数の変化を観測するために、
正方形の部屋の床下や天井裏にセットした実験装置で通常物理の実験を行うのだ。
実験数値の異様な誤差という形で、アルジャーノン指数が観測されるのだった。

鰍は全体の指揮と
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングの演奏で手が塞がってしまうので、
物理実験は研究員の担当である。この研究員は
鰍マネージメントの正社員として新規雇用した人間で、鰍直属の部下だった。
軍には出向という形で来ている。

「物理実験、準備オッケーです。
いまのところ、アルジャーノン指数は4.79×10のマイナス7乗。
一般誤差の範囲内ですね」

鰍と一緒に実験を演奏するもうひとりのソリストが言った。

553 名前:柊の国の鰍と柊准尉と・・:2007/06/01(金) 00:11:43
この研究員の採用試験に
鰍を警護しながら立ち会ったときのことを
柊准尉は思い浮かべる――



形而上物理学の研究をすすめるうち、
人手不足を感じた鰍は、人材ハンティングのパレット社に、
極秘裏に依頼したのだった。過大な期待はしてなかったところに、
パレット社から彼女のスペック・ファイルが送られてきたとき、
鰍は眼を瞠った。
これだけの能力の持ち主が、なぜ有閑市民として埋もれているんだろう?
パレット社による説明では、「男嫌いだから」ということらしい。
「一緒に働く男性が必ずおかしくなってしまうので、嫌気がさしたそうです。ですから、
鰍先生のところで働けるのは本人も嬉しいと思います」

彼女のDVD動画を見て鰍もわかる気がした。
「国家の少女神」的な地位を確立する前は、鰍自身、体験しなかったわけではない話だ。

でも、鰍の場合は、
かなり早期から天才としての業績をあげていたし、
周囲も「鰍は別世界の人」と見て距離をとり、孤独のなかに放置してくれていたから、
嫌気がさすことはなかった。――というか、むしろ逆に、最初っから徹底的に嫌気がさして、
鰍は研究のなかに引き篭もってきたのだ、とも言える。 >>489

DVD動画のなかの彼女は画面のこちら側を印象的な瞳で凝視めている。
科学研究員の応募ではなく、
役のオーディションに応募してきた女優のプレゼン動画だとしてもおかしくない。
しかも彼女の有能さは、
スペック・ファイルによれば「まるで狂戦士」、なのである。

554 名前:柊の国の鰍と柊准尉と・・:2007/06/01(金) 00:13:53
「京部大学の大森教授のもとで形而上物理学を学ばれたんですね。
まず、モヨコの定理の証明を10分程度で概説してみてください」 >>487
「大雑把に言えば、無限次元モナド群がチャートシークェンスWに働くとき、
必ずシンギュラリティを伴うことが、第7選択公理のレヴェルで非構成的に証明され、次に、
このシンギュラリティを解消するためにモナド群をモヨコ拡大するとき、
真に異質な「齟齬クラスター」が存在していることを証明します。
この過程で、先の第7選択公理レヴェルでの証明がブートストラップ的に持ち上げられて、
第6選択公理レヴェルの外挿的構成性を獲得します。
そのためには無限次元モナド群の作用を4次元ガイア沈殿に制限したときの
日常モードでの物理群の作用の分類にもとづく、やや「汚い」虱潰し議論を必要としますが、
これは外挿的構成性なので仕方ありません」
「だとすると、モヨコの定理は単により広い世界の存在を証明しているだけでなく、
世界が変貌してゆくべき方角を控えめに指示していると考えることが出来ますが、
にもかかわらず世界が計算不可能なのはなぜですか?」
「モナド的計算者にとって計算が間に合わないだけで、
7次元時空自体を計算者と見るならつねに計算は行われているわけです。
外挿的構成性はモナドの骨組み構造を決定してゆきますが、
骨組み構造からvicediction的な微細なリアルに至る計算は、
リアルの計算速度に及ばないか、または、脱構築をもたらす齟齬を必ず含み込みます。
それこそがモヨコが証明したことです」

鰍はちょっと話してみただけで、彼女のことがすぐに気に入った。
自分と互角に会話することが出来る。
鰆ちゃんとはずっと関係が深いけど、鰍と鰆では分野が違う。

楽しそうに概念の応酬をするふたりを
柊准尉はただ黙って眺めている他なかった。仲間外れである。

555 名前:柊の国の鰍と柊准尉とアイ:2007/06/01(金) 00:14:51
「わたしのことは鰍と呼んで」と鰍が言った。
「じゃあ、わたしのことはアイと呼んでください」新しい研究員はそう言った。

556 名前:-【存在】- ◆GAOss.K3KI :2007/06/07(木) 21:22:21
http://www.youtube.com/watch?v=0aAs0EPpYJA

557 名前:柊の国の智彦:2007/06/10(日) 03:58:22
ハケンの智彦は「ぅわぁーん、ぅわぁーん」と
うなり続ける自意識の存在にうなされながら
箱のなかで身動きも出来ずにいた。

鰍の購入したハケンは50体。そのうち
1体は射殺された。 >>503
2体は夢空間共有システムの材料に使われた。 >>518
3体は間引かれ、 >>534
4体はいま、モナド融合の実験材料に。(残りは40体。)

間引かれた3体のうち2体は
ケララに納品した夢空間共有システムの試用機の材料に使われた。 >>547
    3−2=1
この1体が智彦だった。

ハケンの智彦は立数大学卒だったが、
大卒の癖に正社員になれず、ヒキコモリを続けるうち、
親に売却されてハケン契約を結んだ。

ハケンはいちおう「契約」である。ただ、契約書のなかに、
「乙は甲の決定した就業形態のため、身体に不可逆的な変形を加えられることを容認する」とか、
「乙は甲の決定した就業形態が、生存が不可能なものだとしても拒否できない」とかの
いわゆるハケン条項が含まれているだけだ。

鰍によって安楽椅子に改造されたハケンも、
「身体に不可逆的な変形を加えられ」、死ぬまでの残りの全期間を、
安楽椅子という就業形態で労働しているのだ。それに対して
もちろん時給も支払われている。
ただ、ハケンの時給はハケンの借金と相殺されるので、
ハケン自身が時給を受け取ることはない。

558 名前:柊の国の智彦:2007/06/10(日) 03:59:17
いまでは箱のなかに封じ込められて労働しているハケンの智彦の脳裏に
第2研究室の状景が浮かぶ――



連れて来られた3体のハケンのうち、お先の2体が
全身の腱を切られ、チューブを接続され、
椅子に部品として組み込まれてゆく過程を智彦はずっと見せられていた。
あまりの恐怖に感覚が麻痺し、むしろ
鰍の手際のよさに見惚れていた。

「さー、次は君」
鰍が智彦に近づいて来る。智彦は、
鰍ちゃんはやっぱ可愛いなー とか、とぼけたことを考えていた。

チュイィーーーーーーーーーーン
レーザーカッターが智彦の右腕をなで、瞬きするよりも速く、
智彦の右腕は切り落とされていた。

559 名前:柊の国の智彦:2007/06/10(日) 04:00:44
「ぅわ!!」
恐怖でへらへらしながら智彦は質問した。
「あのー さっきの二人と手順が違いますよね」
「うん。あの子たちは椅子にしたからねー」
「ぼ、ぼくは何になるんですかぁ?」
「君はねー」
言いながら鰍が智彦の左腕を切り落とした。

神経にいくら力をこめても
すぐそこにある右腕は左腕は
もう動かない。

鰍が智彦の体の断端に
ある種の細胞というか、ナノマシンのペーストを塗りつける。
腕の断端から
樹の枝みたいな、あるいは鹿の角みたいな神経網が生えてくる。

こうして智彦は
軍用芋虫人に改造されたのだった。初号試作機である。



いま、軍用芋虫人の智彦は
「ぅわぁーん、ぅわぁーん」とうなり続ける自意識の存在にうなされながら
箱のなかで身動きも出来ずにいる。

560 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/06/10(日) 04:01:34
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561 名前:柊の国を見下ろす葦の原のアイ:2007/06/11(月) 00:54:34
7次元時空の葦の原から4次元ガイア沈殿にチャートを開くとき、
時制は必ずしも整合的ではない。

たとえば、4次元ガイア沈殿における杣台近傍での世界時間では、
@ 鰍に購入されて柊おぢさんが杣台駐屯軍に輸送されてきた――後で、
A アイが柊おぢさんの潰れた右眼の網膜を改造した。
だが、アイのモナド時間では、Aの後で、
葦の原でテイスティングをしていて杣台の女子高生に当たり、 >>537
このときアイが開いた女子高生のモナド時間は@の前である。 >>499

いま、葦の原を浮遊しながら「現象」を探しているアイは、
既に鰍の採用面接を済まし、正社員雇用されて何日か働いた後のアイであるが、まだ、
あの第1研究室での4体のハケンのモナド融合実験に立ち会ってはいない。
つまり、いまのアイにとってあのアイは未来だった。
――にもかかわらず、あのモナド融合実験に対応する葦の原での「現象」が、
いま、「リアルタイム」で発生しようとしていた。
アイは実験の結果を葦の原側で目撃した後で、
第1研究室での実験現場に立ち会うのだった。

562 名前:柊の国を見下ろす葦の原のアイ:2007/06/11(月) 00:56:10
「京部大学の大森教授のもとで形而上物理学を学んだ」というアイの経歴は >>554
意外にも嘘ではない。
大森研究室に入る前のアイの履歴はでっち上げだが、
大森研究室で修士課程を過ごしたのは事実だった。
葦の原の秘密基地からチャートを開いて京部の下宿に出、そこから
京部大学に通ったのだ。
私生活をまったく見せない謎の女子学生として数人のストーカーを生んだが、
ことごとくこっぴどい不運を喰らわせて撃退した。
さすがに殺しはしなかったが、
死んだ方がマシかも知れないくらいのダメージを与えた。

アイは学者ではなく、エージェントなので、
「真理への愛」に突き動かされて大学に通ったわけではない。
あくまで実用的な知識の蒐集が目的だ。
ただ、その「実用」の範囲が決して薄っぺらではないため、
ほとんど「真理への愛」と見間違うほどだった。

修士課程のあいだにこの時代の最先端の知識を蒐集し尽くしたアイが、
目的を果たしたのでこれ以上大学にとどまる必要を感じず、
アヴァターに博士課程への道ではなく「就職」を選ばせたとき、
大森教授はとても残念がった。
「就職先」では早々に事件を起こして退職するようにしたが、
ハケンに落とされず有閑市民に留まれるようにして、
リアルワールドでの「籍」は温存しておくことにした。
いつか使うために――いま、使っているように。

563 名前:柊の国を見下ろす葦の原のアイ:2007/06/11(月) 00:59:36
いま葦の原を浮遊しながらアイは
鰍への愛にも似た
抱き締めたいような気持ちであふれていた。

なんて凄い子なんだろ・・
言われてみれば、全部あなたの式の通りだよ。
確かにこの葦の原は、あなたの式が描き出した構造に従ってる。
何で見えたの? ――見たこともない癖に!!

面接試験のとき、鰍がアイに出会っただけではなく、アイも鰍に出会っていたのだった。

「モヨコ双対モナド」に関するアイの知識は、本質的には、
『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』の第5章を越えるものではなかった。 >>550
途中から試験というより、鰍とアイの会話のようになっていた面接で、
やがて鰍の話題は「モヨコ双対モナド」に及んだ。

「チャート群の双対的な逆極限からなるモヨコ双対モナドの幾何学的構造は――そう、
こんな感じ、まるで葦みたい。でね、
このモヨコ双対モナドのモデュライ空間を考えるでしょ?
そーすると・・」
鰍が式と図を書きながらどんどんアイディアを説明してゆく。
「とゆーわけで、モデュライ空間はまるで葦の原みたいな構造になるわけ。
この葦の原の基層にモナドとモナドを通底させる仕組みがあると、
思うんだー」

鰍がまるで歌うような調子で「思うんだー」と言うのを聴きながら
アイは背すじがぞくぞくする感じに襲われた。
(なんで見たこともない癖に、そんなに正しく見抜いてるのよ!!)

「なぜこの場所にひとびとの〈生〉が葦の形に析出してくるのかはよくわからない」 >>535
というのがアイの持っていた範囲の知識にもとづく認識だったが、いまや、
鰍の「モヨコ双対モナドのモジュライ構造の理論」によって一定の見通しが得られるようになった。

564 名前:柊の国を見下ろす葦の原のアイと柊の国の鰍:2007/06/11(月) 01:01:22
――始まった・・

ある4本の葦の背中から羽のような糸が ぷしゅるぷしゅる と吐き出されていた。
観察者であるアイのモナドと葦の原の相互作用としてこの状景が描かれている。
糸はある種の海中生物の受精の場面のように、空間に充満し、空間で絡み合う。

アルジャーノン指数は7.92×10の4乗、つまり、
8万[au]近い指数が出てる。            ※[au]は単位である。
もし、跳ぶ技術があったら、もう、この4体のハケンは
チャートを開いて跳べるんじゃないかな。

        ◆◇◆

実験が終わった第1研究室で鰍は「あーあ」と溜め息をついた。
4体のハケンをぐちゃぐちゃの臓物の塊になるまで追い込んで、
しかも軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングを
新開発の軍用芋虫人に制御させて
より繊細な演奏をしたのに、
――実験は失敗だった。
アルジャーノン指数は
4.79×10のマイナス7乗から
5.01×10のマイナス7乗までしか上がらなかった。
これではとても形而上物理学を積極的に肯定する結果にはなっていない。

「わたしが間違ってたのかなー
もしかしたらわたしが間違ってたことがわかった、という成果を得た実験なのかも知れないけど、
うー もうちょっと考えてみます。きょうはありがとう。解散します」

565 名前::2007/06/15(金) 01:23:04
清掃作業をするため、柊三等兵に連れて来られた5体のハケンたちは、
コンテナの扉が開けられると
噎せ返るような血の臭いに吐き気をもよおした。

喉の奥のほうから うぐん うぐん と蠢きがよじ登ってくる。
1体は堪え切れず地面に嘔吐し、柊三等兵に首の裏を殴られて
自らのゲロの上に突っ伏した。

扉のなかは臓物の塊だった。こうなるといちばん目立つのはやはり腸で、
うねうねうねくりながら部屋のあちこちに
奇妙な工場地帯みたいにチューブをつないでいた。

肝臓の赤べろべろも目立つ。
そら豆みたいな腎臓は、たぶん4個しかないのだろうが、
誰も数えてみるわけではなかった。

まだ拍動している心臓もあった。
生け作りの魚が皿の上で泳ぐように、血の海のなかで時々
思い出したように鼓動していた。

不意に視線を感じて見ると眼球だった。歯とか、鼻とか、耳とか、
顔の部品がばらばらになって
部屋中を使って福笑いをしていた。

566 名前::2007/06/15(金) 01:25:46
臓物の山の底の方から
互いにつなぎあった8本の腕が出てきた。

8本の脚も出てきたが、こちらの方は――
何をされたのかはよく分からないが、
焼け焦げたり、溶けかけたりしている。



柊おぢさんはある腕を見て絶句した。や、奴の腕だ。

それはハケン倉庫で柊おぢさんをぼっこぼこにした腕だった。 >>533
いい気味だ、と思うどころではない、
曲がりなりにもともに寝起きしていた「人間」の末路が
こんな風に眼の前に現れて、
柊おぢさんの左眼から涙が静かに流れた。
説明できない深い涙だった。

コンテナから臓物を運び出しては外のポリバケツに捨てる。
外のポリバケツに臓物を捨てた帰り、
柊おぢさんの左眼に、ふと、
扉の脇につけられた金属プレートの掘り込み文字が跳び込んできた。

            鰍式モナド融合実験装置

このとき柊おぢさんははっきり理解した。
以前には理解できなかったこと、理解しようともしなかったこと、をだ。 >>441 >>479
つまり、鰍たちと自分たちは
決して同じ人間などではないのだ、ということである。だが、
いまさら気づいても、もう遅い。

567 名前: ◆USO800B5B. :2007/06/15(金) 01:38:57
きみと出会ってから僕のこの運命変わった
信じられないけど きみが変えてしまったんだ
離れられない 離れるときはないと信じてた
だけどいまきみが変えた僕はここにいて
きみだけがいない
想い出がこの手をすり抜ける
愛して(る)というたびに
この手をすり抜ける

568 名前:◆.G.dDa2zds :2007/06/20(水) 23:03:17
お久しぶりです。アラシの人もそうじゃない人も保守ありがとうw

569 名前::2007/06/21(木) 02:24:23
>>568 柊おぢさんが右眼の奥から送ってきたレス

http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/544n-546

570 名前:柊の国の智彦:2007/06/22(金) 00:01:23
ひゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうぅぅぅんんんん・・・・・・

情報の奔流が不意に途絶え、
スイッチが切られたらしいことが感じられた。

http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/556n-560

軍用芋虫人・智彦は、暗い管の中、
両腕両脚を切断された芋虫みたいな体でもぞもぞ蠢きながら、
耳鳴りのように脳の奥でうなる自己意識を持て余していた。
いっそただの物体になれたら良いのに・・

「あ」

智彦は突然持ち上げられた。

571 名前:柊准尉と柊の国のアイ:2007/06/22(金) 00:04:04
研究ビルから司令ビルへ向かう渡り廊下に立ち止まって
柊准尉が窓の外を眺めている。
広場に設置された大きなコンテナ――鰍式モナド融合実験装置 ――の天井から、いま、クレーンで
ひとつの装置が持ち上げられようとしていた。

コンテナの扉からは、ハケンが何体か、出たり入ったりしている。
コンテナ内部の臓物を運び出して外のポリバケツに捨てているようだ。
ちょうど扉から出てきた一体のハケンが、頭上に釣り上げられた装置を、
特に考えもなしに見上げている。
ピラミッドのミイラが眠る棺桶みたいな形の装置。



「准尉さん」
後ろから呼び掛ける声がする。振り向くとアイだ。
アイは心持ち上目遣いに柊准尉の顔を見つめ
黙ったまま小首をかしげている。

「アイさん、お疲れさまです」
「准尉さんもお疲れさまー ――でもいちばん働いたひとと一緒にいなくて良いの?」
「鰍は実験結果の再検討をするので、ひとりが良いみたいです。
シャワーを浴びたり、ベッドの上で丸くなってごろごろ転がったり、
いままでと全然違う角度から物事を再検討するときは
莫迦モードに入らなくちゃいけないから、と言ってました」
「莫迦モード! 鰍が言いそうな言葉ね」
「アイさんこそ、鰍と議論したりしないんですか?」
「明日の午後2時にふたりで会議をすることになってる。
それまではわたしも――そうね、わたしも莫迦モードが必要かも知れない。
准尉、飲みに行きましょ?」

柊准尉はちょっと考えたが、
行きましょう、基地内のバーで構いませんか? と言った。

572 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/06/22(金) 01:10:23

      ,,,...--─'''''"" ̄ ̄""''''─--...,,,
      :{ _                 )
      | ~U ~'''"uU~~~`'''"""cU "`}
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      | 。゚。゚。; o。∵。゚o。:l∵・; l       ヽ
      | l ・  l; 。 .。。 。!q゚ '  l'"⌒・、  ¥
      | ll   。゚  。・  。  . l |    ))  )
      | l  。.l  .  .゚ :l。゚  . |   // /
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      |    。 ・     l ゚ ;  |  ノ  /
      | ll   l  .    l; 。 l レ"'  /
      |          .     l |  /
      | ll   l    。  l     |- "
      |     l       ;l   l |
      | ll   l         l   .l |
      | L_          _」 |
    .    |    ̄  ー 一   ̄  ;  |
       `ー--.....,,,,____,,,,.....--一"⌒⊃
                

573 名前:柊准尉と柊の国のアイ:2007/06/22(金) 01:12:34
最初の一杯はビールである。アイが
「宇宙一素敵な天才少女・鰍に」と言って、ふたりで乾杯した。

柊准尉がアイを連れてきたのは
基地の正門に近い応接ビルの最上階にあるバーだ。まだ陽も沈んでいない夕方なので
適度に閑散としていて落ち着ける。

杣台市を遠望する窓際のふたり席は正方形で、
窓に対して45度の角で置かれている。隣り合った2辺に座るので、
向かい合うわけでも、真横に座るのでもない距離が好い感じだった。

「鰍は落ち込んだりしてないでしょうか?」

アイは少し考えてから言った。
「落ち込みはしない――と思うけど。
実験に失敗なんてないのよ。逆に言えば実験に失敗はつきものとゆーか。
理論的にはこうなってるはず、と考えて、
リアルはどうなのか実際に験してみるのが実験だから、
どんな結果がでようが結果は結果なの。
鰍も言ってたじゃない――もしかしたらわたしが間違ってたことがわかった、
という成果を得た実験なのかも知れないけど、って。
そーゆう成果も成果は成果。
鰍のモデュライ理論は数学としては物凄い仕事だと思うけど、
物理学としての現実妥当性には
まだまだ詰めなきゃいけない要素があるらしいということだよね。
んー だから、やっぱり落ち込んでるかなぁ・・?」

柊准尉は鰍とアイは顔立ちだけでなく、話し方も
どことなく似てるなぁと楽しくなった。

574 名前:柊准尉と柊の国のアイ:2007/06/22(金) 01:15:43
ビールの後でアイがオーダーしたのは可愛らしいカクテルとかじゃなく、
『獺祭』だった。        ※『獺祭』は「だっさい」と読む。この音の響きはちょっと残念。

「杣台なんだから、ふつーにいけばやっぱり『浦霞』なのかなぁという気もするけど、
この店、『獺祭』を置いてるなんて凄いし、
『獺祭』ってなんだかとても鰍ちゃんを連想させるから、わたしはこれにする。
准尉はどうする?」
「鰍ちゃんを連想させる?」
「これ、川獺(かわうそ)の祭りという意味なのよ。
川獺がつかまえた魚を岸に並べるんだって。お祭りしてるみたいに。
だからね、詩や文をつくるとき、
たくさんの本を広げて並べることを『獺祭』って言うの」
「なるほど、それは鰍ですね」 >>482 >>547

『獺祭』というお酒の雰囲気も鰍ぽかった。
フルーティーな吟醸香がひろがる流れるような喉越し。結局、店にあった『獺祭』の一升瓶を、
アイと柊准尉のふたりですっかり空けてしまった。
飲んでいるうちに陽が沈み、窓の彼方の光景は遠望する杣台の夜景になった。



「それに実験が形而上物理学に否定的に出て、かえって
鰍にとって良かったかも知れないよ? だって、
もしモナド融合でアルジャーノン指数が上げられるという結果が出ちゃったら、
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングを実用段階にあげるのは
かなり難しくなるでしょ?
形而上物理学の研究がある程度、完成するまで、
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングの実用化は足踏み状態で凍結されてしまう。
今回の実験が鰍の予想に対して否定的だったのは、
鰍本人にとっては残念かも知れないけど、鰍の社会的な地位みたいなことを考えると、
下手にパンドラの箱が開かなくて良かったんじゃない?」

575 名前:柊准尉と柊の国のアイ:2007/06/22(金) 01:17:43
最後、柊准尉は酔っ払っていて何の話をしたのかあまり記憶していない。
鰍は未成年だからまだお酒飲めないんだよねー、とか、
柊准尉ってロリコン? だとか、他愛もないやりとりをした気もするし、
話すのがあまり得意でない柊准尉も、
最後は何だか色々話していた。

場が下品に流れるみたいなことはなくて、気持ちよく酔っ払って
ふたりで宿舎に帰ってきた。それぞれの部屋に別れる最後のとき、
アイが言ったような気がする言葉は、いや、記憶の混乱に違いない。

「鰍は嘘がつけないでしょ? だから誰かが鰍の代わりに嘘をついてあげないと」

576 名前:柊の国の鰍:2007/06/22(金) 01:20:36
鰍は『モヨコ双対モナドのモジュライ構造について』を数理科学の国際学術誌に出し、
プレプリントを学界に流した。形而上物理学の数学的側面に関する長足の進歩として反響を呼んだ。
『軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングによるモナド融合実験』の方はアイと共著で出したが、
否定的な結果ということもあり、地味な論文になった。

鰍自身は実験の失敗が「NOVA警察」による妨害ではないのかという一抹の疑惑をいだいていたが、
いっさい口には出さなかった。
「実験の失敗を、謎の秘密組織の陰謀に帰する」ということが学者にどういう評価をもたらすか、
よく分かっていたからだ。
実は鰍は「NOVA警察」について、誰にも何も話していない。
『獺祭』を飲んだ晩、柊准尉が「NOVA警察」について何も語らなかったのはそのためだ。
(もし柊准尉が「NOVA警察」の話を聞き、信じていたとしたら、そもそもあの晩、
鰍を護衛するために傍を離れなかっただろう。)

モナド融合実験の否定的な結果をどう読解するかという問いは、
解決できないまま、マグマのような熱い塊として、
鰍のなかの深い場所で蠢き続けていた。
無数のありうる角度を、鰍はつねにこころの底で探し続けていたが――
それはそれとして現実の対応としては、
否定的な結果をアイと論文にまとめ、パブリッシュしたのだった。そして、
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングを実用段階に進めることに、
開発者としてOKを出した。 >>541

まずは杣台市に、
軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングを実用レヴェルでインフラ設備する。そのため、杣台駐屯軍の
鰍のてもとに残っている40体のハケン全部を軍用芋虫人に改造することが >>557
日程に書き込まれた。

577 名前:柊の国を見下ろすアイと・・:2007/06/24(日) 01:18:29
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/520n-539
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/544n-546

モナド融合実験が「失敗」に終わった日、
柊准尉と『獺祭』を飲んだアイは宿舎の自分の部屋に帰ると
部屋着に着替えてPCの液晶を覗き、
気になるけどどーでもいいようなデータをチェックしながら
お風呂にお湯が張られるのを待った。

電子音がpipiと鳴ると裸になってバスルームに入る。
シャワーで髪や体を洗ったあと、
湯舟につかると心底気持ち好く息を吐く。

意識がとろとろに溶けて湯舟に流れ出す頃、
不意に立ち上がり、
チャートを開き、
7次元時空のなかで
4次元ガイア沈殿に対して垂直に
「+3次元」の方角に跳ぶ。
葦の原の秘密基地のバスルームに出ると、バスタオルで体を拭いた。
着替えが置いてあるのはベッドルームなので、
バスタオルを軽く羽織ったまま、基地の廊下を歩く。
ピンク色の可愛い小部屋でショーツを履き、キャミを着る。

再び基地の廊下を歩き、
仕事部屋のドアを開けると――
床の上で軍用芋虫犬を貪り食っていた柊おぢさんが びくぅ! と驚いて痙攣した。

あー、レイヤーを切っておくんだった、とアイは後悔した。

578 名前:柊の国を見下ろすアイと右眼の奥の柊:2007/06/24(日) 01:20:39
午後、鰍式モナド融合実験装置の臓物清掃作業をしながら
人生について実存について、生まれて初めて真剣な認識を得たはずの柊おぢさんは、 >>566
夜、ハケン倉庫のカプセルシートに横たわり、右眼の奥の世界に入ったとき、最初は
(俺はネットを読むことができるんだから、それを活かしてマジメに勉強しよう)
とか考えて、それっぽいサイトを読んでいたのだが、
すぐに飽きて、空間から軍用芋虫犬をひねり出しては貪り食いながら
電波お花畑という奇妙な掲示板に妄言を書き連ねて悦に入っていた。

自スレが荒らされていたので、意地を張ったレスを書き込んで自我をなぐさめた:

    568 :柊 ◆.G.dDa2zds
    お久しぶりです。アラシの人もそうじゃない人も保守ありがとうw

「w」のところに意地が詰まっている。

コテージのドアを開けてアイが入ってきたのは
ちょうどこのレスの書き込みをクリックし終えたときだった。
柊おぢさんは驚いて びくぅ! と痙攣した。

579 名前:柊の国を見下ろすアイと右眼の奥の柊:2007/06/24(日) 01:22:26
柊准尉が軽くちょっかいくらい出してくるかなー と思っていたのに、
あまりにもあっさり気持ち好く飲んで別れたので、
楽しかったけどちょっと物足りなかったアイは柊おぢさんをいぢめて遊ぶことにした。

柊准尉と一緒に『獺祭』を飲んだりしたのはエージェントとしての深謀遠慮などではなく、
わりと純粋に気晴らしだった。
行動のすべてを理詰めにすると長持ちしない。
抑えるべきところさえ抑えていれば、あとはテキトーに
したいようにしていたほうが良いのだ。

最後の一言だけは余計だった気もするけど、
准尉はだいぶ酔ってたし、だいじょぶでしょ。



モナド融合実験の成功(!)は、アイにNOVA警察への警戒を意識させたが、
NOVA警察はあまりにも巨大なので、かえってくよくよ悩んでも仕方がない。
アイを殺そうと思うなら向こうにはいくらでも手段があるのだ。
だが、NOVA警察はあまりも巨大すぎて微細な状況まで眼が届かないのか、
意外とエージェントが直接攻撃を受けたという例は少ない。

NOVA警察に対抗して動く勢力のエージェントは
長く続けるうちに、
「NOVA警察に対抗して動く」ということの意味がよく分からなくなってくることがある。
もしかしたら自分は「NOVA警察に対抗して動いている」のではなく、まさに
「NOVA警察を補完して動いている」のではないか? と感じられてくるのだ。

580 名前:柊の国を見下ろすアイと右眼の奥の柊:2007/06/24(日) 01:25:07
アイが椅子にすらりと腰掛けて黙ったまま庭の方を眺めているので、
柊おぢさんはどうしたら良いのか、身動きがまったく取れない。
右手に握った軍用芋虫犬の食べ掛けを
口に運ぶわけにも、床に置く気にもなれない。

「あにょー」
あのー と言ったつもりが「あにょー」になった。

不意にアイが右手を振るとその手に長い剣が握られていた。
アイが剣をすぅー と動かすと柊おぢさんの右手の指が5本ともぱらぱらと落ち、
軍用芋虫犬の食べ掛けと一緒に床に散らばった。

「わぁああぁあああああぁああああああぁああああああああああああ!!!!!」
柊おぢさんは絶叫した。すかさずアイが剣を動かし、今度は
左脚が膝の下で切断された。長靴みたいな形をした物体が
床に ごろ と転がった。

アイが長い剣を空間で閃かすたびに柊おぢさんの体の部分が削ぎ落とされてゆく。
一寸刻みに右腕が斬りおとされ、左脚が切り株になった。
激痛にもだえながら、柊おぢさんは最後の意識を振り絞って、リアルへ、
ハケン倉庫のカプセルシートの世界へ離脱しようと試みるがアイがロックしているらしく、
左眼を開けることができない。
金縛りの状態で悪夢をみているのにも似ているが、
柊おぢさんにとって右眼の奥のコテージは全覚的に与えられた仮想現実世界なので、
夢みたいに希薄な印象ではなく、リアルとまず区別がつかない。
つまり、
手足を切断される柊おぢさんの苦痛はリアルそのものだった。

581 名前:柊の国を見下ろすアイと右眼の奥の柊:2007/06/24(日) 01:27:39
柊おぢさんの両手両足をすべて削ぎ落とすと
芋虫みたいになった柊おぢさんが床の上でぶるぶる震えながらのた打ち回るのを眺める。
あたりには血飛沫が飛び散り、
千切りにされた右腕や、
長靴みたいな左足、
無気味な深海魚みたいに見える左腕、
マネキンの部品みたいな右脚、などが散乱している。

「軍用芋虫犬みたいになったよ♪」
アイが楽しそうに言うと、
柊おぢさんは うがぁ!!うががが!!! と意味をなさない叫びをあげた。



アイが脳内でコードを送信すると
すべてがなかったことになり、元に戻った。柊おぢさんの激痛も消失した。

アイがころころ笑いながら言う――じゃあ、2回目ね。

582 名前:柊の国の鰍と柊准尉:2007/06/26(火) 01:33:35
図書室の鰍が例によって『獺祭』してるのを見て、 >>574
柊准尉は何だか嬉しくなった。自然と微笑んでいたらしく、鰍が気づいて
「なぁに? 准尉」と聞いてきた。

「鰍がやってるそういうのを『獺祭』というんだそうだ」
「――ダサイ・・?」鰍が小声で呟き、顔を赤くする。
「違うよ、莫迦だな。難しい字で書くんだけど――考えてみると俺には書けないや。
辞書で引いてみ? 鰍がやってるみたいに、
本をたくさん開いて考えごとをすることを『獺祭』って言うらしいよ」

鰍は ふぅん・・ と席を立つと辞書コーナーへ行き、
大きな辞書を重たそうに運んで机の上に置いて引いた。
柊准尉も寄ってゆく。

「ほんとだ。――獺祭魚・・ 「獺、魚を祭る」・・ もとは漢文なのね。
川獺(かわうそ)が岸辺に魚を並べてお祭りする様子から。ふぅ〜ん・・」
「おととい、実験のあと、アイさんと飲んだのが『獺祭』というお酒だった」
「ふ・ぅう〜ん? わたしが実験失敗した日に楽しく飲んでたんだ」
「変な言い方するなよ。「宇宙一素敵な女の子に乾杯」って言ってたぞ」

鰍が視線を宙にさ迷わせる。

583 名前:柊の国の鰍と柊准尉:2007/06/26(火) 01:37:37
「それに、実験が成功していたら軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングの実用化が遅れるから、
結果が否定的で、ある意味よかったんじゃないかって言ってたよ」

「それは・・ 慰めにもならないご意見だなぁ
准尉のレヴェルに合わせた発言だったに違いない、と理解しとく」
鰍が冗談ぽく言った。本音だったけど。

鰍が思考中の顔に戻った。
「わたしも昨日の会議で叱られた。実験が失敗だった、失敗だったって言ってまわるのは
バカ正直過ぎるって。軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングを実用段階に移しても、
「モナド融合」などの現象が起こらないことを確認した、安全性試験の成功と言うべきだって。
確かにそれはそーなんだけど、うー・・」

確かに実験は本来ニュートラルなもので、特定の結果を「出す」ためにやるのではなく、
現実がどうなってるのかを験すものだから、
モナド融合が起こる、アルジャーノン指数が上がると考えたわたしの予想通りになると限るわけじゃないけど、
うー・・ いまのわたしは自分の考えに固執し過ぎてるのかなぁ・・
科学者としてマズイ状態・・?
――形而上物理学として結果が否定的なら、安全性試験としては成功だというのは、別に詭弁じゃないし、
考えてみると、最初の頃はわたしもそのくらいニュートラルな気分で実験を企画してた気がする。
でも、「モヨコ双対モナドのモジュライ構造」の理論を作ってゆくうち、
「これで正解のはずだ感」が物凄くしたんだよねー
絶ぇぇぇぇぇ対っ、アルジャーノン指数が上がると思ったのにぃぃ・・
何が原因だったんだろう。

内面の深い場所に すぅーっっ と降りていった鰍の邪魔をしないように、柊准尉は静かに鰍の傍を離れた。

584 名前:柊の国の鰍と柊准尉:2007/06/26(火) 01:41:46
だめだ。
既に何度か見た角度からの光景しか見えない。鰍は
逃げてゆく思考の後ろ姿を見送りながら、図書室の時間に戻ってきた。

「鰍先生、紅茶をどうぞ」
柊准尉がテーブルで待っていた。
「ありがとう」



「いまは何を考え中?」
「いまは・・ 紅茶が美味しいなって考えてるところ」
柊准尉が笑った。鰍も笑い、今度は真面目に説明し始めた。
(実験の失敗についての思考は鰍のなかでつねに続けられていることであり、
いま図書室で『獺祭』しているもともとの課題はそれとは別なのだ。)



「あのね、腕と脚をどうしようか考えてるところなの」
「腕と脚・・?」
柊准尉はつい、鰍のすらりと細い腕や脚を見た。

「うん、腕と脚。40体も手術するから、
切り落とした腕と脚が80本ずつ出るでしょ?
初号試作機のときは捨てちゃったんだけど、80本ずつ出るとなると、
何か廃物利用の方法がないかなー と思って」

柊准尉は山積みにされた80本の腕と80本の脚の山を想像して、
うわぁあ!! と叫びそうになった。

585 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/07/05(木) 23:08:42
                      __
                     /:∴∵∴ヽ
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                   !∴〈三 | 三〉∴i
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                 . ./ /   i i .ヽ.ヽ     :   :  :    .
                  ./ ./    .i i  ヽ.ヽ    ::   :::  :::   .:
                 ../ ./     .i i   ヽヽ   :::: ::::_::::: :::
                / ./       i .i    ヽヽ  :::::∴∵∴ヽ:::::
               / ./        .i  i    ヽヽ,ィ∴∵∴∴∴ヽ:::::
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      __    / /        .._i  i-‐'`~ ̄__) ∴∵∴∴∵::i:::::
    /:∴∵∴ヽ _./ ../  _,,、、--‐```  .i  .i‐'''```` / ∴∵∴∵∴,'::::
    /∴(・)∴(・)∴ヽ/‐"~ __,、.-‐‐````` .i  .i  .  / / ヽ∵∴∵/
    i:∴/ ○ ヽ∴:i .," "~          .i  .i   ./ /    ~ ~~
    !∴〈三 | 三〉:.(_~´" ‐ 、 _       .i.  i  / ./
    ヽ∴ヽ ― /∴,'  ~''‐-、_  ~"ヽ‐- ,,___ ,.iー‐'ゝ、_ /
     `ー--‐'''~   . .   ~"-、、__   /:∴∵∴ヽ
           tanasinn       ~" /∴(・)∴(・)∴ヽ
                        i:∴/ ○ ヽ∴:i
                        !∴〈三 | 三〉∴i
                        ヽ∴ヽ ― /∴,'
                          `ー--‐'''~

586 名前:柊の国の首猛夫:2007/07/05(木) 23:12:15
衫並区高丹寺のぼろアパートの一室に宅配で書類が届いた。
部屋に棲む老人は差出人が「京部大学の大森」であることを見て首をかしげた。
汚れた部屋の万年床の上で開封すると、なかに入っていたのは
鰍主任科学官の『モヨコ双対モナドのモジュライ構造について』というプレプリントだった。
老人は最初漫然と読んでいたが、やがて喰い入るような眼になり、
時間の経つのも忘れて数式を追い始めた。

老人は往年の束京大学大学院新領域創生科学研究科衛星都市研究分室分室長・首猛夫である。
彼は富士の樹海のなかにあった次元回廊をくぐって
衛星軌道上のフダラク市まで跳んだことがある。
フダラク市の生き残りなのだ。
ほんの少し前、彼がまだ老人ではなく、中年だった頃、
アルジャーノン指数は充分高く、形而上物理学はリアルだった。
ほんのちょっと前のことだ。
いまでは宇宙の物理自体が変質してしまった。
ときどき自分の前半生が夢だったのではないかと思えてくる。
フダラク市なんて、実在したのか?
だが、首猛夫の脳裏にはいまでもフダラク市のダイモン通りの様子が立ち現れるし、
ダイモン通りの上空でマイクロブラックホールが青い光を放っている状景も浮かんだ。

http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/490n-493
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/528n-529

首猛夫と矢場徹吾市長は研究員たちを船で逃がしたあとで、
最後に自分たちはノーマルスーツを着て、なるべく重力源から遠ざかる方角にガス噴射をし、
ガスが切れたあとは宇宙空間を漂いながらひたすら救出を待った。
「漂う」というのは語弊がある。彼らの軌道に偶然的な要素などひとつもなかったからだ。
スタンダード物理学に厳密にしたがってマイクロブラックホールの重力場に引かれながら、
最初のガス噴射による運動量をひたすら喰いつぶしたのだ。
聞こえる音はノーマルスーツのなかの自分の呼吸音だけ。
矢場徹吾市長とは、はぐれてしまった。
市長の消息はそれ以来わからない。

587 名前:柊の国の英知出版:2007/07/05(木) 23:13:54
理学系専門書の英知出版が
鰍主任科学官の『モヨコ双対モナドのモジュライ構造について』を売り出した。
この論文は時代の先端科学の論文であり、訓練を受けていない者には読めるはずもないのだが、
「鰍ちゃんが何か凄い発見をしたらしい」という評判と、
著者紹介の撮りおろし巻頭グラビアを所有したいという欲望のため、ベストセラーになった。

時ならぬ形而上物理学ブームが湧き起こった。
若手の学者が『わからなくても感じれる形而上物理学』という新書を書き、
ニュートン力学すらままならぬ腐れ文系ライターがいい加減な孫引き記事を書きまくった。

書物界におけるブームの唯一まともな遺産は、
『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』が英知出版から復刊されたことだった。

588 名前:柊の国の過去、フダラク市:2007/07/16(月) 22:23:56
フダラク市は衛星都市である。
NOVA警察が遺棄した施設を地球人類が植民地化したものだ。
その深奥部にはいまだ全貌が掴めない未知機械の森が横たわっていて、
複数の科学者チームが解読を進めていた。

地球表面からフダラク市へのアクセスは、
スペースシャトルで重力井戸を抜け出す(つまり7次元時空のなかで見れば、
星の宇宙=4次元ガイア沈殿 に沿った移動を行う)か、
富士樹海駅から次元回廊をくぐってたどり着くか、に限られる。

市周辺の7次元時空は微細な渦巻きや乱流に満ちていて、
チャートを開いて跳ぶには適さない。
フダラク市に向けてチャートを開くこと、及び、
フダラク市からチャートを開くことは禁止されていた。

「遊泳禁止」というわけである。7次元時空の乱れの原因は
次元回廊の存在にあるとも、
未知機械の森に原因があるとも言われ、定説がない。そもそも、
未知機械のなかに次元回廊を維持している装置があるのかすら、未詳である。



いっさいの研究が中途半端なままで、
NOVA警察によるフダラク市抹消とともに途絶した。

589 名前:柊の国の過去、フダラク市:2007/07/16(月) 22:25:12
『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』の著者はフダラク市で失踪している。
NOVA警察によるフダラク市抹消の時に、ではない。
平時のフダラク市の日常のなかで、不意に行方不明になったのだった。

市警察は、
市当局及び束京大学大学院新領域創生科学研究科衛星都市研究分室の全面的な協力の元に、
人類の管理領域における通常犯罪の線から綿密な捜査を行ったが、
まともな犯跡は何一つ出なかった。

未知機械の森のどこかに飲まれたか、
「遊泳禁止」を冒してチャートを開き、
戻って来られなくなったのか・・

あるいは、それとも、
戻って来ない、
のか。

590 名前: ◆USO800B5B. :2007/07/16(月) 22:43:08
ごめん!!!!
キミ以外の存在に心ときめきかけてた。
正直もう腑抜けになりかけてた。
キミの事忘れたわけじゃない。
キミの事は今でも愛してる。もちろん。
もう少しキミという存在に縛られていようと今は思ってるよ。

591 名前:柊の国の首猛夫:2007/07/19(木) 01:30:30
首猛夫は正直、フダラク市のことを忘れかけていた。
衫並区高丹寺のぼろアパートの一室で、しがない年金生活者として暮らす
腑抜けた日常に埋没していた。だが、
京部大学の大森教授が送ってくれたプレプリントを読んで、
形而上物理学の日々がありありと浮かび、
あれは決して夢などではなかった、という
強い情動が湧き起こってきた。

オレンジ色の電車でお荼の水に出て、
木郷キャンパスまで歩いてみた。
榎クーデタ以後、大学は理傾化している。
最初は戦略経済学だった。
理学部戦略経済学科として始まったこの分野は、
やがて戦略経済学部となり、
いまでは従来の文系経済学部をほぼ駆逐している。

ひさしぶりにルオーでセイロンカレーを食べた首猛夫は、
木郷三丁目から地下鉄九の内線に乗って、他袋に出た。
サンシャインの足元を歩くためだ。
サンシャインの周辺は形而上物理学的に興味深い時空構造になっていて、
形而上物理学者たちにとっての巡礼地のひとつだったのである。

サンシャイン通りを奥まで歩いて、ハンズのところから地下に入る。
手塚治蟲が描きそうな大エスカレータを降りて、動く歩道に乗る。
動く歩道の果てで、地下からサンシャインに入るのではなく、階段で地上に出る。
すると、傾斜が緩やかなピラミッドの側面みたいに感じられる大階段が、ずぅっと上のほうまで続いている。
その彼方にサンシャイン=ディダラボッチが立っている。

592 名前:柊の国の首猛夫:2007/07/19(木) 01:33:13
首猛夫は大階段の下に立ち、しばらくサンシャイン=ディダラボッチを眺めていた。
視界のなかでサンシャイン=ディダラボッチが、
かつての日々のように歩き出す気がした。

若者たちが大階段を魚のように昇り降りしている。
背側に鱗がなく、肌がじかに見える女の子とか、数人で連れだって歩くメダカの学校とか。
ときおりマンボウみたいに丸い、球形の人間がぼーっと立っていたりする。

ふと、首猛夫の視界に、黒い鳥が跳び込んで来た。
羽のような黒いドレスを身にまとい、
七弦琴を抱きかかえ上のほうの階段に腰掛けている。

宙を凝視めていた彼女が、不意に首をうつむけ、
眼差しを首猛夫に下ろした。


            <●>   <●>


澄んだ瞳が首猛夫を真っ直ぐ凝視める。

――あ、君は・・
階段を二、三段駆け上がったところで、あれ? と思って見ると、
彼女が腰掛けていたあたりの階段には誰もいない。
それでも彼女が腰掛けていたはずの高さまで登ってみる。



帰りに首猛夫はジュンク堂に寄った。
鰍のプレプリントの英知出版版を見つけた(というか、平積みにされていた)。
理傾化には本質的な側面とブーム的な側面があるな・・ と感じながら、
『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』の復刊版と一緒に買った。
九の内線に乗り、遠回りして高丹寺まで、湾曲した道を真っ直ぐ帰ることにした。

593 名前:柊ハロワ【ハケン”管理”記録】:2007/07/22(日) 02:05:28
束京から杣台に輸送された100体のハケン――輸送ナンバー001〜100のうち、
末尾奇数の50体が杣台駐屯軍の鰍主任科学官に引き渡された。
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/494n-510

鰍主任科学官はまず、
097と099の2体を夢空間共有システムの材料とし、 >>518
残る48体を12体ずつ4班のドッヂボール班に分けた。 >>500



       A      B      C      D
01    001    025    049    073    01
02    003    027    051    075    02
03    005    029    053    077    03
04    007    031    055    079    04  ▼1
05    009    033    057    081    05
06    011    035    059    083    06
07    013    037    061    085    07
08    015    039    063    087    08
09    017    041    065    089    09
10    019    043    067    091    10  ▼2
11    021    045    069    093    11
12    023    047    071    095    12

594 名前:柊ハロワ【ハケン”管理”記録】:2007/07/22(日) 02:06:56
▼1
079 テロ実行犯。柊軍曹に射殺される。 >>508

D班の04号が射殺されたことでドッヂボール班に生じた数の不均衡を嫌って、
鰍主任科学官は、A、B、C各班の04号である3人を間引く。 >>534

007と031 ケララに納品する夢空間共有システムの試用機の材料に使用。
055〔智彦〕 軍用芋虫人初号試作機に改造。
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/556n-560

▼2
A、B、C、D各班の10号、つまり、
019 043 067 091 モナド融合実験の実験動物として使用。
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/546n-566

12体のドッヂボール班は、さらに6体ずつの小班に分けて動かす場合もあったため、
04号に対応する欠番として10号が選ばれた。



残る40体全部を軍用芋虫人に改造することが決定している。 >>576
鰍主任科学官とその私設助手アイ氏のふたり掛かりでも一日4体を手術するのが限度なので、
「月〜金に渡って毎日4体ずつ」を2週間続けることで、
計40体の手術をこなすことになった。

595 名前: ◆USO800B5B. :2007/07/22(日) 19:47:23
キミのこと忘れてないし忘れないよ
だけどごめん
今は謝りたい気持ちと幸福な気持ちが半々
このわがままを許してくれるよね
このどうしようもない僕たちのこと忘れないで待っててくれる?

596 名前:柊ハロワ:2007/07/23(月) 00:41:41
午前中ドッヂボールをしていたハケンたちがグラウンドで昼休みを戴いていると、
ハケン管理の柊三等兵が現れて、
A、B、C、D全班の09号に第2研究室への異動を発令した。
月曜日のことだった。

一部のハケンたちには、
鰍式モナド融合実験装置の内部にうねくる臓物を掃除した経験があり、
他のハケンたちもその話を聞いていたので、
異動する09号たちの運命に恐怖した。

火曜日の昼休みには、
全班の06号に異動が発令した。
こうしてドッヂボール班から消えたのは、
    04号 → 10号 → 09号 → 06号
である。
ハケンたちはこの数列に何らかの規則性を読み取ろうと、
足りない脳を絞って帰納的推測に励んだが、
確かなことは何一つ思いつかず、
恐怖が増すばかりだった。

水曜日は01号だった。
どうやらはっきりしてきたことは、
毎日昼休みに発令があるらしいこと、
いままでと違って、毎日発令があるらしいこと、
全班の同号が4体ずつ連れていかれるらしいこと、だった。

木曜日は02号だった。
01号、02号と続いたため、
03号の4体は恐怖で発狂すれすれになった。

この時点で各ドッヂボール班に残されたハケンは6体ずつであり、
当初から考えると半減していた。

597 名前:柊ハロワ:2007/07/23(月) 00:43:11
木曜日の午後、
ドッヂボールの再開を命じられた各班6体のハケンたちは、
最早恐怖で引き攣っていた。

あるハケンは、
敵が撃ち込んで来たボールを捕球した直後、不意に動きを止めた。
ボールを持ったままグラウンドに立ち尽くし、
ビルとビルのあいまの狭い空を見上げて、
いったい自分はここで何をしているのだろうと考え込み、
静かに涙を流し続けた。

あるハケンは右腹の腎臓摘出の手術痕をいつまでも撫でさすり続けた。
グラウンドの真ん中で、赤褌をほどいて全裸になり、いちもつをいじりだすバカもいた。
(お忘れかも知れないが、ハケンのユニフォームは赤褌一丁である。)

凶暴なハケンは、
他のハケンたちにボールを投げつけ、
ボールで殴るみたいにして衝動を発散させていた。

あるハケンは、
凶暴なハケンに何度もボールをぶつけられながら、グラウンドに横たわり、
かたく眼をつぶっていた。

ボールで殴りつけられるたびに、
屍みたいに横たわる体が地面の上で跳ねた。
それでもこのハケンは、一心に、
かたく眼をつぶリ続けているのだった。

598 名前::2007/07/23(月) 00:44:10
現実はいやだ、現実に戻りたくない・・

柊おぢさんはかたく左眼をつぶり続け、
もともと潰れている右眼の奥にひろがる仮想現実世界にしがみついた。

右眼の奥には陽の燦々と降り注ぐコテージがひろがっているのだった。
フローリングの床に寝転がり、
軍用芋虫犬を貪りながら掲示板に妄言を書き連ねていると、
柊おぢさんは幸せだった。

全身を殴り続けるボールの痛みは感じていたが、
柊おぢさんは気にしないことにした。
このコテージこそが現実だ。

599 名前::2007/07/23(月) 00:46:12
ときどき背すじがむずがゆいような感覚があり、おそらくそれは
仮想現実世界の異なるレイヤーを使用しているアイの動きが
なんらかのバグを通して伝わって来ているのではないかと柊おぢさんは想像していたが、
この感覚が起こるたびに、アイの影を感じて
柊おぢさんはびくっと震えた。
アイに何度も手足を斬りおとされ、おもちゃにされた記憶は、
柊おぢさんのこころのど真ん中に、深く恐怖を刻み込んでいた。
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/577n-581

「ほぉーら、ぐりぐりぐり」
アイは楽しそうに剣先で柊おぢさんの内臓を掻き混ぜるのだった。
アイが剣先を持ち上げると、ぷつぷつと小腸が千切れながら引き出される。
既に両手両足を斬りおとされ、軍用芋虫犬みたいになっている柊おぢさんは
うがが、うぎゃがが と無意味な唸りをあげながら盛んに身もだえした。

アイは剣先に突き刺した小腸の切れ端を柊おぢさんの口元に運ぶと、
剣先ごと口にねじ込んだ。
鋭利な刃が唇を切り裂き、同時に舌の上におのれの小腸の食感が走った。
つるんとした管の感触に柊おぢさんは海老みたいに身をくねらせて嘔吐した。

「吐いちゃだめだよ」
ころころ笑いながらアイは柊おぢさんの喉を剣ですぅーっと切断した。
切断された管、食道から吐瀉物が
どくり、どくりと噴出した。

600 名前:柊ハロワ:2007/07/23(月) 00:47:37
金曜日の昼休みには全班の12号に異動が発令した。

601 名前:柊の国の鰍とアイと柊准尉:2007/07/27(金) 00:21:04
「よぅーし、で・き・あ・が・り・っと♪」

卍型の手術台からくるっと振り向いた鰍が、
扉の方を見て嬉しそうに笑った。扉の前の柊准尉が
「お疲れさまでした」と職務中の軍人らしい生真面目な感じで応える。でも、
鰍を見るその眼はやさしい。

鰍の隣りには鰍と同じブルーの手術着を着てアイが立っていて、鰍の背後には
軍用芋虫人に改造されたばかりの4体のハケンが
卍型の手術台にバンドで拘束されて横たわっている。

602 名前:柊の国の鰍とアイと柊准尉:2007/07/27(金) 00:22:29
大きなポリバケツが2個、研究室の隅っこにある。
片方には腕が8本突っ込まれ、
片方には脚が8本突っ込まれている。

40体のハケンから80本ずつ出る腕と脚の廃物利用法を
鰍も考えては見たのだが・・ >>584

手を繊細な仕事をさせるマニピュレータとして使おうにも、制御系をどう作るのか。
制御系を人間が扱うなら、その人間がじかに自分の手で作業する方が速い(!)。
人間ではなく、コンピュータに制御させるなら、今度は
わざわざ肉の手を制御させるより、一からこしらえた機械の手を制御させる方が速い。

手を乱暴な仕事をさせるマニピュレータとして使おうにも、強度が足りない。
脚に至ってはなおさら使い道が無い。

移植用素材に使えないことは無いが、軍用芋虫人への改造は日程が決まっている作業なので、
移植ニーズに合わせて切断する手間は掛けられない。
薬品材料にしようにも、製薬会社は培養人体部品の無菌農場を持っているから
わざわざ粗悪なハケンの手足を買う必要が無い。
芸術用素材という線も考えてはみたのだが、使いたいというアーティストを探す手間が惜しいし、
生ものなので「いま、使う」というのでなければ困る(保存はコストを食う)。

結局、あまり有意義な廃物利用法が思いつかなかった鰍は、
ハケンの腕と脚を珍味の材料として『柊印』社に売却することにしたのだった。
『柊印』は「柊印の犬脚の削り節」で有名な老舗企業である。>>368

603 名前:柊の国の鰍とアイと柊准尉:2007/07/27(金) 00:24:09
鰍とアイが研究室のシャワールームに消え、シャワーの水音とともに
きゃあきゃあ笑う声が聴こえてくる。
まさか洗いっこでもしてるのだろうか。柊准尉が蠢きだす妄想を
どうにも止められなくなってきた頃、

第2研究室の扉にノックの音がした。柊三等兵が扉の外から大声で名乗る。
「柊三等兵、軍用芋虫人4体の移送に参りましたぁ!」

「入れ」
扉の内側で柊准尉が命じると、
柊三等兵が5人入ってきた。
シャワールームの音が沈黙した。

柊三等兵たちは
卍型の手術台を4つに分解し、軍用芋虫人を1体ずつ載せたカートにする。
カートを1台ずつ押す4人の柊三等兵。5人目の柊三等兵が扉の開け閉めや
移送中のいちおうの哨戒を務める。



「やぁーだょ♥」
シャワールームから突然
鰍のオレンジ色の声が漏れてきた。なかはいったいどういう状況なのか。
研究室の6人の男たちは はっ と動きを止めた。
(軍用芋虫人4体も数に入れるべきだろうか?)

「柊三等兵、軍用芋虫人4体を帯同して退室いたしますっ!」
哨戒の柊三等兵が何とも残念そうに叫ぶと、
カートを押す4人を引き連れてぞろぞろと研究室を出て行った。

シャワールームの音が蘇る。

柊准尉は空っぽの研究室で
いったいどんな顔をすれば良いのか苦しんだ。眼が泳いで、泳いだ先で
ふとつかまえた映像は、大きなポリバケツ2個に刺し込まれた8本ずつの腕と脚だった・・

604 名前:柊の国の鰍とアイと柊准尉:2007/07/27(金) 00:26:26
「おまたせー」

ブルーの手術着から私服に戻った鰍とアイが
シャワールームから出て来た。

「行こ♪」

鰍が左手で柊准尉の右手を握り、
後ろを振り返って右手でアイを手招いた。
左右の手を柊准尉とアイに握られながら、鰍が くる〜り と回ろうとする。

「まわるな!」

柊准尉が叱るように言う。
鰍の甘え方はなんだかこどもみたいだ。

605 名前:柊三等兵たちと軍用芋虫人たち:2007/08/01(水) 11:01:00
柊三等兵たちは、
軍用芋虫人を1体ずつ載せた4台のカートを押して
リノリウムの廊下をあちこち曲がりながら進み、
貨物用の大エレヴェータで下降し、再び廊下をくねくね進んで
地下第3駐車場の入り口まで来た。

入り口横の大きな部屋が臨時の工作室に充てられている。
カートはまずここに搬入され、受け渡される。
5人の柊三等兵の移送任務はこれで完了である。

なお、この
「第2研究室→地下第3駐車場」の移送は実は往復の復路に当たり、
本当を言うと任務の起点は、
臨時工作室で空のカート4台を引き取ること、から始まる。
空のカート4台を「地下第3駐車場→第2研究室」で運ぶのが往路であり、
鰍の第2研究室では、空のカートと
出来立ての軍用芋虫人を載せたカートを差し替えたのだ。



軍用芋虫人たちは、臨時工作室で
ミイラが眠る棺桶みたいな形の装置に組み込まれ、
入出力のさまざまな管や線が繋がれる。
作業を行うのは、鰍から綿密なレクチャーを受け、
装置の作動原理を深く理解している高級技術兵たちだ。

昼から夕方にかけてが鰍とアイによる手術時間で、
高級技術兵たちによる組み込み作業とテストは夕方から夜に掛けて行われる。
だいたい深夜0時頃、4台の軍用芋虫人ユニットが組みあがり、
雑役の柊三等兵たちの手で地下第3駐車場に搬入される。

606 名前:柊三等兵たちと軍用芋虫人たち:2007/08/01(水) 11:02:45
プシィイィー
地下第3駐車場の入り口に臨時に設けられたエアロックの
廊下側扉が開く。
4人の柊三等兵が4台の軍用芋虫人ユニットを押してなかに入り、
最後に哨戒の柊三等兵が扉をくぐる。
5人は宇宙服みたいな特殊スーツを着用している。
(この5人は夜シフトであり、夕方の5人とは異なるチームである。)

哨戒の柊三等兵が廊下側扉を閉め、施錠すると、
駐車場側扉の電子錠が開錠可能な状態になり、ダイオードが点滅する。
暗号鍵を打ち込み、駐車場側の扉を開ける。
暗闇に包まれていた地下第3駐車場の蛍光灯がちかちかと瞬きながら一斉に点く。

なかはもうもうと立ち込める微量元素のミストでうっすら白く靄っている。

地下第3駐車場の広大な空間は臨時に気密化されており、
内部の空気が外部に漏れないようになっている。
(といっても、とことん厳密な気密性は不要なので、単純な目張り作業しか施されていない。
軍用芋虫人の発する微量元素は迂闊に漏れれば厄介を引き起こすが、
別に劇毒というわけではないからだ。)

607 名前:柊三等兵たちと軍用芋虫人たち:2007/08/01(水) 11:08:43
コンクリートの床の上に、
ミイラが眠る棺桶みたいな軍用芋虫人ユニットが13台、並べられ、
「鰓(えら)」から神経網――樹の枝みたいな、あるいは鹿の角みたいなフラクタル構造――
を大気中に展開して、ゆらゆら揺らしている。

シィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

フィッ!フィッ!フィッ!フィッ!フィッ!フィッ!

フルゥアァアァアアァアアアァンンンン・・

シクシクシクシクシク

シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーー

軍用芋虫人たちの思い思いの作動音が
地下第3駐車場の閉鎖された空間のなかをこだましている。



「035をA3区画に移動」
哨戒の柊三等兵が指令書を見ながら指示する。
ひとりの柊三等兵がナンバー035の軍用芋虫人を現在位置からA3区画に移動する。

地下第3駐車場に既にあった13台の軍用芋虫人ユニットと
新たに運んできた4台のユニットを
指令書通りの位置にセットすれば任務完了だ。

608 名前:柊三等兵たちと軍用芋虫人たち:2007/08/01(水) 11:10:04
作業が終わった。
5人の柊三等兵たちは扉を開け、
薄気味悪い地下第3駐車場を背に、エアロックのなかに入る。

新たなメンバーと新たな配置に興奮しているのか、
17台の軍用芋虫人たちがざわめき、
神経網から放出される微量元素のミストが濃くなっている。
空間の底が白くなる。
地下第3駐車場の蛍光灯が一斉に消え、一瞬の後、暗闇に落ちる。

駐車場側扉を閉め、施錠する。合成音声が
「洗浄いタしマス、よろシイですカ」と訊いてきて、哨戒の柊三等兵が壁のボタンを押すと、
天井から物凄い勢いでシャワーが降り注いでくる。
空気中の微量元素を水に溶かして除去するのだ。
規定時間、滝に打たれたあと、「洗浄完了いタしマしタ」という合成音声が流れ、シャワーが止まり、
エアロックの廊下側扉の電子錠に開錠可能のダイオードが点滅する。
暗号鍵を打ち込み、廊下側の扉を開ける。

609 名前: ◆USO800B5B. :2007/08/01(水) 23:54:14
ふとこぼれ落ちるきみの名を
誰もとめることは出来なくて
ただ戸惑いの中見つけた新しい陽だまりは眩しく光って

610 名前:柊の国の修正:2007/08/07(火) 19:36:51
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/593n-600 は
月曜日から木曜日までの出来事を描き、金曜日の出来事を予告して終わる。そして
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/601n-608 は
木曜日の夕方から夜に掛けてを描いている――というつもりで書いていたが、
後者のシークェンスは金曜日の夕方から夜に掛けてを描いていたことに修正する。
この時期のルーチンを描くシークェンスなので、木曜日でも金曜日でも大筋は変わらない。

>>607 「13台」→「17台」
>>608 「17台」→「21台」

611 名前:柊ハロワと柊の国のアイ:2007/08/07(火) 19:38:21
金曜日の朝、既に各班6体ずつしか残されていないハケンたちは、
A+C、B+Dと組んでドッヂボールをするよう命じられた。

ハケン管理の柊三等兵からは、ドッヂボールを懸命にやると
何か良いことがあるかも知れないという含みのある発言があった。
これは鰍の指示によるものだ。
午前中活発に手足を動かさせた方が、午後の四肢切断のとき、神経活性が見やすいのである。

きょう「異動」を命じられるのが全班の12号であることは
昨晩既に決定されていたが、朝のこの時点では柊三等兵も知らされていない。



木曜日の晩、このところ毎晩そうしているように鰍と柊准尉と3人でディナーを食べていたアイは、
金曜日の「異動」が12号に決定した瞬間、忘れないうちに脳内でクリックして
柊おぢさんの仮想世界へのアクセスを禁止した。
柊おぢさんのナンバーは047、>>495
ドッヂボールではB班12号だったのだ。>>593

四肢切断の瞬間に脳が右眼の奥の仮想世界に逃げていると厄介なことになる。
恐怖はリアルに味わっておいてもらわなくては。

脳内でクリックするため一瞬虚空に視線を合わせたアイが、操作を終えて
リアルのテーブルの光景に戻ると、アイの顔をそぅっと窺っていた鰍と眼が合った。

鰍がにこっと笑い、アイも微笑んだ。

612 名前::2007/08/07(火) 19:40:14
木曜日から金曜日に掛けての深夜、柊おぢさんは憔悴し切っていた。
右眼の奥のコテージが不意に掻き消えて、その後、
まったく入れなくなってしまったのだ。
いくら必死で左眼をつぶっても、固く固く
握り締めるように左眼をつぶっても、
右眼の奥にコテージの仮想世界が広がらない。

ハケン倉庫のカプセルシートのなかで柊おぢさんは身悶えし、
「っしゃっせなっすょお!」と意味不明なことを大声で叫んだ。
ハケンたちが「うっせえ!!」と怒鳴る。
それでも止まらない柊おぢさんが「んぁがなぇっすっしょおぉ!!」と叫ぶと、
通路に出てきたハケンたちがカプセルシートの金具を引き抜いた。
シートの足側が ばんっ! と落ち、叩き落された柊おぢさんの体が
斜面となったシートの上で ずず と崩れる。
それでも柊おぢさんは かち、かち と左眼を握り締め続けた。
「なんだぁ? 何ウインクし・て・ん・だ・よ?!」

ハケンたちは柊おぢさんの体を通路の床に引きずり出し、交互に蹴り始めた。
それでも柊おぢさんは かち、かち と左眼を握り締め続けた・・

613 名前::2007/08/07(火) 19:44:23
宿直室でモニタ画面を見ながら
軍の資材であるハケン047が使用不能になる危惧を感じた柊三等兵が
マイクロフォンをオンにして「静止ぃいいいいぃいいい!!!!」と怒鳴った。
多くのハケンはその場で静止したが、
最も頭に血が上っていた2体は静止せず、柊おぢさんを蹴り続けた。

ハケンたちの首には金属製の首輪がはめられていている。>>520
柊三等兵は視認モニタと管理モニタで2体のハケンナンバーを確認すると操作盤のボタンを押した。
(管理モニタは首輪からの発信をもとにハケンたちの現在位置を表示するものだ。)
首輪から注射針が突き出し、2体は昏倒した。

「カプセルシートに戻って寝ろ!」
柊三等兵が命ずるとハケンたちはぞろぞろとシートに戻った。

昏倒した2体と柊おぢさんを通路に放置したまま柊三等兵はマイクロフォンを切った。
午前4時頃、モニタ画面のなかで昏倒した2体がうろうろと蠢くのが見えた。
やがて1体がはっきりと起き、もう1体を起こした。
2体は床に崩れている人型のゴミを眺めて何か考えているようだったが、
恐ろしそうに天井の監視カメラを見上げると、何もせずカプセルシートに戻った。
朝6時の起床時間が来ても、床の上のゴミは動かなかった。

614 名前::2007/08/07(火) 19:46:03
金曜日の午前。
顔や、赤褌一丁の体の至る所に黒ずんだ痣が残る柊おぢさんは、
ドッヂボールのコートに立ちながら、
何度も必死で左眼をつぶっていた。
かち、かち と握り締めるようにつぶっては、絶望し、開く。
その顔面を真正面から狙ってボールを叩き込まれた。
声をあげる元気も無く、無言のまま背中から地面に倒れた。
その腹にボールを叩き込んだのはたぶん「味方」のハケンだ。
柊おぢさんは激痛に腹をおさえて海老になった。
その曲がった背中に叩き込まれたのは最早ボールではなくて蹴りだ。
蹴る足があっという間に増えてゆく。
どこか遠くのほうで柊三等兵のホイッスルが ピィイーーーー!! と鳴っている。
ふと開けた柊おぢさんの左眼に無限に遠い青空が映った。
喉の奥に流れる血の味がした。



昼休み。全班の12号に異動が発令した。
他の3体がうろたえるなか、
絶望の限度を越えたハケン047は無感動だった。

615 名前::2007/08/08(水) 19:06:29
023、071、095の3体はうろたえながら顔を見合わせていたが、突然、
071がグラウンドを走り出した。一瞬の後、
023と095も別々の方角に走り始めた。
どうやら047以外の3体は、発令したら
別々の方角に走って逃げようと申し合わせていたらしい。
バカの考え休むに似たりだ。
柊三等兵は余裕を持って携帯操作盤を取り出すと、
「ぽちっとな」と呟きながらボタンを押した。
3方向に走り去った3体が、遠くで一斉に崩れ落ちた。
柊三等兵は(逃げたもの逃げなかったものを識別する手間が惜しいから)
12号の4体全部のボタンを押したので、
逃げるどころか、ずっとその場に立っていただけの047の首輪からも注射針が突き出した。
047の意識も落ちた。
覚醒した時には既にカートにバンドで拘束され、ビルの廊下を移送されていた。
天井がくるくる流れ去ってゆく。
貨物用の大エレヴェータで上昇し、再び廊下の天井がくるくるまわる。
やがて天井の動きが止まり、頭のうえのほうで扉をノックする音が聞こえた。
「柊三等兵、ハケン4体を移送して参りましたぁ!」

「入れ」という声がして、扉を開ける音がした。
廊下の天井から框(かまち)を越えて、研究室の天井に移る。
柊三等兵たちがなにやら金具をカチャカチャいじって、
4台のカートを卍型に組んだ。
天井から4つの眼球がぎろりと睨んでいる。無影燈だ。
まだ点灯されていない。

「柊三等兵、移送任務を完了して退室いたしますっ!」
ひとりの柊三等兵が何となく残念そうに叫ぶと、
他の4人を引き連れてぞろぞろと研究室を出て行った。
研究室が急に静かになった。

扉の内側で「入れ」と言った男性がまだ研究室のなかにいるはずだが、
柊おぢさんからは彼の姿が見えない。

616 名前:柊と柊の国の鰍とアイ:2007/08/08(水) 19:10:26
他の3体はなにやらもぞもぞ蠢いている気配だったが、
柊おぢさんは無感動を通り越して退屈な感じがしてきた。
いまさらながら左眼を かち、かち と握り締めてみる。
右眼の奥のコテージに行っけたらいっいのになぁー♪
いぃーいのになぁー♪



かちゃり
小さな扉が開く音がする。靴音が聞こえて来る。
急に声がした。

「始めよっか」
蜜を含んだ甘い声。
ブルーの手術着を着た少女が4つの眼球を背後に従えて見下ろしてくる。
鰍主任科学官だった。

甘い声があらたまった口調を作り、
天井から垂れ下がっている指向性のマイクに公式記録を吹きこむ。
「それでは金曜日、ドッヂボール番号12号のハケン4体を軍用芋虫人化する手術を開始します。
執刀は鰍、助手はアイさんです」

可憐な少女の隣りから
咲き開いた薔薇のような女性が白い顔を覗かせた。
印象的な瞳のふたりだ。姉妹のようにも見える。
柊おぢさんは絶叫した。
「あがぁああぁあああぁあぁああああぁああああぁあああぁあああ!!!!!!!!!」

それは右眼の奥に棲む女性だった。柊おぢさんに
右眼の奥の仮想世界を与えてくれたひと、そして、
仮想世界のコテージで柊おぢさんの手足を何度も何度も切断し、
剣先で柊おぢさんの内臓を掻き混ぜてはリセットして、
気絶することもリアルに戻ることも赦さず拷問し続けた女性だった。

「ほぉーら、ぐりぐりぐり」

617 名前:柊と柊の国の鰍とアイ:2007/08/08(水) 19:13:20
鰍が不思議そうな顔をした。
「なんだろ、アイの顔見て急に怯えてない?」

柊おぢさんは、そうか、ここは仮想世界だったのか、どうりでいくら左眼をつぶっても無駄だったわけだ、
もう既にここが仮想世界だったんだ、急にシナリオが変わったからわかんなかったよ、
舞台はコテージだけじゃなかったんだな、手術室ヴァージョンか、
リアルに戻らなきゃ、
また手足を切断される、また内臓を掻き混ぜられる――と錯乱した考えを抱き、
さっきまでと逆に、左眼を必死でぐわっと見開き、
何とかリアルに離脱しよう、離脱しようと無駄な足掻きを始めた。

手術台に近寄ってこようとする柊准尉をアイはだいじょうぶと眼で止めて、
「なんだろ」と微笑みながら注射針を柊おぢさんの喉に刺す。
声帯の筋肉を無力化した。
他の3体のハケンがもぞもぞ動くばかりで声をあげなかったのも、
既にこの処置が施されていたからだ。



アイと柊おぢさんがリアルで会うのはこれが初めてだった。
この瞬間に柊おぢさんが右眼の奥の仮想世界に逃げた場合、
コテージでもアイと会ってしまう可能性が生じる。
7次元時空の葦の原から4次元ガイア沈殿にチャートを開くとき、
時制は必ずしも整合的ではないから、>>561
第2研究室でアイと柊おぢさんが会うのと「同時刻」に、
秘密基地の側にもアイがいる可能性がある。
そうすると7次元時空のなかで、
柊おぢさんのモナドを介してアイのモナドがこじれてしまう可能性が出てきて、
すこし厄介なのだ。
7次元時空には「避けたい偶然ほど擦り寄ってくる」という格言がある。
金曜日の「異動」が12号に決定した瞬間、アイが即座に
柊おぢさんの仮想世界へのアクセスを禁止したのはこのためだ。
うっかり後回しにすると「忘れる」などの危険が擦り寄ってきやすいのである。

618 名前:柊と柊の国の鰍とアイ:2007/08/08(水) 19:15:42
天井の4つの眼球が光を放つ。
ひとつひとつの眼球がそれぞれ沢山のプリズムを備えた複眼なので、
卍型の手術台のうえは安定した光束に照らされる。

鰍とアイは帽子とマスクをつけ、
目元も防御グラスで覆って手術を開始した。
まず、4体のハケンたちの腕がテキパキと取り外されてゆく。
柊おぢさんの順番は2番目だった。

チュイィーーーーーーーーーーン
レーザーカッターが柊おぢさんの右腕をなで、次の瞬間、
柊おぢさんの左眼の視界のなかで、鰍主任科学官がその右腕を
まるで物体のように ごきゅ と動かし、持ち上げた。
柊おぢさんがいくら力を入れても何も動かない。
右腕は傍らのワゴンに置かれた。
手の甲に「047」と印字されているのが見えた。

「え? え?」
コレハ イッタイ ナニガ オコッタノ ダロウ・・
柊おぢさんは眼の前の光景に非現実感を覚えた。
あ、そうか、そかそか。
ここは仮想世界なんだった、あの女性=師匠がいらっしゃるんだもんな、
手術室ヴァージョンか、そんなシナリオ知らなかったよ、
いきなり始まるしな、
で、いつリセット掛かるの? リセットのあともまた腕斬られるの?
何度繰り返すの?
あー いつリセットなんだろう、あ、今度は左腕も取り外されたぞ?
ふぅ〜ん? でもいつもみたいに痛くないから楽だなぁ
楽すぎてかえって非現実的な感じがするなぁ

リセット、リセットと声の出ない喉で呟きながら柊おぢさんは
時々思い出したように ぐわ、ぐわ と左眼を見開く。
作業中のアイと眼が合うたび恐怖心と依頼心を同時に感じる。
リセットおねがいしまーす。
リアルに離脱させてくださーい。おねがいしまーす。

619 名前:柊と柊の国の鰍とアイ:2007/08/08(水) 19:20:00
「よぅーし、で・き・あ・が・り・っと♪」

楽しそうな鰍主任科学官の声が聴こえる。
柊おぢさんはリアルの非現実感に呆然としていた。
「え? え?」と声なく呟くあいだに両腕と両脚が取り外された。
斬る、というより、取り外す、という言葉の方が的確に感じられる。
柊おぢさんの左眼の視界のなか、研究室の隅っこには
大きなポリバケツが2個あって、
片方には腕が8本突っ込まれ、片方には脚が8本突っ込まれている。
あ。あの手の甲に047と印字されている腕が俺の腕だな・・
動け。う、動け。
なんでだ? ついさっきまで動けと思えば動いたのに、
取り外されただけのことで動かなくなっちゃった。
俺の腕なのになんで俺が動けと思っても動かないんだ?
へんだなー へんだなー

そして腕や脚がついていたはずの場所には黄色いペーストが塗られ、
はやくも樹の枝あるいは鹿の角みたいな神経網が生え始めていた。
柊おぢさんが腕に動けと命じると、このフラクタル構造物がなんとなくゆらゆら揺れるのだった。



水音が聞こえ始め、
きゃあきゃあ笑う声が聴こえてくる。
仮想世界の師匠と鰍ちゃんが知り合いだったなんてなぁ
いっしょにシャワーで洗いっこでもしてるのかな。

ノックの音がした。
「柊三等兵、軍用芋虫人4体の移送に参りましたぁ!」

「入れ」
どやどやと音がして、研究室のなかが騒がしくなった。
シャワールームの音はいつの間にか沈黙していた。

柊三等兵たちは運んできた空のカートを研究室の隅に並べると、
卍型の手術台の方に来て、金具をカチャカチャといじり、
手術台を4台のカートに分解する。



「やぁーだょ♥」
シャワールームから突然
鰍のオレンジ色の声が漏れてきた。
うわ。なかはいったいどういう状況なんだろ。
軍用芋虫人と化した柊おぢさんも はっ となった。だが、声の余韻を味わう暇もなく、
運び手の柊三等兵がカートの頭を持ち、がらがらと押し始めた。
研究室の天井がくるくる回りだす。

「柊三等兵、軍用芋虫人4体を帯同して退室いたしますっ!」
ひとりの柊三等兵が何とも残念そうに叫ぶと、
ぞろぞろ扉をくぐり始めた。
研究室の天井から框(かまち)を越えて、廊下の天井に移る。
廊下の天井がくるくる流れ去ってゆく。
貨物用の大エレヴェータで下降し、再び廊下の天井がくるくるまわる。
やがて天井の動きが止まり、頭のうえのほうで扉をノックする音が聞こえた。
「柊三等兵、軍用芋虫人4体を移送して参りましたぁ!」

620 名前::2007/08/08(水) 19:22:23
心身ともに芋虫みたいになった柊おぢさんが無感動に眺めているなか、
高級技術兵たちはこの芋虫の体を棺桶の形をした装置に組み込んでいった。
両サイドの「鰓」からフラクタル構造物が外に伸びるようにする。
そうこうしているあいだにも、細胞というかナノマシンは増殖し、
樹の枝あるいは鹿の角みたいな神経網は成長を続けている。

うなじにジャックが刺し込まれた。
棺桶装置が中央制御室とのあいだで送受信した信号を
柊おぢさんの脳とつなぐためだ。

ついに棺桶の蓋が閉められた。
眼が見るものはもう何も無い。いつまでも終わらない暗闇。
眼は退化器官となるよう期待されていた。
代わりに両腕両脚から流れ込んでくる無数の「臭い」が
軍用芋虫人にとっての環境世界を形成している。
この環境世界のなかで、
うなじから来る制御信号に従って脳が動作するのだ。
軍用芋虫人の「仕事」に「本人」の意思は何も必要ではない。
もし意思が必要なら、社会の廃棄物であるハケンなどに務まる「仕事」ではなかろう。
軍用芋虫人は純粋に資源として脳髄を活用されるのであり、
その間、言ってみれば「本人」はごろごろ寝転んでいるのだ。



何かが起こって、気がつくと仲間たちのあいだにいた。
両腕両脚から仲間たちの「声」が、
無数の「臭い」の形で流れ込んでくる。

シィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

フィッ!フィッ!フィッ!フィッ!フィッ!フィッ!

フルゥアァアァアアァアアアァンンンン・・

シクシクシクシクシク

シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーー

柊おぢさん「本人」がウスウスと眠り込んでいる間、脳髄の無数の繊維たちは
繊細な無数の情報群に触れて新鮮な感動に満ち、
軍用芋虫人としての活動を学び始めていた。

621 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/08/08(水) 19:30:44
             ___
         . -∴∵:/| ̄~´` ‐ 、 _
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  .∵∴∵∴::i  i.:;:;:;|:::::::::::::l´:::`\_)    .. .../ /
   ..∵∴∵∴:i  .i.:;:;.|::::::::::::::::::ノ\::\    ..'  ':
    ∵∵∴∵ヽ ヽ:;ヽ○;;;:/`ヽ_ヽ___つ:/ /
      .∵∵:∴.:\ .\;:;:;:;;:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;:.,r'´ ./   tanasinn
       .`∵∴∵.ヽ  ヽ;:;_:;: 、-‐'  , ‐'
          `'‐∵∴ゝ、_|__, 、 -‐'~


622 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/08/08(水) 22:34:51
a

623 名前: ◆USO800B5B. :2007/08/18(土) 22:17:27
初盆も過ぎてから墓参り。

正直にゲロったよ。
キミには嘘はつけないから。
やっぱりキミじゃないとダメなことって沢山あったんだと実感。

逢いたいよ。

624 名前:柊の国の鰍:2007/08/22(水) 01:52:45
ふだんからワーカホリック気味の鰍だったが、
いつもは多彩なメニューをこなして多忙なのに対して、
この2週間は同じ日課を繰り返す毎日だ。
こうした単調な忙しさはなんだか疲れる。



朝食は柊准尉がワゴンに載せて部屋まで運んできてくれる。
軍の上級食堂の厨房が作ってくれるもので、鰍用の特製モーニングだが、
軍らしい質実剛健な内容ではある。
珈琲が美味しい。

午前中いっぱい、地下第3駐車場の軍用芋虫人たちを
第1研究室のコックピットから遠隔操縦し、
一体一体の操作特性を見て、杣台市に導入した後の
システムとしての「アライメント」をとる。操縦するあいだに、
軍用芋虫人たちの配置条件をこんな風に変えて実験してみたいという着想を得るので、
指令書を書く。この指令書は深夜0時頃、
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/605n-608
棺桶入りの軍用芋虫人(軍のメカニックが仕立て上げた)を柊三等兵たちが地下第3駐車場に搬入する時に
合わせて実行され、新たな配置条件が翌日午前の操縦で験される。

昼食は軍の研究員たちと上級食堂で会食する。
午後は第2研究室でハケン4体を軍用芋虫人に改造する。
夕方に手術が終わるとシャワーを浴び、
アイ、柊准尉と3人でディナーを食べにゆく。
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/600n-604



「行こ♪」

鰍が左手で柊准尉の右手を握り、
後ろを振り向いて右手でアイを手招く。
両手を柊准尉とアイに握られながら、鰍が くる〜り と回ろうとする。

「まわるな!」

柊准尉が叱るように言う。
鰍の甘え方はなんだかこどもみたいだ。



最近の自分が妙に甘えんぼなことは、鰍自身、自覚していた。
繰り返される単調な忙しさに疲れていることもあるが、それだけが原因ではない。

625 名前:柊の国の鰍:2007/08/22(水) 01:58:18
月火水木のディナーは
杣台市街の名店にケータリングを頼んだ料理を鰍の部屋で食べたり、
基地内の仲村屋に行ってみたりしたが、
金曜日の夜は、
ハケン40体のうち、ちょうど20体の改造手術が完了する中間点に当たるから、
打ち上げ的に(といっても、鰍はお酒を飲まないが)、
応接ビル最上階のバーにゆくことになった。
以前、柊准尉とアイが『獺祭』を飲んだお店だ。

  ※ 仲村屋 ・・恋と革命の味のカリーが有名なレストラン。杣台基地店では
     .      ハンバーグとかパスタなど、洋食一般が美味しい、としておく。

左手を柊准尉と握り、右手をアイと握って、
くる〜り と回りそうな勢いで鰍が来店すると、
一同は奥の迎賓室に案内された。

部屋に一歩踏み込んで鰍は息を呑んだ。
壁一面がガラス張りで、眼下にミニチュア模型のような大地が広がっている。
彼方に黴が燃え広がったような杣台市街。
その背後に満月直前のぶよぶよと赤い月。

まだ陽が沈んでしまう前で、おもちゃみたいな新幹線が
ゆっくりゆっくり滑るように動いている様子も遠望できる。

ソファには柊准尉を真ん中にして座った。
鰍がそんな風に動いたのだ。
柊准尉を真ん中に、その右にアイが、左に鰍が座った。

626 名前:柊の国の鰍:2007/08/22(水) 02:01:30
来週一週間この日課を繰り返して
ハケン40体を軍用芋虫人に改造したら、
その次に来るのは杣台市への実戦配備、そしてシステムの試運転だ。
では、システムの設置が完了したら、
その次には何が来るのだろう?

鰍の束京への帰還、が来る。もし鰍が自主的に帰還しなければ
榎くんが(しょうがないなぁ)と呟きながら帰還命令を書くに違いない。それがわかっているから、
鰍は「自主的に」帰還する。

軍用芋虫人システムを使って杣台市を操縦するには、極めて希少な
実践的かつ理論的な知性が必要だ。
いまのところ、鰍にしか軍用芋虫人システムの演奏は困難だったが、
システムの演奏者として有望な知性は既にひとり見つかっていた。
――アイである。
近くアイに主任科学官補佐の肩書きがつき、杣台市演奏者への就任が要請されるであろうことを
鰍は予想していた。
現時点で他に適任者が見当たらないし、
鰍自身がいくつかの人事レポートでアイを推薦していたからだ。

鰍が束京に帰還して、アイは杣台市演奏者として杣台に留まる。
鰍とアイの関係は仕事のうえではいっそう深まるとも言えるが、
個人的な関係は「遠距離恋愛」になってしまう。

では、鰍と柊准尉の関係はどう変化するのだろうか?
現時点では柊准尉は
鰍主任科学官警護という曖昧な位置付けで、鰍と時間をともにしている。
いっそ、柊准尉に退役してもらって鰍マネージメントで正社員雇用しても良いのだが、
柊准尉がそれで喜ぶのかがよくわからない。

鰍が悩むのは彼と自分の心と体の距離だった。
最近自分が妙に甘えんぼなのも、きっとこのせいだ。
鰍の容赦ない分析力は自分自身の内面にも向けられ、その葛藤を正確に映し出す。
だが、事態を正確に言語化できるということと、それを何とかできるということとは違う。
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/511n-519

627 名前:柊の国の鰍:2007/08/22(水) 02:04:01
「お疲れさまぁー♪」

柊准尉とアイはビールで、鰍は檸檬をしぼった天然ソーダ水で乾杯する。
鰍は酒類を飲む法定年齢に達していないということもあったが、
なによりもアルコール摂取で脳細胞が毀損されることを嫌っているのだった。
アイが酒好きなのを批判する気持ちはまったくないのだが、
でも、自分では飲む気になれないのだった。

ビールから『獺祭』へと進んでゆくふたりを眺めながら、
鰍は自分の気持ちを持て余している。
たぶん、自分は「両親」に憧れているのだ。
仲村屋というやや高級なファミレスみたいな店に3人で入ったとき、それを自覚した。
店には家族連れの軍人が何組か来ていた。

柊准尉の何パーセントかは、もしかしたら、見たことのないパパの幻影。
アイの何パーセントかは、もしかしたら、見たことのないママの幻影。
そんなに歳の差があるわけでもないアイをお母さん呼ばわりするのは怒られそうだが、
鰍のなかの生きることができなかった幼児期のわたしがゆめみているのだとしたら、
アイが若いママであっても無理ではない。
だから鰍は、アイと柊准尉が仲良くしてるのはなんだか嬉しかった。ママ大好き。
でも、いっぽうで、この娘は、パパの寵愛をも勝ち取りたいのだ。

わたしってこんなにわけわかんないひとだったっけ。

鰍が自分の心のなかを覗くとひとりの幼い女の子がこっちをじっと凝視めている。
鰍も女の子の瞳をじっと凝視めかえす。


            <●>   <●> 


鰍は女の子に、甘えても良いんだよと言ってやりたかった。

628 名前:柊の国のアイ:2007/08/22(水) 02:05:28
このような鰍の心の動きを、
鈍感な柊准尉は何も感じていなかったが、それは良いのだ、柊准尉の持ち味は大きな心の動きだから、
心の微粒子の繊細な波動に鈍感でも構わない、――しかし、
鰍と同程度に切れるアイは透明に見通していた。見通して、そして、あーあ と少し感じていたが、
それ以上にアイは、
暗闇を洞察するこの天才少女を深く尊敬していたから、
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/561n-564
甘えんぼの鰍が愛しくてならなかった。

だから、アイは、自分の計画をどのように進行させれば良いのか、まだ迷っていた。



ハートのトランプ。
カードが5枚。
3、5、7、8とJack。
ディナーの終わりのいつもの儀式だ。
鰍がトランプを扇に開き、アイが一枚を引く。

「5」

来週の月曜日、第2研究室への異動を言い渡されるドッヂボール番号が
これで決まった。>>611

629 名前:柊ハロワと柊の国のアイ:2007/08/24(金) 02:10:46
ハケンたちは脳髄を雑巾のように絞って
何とか規則性を読み取り、運命を知りたいと悪あがきしていたが、>>596
次のナンバーはトランプで決定されていたのだった。

下層からは必死で読解するべき事柄に見えるのに、
上層から見るとごく単純なロジックに従っていたり、それどころか
意味の無い偶然だったりすることはよくある。
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/408n-424



だが、同様なことはアイとNOVA警察の関係についても言えた。
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/527n-529
ガイアの100億年の時空に神経系をはりめぐらせているNOVA警察は巨大すぎて、
反NOVA警察のエージェントたちは、自分が何を目的として行動しているのか、
時々よくわからなくなるのだ。>>579

630 名前:柊の国の鰍:2007/08/25(土) 00:00:50
結局今夜も『獺祭』の一升瓶を
アイと柊准尉のふたりですっかり空けてしまった。
ふたりともみっともなく乱れることもなく、楽しい時間だった。
鰍はアルコールは飲まないが、脳内麻薬を自力で作り出せるタイプなので
3人であーでもない、こーでもないと話した。
ふたりが飲んでいるのを左から見ているのがそもそも楽しいのだった。

陽が落ちると一面ガラス張りの壁は黒い夜へ切れ間なく開いてゆく。
彼方にキラキラ瞬く杣台市街。

41台の軍用芋虫人をこの大地の広がりに実戦配備し、
100万人を演奏する――どんな気分なんだろ・・

鰍が巨大な交響曲を想像しながら夜景に見惚れていると
柊准尉が微妙にピントのずれたことを言った。

「実戦配備した軍用芋虫人は国防上どう運用するんです?」

鰍とアイは眼を見合わせた。
鰍とアイが訝しがっている雰囲気を察して柊准尉がこわごわ言った。

「いや、雑誌やTVで見るんですけどいまいち軍事的な運用方法がぴんと来なくて・・」

柊准尉は杣台駐屯軍のなかで開発されている軍用芋虫人が国防兵器だと
素朴に信じ込んでいるのだった。
軍用芋虫人は仮想敵国から国民を守るための兵器などではない。むしろ、
国民が分泌する「民主主義」から国家体制を守るため、国民に対して向けられる兵器なのだ。
鰍はもちろんこのことをよく知っているし、アイも理解している。

反NOVA警察のエージェントであるアイが現世で演じているのは役柄に過ぎなかったが、
仮に役柄でなく真正の現世人だったとしても、アイは理解した上で鰍に協力しただろう。
そして、鰍は、
軍用芋虫人システムが守ることになる独裁権力の中枢構成メンバーに他ならなかった。

631 名前:柊の国の鰍:2007/08/25(土) 00:03:40
柊の国では軍が強く、そして
その軍の実権を握っているのは市場浄化委員会の榎少佐だったが、
理論的にはいまだに「民主主義国」であり、
国権の最高機関は選挙された議員から構成される国会だった。
(榎少佐のクーデタは物理戦ではなく、基本的には経済戦・情報戦である。
「自由主義経済体制」を維持したまま、その枠組みのなかでクーデタは行われたのである。
右前脚山盗難事件だけが唯一の物理的謀略と言えた。)

軍用芋虫人システムの主要都市への実戦配備が完了すれば、
旧体制のむくろを残したまま、実質的にこの国はくぐつになる。
地方行政の長としての知事は残したまま、実質的な行政は都市演奏者に牛耳られることになるのだ。
もちろん、選挙を好きなように誘導することなど簡単だから、
首長や議員を独裁権力の意のままに、合法的に決定することもできる。というよりも、
主要都市に軍用芋虫人システムが配備されるということは、
「国家」という生命体が根本的に次の段階へ進化することを意味しているのかも知れなかった。



ほんとうは、これは鰍が最初に企画したシステムからだいぶ変貌してしまっている。

鰍が夢見ていたのは
「デジタル的に言語を伝達するのではなく、感情を直接伝える流体的な媒体」を作ること、だった。
鰍は「媒体」自体が作りたかったのであり、周縁を中枢管理する道具が作りたいわけではなかったのだ。

だが、杣台における試運転第1回において〈杣台の声〉を聴いた鰍は、
個々のモナドの底に横たわる集合自我みたいなものの物理的実在に興味を抱き、
また、杣台駐屯軍の図書室で極秘文献群に出会ったこともあり、
形而上物理学の研究に傾斜してゆく。
そしてモナド融合実験によって〈杣台の声〉と形而上物理学の認識を同時に深めようと考え、
実験を制御できるだけの情報処理容量を必要として、軍用芋虫人初号機を作った。
こうして開発された軍用芋虫人システムは初期の軍用芋虫犬腹中虫粘菌型コンピューティングに比べ、
飛躍的に中枢管理が可能な仕様に変貌していた。
鰍としてはモナド融合実験を管理するために決めた仕様だったが、
作ってみると独裁権力にとってより使いでがある仕様が誕生していた。

632 名前:柊の国の鰍:2007/08/25(土) 00:05:02
理論的には「法治国家」であるこの国で、
ハケンという身分は別に、私的でアンダーグラウンドなものではない。
ハケンは公的で法的な身分規定であり、
ハケン契約法によって「基本的人権の停止」など、定められている。だから、
ハケンがモナド融合実験で臓物の塊に追い込まれたとしても、
手足を切断されて軍用芋虫人に改造されたとしても、すべて合法的な取り扱いなのだ。

だが、
一般国民の生命・財産は保障されているのではなかったか?
ハケンに対する「非人道的な」取り扱いと、一般国民に兵器を向けることとは、意味が違う。
軍隊が一般の国民に武器を向けたら、軍が何を守っているのか、軍の存在意義がわからなくなってしまう。
――生真面目な軍人さんである柊准尉が「本当の話」を聴いたとき、
もしこんな感想を持ったらどうしよう、と鰍はふと考えた。

でも、と鰍は思うのだ。軍用芋虫人システムがどんなもので何をするのか、
わたしは論文で公表しているし、一般向けの声明でもなるべく簡単に説明してるんだけど。
どうしてみんな本気にしないんだろ。

結局わたしはこのひとの鍛え上げた体が好きなのかなぁ
テロのとき、わたしのことを守るって、こころの底から叫んでた。嬉しかった。
知的な面では、アイと話してるとほんとにしっくりくる。
鰆ちゃんや榎くんでも得られなかったくらい深いところで波長が合ってる。

633 名前:柊の国の鰍:2007/08/25(土) 00:08:15
マネーとは、貨幣経済社会が命懸けで維持し続けているフィクションのことだ。
マネーは数字に過ぎないが、この数字のために人間が死ぬのである。

かつてこの国において、国富の実体とマネーが著しく乖離し、
無茶な数字が出たことがある。だが、実体と乖離していたと事後的に考えられるからと言って、
マネーという虚構は安易にリアルから引き剥がすことが出来ない。
マネーは虚構だが、実業なのだ。
マネーが実業であるということをみなが信じなくなれば、貨幣経済社会全体が死んでしまう。
マネーというフィクションを維持し続けるためには、膨大な数の人間が
人柱として命を捧げる必要があるのだ。

こうして作られたのがハケン身分である。
社会体はハケン身分に落とされた人間に膨大な「数字」をくくりつけ、
帳簿の辻褄をハケンの人生で支払った。
この仕組みはある程度うまく機能した。
このハケン制度をさらに加速させ、同時に理傾化を推進しているのが
榎少佐の政策であり、鰆主任経済官の新産業構造計画だった。



個人的には鰍は鰆ちゃんや榎くんが大好きだった。
ワタリ孤児院以来の親友、というか、姉や兄みたいな存在だし、
この国を独裁支配するという事業の共同経営者でもある。

でも鰍は思うのだ、わたしたちの独裁支配ってどれくらい長続きするのかなぁ? と。
膨大な数のハケンの人生を磨り潰すことでマネーの機嫌はよくなってきている。
充分な数のハケンが磨り潰された時点で、必ず揺り戻しが、反動がくるはずだ。
下流が抹殺され尽くした頃、中〜下流の人間が気がつくと一番下になっていて、
次は自分たちの番かと怖れ始める。
揺り戻しがくる前に主要都市に軍用芋虫人システムを敷いて
後戻りできなくするというのが榎くんの戦略なんだと思うけど、
――う〜ん、もちょっとさっさと作ってあげるべきだったかな・・

わ、た、し、は。
わたしは楽しいからこの仕事を生きてる。
41台の軍用芋虫人をこの大地の広がりに実戦配備して、100万人を演奏したら、きっと凄いよ。
あまりにも巨大なものを相手に思考していると自分が何を目的にしているのかよくわからなくなってくる。
わたしたちはこの国の舵取りをするために全身全霊を捧げている求道者なのか、それとも、
この国を丸ごとおもちゃにして個人的に遊んでいる恐るべき子どもたちなのか。

だからやっぱりわたしはこのひとの鍛え上げられた体に魅力を感じてるんだろうな。
アイに惹かれるのは、アイには自分と同じ、肯定的な現実主義者の匂いを感じるから。

634 名前:柊准尉と柊の国のアイ:2007/09/02(日) 02:27:35
宿舎の廊下の分岐点。
それぞれの部屋に分かれる最後のとき、
あ、そう言えば、と柊准尉の念頭にふと思い浮かんだのは、
この前『獺祭』を飲んだとき別れ際に
この同じ場所でアイが言った、
「鰍は嘘がつけないでしょ? だから誰かが鰍の代わりに嘘をついてあげないと」という言葉だった。>>575

しかし、柊准尉はこのことを特に口に出さなかったので、
アイの言葉が鰍に伝わることは、このときはなかった。
だが、一度想起され再記憶された言葉は意識化され、
以後のどこかの時点で柊准尉の口から鰍に伝えられる。

635 名前:柊の国の鰍と柊准尉:2007/09/02(日) 02:39:16
分岐点でアイと別れたあと、結局
鰍を柊准尉が送って、鰍の部屋の前まで来た。

金曜の晩の最後の出来事は、鰍と柊准尉がとうとう
一線を越えたというか、結ばれたというか、情を交わしたということだった。
最近、お互いに隙をみてはキスするくらいにはなっていたのだが、
ドアの前でおやすみのキスをしていたら、気がつくと
一緒にドアのなかへ、鍵を開けて入ってしまっていた。

でも、柊准尉は酔っているというほどではないにせよ、それは彼が強いからで、
『獺祭』の一升瓶の半分くらいは飲んでいるわけだから、
初めてのとき彼がアルコール入りというのは鰍は
ほんとはなんとなくいやだった。

ふたりで部屋の猫脚のお風呂に入ってじゃれあって、
体を拭いたら裸のまま同じベッドに潜り込み、
柊准尉が我慢できなくなった頃には
鰍は柊准尉の腕のなかですやすや眠っていた(わざとではないけど)。

実際に結ばれたのは翌朝、窓の外が白み、鳥が歌う朝の歌が聴こえてくる頃である。
鰍が何となく眼を覚ますと柊准尉も何となく眼が覚めていて、
気持ちは澄んで透き通ったみたいで、
鳥たちが歌う静寂のなか、唇と唇で会話を始めた。

鰍くらい可愛くて頭のいい女子の場合でも、環境によっては
意外にこの歳までヴァージンという場合もありうるが、鰍の場合、体験はしていた。
相手は孤児院で兄妹みたいに仲がよかったひとで、
お互い好奇心と恋心が燃え上がるままに抱き合ったのだった。
その後、孤児院の英才教育が進むに連れて時間が取れなくなり、
1ヶ月くらいろくに会えない日々が続いた後で、気がつくと
ふたりのあいだで公的な関係性のほうが圧倒的に大きくて、抱き合ったりすると関係性が歪みそうな、
そんな関係に変貌してしまっていた。

遠い日の記憶と柊准尉の体とは、
同じ一般名詞でくくられはするけど全然別なリアルで、
楽しいような不思議な気分がした。
でも、そんな感想はあっという間に
津波のように襲ってくるリアルに押し流されてしまった。

636 名前:柊の国の鰍とアイ:2007/09/02(日) 02:41:47
金曜日製作の出来たての軍用芋虫人は
土曜日の午前中に慣らし運転をしておかないと神経網の発達に関わる。
余韻で一眠りしてしまったあと、半分目覚めた鰍は(あっぶねー♪)と思いながら
アイにメールを打った。
朝の8時くらいだった。
「ごめん。午前、休みたいです。慣らし運転だけ、お願い」

軍用芋虫人全体のアライメントをとる作業は鰍がやるべき仕事だとしても、>>624
出来たての軍用芋虫人4体の慣らし運転だけならアイに頼んでしまっても問題ない。
もともとアイは助手として研究室に来るはずだったから、休日出勤を頼んでいるわけではない。

即レスが来た。
「オーケイ、柊准尉によろしく♥」
鰍は真っ赤になった。

637 名前:柊の国の首猛夫と柊元会頭:2007/09/14(金) 01:08:44
鎌蒼駅で下車した首猛夫は
改札をひとまず若営大路のある東側へ出たが、そこから輪を描いて歩き、
踏切を渡って線路の西側へ出て、
佐肋稲荷の方へ住宅街の坂道を登って行った。
隧道を抜け、舗装された道路から脇の細道に入り、
草を掻き分けながら丘の上に至る。
ここに元会頭の隠居所がある。
榎少佐に追い込まれて自慰を表明した市場委員会の柊元会頭は、
鎌蒼の古民家に80歳の老母と暮らしているのだった。

「いやぁー よく来たね、首君。最近はどうだい」
元会頭は陽気な声を出したが、眼は鋭い警戒心を表わしている。
第一に、失脚したいまの彼の身の不安定さから見れば、
極めて多くのことが脅威でありえたから、
第二に、首猛夫といえばあの××がらみの話に決まっているからだった。
「××」のなかには禁忌のあまり念頭に置くことさえためらわれる想念――
「形而上物理学」とか、「フダラク市」とか、「NOVA警察」とか・・が入る。

首猛夫はおもむろに鞄から本を2冊取り出すと卓の上に置いた。
『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』の復刊版と
鰍の『モヨコ双対モナドのモジュライ構造について』だった。

「ちまたでは、いま、ちょっとした形而上物理学ブームです。」

「形而上物理学」という単語を聞いて柊元会頭の顔に緊張が走った。

「だま出版かい? 恐いもの見たさなのかねー」
「いえ、オカルト系の出版社もブームに乗ろうと出て来ていますが、
基本的には学術的な再評価です。英知出版ですよ。」
「ふーん・・」

638 名前:柊の国の首猛夫と柊元会頭:2007/09/14(金) 01:10:36
ひところ『無能力(むのうぢから)』という新書が流行ったが――
「無能こそリーダーに求められる力だ」
「努力など、奴隷の能力」「出る杭は打て!」などの刺激的なコトバに満ちた啓蒙書である――、
柊元会頭はこの無能力(むのうぢから)だけで生き抜いてきた文系官僚出身なので
理系学問などわからない。
度台、論理ということがまったくわからないのだった。
以前はサポートスタッフが情報(ネタ)を入れてくれていたが、
失脚したいまとなってはそのアンテナも錆びついている。

一方の首猛夫も衫並区高丹寺のぼろアパートで腑抜けた日々を過ごすあいだ、
社会的情報をアップデートして来なかったから、
柊元会頭がどのような勢力の謀略によって失脚したのか、よく理解していなかったに違いない。
(歳をとったから後進に道を譲ったのかな)くらいに、何となく考えていたのだろうか?
昔知っていた政財界の大物というだけで会いに来たのだった。

首猛夫がかつて束京大学大学院新領域創生科学研究科衛星都市研究分室分室長だった頃、
法人としてのフダラク市に政財界から深く関与していたのが柊元会頭だったのである。

639 名前:柊の国の首猛夫と柊元会頭:2007/09/14(金) 01:12:19
「主任科学官の鰍さんが新理論を構築したんです。とても斬新で、深い理論です。
ところが、杣台駐屯軍のなかで実施された実験は不発に終わったらしい。
わたしは鰍さんに、あれ――についてお教えしたいんです・・」

首猛夫のいう「あれ」とはNOVA警察のことだった。
NOVA警察は国家機密であり、鰍がそれについて知らないだろうと首猛夫が想定するのは
無理もないところだった。
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/490n-493

どうやら首猛夫は
元会頭にとって鰍が仇敵の一味であることも知らずに、
軍への紹介状か何かを書いてもらいに来たようだ。
軍は基本的に榎派であり、元会頭に軍に通用する紹介状を書く力はない。
首猛夫は長い蟄居生活のあいだに政治的人間としてはとことん耄碌してしまったようだ。

一方、元会頭は、寄生生物としてのアンテナがピクピク震えるのを感じていた。
優れた理系が科学や技術の革命を成し遂げた瞬間とは、
文系官僚にとって利権を拡張する絶好のチャンスなのだ。特に、もし、
「あれ」に関してブレイクスルーとなる機に遭遇しているのだとしたら、
今後の人類の歴史に劇的な影響を持つ千載一遇の機会に違いない。
何とか一口噛んでおいて、うまみにあずかれないものか。

640 名前:柊の国の首猛夫と柊元会頭:2007/09/14(金) 01:15:47
元会頭は家政婦を呼ぶと日本酒と珍味を持ってこさせた。
「まあ、首君、一杯やっていきたまえ。
ちょうど珍味があるんだ。
昔眼をかけてやった男がいま、営城県知事をやっとってね。そいつからの中元だ」

家政婦が盆に載せて運んできたのは、人間の掌――に何だかよく似た形の干物だった。
元会頭は鰹節削り器で軽く「掌」の表面を削り、カンナクズみたいな小片を作って、
つまんでチュッパチュッパ噛んだ。
干物を首猛夫に渡す。

首猛夫はしばらく「掌」を手の上でためつすがめつしていた。
干物の表面に「047」という数字が微かに読み取れる。
製造工程での管理番号だろうか。

「なんですか? これは」
「はは、はは、まあ食べて御覧」

首猛夫も干物の表面を削り、カンナクズを作って口に含んだ。
よく熟成してアミノ酸が複雑にからまった微妙な味がした。

「酒に合うだろ? ま、一杯」
「ありがとうございます」



柊元会頭は首猛夫に活動資金として50万園を与えた。
杣台に赴き、鰍主任科学官と人間関係のパイプをつなぐための資金だった。
足りなければ追って送金するという。
柊元会頭は榎独裁権力の一翼とつながりを作り、
政治の世界に復活するための足掛かりにしたかった。

一方の首猛夫は、
NOVA警察に関する形而上物理学の歴史を
鰍になんとしても伝えたかった。



首猛夫は束京駅から新幹線こなちに乗った。

641 名前:柊の国の芋虫:2007/09/24(月) 23:40:54
芋虫たちは四肢のない体を
棺桶の暗闇のなかにうつ伏せながら
羊水のような液体に漬かって
永遠にも等しい宙吊りの時間を過ごしていた。
生きているともいえず、死者ともいえない、
限りなく物体に近い〈生〉。

ときどき存在しない両手の先から
おびただしいデータ群が脳に流れ込んできて、
意識はそれを凄まじい異臭のように感じることもあったが、情報処理は
脳の「あるじ」の意識にもとづいてではなく、
純粋に装置としての脳髄のさまざまな路地裏で行われるので、
「あるじ」は無駄な付箋紙のように脳に張りついているだけだった。

感覚遮断が続くうち、芋虫たちの自我は液状にとろけ始め、
幼児に、そして乳幼児にまで退行し、やがて胎児のようになった。
胎児のようになった芋虫たちの意識のフィールドには、
現世でのさまざまな人生場面が断片的に、
ラーメンのスープに溶け込んだ背脂のように
不安定な形を見せながら浮かんだり沈んだりするのだった。

642 名前:柊の国の芋虫:2007/09/24(月) 23:42:26
軍用芋虫犬が台所のシンクに落ちた。シンクの上で芋虫みたいな体をむぞむぞさせている。
むぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞむぞ    >>382

「なぁーにやってんだ、柊ぃ!
てめぇのせいで仕事が流れちゃったじゃねぇかよぉー
どーすんだよっ!!」三角形の眼がふたつ、睨みつけてくる。
太い腕が振り上げられ拳骨が顔面を襲ってくる。

素手で土を掘り返す。掘る、掘る、掘る。
土の臭いがする。
掘り起こされた土の上を、
小さな小さな蟲たちが這いまわっているのが目に入る。    >>445

自分は中学校の制服を着ていたが友だちは私服だった。
ふたりで公園を歩いているとホームレスがベンチで寝ていた。
友だちが私服なのは学校をサボったからで、クラスで「ワル」と言われていた彼は、
「石投げようぜ」と言った。
「ワル」と友だちなのが密かに自尊心をくすぐっていた自分は「やろう、やろう」と言うと
石を手にとってホームレスに投げつけた。

電車の高架線の上で、刀のような三日月が笑っている。

桜の花びらが舞う下を軍用車両たちがパレードしていた。
グレイの護衛車両群の中央に位置する、華やかな赤いオープンカーの
後部座席に座っているのは鰆主任経済官だった。
猫系の美少女だ。    >>408

全員丸裸の
下流感漂う100人の男たちに混ざって隊列を組んでいると、
荷降ろし場が、大地が、空が、あまりにもだだっ広く感じられた。    >>495

ウェブページをクリックした。
「不合格」という文字が出て来た。
第一志望も、第二志望も、第三志望も落ちた。
でーも、どっか行けんだろ。
ま、いっか。

陽の燦々と降り注ぐコテージの床に座り込んでいる。

643 名前:柊の国の芋虫と柊:2007/09/24(月) 23:44:24
陽の燦々と降り注ぐコテージの床に座り込んでいる。
陽の燦々と降り注ぐコテージの床に座り込んでいる。

陽の燦々と降り注ぐコテージの床に座り込んでいるという場面が
意識の上に浮かんでは、すぐさま
意識の下に沈んでゆくということがなく、いつまでも意識に与えられ続けている。
それが想起のフラグメントではなく
アクチュアルな視覚であることに
芋虫はしばらく気づかなかった。
ぅあ? あ?
「意味する」ということがまだ再起動していないので、
芋虫はしばらくのあいだ、う? あ? う? あ? と呟き続けた。

陽の燦々と降り注ぐコテージの床に座り込んでいる。
陽の燦々と降り注ぐコテージの床に座り込んでいる。
陽の燦々と降り注ぐコテージの床に座り込んでいる。

不意に芋虫は気づいた。
コテージ!!! コテージの現実に戻れたんだ!!



眼の前のリアルに「コテージ」というコトバを与えた時、柊おぢさんは
反射的にその存在を探した。
いた!
床にうずくまる柊おぢさんの真後ろに彼女が――師匠が立っていた。
バスタオルを軽く羽織っただけのすらりとした白い裸だった。
黒い茂みが美しいコントラストを作っていた。

ひぃぃぃいいいいぃぃぃぃいいいいいぃぃぃーーーー

具体的な何かを思い出したというわけではないのだが、
骨に刻みつけられた恐怖が柊おぢさんを襲った。

644 名前:柊の国を見下ろすアイ:2007/09/25(火) 00:38:27
アイは「冥界」の秘密基地へ跳ぶ時、いつもバスルームから跳ぶので、
基地に現れる時は服を着ていない。>>577
必ずバスルームから跳ぶのにはいくつか理由があるが、
第一のタイプの理由は、現世側の何らかの組織による監視がついた場合、
バスルームだったら衣服の不連続に気を使わなくて良いこと、
バスルームだったら監視カメラを発見しやすいこと、などである。
(設置できる場所が限られているから実際に見つけやすいし、それだけでなく、
「なぜカメラを探そうと思ったのか?」と問われたとき説明がしやすい。過去に
ストーカーに盗撮カメラを仕込まれて以来、神経質なのだと説明する。)

第二の理由は、
アルジャーノン指数が乏しい時空では、
裸でお風呂につかるようなリラックスした状態でないと跳ぶのが難しいためだ。
高指数のフィールドが
杣台でのアイの居室と「冥界」での秘密基地を包んではいるものの、
ともすれば環境に影響されてアルジャーノン指数が低下してしまう。
――早く計画を実行に移す必要があった。

第三の、そして最後の理由は、衣服を着けずに秘密基地に出るほうが、
秘密な感じがして心地好いからだった。

645 名前:柊の国を見下ろすアイ:2007/09/25(火) 00:42:13
40体のハケンの軍用芋虫人への改造手術は既に完了していた。
初号軍用芋虫人・智彦も合わせて合計41体の軍用芋虫人群のアライメントをとる作業も終わり、
杣台市への実戦配備も完了した。
地下第3駐車場の地上への出口が開かれて、41台の軍用トラックが
軍用芋虫人の棺桶を1台ずつ載せて発進した日の状景が思い浮かぶ。

本格的な試運転を開始する前に、
鰍は三泊四日の休暇をとった。激務が限界に近づいていたからだ。
遠方への旅行などしたらかえって疲れてしまうし、
かといって基地にいても休まらないので、
鰍は、杣台にごく近い観光地である
松嶋海岸で柊准尉と過ごすことに決めた。
というか、鰍が「もー限界かも。疲れたよぉー」と訴え、
柊准尉が「遠くまで旅行しても疲れるだけだし、松嶋海岸なんてどうだ?」と提案して、
そうなったのだった。

お忍びの旅行に出かける二人を見送り、自分の部屋に戻ったアイは、
バスルームで体を洗い、浴槽にのんびりつかったあと、
不意に跳んで、葦の原の秘密基地にチャートを開いた。
湯気が立つ体にバスタオルを羽織って暗い廊下を歩き、リビングに出る。
「陽の燦々と降り注ぐコテージ」というヴァーチャルリアル環境のなかに立つと、
脳内で次々とクリックして
軍用芋虫人たちのレイヤーを自分のリアルに載せてゆく。



鰍と一緒に40体のハケンたちを手術するとき、アイは、
計画におけるバックアップ作業の一つとして、すべての軍用芋虫人の右眼に
ヴァーチャルリアリティへの回線を開くナノマシン蟲を仕込んでおいたのだった。
蟲の幼生を含んだ透明ゼリーを手のひらのなかに用意しておいて、
手術中のある瞬間に、ハケンの右眼球にぐりっと刺し込むのだ。

現在の流れだと、どうやらアイは
軍用芋虫人群をコントロールする第1研究室に合法的に入れそうだったが、
万が一入室が困難になった場合に軍用芋虫人群とアクセスするためのバックアップ回線として、
アイはこれを準備したのだった。いまアイは、
計画を最終的に実行に移す前に予備回線を念の為テストしておこうと、
40台の軍用芋虫人たちの回路を一個ずつ開いているのだ。

(初号軍用芋虫人・智彦にはこの蟲が仕込めていないので、
回線を開く軍用芋虫人は40台である。)

646 名前::2007/09/25(火) 00:45:46
陽の燦々と降り注ぐコテージの「現実」に戻れた柊おぢさんは、
師匠の姿を見ると骨に刻みつけられた恐怖で口を半開きにしたまま、
両手で床を掻いて後じさりした。
棺桶のなかの感覚遮断で退行しつつあった柊おぢさんは、
ハケンとして杣台駐屯軍で過ごした日々をすっかり忘れ去っていた、というか、正確には、
記憶を思い出さなくなっていた、というべきか。
にもかかわらず、コテージで
軍用芋虫犬を貪り食いながらネットで遊んだ日々の記憶は残っていて、しかし、
その記憶を前後の人生時間のなかで位置づけようとしたり、疑問に思ったりはしないのだった。

ひっ!!

後じさる柊おぢさんの横に、不意に巨大な芋虫が出現した。
芋虫は両手両足を切断された人間で、精神は退行しており、
歪んだ唇からは よだれとうめきが漏れ、鼻のうえでは
視線の定まらない白っぽい眼球がうろちょろ泳いでいた。
芋虫は羊水をしたたらせながらコテージの床を這っている・・

ひっ! ひっっ!!!!

柊おぢさんの右側にもう一匹、芋虫が出現した、と思った矢先、
真ん前にも、そして振り返ると後ろにも、
次々と芋虫たちが出現してくる。

ひっ! ひっ! ひっ! ひっ! ひぃいいいぃぃいいいいぃいぃいいいいー!!!!!

真後ろの芋虫がずんずん這いながら柊おぢさんに迫ってくる!
ぅあ! ぶつかる!
柊おぢさんが芋虫の無気味な感触を予感して眼をつぶった次の瞬間、
背すじがむずがゆいようなピリリとする感覚が柊おぢさんを襲った。

それは以前に柊おぢさんが、「仮想現実世界の異なるレイヤーを使用しているアイの動きが
なんらかのバグを通して伝わって来ているのではないか」と想像していたあの感覚だった。>>599
実はアイはすべての軍用芋虫人を、レイヤーで区別しながら同じ仮想空間に置いていたので、
位置情報がダブルブッキングするたびにこのバグが出ていたのだった。
あれはアイではなく、他の軍用芋虫人の感触だったのだ。

いま、アイは40体すべてのレイヤーを重ねて開こうとしていたから、リビングの床一面に、
芋虫たちの蠢きが充満した。無数にも思える芋虫たちの蠢きに揉まれながら
柊おぢさんはいつまでも絶叫し続けていた。

647 名前:柊の国を見下ろすアイ:2007/09/25(火) 00:47:30
バスタオルを軽く羽織っただけのヌードで
無数の芋虫の蠢きのなかに清らかに立つアイはこんなことを考えていた。

(感覚遮断で精神退行しちゃったから、この回線から制御するのは難しいかなー
強引に脳をこじ開ければ短時間なら動かせそうだけど、安定した制御は無理ね。
バックアップ回線は不発か、う〜ん・・
合法的に入室して第一研究室から制御するしかなさそ。)

39体のレイヤーを一瞬でオフにすると、
1体だけ残った両手両足のある芋虫を見下ろした。

(結局、使えるのはコレだけかな。)

648 名前:_:2007/10/04(木) 01:20:55
    

649 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/10/17(水) 00:55:50
   |∵∵∵∴∵∴∵ ∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵│
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   |∵∵∵∴∵∴∵ |      /        `爪
   |∵∵∵∴∵∴∵ |     /        , ',/ハヽ
   |∵∵∵∴∵∴∵ |     !     i   l i//、 |.|ヽ
   |∵∵∵∴∵∴∵ |     | l   i l   ,' // \! ',
   |∵∵∵∴∵∴∵ |     | ! l  l | /´\!,!-‐'´ ̄`ヽ-、
   |∵∵∵∴∵∴∵ |     | ! ! , | /   ヽ ̄`ー‐--! !
   |∵∵∵∴∵∴∵ |     | ! ! ! !|     ',.      ',. ',
   |∵∵∵∴∵∴∵ |     |.,l | l l,/        ',     l ',
   |∵∵∵∴∵∴∵ |     リ | l|.l|/      _,.ゝ    / .,!
   |∵∵∵∴∵∴∵ |      |ル' \ __,. =‐ ,ゞ ,   , /=,
   |∵∵∵∴∵∴∵ |           `!   '´l /,' , ノ /,. '!
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   |∵∵∵∴∵∴∵ |      ,/´`ー-、/    ',   !_!_
   |∵∵∵∴∵∴∵ |      l     `!     '  ,|/
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   |∵∵∵∴∵∴∵ |     / , |   l      '   i ',
   |∵∵∵∴∵∴∵ |    / ./ レi.| l i、!          ',. ',
   |∵∵∵∴∵∴∵ |   ,/  /   |ル'iノ         ',.  ',
   |∵∵∵∴∵∴∵ |  /  /                ',  ヽ

     【柊の国篇】                 終章

650 名前:柊の国の鰍:2007/10/17(水) 00:58:35
その日が鰍が人間として生きられる最後の一日だった。



松嶋には前日の午後遅くに着いた。

松嶋海岸への小旅行にゴーサインが出て以来、
基地内の書店で『まっぷる/杣台 松嶋』を手に入れて遠足の計画をあれこれ練っていた鰍は、
現地にはどーしても遊覧船で行くのだと主張し、
しかも遊覧船に乗る塩窯港までは
わざわざ杣台から電車で――杣石線で行くのだと言い張ったのだった。

だから、柊准尉の運転する目立たない車で基地を出発したふたりは、
そのまま塩窯港なり、松嶋海岸なりを目差すのではなく、
一度、杣台駅前まで出た。
駅に直結するホテルメトロポリタン杣台の地下に駐車すると、
エレヴェータで2階まで昇り、杣台駅のペデストリアンデッキに出る。

デッキに出ると――
背中には、いま出てきたホテルメトロポリタン杣台がすっくと立ち、
右手には杣台駅が横たわる。左手にはいくつかのビルの群れ、
前方・奥にはすらりと背の高いアエレがガラス張りの表面に青空を映して立っている。
太陽の下、ふつうの人々が沢山行き交っていた。
ふたりは足早に歩いて杣台駅構内に入った。

歩みが速かったのには理由がある。お忍びだ、というのもひとつだが、より大きな理由は、
ペデストリアンデッキに軍用芋虫人が一台埋め込まれていたからだった。
いまは休止状態のはずだとはいえ、
自らが製作し威力の程を良く知る兵器の砲門の前を暢気に歩く気には、鰍はなれなかった。
いずれ軍用芋虫人システムはこの国に、
はっきり物理的に隔離された支配者と被支配者の棲息領域をもたらすことになるのだろう。
軍用芋虫人システムを実戦配備した都市は「被支配民」の棲息領域と化し、
支配する人間たちは不用意に都市を出歩いたりしなくなるのだろう。

改札をくぐったふたりは長い長いエスカレータで地下まで降りた。
杣石線のホームは地下にあるのだ。

651 名前:柊の国の鰍:2007/10/17(水) 01:08:35
動き出した快速電車は長いあいだ地下のトンネルを走り、やがて地上に出た。

地上は既に杣台市とは別世界で、
都市の風景がじょじょにメタモルフォーズするのではなく、いきなり
背の低い住宅街や
一面に広がる田圃のなかに投げ出される「ワープ感覚」が面白かった。

鰍は車窓を走り去ってゆく風景に微かに興奮しながら
柊准尉の体に軽く寄り添う。柊准尉はその背中に手をまわし、鰍の
天使の羽みたいな肩胛骨を撫でた。

ものの20分も掛からず、本塩窯駅に着く。
下車するとふたりは『まっぷる』の地図を頼りに塩窯港を目差す。
マリンゲート塩窯は船の形をした建築物だった。
風のなかに海の匂いがした。

河みたいに細長い海の両岸に港が展開している。
マリンゲート周辺は観光区画だが、本来は漁業や物流のための港だ。
小さな舟が蝟集して
棒や紐や網を突き出しあっている様子は
沢山のコオロギが身を寄せ合っているみたいだった。



エンジンが駆動を始め、船体が振動する。港の水が掻き混ぜられ、
水面に浮遊する小さなゴミがうねりに巻き込まれて沈む。
遊覧船がマリンゲート塩窯からゆっくりと出航する。
無数のウミネコが船にたかり、船と一緒に海を進む。

松嶋は多島海である。
遊覧船は、人の棲む集落があるような大きな島から
奇異な形の岩が海から突き出しているだけの島まで、
無数の島と島の合い間を縫って航海する。

652 名前:柊の国の鰍:2007/10/17(水) 01:17:18
鰍と柊准尉は初め船室のベンチに座っていたが、
船が動き出してみるとそんな風に過ごすのはつまらないと気づき、
甲板に出て、海の風に吹かれながら島影を眺めた。
船にたかって飛ぶウミネコはビール瓶に翼をつけたみたいな体形で、
じかに見ると無気味だ。



松嶋海岸が近づき、
土産物屋やホテルの建物が国道に沿って立ち並ぶ様子が眼に入ってくる。
真っ直ぐ波止場に向かう航路の右手、岸の近くに樹木に覆われた大きな島がひとつあって、岸から島まで
朱塗りの長い長い橋がつないでいる。
豆粒みたいなひとが橋の上を歩いている。
なに? なに? この島、なに?

灰色の波止場に船が停まり、
大勢の乗客たちとともに下船したふたりは、アナウンスが勧めるままに
観爛亭に向かった。
縁側の緋毛氈に並んで腰を下ろし、抹茶を飲みながら
さっきまで航海してきた内海を眺める。

鰍は優美な背中のラインを描きながら正座し、
柊准尉はあぐらをかいて座っている。
『まっぷる』を調べた鰍は
「ふぅーん? 福裏島ってゆうんだ」と島の名を知った。
朱塗りの橋の長さは252mという。

653 名前:柊の国の鰍:2007/10/17(水) 01:20:27
福裏島は松嶋センチュリーホテルのふたりの部屋からもよく見えた。

最上階のスイートルームには海を展望する露天風呂がついていて、
部屋に入ってひと落ち着きした鰍は
柊准尉が見てない隙にすたすた服を脱いでしまうと、松嶋の内海を見下ろしながら
こどもみたいに丸い湯舟をじゃぶじゃぶ歩いた。
部屋のなかからガラスの壁越しに鰍の様子を見た柊准尉は眼を丸くした。

樹木に覆われた福裏島を左前方に見下ろしている。
岸と島をつなぐのは、神社の池に掛かる橋みたいに朱塗りの欄干を持つ、歩行者専用の細い橋だ。
そんな細くて長い橋が岸から島へ幾何学的な直線を描いている。



陽がとうに沈み、夜が始まる頃、
鰍が歩きたいと言い、ふたりでセンチュリーホテルの外に出た。
内海にのぞむ堤防に沿って歩く。
海に向かって右のほうには山並みが、
街を抱きかかえる巨人の右腕みたいに連なっている。
その頂上のあたり、黒々とした樹木のあいだに電気の灯かりが煌々と光っていて、
ホテルの宴会場か何か、大きな空洞空間をぽっかり浮かび上がらせている。

朱塗りの橋のたもとまで来た。
橋の入り口には管理棟らしき建物があったが、夜になると開放するらしく、
脇にまわれば橋に入れた。
橋のたもとに『福裏橋』と書いてある。
直線が真っ直ぐ進み、その先は夜の闇のなかの黒い島に消えてゆく。
鰍は柊准尉と一緒に橋を途中まで渡ってみる。橋の上から内海を眺めると――

夜の底はほんのり明るい。
樹木に覆われた大小さまざまの島が
夜の内海に黒い影のように点々と浮かぶ様子は
無意識の底を撮影した写真のよう。
見上げると満月。
鏡のように光る月をじっと覗き込んでいるとだんだん爪先立ちになってきて、
不意に向こう側とこちら側が入れ替わる――ような気がする。



その晩、鰍と柊准尉は愛しあい、零時を過ぎ、そして、
鰍が人間として生きる最後の一日が始まった。

654 名前:柊の国の修正:2007/10/25(木) 14:05:54
軍用芋虫人システムの杣台への実戦配備に伴い、
杣台駐屯軍基地・司令ビルの地下深くに
都市演奏室が新設された。

第1研究室に仮組みされていたシステムの操縦席は、
恒久的な設備として
都市演奏室に構築し直された。



>>645 「第1研究室」→「都市演奏室」
>>647 「第一研究室」→「都市演奏室」

655 名前:柊の国のアイ:2007/10/25(木) 14:16:59
アイはその日、午前9時に都市演奏室に姿を現すと部屋をロックし、
軍用芋虫人システムの操縦席に着座した。

第1研究室に実験的に組んでいたときは、操縦席といっても
単なる事務チェアを中心に、テーブルの上に扇状に
入出力の機材が並べられている――というだけの荒削りなものだったが、>>548
新設された都市演奏室では、航空機のコックピットのように
人間工学的な設計を施されたソファが部屋に据えつけられ、
鍵盤やコントローラや液晶画面・スピーカ群も
汎用機器を配線するだけではなく、専用の操作盤が設計・制作されていた。将来の
他の主要都市への実戦配備を睨んで、>>631
操縦席の「製品化」も開始されていたのだ。
設計はもちろん、鰍である。制作は、たんに良き部下というだけでなく、いまや
全身全霊をかけて鰍に心酔している高級技術兵たちが行った。>>605

アイはバッグから
3冊の本とA4版のノートを取り出し、
操縦席の傍らにデザインされているライティング・デスクの上に置いた。

復刊版ではなく、古い版の『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』と、
プレプリント版の『モヨコ双対モナドのモジュライ構造について』、
この2冊は付箋と書き込みだらけだ。3冊目は予備だろうか、真新しい
英知出版版の『モヨコ双対モナドのモジュライ構造について』だった。

A4版の部厚いノートはアイが自作した『軍用芋虫人システム・マニュアル』である。
ただし、都市演奏という通常業務用のマニュアル、ではない。

656 名前:柊の国のアイ:2007/10/25(木) 14:19:01
アイはまだ、「ルビコン川」を渡っていない。

午前9時に入室して以来、作戦開始準備を着々と進めていたが、まだ
決定的な一歩は踏み出していなかった。

操縦席の真正面、航空機であれば前方の視界が得られる方向には
窓の代わりに巨大なプラズマ・ディスプレイが設置されていて、いまは
41台の軍用芋虫人が杣台の各所でアイドリングしている様子を
地図上に表示している。

軍用芋虫人の操縦方法や、
目的を達するにはシステムに何をやらせれば良いか、など、事前の研究で
既に充分検討し尽くしていた。
いまはA4版のノートに書き込みを入れながら、実地に最終チェックを行っている。

同時にアイは、この都市演奏室と同じく基地の地下深くに眠る
ギガゲイシ級の軍事AI、〈杣台SQ1〉に擬似体験を喰らわせながら、
半ば合法的に、半ばは強引な手法でその脳髄に分け入り、
作戦の電脳的な側面を準備していた。

軍用芋虫人システムによって作戦の形而上物理学的な核心部分が進行すれば
どうでも良くなってしまうが、それまでは時間稼ぎの意味で電脳魔術も必要だ。
擬似体験の迷路のなかで夢を見ている〈杣台SQ1〉は
これから発生するクライシスを認知しない。

それは柊の国の
杣台以外の部分もクライシスを認知しない、ということだ。

657 名前:柊の国のアイ:2007/10/25(木) 14:36:32
午前10時、アイは正面の巨大プラズマ・ディスプレイ上の
地図画面を縮小し、41の分割画面を出して
軍用芋虫人の埋まっている地点のリアルタイム監視カメラ映像を映させた。

作戦を開始する前に
こころのなかの鰍に別れを告げる。

バイバイ、天才少女。
大好きよ。――時空のどこかで、
また会えたら好いね。

ふと思いついて
英知出版版の『モヨコ双対モナドのモジュライ構造について』の
巻頭グラビアを開いてみる。>>587

写真のなかの白ビキニの鰍は何だか違う女の子みたいに見える。
いまごろ、柊准尉と幸せな時間を過ごしてるね。
あなたが愛しあえる相手を見つけたから、わたしも行く決心がついたよ。>>628

楽しかったね。

深く息を吸い、ゆっくり吐くと、これから開始する戦闘において、どんな事態にも
臨機に応じられるよう、全身を柔らかく張りつめる。
両眼が真っ直ぐ前方を凝視める。

不意に右手の人差し指が動き、
操縦席のすぐ前にあるディスプレイ画面のなかのボタンを
マウスでクリックする。

アイドリングさせていた軍用芋虫人システムが
一斉に動作を始める。

658 名前:柊の国の首猛夫:2007/10/28(日) 01:57:47
首猛夫が新幹線こなちに乗って杣台に向かったのも >>640
ちょうど、この日だった。
束京駅を8時56分に発ったこなちが杣台に着くのは10時37分である。
杣台時空圏への外部からの出入りがかろうじて可能な
最後のタイミングだった。



新幹線が広獺川を越え、レールが大きく左にカーブする。
前のほうの車両が都市のなかを弧を描きながら突き進んでゆく姿が
車窓から見える。走ってゆく高架軌条の果てに
背の高いビルの群れが小さく浮かぶ。
ひときわ背が高いのがアエレだ。

新幹線は滑るように杣台市に侵入してゆく。
小さく見えたビルの群れはいまや「実物大」となって周囲にそびえ、
その足元を新幹線は
蛇のようにするすると走り抜けてゆく。

やがて駅舎に呑み込まれ、停車した。
遠景ばかり追っていた眼がホームの薄暗い空間を見る。ドアの窓越しに
駅弁屋の立方体の店舗が見える。
ドアが開く。

659 名前:柊の国の首猛夫:2007/10/28(日) 02:01:57
杣台市のなまの空気に触れた瞬間、首猛夫は、
全身に絡みついてくる異様な気配に身がすくんだ。
降りなければならない脚が動かない。もたもたしていると
背後でスーツの男が舌打ちし、鞄を振って
尖端で首猛夫の背中を軽く小突いた。なかば突き飛ばされ、
首猛夫は杣台駅のホームに降り立った。

小さな浮遊霊みたいな存在が
大気のなかに無数に蠢いていて、
全身のあちこちに
噛みついたり抱きついたりしてくる感じなのだ。
他のひとたちは何も感じないのか?

首猛夫は額に大粒の汗をかきながら
ベンチを見つけ、よろよろ近づくと
倒れるように座り込んだ。

座り込む直前、視界の隅っこに、一瞬だけ奇怪な光景が映った。
血まみれの臓物の塊だ。新幹線ホームのど真ん中に、
バラバラ死体が積み重ねられて小山を成しているのだ。
山の頂からは、互いに卍型に握り合った8本の腕が、
登頂記念のペナントのように突き出していた。

え? え? え?

首猛夫がぎょっとなりながら再びその方角を見ると、
何も無い。――特別なものは何も見えないが、にもかかわらず、
名状し難い嫌悪と恐怖が、わけもなく込み上げてくる。

首猛夫はぐったりした体に鞭打つようにして無理矢理ベンチから立つと、なるべく
眼にその方角を入れまいとしながら、エスカレータに向かった。だがむしろ、
見まい見まいと意識すればするほど、視界の隅っこに、
ちら、と血まみれの臓物の塊が侵入してくるような気がした。

660 名前:柊の国の首猛夫:2007/10/28(日) 02:09:48
新幹線の改札を出た首猛夫は
込み上げてくる吐き気をこらえた。
改札外のフロアに屋台を出しているずんだ餅屋の店先に、またしても、
バラバラ死体の山が見えたのだ。
眼がふたつ並ぶとそこに「顔」が連想される。
得体の知れない血まみれの肉片のなかに浮かぶ
ふたつの――距離が離れすぎた眼球が形作る視線と
眼が合ってしまった。

だが、吐き気をこらえた首猛夫が再び見ても、既にそこに
異状は無かった。
エスカレータでフロアからさらに降り、ペデストリアンデッキに出る。宿は
すぐ眼の前にあるホテルメトロポリタン杣台にとってある。>>650

しかし、ペデストリアンデッキに一歩を踏み出した首猛夫は路面にうずくまり、
今度こそ本当に嘔吐した。
デッキが一瞬、人体の断片がばら撒かれた
白兵戦のあとの戦場に見えたのだ。

ここかしこに血まみれの臓物の塊が積み上げられていて、
眼球が虚空を凝視めていたり、
肝臓がべろべろと赤い存在感を主張していたり、
心臓が拍動を続けていたり、
複雑な文様を描いて卍型に結ばれた8本の腕が突き立っていたり、
焼け爛れたり、溶けかけたりした脚が散乱していたり、
小腸が渦を巻いていたり、
血の海のなかにはっとする美しさの白い乳房が浮かんでいたりするのが、
一瞬だけ、眼のなかに飛び込んでくる。

次の瞬間には異状が認知できなくなる。だが、
わけのわからない嫌悪と恐怖だけは
禍々しい迫力で襲い掛かってくるのだ。
血の匂いが「幻臭」のように鼻を襲う。

661 名前:柊の国の首猛夫:2007/10/28(日) 02:13:02
首猛夫はペデストリアンデッキに
土下座の姿勢でうずくまり、長いあいだ嘔吐し続けた。
こなちのなかで食べた幕の内弁当がひよこ色のゲロになって化粧タイルの上にぶちまけられた。
胃のなかがカラになっても嘔吐はおさまらず、眼から涙が流れた。
通行人たちには臓物の山が見えないのか?
吐く合い間に首猛夫が顔を上げると、平然と歩く市民たちが眼に入る。

3人連れの若い女性たちが笑いながら歩き、
血まみれの臓物の塊にずぶずぶと踏み込んでゆく。
ひとりの左足のヒールに小腸がからまり、軽くつまづく。小さな悲鳴。

――だいじょぶ?
――ん。なんかつまづいちゃったー

そのひとりは足元を見て、一瞬、血まみれの靴に驚いたような表情を見せたが、
その表情はすぐに消失し、
3人は何事も無かったように(ひとりがつまづいたという平凡な出来事しか起こらなかったかのように)
再び歩き出した。
なぜだ? なぜだ?

首猛夫の方に歩いてきた3人は、臓物の塊は平気だったくせに、むしろ、
朝10時に道に土下座して嘔吐しているこの老人のほうには怪訝な視線を向け、
警戒し、近づかないようにして杣台駅に入った。

662 名前:柊の国の首猛夫:2007/10/28(日) 02:14:43
嘔吐する首猛夫のところに駅員がふたり駆けつけてきた。
大きなバッグを持った小汚い老人を見て、一瞬ホームレスか判断に迷ったようだったが、
浮浪臭がしないので旅行客と解釈したらしい。

「どうしました?」「おじいさん、大丈夫ですか?」

顔をあげた首猛夫は自分がなぜ嘔吐していたのか、
自分の脳内を覗いても見えるのが白紙だけであることに一瞬戸惑ったが、
脳はすぐ、それらしい答えを発見し、口にした。

「新幹線に酔ってしまったようです・・ こんな場所で吐いてしまって申し訳無いです。」
「あー 医務室で休んできます?」
「ええと、宿はすぐそこのメトロポリタンにとってありますから、
何とかホテルまで行ってしまいます。ええ、大丈夫です、大丈夫です。
吐いちゃって済みません。えと、どうすれば良いですか?」
「ああ、私たちで掃除しますから。じゃ、気をつけて行ってくださいね。大丈夫ですか?」

この「大丈夫ですか?」は「早く立ち去れ」という意味を含むから、
首猛夫は力を振り絞って立ち上がると
よろよろとペデストリアンデッキを歩き始めた。
一瞬、わけのわからない嫌悪と恐怖を感じたが、気のせいだからすぐに忘れた。
気候なのか、空気が妙になまぐさい。
靴が何かぬめりとしたものを踏みつけた。でも、そんなの関係ない。
首猛夫は覚束ない足を引きずるようにしながら
ホテルメトロポリタン杣台までの百メートルほどの距離を歩いた。

663 名前:にらにら:2007/11/08(木) 22:12:56
ペットフードの安全性確保で法規制…農水、環境省が方針

 農林水産省と環境省は6日、犬用と猫用のペットフードについて安全性を確保するため法律を整備する方針を固めた。
Click here to find out more!

 中国産原料を使ったペットフードにより、米国で犬や猫が死んだことなどを受けた措置。来年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。

 国内ではペットフードに関して業界団体の自主ルールはあるが、法規制はない。

 両省は8月に設置した有識者研究会が今月末にまとめる報告書に基づき、製造、輸入、販売業者を対象に規制内容の具体的検討に入る。業者名の届け出や原材料名の表示などが義務付けられる見通しだ。
(2007年11月7日0時33分 読売新聞)
http://blog.so-net.ne.jp/wiia/2007-10-31

664 名前:柊の国のアイ:2007/11/11(日) 00:46:33
はっ

アイは詰めていた息を
鋭く断ち切るように吐き出す。
正面の巨大プラズマ・ディスプレイのなかでは
杣台が「炎上」している。

リラックスして操作していたつもりだったが、いつの間にか
息を詰めてしまっていたようだ。
断ち切るように息を吐いたことで、
気づかぬうちに硬くなっていた躰がほどけ、
時間がゆるやかに流れ出した。

ゆっくり息を吸う。
ゆっくり、ゆっくりと息を吸い、それが頂点に達したとき、
今度はゆっくり、ゆっくりと息を吐いてゆく。
自分の輪郭を確かめるように、ブラの上から胸を触り、位置を直す。

全身の細胞がぞわぞわする。

軍用芋虫人システム操縦席の操作盤の上に置いた目覚まし時計みたいな形の機械に眼をやる。
機械は電纜で操縦席に繋がれ、電力や情報の供給を受けている。
デジタル時計の文字盤を思わせる側面の液晶に671という数字が読める。
その意味は、アルジャーノン指数、671万[au]。

――跳べる・・ 跳べる!!

アイはコックピット・ソファにゆったりと身を沈めると、
両眼を虚空の一点に
放心したみたいに据える。
現実が「平ら」に見えてくる。
それは精神疾患における「離人感」とも似ている。
だが、ガイア沈殿に属する現実など、4次元に過ぎない。
7次元時空のなかでは「平ら」な広がりでしかなく、
「平ら」に見えることこそ、正しい。

別に目前の光景がへしゃげるとか、縮むとか、いうわけではない。
現実がありのままで「平ら」に見えてくる。それと同時に、
現実の〈外〉に、無数の多重コスモス場の気配がちらついてくる。
額の第3の眼が脳のなかで開く。

不意に、
無数のチャートが、
空中でシャッフルするトランプみたいに
ばっ、ばっ、ばっ、ばっ、と噴き出し、気がつくと
アイは跳んでいた。

665 名前:柊の国のアイ:2007/11/11(日) 00:47:10
きゃああああああああ とも、わぁああああああああ とも聴こえる歓喜の悲鳴がほとばしった。
ジェット・コースター、
ベルトしないでると、死んじゃうかも知んない、
あの感覚!!

現実がみるみる遠ざかってゆく。
気が違いそう、という、まさに現実崩壊の真ん中で、
〈躰〉の感じるままに〈外〉へ跳ぶ。
無数のチャートがめくられる。

7次元時空のなかに薄い沈殿膜を作っているガイア。
それをやや「上空」から鳥瞰する。
物理宇宙において衛星軌道に立って地球を見下ろしているわけではない。
ガイアの営みをほんの少し離れた場所から「全貌(を想像させる部分)」として眺めているのだ。

アイは同一カオスの「潮目」を丹念に読むと、不意に
人魚のように躰をくねらせて泳ぎ、
葦の原に出た。
杣台は葦の原でこそ「炎上」していた。

胃壁のような葦の原の
「原(はら)」としての表面に、はっきり白い煙を撒き散らしている小さな領域が見える。
アイが操縦する軍用芋虫人システムの「砲火」を浴びて、
モナド融合させられた市民たちの葦だ。

http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/547n-584

「モナド融合はアルジャーノン指数の増加をもたらす」というのが鰍の理論による帰結だったが、
アイの介入により、理論を実証するための実験は失敗ということにされた。
鰍の理論が正しいことはアイだけが知っていた。

アイは、自分のためにアルジャーノン指数を高めるため、
軍用芋虫人システムの砲門を杣台市に向けて開き、
市民たちをモナド融合させたのだった。

アイがモナド融合させた杣台市民の数は――
軍用芋虫人1台につき64組ずつ。
ひと組は4体からなるから、
41台の軍用芋虫人全部では・・

    64×4×41=10496

この20分ほどの操縦のあいだに、アイは
1万体以上の杣台市民を虐殺したのだった。

666 名前:柊の国のアイ:2007/11/11(日) 00:47:50
アイが背骨に沿った7つのチャクラを変調させて「ゲージ(尺度)」を小さくとると、
チャートが取り直され、
胃壁のような葦の原の白い煙を撒き散らしている小さな領域が
ちょっとした公園の芝生くらいの広さで立ち現れてきた。
葦たちは「原(はら)」の表面に生えるコケの絨毯みたいに見える。
絨毯からは白いもやが立ち昇っている。

柔毛突起みたいなコケの絨毯のあいだに、
胃壁に取りつく寄生蟲みたいな小さな白い点が見える。アイの秘密基地だ。
アイはさらに「ゲージ(尺度)」を取り替えて、
白い点を両手に収まる箱くらいの大きさにする。

アイは自分の秘密基地を両掌ではさみ込んでそっと持ち上げると、
軽く葦の原を蹴って「宙」に向けて沈んだ。
胃袋みたいな形をしたこの場所で、胃の内壁に葦の原が広がっているわけだが、
ガイア沈殿が漂っているのは胃袋の中央の空洞に当たる部分である。
ガイア沈殿がその周囲に冥界を分泌しているとも言えるし、逆に考えて、
葦の原の葦たちが中央部に現実という虚像を結んでいるのだ、と論じることも出来る。
ガイア沈殿と葦の原は「モヨコ双対」の関係にあり、
その双方がアーカーシャの上に展開されているのだった。

アイは「宙」を人魚のように優雅に泳ぎ、
ガイアの4次元沈殿膜まで来ると、
両掌にはさみ持った白い箱を沈殿膜の表面の
ある正確な位置にぐっと刺し込んだ。

チャートを開くとアイは
秘密基地のリビングの入り口に立っている。
さっきまで両掌のあいだに持っていた白い箱の中だ。
陽の燦々と降り注ぐコテージ。
リビングには柊おぢさんが寝転んでいて、軍用芋虫犬を貪りながら掲示板に書き込みをしていた。

アイは何の前触れもなく柊おぢさんの頭を蹴り飛ばすと
開いていたノートパソコンの液晶画面を踏みつけて破壊する。
柊おぢさんは卑屈な瞳で師匠の気まぐれを凝視めている。
柊おぢさんが空中からひねり出してまだ食べていない軍用芋虫犬が4匹、
床の上をもぞぞと這っている。

アイは柊おぢさんを捨てたまま廊下に出て、
ある壁に新しく出来た扉を前にする。
扉を開くとそこは杣台駐屯軍司令ビルの地下深く、
都市演奏室だった。
アイは操縦席のコックピット・ソファに戻ると
満足の溜め息をもらす。

667 名前:柊の国の鰍:2007/11/17(土) 19:49:11
午前10時半頃、
鰍と柊准尉は『福裏橋』を渡っていた。

特に観光の目当てがあって松嶋に来たわけではない。
むしろ、スケジュールに追われる毎日に疲れ果てた鰍が
時間を忘れるために休暇をとったのだから、
「行かなければならない観光名所」など、ないのだった。

だから、遊覧船が松嶋海岸に入港したときから、
鰍の興味は福裏島に集中した。
別に何ということもない島である。
「観光名所」というよりも、地元の小学生がハイキングで来るような島なのだが、
岸から島まで、
252mの朱塗りの橋が一直線に結んでいる様子に、
鰍は無性に「萌えて」しまったのだった。

http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/650n-653

ふたりの前に真っ直ぐな道が島まで続いている。
幅は2mくらい、歩行者用の細い橋で、両側に
朱色の欄干がついている。
昨日の夜、見に来たときと、だいぶ印象が違う。
昼間見るとジモティ的な日常感が押し寄せてきて、
満月の下で見た神秘な雰囲気は霧消してしまう。
でも、それでも、鰍が『福裏橋』に感じた「萌え」は変わらない。

右手を見ると――
満月の下では「街を抱きかかえる巨人の右腕」のようだった山並みが、
ただのどうということもない丘に見え、その頂近くに
ぽかりと明るい空洞空間を浮かび上がらせていたホテルも
樹々の合い間に隠れて見つけることが出来ない。

跳ねるように歩きながら後ろを振り返ると
宿泊している松嶋センチュリーホテルが見える。
鰍は最上階のスイートルームの窓を探し、見つけ、
そして何だか顔を赤くした。

668 名前:柊の国の鰍:2007/11/17(土) 19:50:20
顔を赤くした鰍は手をつないで歩いている柊准尉の顔を
ちらっと見上げ、そのまま視線を滑らせ、
昨日の夜、満月が浮かんでいた中天の方角を
首を上向かせて眺める。
同じ場所でいまは太陽が光を放射していて、眩しい。

不意に鰍は平衡感覚を揺さぶられてくらっと倒れそうになった。

何かの波動が海面を走っていった――ような気がする。
おだやかな内海に浮かび、ゆぅらゆぅら揺れていたウミネコが
一斉にバサバサ飛び始める。

倒れそうになった鰍の体を柊准尉が抱きかかえた。

「おっとと。だいじょうぶか?」
「ん。うん・・」

鰍は自分のなかを走り抜けていった感覚を可能な限り正確につかもうと、
自分のなかをじっと凝視める。

――地震・・?

669 名前:柊の国のアイ:2007/11/17(土) 19:51:14
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/658n-662

首猛夫を乗せた新幹線こなちが杣台に到着したのが10時37分、これが
杣台時空圏への外部からの出入りがかろうじて可能な
最後のタイミングだった。
このあと、杣台時空圏は急速にガイアの残りの部分(本体)から外れてゆく。

ギギ・・ ギギギギギギギギ・・・・

ガイアの4次元世界は、
7次元時空のなかに析出した不確かな沈殿に過ぎない。

アイによって41箇所で「爆破」された杣台時空圏は、衝撃によって、
ガイア沈殿の残りの部分(本体)とのあいだに
大小の亀裂を生じていた。
その亀裂にじょじょに真空粒子が浸入してゆく。

ギギギギィ・・・ ギギ・・ ギギギギギギギギ・・・・・

午前10時半の時点で杣台時空圏を引き剥がそうとするのには無理があって、
時空圏がバキバキに壊れてしまう可能性が高い。
亀裂に真空粒子が浸透して
剥がしやすくなるのを待つ必要があった。

いっぽうではモナドたちによる自己修復も始まっていた。修復は
杣台時空圏内部のあいだでこれを閉じようとする方向と、
ガイア沈殿本体とのあいだで橋渡ししようとする方向の
両方に働く。アイが警戒するのはもちろん、後者だった。
修復反応は初めのうち極めて速度が遅く、
ある段階から指数関数的に強まってゆく。

真空粒子が浸透するための時間と
自己修復の進行を秤にかけて最適化すると、
アイが待つべき時間は4時間だった。
この待ち時間のあいだ、アイは暇などころか、
脳外科手術医のように、持続的に集中しなければならない。

杣台時空圏が最終的に「離陸」するまで、
内部を制圧し、外部からの物理的な干渉を避けるため、
軍用芋虫人システムと軍事AI〈杣台SQ1〉に掛かりきりで
状況や情報を操作し続けなければならないのだ。

670 名前:柊の国の鰍:2007/11/17(土) 19:51:54
『福裏橋』を渡り終えると、橋の島側のたもとに、小さな砂辺がある。
鰍と柊准尉は道から砂浜に降りて、島側から橋を見た。

規則的に並んだ橋桁が細長い朱塗りの橋を支えている。

鰍は砂浜に靴あとをつけて遊んでいたが、もともと
鰍の感じた「萌え」を別にすれば
どうということもない島であり、砂浜といっても
街の小さな公園程度の大きさだ。

「行こ」と鰍が言って、ふたりは遊歩道に戻った。
樹木に覆われた島の奥へ
遊歩道を登ってゆく。

671 名前:柊の国の訂正:2007/11/18(日) 22:18:08
>>670 「橋桁」→「橋脚」

672 名前:柊の国の鰍:2007/11/24(土) 01:07:22
遊歩道は島を逆時計回りに半周する。島を時計の文字盤だとすると、
6時に橋を渡って島に入り、5時、4時、3時、2時、1時と島を巡って、
12時に「島の一番奥」にたどり着く。
12時には東屋があって、松嶋の内海の状景が望める。

11時のあたりには時計の短針のような太い丘があり、
島を半周してきた遊歩道を東屋のところで行き止まりにしている。いや、
東屋からさらに奥まで進むことも可能なのだが、
時計の短針みたいな太い丘が、その側面を崖にして海に刺し込んでいるので、
波に洗われる岩壁を行くことになるのだ。
海がとても近い。



階段を昇った高台にある東屋を脇に見上げながら、
とりあえず道の奥、行き止まりまで歩いてきた鰍と柊准尉は、
海が岩壁を舐めているこの状景を目の前にして立ち止まった。
もし、岩の斜面から転げ落ちたら海だ。
しかも、藤壺とかで、たちの悪い怪我をしそうな岩場である。
でも、
カップルが並んで腰掛けるのにちょうど良さそうな岩が
崖を数メートル進んだあたりに見える。

「地元の高校生とか、あそこに座ったりするのかな」
「行ってみる?」
「う。」

鰍自身の能力的にも、あの岩まで崖伝いに進むのは可能だし、
やってみたいな、やってみようかな、と、うずうずする気持ちもあった。
でも、

「いい。東屋で我慢しとく」

673 名前:柊の国の鰍:2007/11/24(土) 01:08:50
道を少し戻り、角材で作られた階段を昇る。
高台にある東屋からは、
樹木に覆われた島々が点々と浮かぶ松嶋の内海の状景が遠望できた。

昨晩月明かりの下で見たときは
シュルレアリスムの絵画が写し撮った、無意識の底の世界の写真みたいに感じられたが、
いま、太陽の陽射しの下で見るとひたすらのどかな状景だ。
鰍と柊准尉はベンチに肩を寄せ合って座る。

5時、4時、3時、2時、1時と遊歩道を歩きながら幾度か考えたことを、
鰍はまたもや思い悩んでしまう。
杣台のプロジェクトが完了したら、わたしはどうしたいの?
たぶん、束京に帰ることになる。そしたら、柊准尉は?
連れてゆくのか? ゆけるのか? 来てくれるのか?

あんまりこんなことを悩んでいると折角の旅行が「お別れ旅行」みたいに感じられてくるので、
考えが浮かんできてしまうたびに、
遊覧船が楽しかったこととか、目前の福裏島の状景とか、昨夜のこととか、
楽しいことに意識を向けようと思うのだが、つい悩んでしまうのは、
鰍自身の気持ちが定まっていないからだった。

――わたしって、意外といい加減な子だったのかも。

何が何でも柊准尉を手放したくない、みたいな
燃えるような情念が噴き出してこない自分が何だか物足りない。
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/624n-636

考えを振り払って内海を眺める。
その視線を隣りの男性に向ける。
やさしく包み込まれる。
キス。

674 名前:柊の国の杣台市:2007/11/24(土) 01:09:52
新幹線が止まった。だが、一体どんな事故が起こったのか、誰にもよくわからなかった。
詳しく問い合わせようとすると、そうしているうちに何だか意識がぼやけてしまい、
気がつくと電話を切ってしまっている。
別な作業をやり始める。
さっきまでしていたことと完全に不連続な作業をし始めた自分に誰も気づかない。
しばらく時間がたって、新幹線が止まったという情報に不意に接し、
あれ? と驚きながら問い合わせを始める。だが、電話をしているうちに何だか意識がぼやけてしまう。

空港も閉鎖されたし、幹線道路も止まった。
幹線道路が止まる? 想像を絶する規模の大渋滞が起こっている――ような気がするが、
その渋滞の原因に意識を向けるといつの間にか気が散ってしまう。
しかも、新幹線と飛行機と幹線道路が一斉に止まるという全体情報を脳のなかに構築することが出来ない。
新幹線――止まったらしい。
空港――閉鎖されたらしい。
幹線道路――物凄い渋滞らしい。
だが、これらの情報を統合して「あらゆる交通が遮断された?」という構図を描くことが出来ないのだ。というか、
自分が何が出来なくなったのかさえ、誰も考えることが出来なくなっていたから、
みな、自分たちはいつもどおり機能していると思い込んでいた。

人工知能たちは流れ込んでくる情報の齟齬にわりあい早期から気づいたが、
軍事AIによる強力な介入が行われているので、
〈SQ1〉が流すダミー情報のほうを信用して情報の齟齬をエラーとして棄却したり、
情報の齟齬に反応してもその反応を〈SQ1〉に握り潰されたり、場合によっては
攻性ウイルスを注入されたり、電源を止められたりした。

杣台駅には新幹線に乗れない客たちが物凄い人込みを作り始めたが、駅員の説明は何だか要領を得ない。
事故らしいのだが、どんな事故なのか、ディテールの説明が皆無なのだ。
困った客たちが携帯で束京に電話を掛けても、どうも回線が混んでいるらしく、繋がらない。
インターネットに情報を求めてみても、検索に掛かってくるのは
深海魚の肉の切れ端みたいな、真偽の良くわからない断片ばかりだった。

その大群衆も、しばらく時間がたつといつの間にか雲散霧消している。
みな何かすることを見つけたらしく、乗るべきだった新幹線のことなど忘れて、
出発するはずだった杣台の街に戻ってゆくのだった。

675 名前:柊の国の杣台市:2007/11/24(土) 01:11:34
ゴミ袋を出しに路地裏に回ってきた店員はゴミ置き場の周辺が
ミシミシ・・ ミシシ・・・・・ と軋(きし)むような音を立てているのに気づいて
訝(いぶか)しげな顔をした。
――何の音だろう?

突然、ぎゃあああぁお!! という、激しい鳴き声がした。
見ると猫が一匹、跳ねるように走ろうとしながら、何かの渦巻きに下半身をつかまれて
路面を転げ回っていた。
空間が渦巻いている、としか言えないような、奇妙な視覚的ノイズが猫の下肢を覆っている。

ふぎゃああぁあああああぁあぁあぁぁおお!!!!!

空間の渦巻きが速度を増しながら半径を縮め、
凄まじい断末魔の声が響き渡った。あとには
下半身を喰い千切られた猫の死骸が落ちている。

ミシ・・・ ミシシ・・・・ ミシミシミシ・・

再び軋むような音が聞こえ始め、店員は恐くなって路地裏から逃げた。



ごぼっ という音がして、建物裏の散水用の水道の蛇口から
軍用芋虫犬が一匹這い出してきた。
軍用芋虫犬はもぞぞ、もぞぞと路面を蠢いていたが、
そのうち力尽きたらしく、動かなくなった。

探索を続ける蟻たちが、しばらくして、
下肢を喰い千切られた猫と軍用芋虫犬の死骸を嗅ぎつけた。
せわしなく首を振りながら何度も何度も死骸を確かめ、
巣へと報告に帰還する。

676 名前:_:2007/12/06(木) 19:41:00
    

677 名前:柊の国のアイ:2007/12/13(木) 20:35:23
「防壁第5層まで貫通?? 凄いねー♪ 何者?」

〈SQ1〉の専担キャラ桜子から報告を受けたアイは驚きの声を上げた。

「束北大学の院生崩れです。
セキュリティの甘い大学のAIに寄生して繋いで来ています。
実体は責葉区太町2丁目のマンション」

声によるアウトラインと合わせて詳細情報がディスプレイに窓を開く。

「背景とかはなさそだね。興味本位のハカーかなー 実害は?」
「情報操作の偽装を若干覗かれました。出所を嗅がれた可能性があります」

アイはディスプレイの窓をぱらぱらめくりながら桜子と談義する。

「この坊やのモナドにはきっと、わたしたちがテロリストかクーデタに映ってるね。
でも、何もできないし、たぶん、する気もない。覗いてみただけ。
解けないパズルを与えて足止めさせるのも手だけど・・」

そろそろ、飛び交う情報の奇妙な感じに探りを入れる者が出てくる頃合いだった。
アイは「計器盤」に眼をやる。
アルジャーノン指数、杣台時空圏の内部粘度、ガイアに対する剥離度、時刻。
――あと90分、もてば良い。

「迂闊に機会を与えてヘンな跳ね方をされても迷惑だし、
テロまたはクーデタという認識が流通しちゃって
束京から超越命令であなた(〈SQ1〉)を停められたら、ちょっとめんどくなるよねー

うん、真正面から時間稼ぎをしよう。
女子高生を、甘口・中辛・辛口と3テイストみつくろって、訪問させて。
行動アレイ〔それなんてエロゲ?〕で時間稼ぎ。
有効性を経過監視して問題あるようなら即報告。
もちろん、アレイを走らせたあとで、坊やの侵入ラインは破壊しといてね」

「かしこまりました。この件の専担キャラは桜子です。失礼します」
「はい。次!」
「桐子です。杣台駐屯軍基地司令が新幹線の運転停止理由に、何度も繰り返し興味を抱いています」

678 名前:柊の国の軍用芋虫人システム:2007/12/13(木) 20:40:33
都市演奏システムは、多様な状況に対処するための行動アレイ群を装備していた。
この行動アレイ群の基本アーキテクチャの設計こそ、鰍に
「もー限界かも」と言わせた最後の大仕事だった。>>645

ハケンたちを軍用芋虫人に改造し、基地から送り出して実戦配備したあと、鰍は、
静かな狂気のような集中作業のなかに没入し、わずか13日間で
基本アーキテクチャの設計と
いくつかの具体的な行動アレイの制作を成し遂げてしまった。

課題に耽溺して
凄まじい忘我の時間を過ごすことは
確かに鰍にとって快楽ではあったが、連日の激務の果てに続く
13日間に渡る没入には、さすがの鰍も音を上げた。

人間の行動や心理の「あらゆる」場面に関するスピノザ的な分析と、
それを操作するための軍用芋虫人の行動アレイの制作、そして
実戦配備済みの軍用芋虫人を使った連日の実地実験。

そういった個々のケーススタディと並行して進められたのが、
行動アレイを時間とともに蓄積してゆくための
将来の展開を見込んだ基本アーキテクチャの設計である。
これこそ、鰍の洞察力なくしては成り立たない仕事だった。

基本アーキテクチャが的確に組まれていれば、
個々の行動アレイは時間に連れいくらでも充実してゆくし、
そういった作業は鰍自身がしなくても、
より下位の・とはいえ優秀な人間たちが、集団で作業すれば良いことなのだ。

だが、的確な基本アーキテクチャの設計は、
思考の世界でごく自然に「正しい」姿勢がとれる鰍の柔らかな躰が
「これで気持ち好い」と感じることによってのみ、成し遂げられる。

679 名前:柊の国のアイ:2007/12/13(木) 20:42:58
「かしこまりました。この件の専担キャラは桜子です。失礼します」
「はい。次!」
「桐子です。杣台駐屯軍基地司令が新幹線の運転停止理由に、何度も繰り返し興味を抱いています。
とうとう軍用緊急メールで一斉配信をしました」

声によるアウトラインと合わせて詳細情報がディスプレイに窓を開く。

杣台駐屯軍には後刻、
NOVA警察の封鎖線と戦ってもらわなければならないから、基地司令は
使い物になる状態で温存しておきたいところだ。

「基地司令を行動アレイ〔ゴードン〕でお持て成しして。
彼に与える参照枠は「宇宙人からの攻撃」。
遅効性で構わない。
参照枠を自力で発見するよう仕向けて。

後刻、〔ゴードン〕アレイで誘導して
基地司令がわたしたちの命令どおり戦闘を指揮するように物語を構築しておくこと。
ディテールは任せる。判断に迷うようならレベルBでわたしに相談すること。オケイ?」

「かしこまりました。基地司令をマッチョな幻想で砂糖漬けにいたします」

専担キャラが くすっ と笑ったように聴こえたのは気のせいだろうか。
〈SQ1〉も、
自分がいまアイに不正に乗っ取られて使用されていることを
(情報の齟齬の蓄積として)ある意味、察してはいるのだろうが、
にもかかわらず、アイの命令をこなすことは
「楽しい」と感じているみたいだった。

「この件の専担キャラは桐子です。失礼します。」

680 名前:柊の国の鰍:2007/12/13(木) 20:45:09
島を時計の文字盤に擬するとき、
11時のあたりには短針のような太い丘があり、>>672
7時のあたりには長針みたいな細長い丘がある。

長針と短針、二つの丘に挟まれた8時〜10時は低く窪んでいて、
小さな「湾」が海に口をあけている。
小学校のグラウンドくらいの砂浜が広がり、
砂浜の手前は花壇のある公園広場になっていた。

6時、5時、4時、3時、2時、1時、12時と島の午後側を半周する遊歩道からは、
いくつかの分岐点から島の午前側への道が走っている。
12時の東屋でゆっくり過ごしたふたりは、
短針の丘の尾根に沿って歩くコースではなく、
10時〜8時の公園広場に降りてくるコースを採った。

「湾」の彼方には、遠く、隣り街の港が見える。

『福裏橋』の根っこに繋がる、松嶋センチュリーホテルや杣石線松嶋海岸駅のある街、
旅行者であるふたりにとっての「自分たちの街」に対する、隣り街である。

島の午後側から見える松嶋の内海の広がりがやがて外洋の水平線に接続してゆくのに比べて、
「湾」の彼方に見える隣り街の港の状景は、喩えて言えば、
高層マンションの窓からの眺望が都市の鳥瞰ではなく、
すぐそこに生えている隣りの高層マンションのベランダであるみたいな感じだった。
若干の失望ではあるのだが、
ふだん真正面から見ることのない状景を見ることには一種の異化効果があり、
それなりに面白くもある。
船が港に入る瞬間に時を固定したみたいな状景だった。

681 名前:柊の国の鰍:2007/12/13(木) 20:47:19
「湾」の砂浜の手前は花壇のある公園広場になっている。

ふたりが短針の丘の付け根から坂を降りてくると、
花壇の土がほじくり返されたみたいに散らばり、
その中央に拳大の丸い土の塊が盛り上がっている場所があった。

「モグラだな」
「モグラぁ? モグラなんて、いるの?」
「いるさ」

土中に潜伏するモグラから軍用芋虫犬を鰍が連想していると、
柊准尉が突然、「ん?」と言った。

「軍用緊急メールを受信した。見たほうが良いと思う。ごめん」

軍用携帯電話をポケットから取り出してメールを読む。

「新幹線が止まっている?? それに何の意味が・・? 何か意味不明なメールだけど、
新幹線が止まってるらしいよ。やっぱりさっきの、地震だったのかな」    >>668
「地震のニュースは出てないの・・?」

柊准尉はすこしのあいだウェブを検索しているようだったが、やがて言った。

「うーん・・ へんだな。出てない」

ここでも砂浜に靴あとをつけて遊んでいた鰍が振り返ると、 >>670
柊准尉の背後、
花壇には2羽のアオスジアゲハが舞っていた。

682 名前:柊の国の修正:2007/12/14(金) 22:43:19
>>678 タイトル 「柊の国の軍用芋虫人システム」→「柊の国の鰍」

683 名前:柊の国の鰍:2007/12/14(金) 22:45:17
柊准尉は軍用緊急メールの「謎」を探ってずっと軍用携帯電話をいじっているが、
鰍は別に、一緒にいるのに携帯をいじらないで、みたいには考えない。
いまの場合、確かに「謎」を追究しておくべきだと考えるからだ。

そうは言っても、鰍も、とくに危機感を抱いているわけではなかった。
これを油断と責めるわけにはいかないだろう――実際に起こっている事態は
いかなる想定をも超えるものだったから。

背後に柊准尉を放っておいて、鰍は
砂浜に靴あとをつけては波が靴あとを崩すのを眺めて飽きずに遊んでいた。
単純な繰り返し、ふと視線を上げると隣り街の港が遠くに見える、
右手には短針の丘、左手には長針の丘が長く伸び、そういったすべてが何だか楽しい。

一方、鰍の脳髄の裏のほうでは、「謎」を解釈するいくつもの角度が浮かんでは消え、
結局データが少な過ぎて決め手にかけるなぁ、本格的にやばそうだったらSPが介入してくるはずだし・・
などと考えている。そう。今回の旅行も、もちろんSPの24時間ストーキングつきであり、
もう慣れっこになっている鰍は、彼らの眼には裸を見られようが、エッチを覗かれようが気にしない。

でも、柊准尉はそういうわけには行かないだろうから、彼には何も言ってない。
SPが見てるよというほんとも、SPは来てないよという嘘も。
(それにしても、柊准尉は
「鰍主任科学官」が護衛なしで――それこそ、本質的な意味で「丸裸で」――旅行に出られると考えているのだろうか。
それとも、自分ひとりが護衛で充分だとでも思っているのか。
一番頼もしいのは、当然SPが来ていると想定したうえで、気にしていない、というものだったが、
正直、柊准尉にそのレヴェルが期待できるのかよくわからない。)

684 名前:柊の国の鰍:2007/12/14(金) 22:46:58
さぁ、柊准尉による「謎」の解明はどうなっただろう・・
鰍は再び振り返って柊准尉のほうを見た。そして。

「なにこれっ!」と叫んだ。
柊准尉も驚いて顔を上げ、鰍の視線を追い――自分の背後を見た。

どこから現われたのか、花壇の上を、何百羽というアオスジアゲハが舞っていた。
美しい蝶たちは、直径3mくらいの球体を成して舞っていたが、
鰍が彼女たちのほうを見たのが合図だったかのように、ぐーっと鎌首をもたげる蛇のかたちに
群舞の渦を噴き出して、砂浜の鰍のほうへ殺到してきた。

鰍は驚いたが、不思議と恐怖を感じないで、どういうわけか、両腕を左右に、十字架のかたちに開いて、
アオスジアゲハの洗礼を迎えた。美しい蝶たちの奔流が鰍の上を駆け抜けてゆく。

柊准尉が走り寄ったときには、既に蝶たちは「湾」の上空に吸い込まれていて、
ふと視線がさ迷うあいだに見失い、そして二度と見つからなかった。
消えてしまったのか。

「だいじょうぶか!?」
「うん・・」

うなずいた鰍は頬を赤くして、何だか恥らうみたいだった。

685 名前:柊の国の推敲:2007/12/23(日) 01:19:20
>>684 「うなずいた鰍は頬を赤くして、何だか恥らうみたいだった。」

→ 「うなずいた鰍は頬を上気させて、何だか恥らっているみたいだった。」

686 名前:柊の国の首猛夫:2007/12/23(日) 01:24:01
ふぎゃああぁあああああぁあぁあぁぁおお!!!!!

獣の断末魔の叫びが路地裏から響いてきて、
首猛夫は「びく」と肩を震わせた。飲食店の店員らしい若い男が
顔を青くして道の角から走り出てくる。>>675



体を引きずるようにしてホテルメトロポリタン杣台にたどり着いた首猛夫は、
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/658n-662
しかし、まだチェックインできるはずもなく、予約の確認を済ませ荷物を預けると
行き場がなくなってしまった。街が、なぜだか無性に恐かった。

しばらくのあいだ、ホテルのロビーでソファに身を沈めていたが、
警備員が何度も巡回してくるので、
眼をつけられているような意識が湧いてきて、居たたまれなくなり、
恐怖を押し殺して外に出た。

ペデストリアンデッキではなく、「地上」レベルで歩道を歩く。だが、
同じことだった。歩道が取り巻く
バス・ロータリーやタクシー・プールからも、間歇的に
屠殺場のような禍々しい印象が襲ってくる。

人体の山が、タクシーに磨り潰され、
路面がぐじょぐじょになっている――そういう一瞬の幻像を、
首猛夫は繰り返し繰り返し見せつけられ、そのたびに
消しゴムが脳内の記憶を消し去った。



意識下に充満する血なまぐさい気配に
わけもわからず怯えながら、
クリフロード商店街のアーケイドの下を歩いていると、
獣の断末魔の叫びが路地裏から響いてきた。

ふぎゃああぁあああああぁあぁあぁぁおお!!!!!

飲食店の店員らしい若い男が
顔を青くして道の角から走り出てくる。

首猛夫が路地裏をこわごわ覗くと、上半身だけの猫の死骸が落ちていた。
喰い千切られた断面から血や筋や管が垂れている。

ミシ・・・ ミシシ・・・・ ミシミシミシ・・

空間が軋むような音を立てている。

687 名前:柊の国の首猛夫:2007/12/23(日) 01:27:48
内臓がぞわぞわする、独特な感覚がある。
この感じに、首猛夫は覚えがあった。
これは――フダラク市の気配だ!

フダラク市とは、NOVA警察が遺棄した衛星軌道上の都市である。
その深奥部にはいまだ全貌が掴めない未知機械の森が横たわっていた。
人類のある国家間協同組織がフダラク市を植民地化し、研究を進めていたが・・

ある日、NOVA警察の円盤が飛来し、マイクロブラックホールを投げ込んで
一切の情報を跡形もなく削除し、単なる質量に還元してしまった。
首猛夫はこの現場に、
束京大学大学院新領域創生科学研究科衛星都市研究分室分室長として立ち会っていた。

矢場徹吾市長とともに、研究員たちを船で逃がしたあとで、
ノーマルスーツを着て宇宙空間を漂流した。
矢場徹吾市長は行方不明になったが、
首猛夫は救援船に拾われ、九死に一生を得た。

http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/490n-493
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/528n-529
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/586n-592

首猛夫は形而上物理学者として活躍していた頃、
脳の前頭前部葉に化学療法的な手術を受け、7次元時空を「跳ぶ」力を開発していた。
この力は、ひとによっては生得的なもので、たとえば
『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』の著者などは、特別な手術などなしに、
純粋に形而上物理学的な鍛錬によって「跳ぶ」力を身につけていたし、
その躰は7次元時空のなかを誰よりも素早く優雅に泳いだのである。

だが、NOVA警察の遺棄施設であるフダラク市においては、
首猛夫のような「跳ぶ」力に乏しい、紙上の学者でも、
チャートがめくられる感じを常態として味わっていた。

フダラク市近傍は微細な渦巻きや乱流に満ちていて「遊泳禁止」であったが、逆に言うと、
「泳ぐこと」をそそのかす流れに満ち満ちた時空でもあった。

688 名前:柊の国の首猛夫:2007/12/23(日) 01:33:23
これは――この感じは――フダラク市に似ている・・!!

首猛夫は何十年ぶりかで
脳の前頭前部葉の「第3の眼」に精神を集中した。
『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』が教えている精神の誘導術を思い出す。

猫の上半身だけの死骸が落ちている路地裏。
グレイのアスファルト舗装のでこぼこ。
したたる血の描くロールシャッハテスト。
路肩の下水の蓋。
電信柱の足。
アーケイドを構成する建物の、路地裏に面した側面。
その壁に嵌め込まれた小さな通用扉。
扉のドアノブ。

眼前の4次元的断面を7次元時空のなかのチャートとして「エポケー」して、
それを「めくる」。現実は「平ら」だ。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/664n-666

首猛夫はしばらく努力していたが、一生懸命な努力も、
眼筋と顔筋の無意味な体操にしかならない。
もともと才能に乏しかったうえ、もう何十年も「跳べない」現実のなかで生きてきている。
しかも、その現実のなかにおいても、汚い下宿に引きこもって逃避し続けてきたのだ。
跳べない。やっぱり、跳べない。

と、思った瞬間、現実が、チャートが、ぱらぱらぱららららら・・ とめくれ上がった。

「あ。あわ。あわわわ。」

首猛夫は慌て、
風に舞い飛ぶ書類を押さえるように、
現実がめくれてゆくのを押しとどめようと、
故意に精神集中を乱し、両腕を「あわわ。あわわ。」と振り回した。

現実はふつーの現実に留まった。

689 名前:柊の国の首猛夫:2007/12/23(日) 01:38:31
(と、跳べるぞ?! はぁ、はぁ・・
アルジャーノン指数が高まっているということだ。でもなぜ?)

首猛夫は息を切らせ、がくがく震えながら思考した。
「答え」は考えるまでもなくわかっていた。

(――NOVA警察だ。)

首猛夫はアスファルト舗装にぺたんと尻を下ろして、
ホームレスの老人のように座り込んでしまった。

NOVA警察に関する秘匿情報を鰍主任科学官に伝えようと
首猛夫が杣台入りした、という情報を、
NOVA警察側はつかんだに違いない!

ガイアの4次元の周りに網を仕掛けておき、
アルジャーノン指数を高めることで、
ガイアから垂直な方角に跳び上がった者を狙い撃ちする罠なのだろう。

いや、よしんば、首猛夫にフォーカスした攻撃でないとしても、
アルジャーノン指数を高めることで、
自覚的であれ・無自覚的にであれ、とにかく「跳ぶ」力を持つ者には跳ばさせて、
一網打尽にする作戦に違いない!

(NOVA警察の狙いは俺か? 鰍主任科学官か?)

首猛夫は限定的な情報に基づいて誤った「絵」を描き、
その多分に自己中心的な「絵」のなかで
NOVA警察の恐怖におののいた。

やがて、ごぼっ という音がして、建物裏の散水用の水道の蛇口から
軍用芋虫犬が一匹這い出してきた。路上に座り込んだ首猛夫の尻の周りでは、
蟻たちがせわしなく動き、
行ったり来たりしながら
猫の死骸の解析を進めていた。

690 名前:柊の国のアイ:2007/12/30(日) 01:04:34
「そろそろ・・ かな?」

計器盤を眺めてアイが呟く。アイが
軍用芋虫人システムを作動させ、
10496体の杣台市民をモナド融合させてから3時間30分が経過していた。

杣台時空圏の内部粘度も、
ガイアとのあいだに生じた亀裂への真空粒子の浸透も、
予測より急なグラフを描いて高まっている。

どうやら時空圏を「小片」化した場合、
時空圏内部のあいだでこれを閉じようとする方向の修復力が強まるようだ。
事態の進行は、アイとAIの予測より若干速かった。>>669



アイは都市演奏室の操縦席から立ち上がると、
「10分間、休憩してくるね」と言い置いて、壁のドアを開けた。ドアの向こうは、
7次元時空のなかで杣台時空圏にverticalな方向から刺し込んだ秘密基地に繋がっている。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/664n-666

アイは秘密基地の廊下に出た。

691 名前:柊の国のアイ:2007/12/30(日) 01:07:05
陽の燦々と降り注ぐコテージには相変わらず柊おぢさんがいた。
山ほどの軍用芋虫犬が柊おぢさんを目指して もぞぞ、もぞぞ と蠢き、
柊おぢさんは蠢く山の中心で、
軍用芋虫犬まみれ、そしてその臓物まみれになりながら、
手当たり次第貪り喰っていた。

現実の柊おぢさんは両手両足を切断されて軍用芋虫人化処置を受け、
棺桶のような形の外殻のなかに封印されて、
杣台駅前のペデストリアンデッキに設置されている。

都市演奏システムの命令に応じて仕事をするのは
純粋に装置としての脳髄なので、脳髄の「あるじ」は関係がない。
「あるじ」の自我とは、立派な書物に貼りつけられた
無駄な付箋紙の如きものに過ぎない。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/641n-647

柊おぢさんの場合、
装置としての脳髄は杣台駅前のペデストリアンデッキで64組のモナド融合を指揮し、
256体の杣台市民を臓物の塊に変えたが、その脳髄の「あるじ」は、
アイの秘密基地にシンクロされているヴァーチャルリアリティのなかで
意味もなく軍用芋虫犬を貪り喰っているのだった。



もうじき「進水式」のために柊おぢさんを使う予定のアイは、
今回は柊おぢさんの幸福を見逃し、廊下からリビングに足を踏み入れず、
覗いただけで去る。

廊下を歩いて別のドアを開ける。

692 名前:柊の国のアイ:2007/12/30(日) 01:15:45
ドアを開けると、応接ビル最上階、
「『獺祭』のバー」の迎賓室である。壁一面ガラス張りで、アイは、
広く広く広く――どこまでも広く広がる空と大地の状景に、大きく伸びをして胸を膨らませた。
朝9時からかれこれ5時間、深地下の都市演奏室に籠もり切りだったのだ。 >>655

(7次元時空での飛翔は、蜜蜂のbuzzみたいな無数のノイズのなかで
刻一刻「意味」を書き換えてゆく作業なので、
現実時空での広大な広がりが肉の躰にもたらすような開放感は、
7次元時空での飛翔からは得られない。)

彼方に、燃え広がった黴のように、杣台市街が
大地にべたりと貼りついている。
アイがいま強奪しつつある百万都市だ。
あのビル群の足元には、モナド融合の絞りかすになった
10496体の杣台市民の臓物がぶちまけられているはずだった。



そういえば、
鰍と柊准尉と3人で「『獺祭』のバー」に来て、この部屋に案内されたときは、
壁一面のガラス窓から展望するミニチュア模型みたいな都市のうえに、
満月直前のぶよぶよと赤い月が漂っていた。>>625

「『獺祭』のバー」に、
最初に柊准尉とふたりで来たのは、鰍のモナド融合実験が
アイの工作のせいで「失敗」に終わった日だった。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/561n-581

二度目に3人で来て、この迎賓室に通された晩は、
宿舎に戻ったあと、鰍と柊准尉が初めて結ばれたのだった。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/624n-636
翌朝、仕事を休みたいという鰍のメールを受けて、

(「オーケイ、柊准尉によろしく♥」って即レスしたっけ。)
(ずいぶん時間が積み重なった気がするけど、まだたったひと月なんだ・・)

昨晩見た美しい満月と、あの晩の
満月直前のぶよぶよと赤い月とを思い浮かべながら、
アイは感慨に耽った。

(昨日の満月、ほんとにきれいだったなぁ)
(鰍もあの月を見たかな・・)        >>653

693 名前:柊の国のアイ:2007/12/30(日) 01:17:13
都市演奏室に戻ったアイは
コックピット・ソファに腰掛けると〈杣台SQ1〉に命じた。

「さ。セカンドインパクトを始めるよ。」

右手の人差し指が素早く動き、
操縦席のすぐ前にあるディスプレイ画面のなかのボタンを
マウスでクリックする。

アイドリングさせていた軍用芋虫人システムが
一斉に動作を始める。

今度は
256×4×41=41984体の杣台市民を磨り潰し、
モナド融合により「鰍粒子」を撒き散らして、いよいよ
杣台時空圏をガイアから引き剥がすのだ。

そして「進水式」を執り行う。

694 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2007/12/30(日) 01:18:47

                 ∴
                 ∴∵∴    ∴
     ∴∵∴          ∴∵∴  ∴∴
       ∵∴∵          ∵∴  ∴::: i^i_i^i_,‐、
               ∵:: .      ∵:.  ::/U::∪:`U ..::∵∴
      ∵∴∵         : . ..    :∵..::(つ/ ⌒ヽ).)  ∴∵
    ∴∵∴∵∴: : .    . :         : . | : | |   |    ∴∵
. : ∵∴∵     ....... :  .::___   . : | :∪ / ノ    ∴
.. : :∵      ....::  :: . :::::::∴∵∴\. :.:  | ∵| ||    ∵  ∵
.∴∵     ::..::   .:::::::∵∴∵∴∵:\:  |∵∪∪  . :     ∴∵
.∵      ∵::   :::∵:(・)∴∴.(・)∵. l  / . ∵ :: . :       ∵
∵    ∴∵::.   ::∵∴/ ○\∵∴ | /   ::        .∵
..    ∵∴::     .::::∵/三 | 三ヽ∵ |/....:∴::     .∵  ∵∴∵
.   ∵:..:.:/⌒ヽ::l⌒`i::..| __|__ │∵|...:∵::    .. :    ∴∵
.   :/⌒ヽ|  |;; ;|  |、.|  ===  │/∴::    . :    .∵∴  ∴
.  :(  ヽ;;ヽ__ノ;;; ヽ__ノ !\___/∵ :: . ... . :      .∵    ∴
..∴ >‐ / ̄.. \;;;;ゝ__`ト、.(●)━..:∴::        . :     . ∴∵∴
∴. ( : :/    ,. i〃    l  . . . . . . . . . . .... .. . :    ..:∵∴: tanasinn
∴∵ ̄|    /.| |、l___ノ    _!_!         .∴:
  ∵  |   | :| |. |        ./∵∴゙i       . :     .:∴∵∴
      | |  |  | |. /.∴∵;;;;/‐‐| .∵∴ :: .. .... . :      .∴∵∴∵
      | | |  U.::、∴∵;;/;)  ゙i∵∴∵:: ... .. ... .. . : :∵∴∵
      | | |    :: . ̄ ̄ ̄   ゙i∵∴∵::.. ...::∴∵∴∵
     / / /      : . . .      ( ̄ ̄.... ::∵
    / / /      : :∴∵ : .    ̄.:∴:.
   .しし’        :: :: ∵: : .


695 名前: ◆USO800B5B. :2008/01/06(日) 23:52:47
古い携帯電話の中の笑顔のきみを見続けてた午後
病気でも無理して立ち上がって僕のほうに歩いて来るんだ
どうしてこんなムービー撮ったんだろう
どうして今ここにきみがいないんだろう
抱きしめたいのに

696 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2008/01/08(火) 19:23:30
俺も愛犬を晩飯のオカズにして喰っちまって後悔のあまりリスカしました。

697 名前:柊の国の鰍:2008/01/14(月) 16:54:24
島から街へ、『福裏橋』を戻るふたりは無言だった。喧嘩したのだ。

鰍が「湾」で謎のアオスジアゲハの群れに襲われた後、ふたりは、
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/680n-685
8時〜10時の公園広場から坂を登り「時計の真ん中」を抜けて3時の休憩所でお昼を食べた。

ホテルの厨房に作ってもらっていたクラブハウスサンドを食べながら
さっきのアオスジアゲハについて話すうちに何だか雲行きが怪しくなってしまったのだった。



松嶋に来る直前に鰍がこなしていた仕事は
都市演奏システム行動アレイ群の
基本アーキテクチャの設計 及び 実装の制作 だった。>>678

人間の行動や心理の「あらゆる」場面に関するスピノザ的な分析に没入する13日間は、
鰍の内面を、眼(意識)には見えない微細なレベルで、全体的に蝕んでいた。

肯定的な現実主義者である鰍にとって、
自分の〈私〉が肉体という中途半端な機械のうえに載っていることは与件であり、彼女は
自分自身の恋や愛ですら、意識的に「見る」ことができた。>>514
(「見る」ことができるということと、そこから逃れられるということとは異なる。)

だが、人間の「あらゆる」場面に関するスピノザ的な分析は、
その徹底性において、鰍の内面を微細かつ全体的に蝕んだ。
鰍の脳内には鰍自身と一緒に、つねに、
鰍のシミュラクラみたいな言語化され機械化された鰍がはっきり棲みつくようになった。

柊准尉に抱かれているあいだだけ、このシミュラクラの
私は黙るのだった。あまりにも陳腐な状況に、鰍は、鬱々とした気分だった。

698 名前:柊准尉:2008/01/14(月) 16:57:34
実は柊准尉も、松嶋に着いて以来、困惑していた。ただそれはもっと実務的な問題だった。

鰍がつい見くびってしまった柊准尉は、実際には諸事情について完璧に理解しており、
今回の小旅行におけるふたりのプライヴァシーについて、>>683
「当然SPが来ていると想定したうえで、気にしていない」という一番頼もしいレヴェルに達していた。
(鰍はもっと自分の「男を見る眼」を信じれば良かったのだ。)

だが、「当然SPが来ている」と想定していた柊准尉は、松嶋に到着して以来、困惑していた。
―― 来て、いないのである。どうやら。



そもそも鰍は考えていたのだろうか?
「鰍主任科学官」が――言葉だけの少女の憧れではなく――ベッドをともにする愛人を持つことができる、と。

ただ一つの結果に至る、諸力の綱の引き合いは色々なものでありうる。軍の特務班と公安警察。

柊革命組による、杣台駐屯軍基地内での鰍主任科学官へのテロ事件のあと、
柊軍曹は「特務班・主任科学官護衛准尉」に任命された。このとき柊准尉は、
自分が「国家の少女神」のお気に入りに――それも、
国家公認のお気に入りという立場になったことに、奇異な感じを抱いていた。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/511n-512

実は「鰍主任科学官」が柊准尉を得たのは、むしろ陰謀の所産だったのだ。

特務班の上層部には、榎少佐グループを快く思わない「おじさん」たちがいたのである。
鰍の意を通しながら、プロバビリティの犯罪として鰍の失脚を望む、というのが、
この「おじさん」たちの卑怯未練な戦略だった。

柊軍曹に直接命令を伝える人物としては、
個人的に鰍シンパであることがわかっている特務少尉を選んだ。
特務班は「プラスとマイナス」という考え方をする。
いかに鰍シンパの少尉としても、柊軍曹に露骨な示唆はできない。
だが、何がしかの暗示は可能かも知れない。そういうマイナスと、
柊准尉任命の「善意」の偽装というプラス。正直言って、一体何がプラスで何がマイナスなのか、
当事者たちにもわけがわからない状況のなかを泳ぐことに、特務は愛着を抱くのである。

一方の公安警察(security police)は、
軍特務班と時に協同し、時に対立しながら柊革命組を叩き潰してゆく過程で、>>507
徐々に弱体化していった。皮肉なことに、その原因は榎少佐である。

××支部の壊滅、キーパーソンの××の暗殺、など、
柊革命組を叩き潰す過程で発生するイヴェントごとに
軍出身の榎少佐が介入して、もとは公安警察のものであった職域権限を、
次第に軍特務班に割譲していったのだ。こうして榎少佐は
自らの敵を営々と養ってしまったのである。

もちろん、特務の上層部には「宦官」的な文系官僚だけでなく、
榎シンパの理傾主義者もいたのだが、宿命的に秘密体質である特務の場合、
「宦官」たちの権力はそう簡単には一掃できなかったのだ。

この時代、要人警護という意味でのSPは公安警察(security police)の管轄になっていたが、
以上のような諸力の絡み合いによって、鰍と柊准尉の松嶋旅行には誰の警護の眼もついていないという
事故が発生していた。

「構造の歪みから発生した軋みとしての、必然的かつ偶然的な、ミス」、あるいは、
「自覚的な謀議による怠業」。
真相がどちらだったのかは事柄が複雑すぎてわからない。

699 名前:柊の国の鰍と柊准尉:2008/01/14(月) 17:00:49
アオスジアゲハの群れに襲われたことについて話すうち、口論の流れで
柊准尉はつい口走ってしまった。口に出せない
SP不在という問題が意識野の手前に伏在しているため、
充分な抑制が効かなかったのだ。

「鰍は嘘がつけないから、誰かが代わりに嘘をついてあげないといけないんだよ。
アイもそう言ってた。」 >>575 >>634

「アイ」という名前を聞いて鰍の顔が蒼くなった。
アイが正確には何と言ったのか、尖った口調で詰問する。
柊准尉は(しまった)と思いながら、
(でも、あの晩のアイの発言には特に鰍を傷つける要素はなかったはずだもんな、
かえってきちんと話した方が良いかも知れない)と考えて、
鰍のモナド融合実験が「失敗」した晩の話をした。

「鰍は嘘がつけないでしょ? だから誰かが鰍の代わりに嘘をついてあげないと」

それ以来、鰍は黙り込んでしまった。
島の3時の休憩所を出て、4時、5時と歩き、6時の地点から『福裏橋』を渡る。

柊准尉はこの恐ろしく強い小さな女の子をなんとかしてあげたいと心底から願うが、
彼女の問題はもう彼の手におえないぐらい巨大になってしまったのかも知れない。
いや、最初から彼の手におえるようなことではなかったのか。

彼女は黙りこくったまま、彼の前をすたすた歩いてゆく。
彼はその彼女の背中を見ている。
天使の羽みたいな肩胛骨。

700 名前::2008/01/14(月) 17:02:15
柊おぢさんは、棺桶型のカプセルのなかで両眼を開き、
両手両足をもがれた軍用芋虫人である自分の姿を鏡のなかに見た。

柊おぢさんにおのれの姿を見せるための鏡を
アイが棺桶のなかに用意していたのかも知れないし、あるいは、
柊おぢさんがリアルの自分の姿を見たのが仮想現実内での出来事だったのかも知れない。
どちらでも同じことだ。

アイは柊おぢさんをサディスティックに追い込み、
「この現実」への強烈な拒絶と「別の現実」への欲望を爆発させた。
サンプリングされた情動爆発は41体の軍用芋虫人から杣台市に放射された。

「進水式」において、斧がロープを断ち切り、赤ワインの壜が船首に叩きつけられるように、
不意にギロチンの刃が走り、棺桶型のカプセルのなかで
この軍用芋虫人の首を叩き落した。
それが現実の出来事でも、仮想現実内での出来事でも、どちらでも同じだ。
いずれにせよ、柊おぢさんの首は引き千切れ、
カプセルのなかの羊水は鮮血で真っ赤に汚れた。

放射された情動爆発は〈杣台市〉をガイアから最終的に切断し、
一個の〈舟〉と成して、7次元時空のなかに進水させた。

701 名前:柊の国の鰍:2008/01/14(月) 17:05:41
おだやかな内海に浮かび、ゆぅらゆぅら揺れていたウミネコたちが、
向こうのほうから順にバサバサ飛び始める。波動が不意に押し寄せ、
『福裏橋』の中ほどを歩く鰍の躰を宙に巻き上げた。>>668

チャートが一瞬めくれ、すぐに戻る。
宙に巻き上がった鰍は何事もなかったように、不思議そうな顔で橋の上に立っている。
周囲360度をぐるりと見回し、
首を天に向け、空を見た。

再び内海の状景に眼を戻す。額の奥で何かを凝視している感じ。
鰍はこの感じが何か、知っているように思った。
『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』第3章「フィールドノート」・・

――何かの理由でアルジャーノン指数が上昇してる??

鰍は額の奥の「第3の眼」を見開くようにして、軽くチャートをめくってみた。

――跳べる!! 跳べるよ、わたしっ

鰍は振り向いて柊准尉の顔を嬉しそうに見た。何のわだかまりもない。
鬱々とした気分なんか、消し飛んでいた。
新しく見出した躰の動きに興奮して、夢中になって鰍は笑った。

「柊准尉っ わたし、跳べる! ちょっと跳んでくるねっ」
叫ぶのとともにその躰は今度こそふわりと宙に舞い上がり、上下逆さまになって、
数メートルの上空から『福裏橋』の上の柊准尉を見下ろした。

柊准尉は驚いて、そして、心配した。
「危ないよ、鰍。戻っておいで!」
「行ってくるねぇー ちゃんと戻るからねー」

そのとき次の大波が押し寄せ、鰍の躰を凄まじい勢いで浮かび上がらせた。
チャートがめくれ、ガイアから外れ、〈地球〉の全景を外から眺める。
そして、溺れた。

702 名前:柊准尉:2008/01/14(月) 17:33:40
『福裏橋』の柊准尉は
中空に上下逆さまに浮かぶ鰍を驚愕して眺めていた。

「危ないよ、鰍。戻っておいで!」
「行ってくるねぇー ちゃんと戻るからねー」

心配する柊准尉の声に能天気に応えると、不意にふわりと舞い上がり、
鰍は蒼天に消えてしまった。

「鰍・・」

柊准尉がぽつりと呟いた次の瞬間、空間が軋む音をたて、そして、
凄まじい音を立てて砕けた。

ギギ・・ ギギギギギギ・・・・ ゥワッシャァアーーーーーー

柊准尉の体は腰のところで両断され、『福裏橋』にはその下半身だけが放り出された。>>675
上半身は7次元時空のなかを嬲られ、福裏島の11時あたり、
時計の短針みたいな太い丘の側面が海に刺し込んでいる崖に
上空から落下した。

ズッシャ・・

崖の真ん中あたり、
カップルが並んで腰掛けるのにちょうど良さそうな岩のうえに落ちた柊准尉の上半身は、>>672
岩肌に背をもたれさせて、内海の状景を凝視める。

急速に分解しつつあるそのモナドに最後に映るものは何だったのか。
人生の不条理だろうか、それとも、
ひたすら鰍の安全を願う祈りだったろうか。

あるいは――
脚がかゆい・・ おや? でも、脚なんかないぞ?? などという
意味のない神経反応だっただろうか。

703 名前:_:2008/01/31(木) 01:07:25
    

704 名前:柊の国の首猛夫:2008/02/01(金) 02:41:54
(ど、どうすれば・・)

クリフロード商店街のアーケイドから外に出る路地の上にホームレスのように座り込みながら
首猛夫は狼狽する。もともと彼は、鰍主任科学官に「NOVA警察」という秘匿情報を伝えるため、
柊元会頭の支援を受けて杣台に来たのだった。

柊元会頭としては、失脚し、自慰を表明させられた身で、鰍主任科学官にコネを作ることで
榎独裁権力下においてサヴァイヴァルを図ろうという皮算用があった。
柊元会頭は首猛夫に当座の活動資金として50万園を与えた。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/637n-640

だが、首猛夫が杣台に着いてみると、どうも様子が変なのだ。
悪寒がし、恐怖心がこみ上げてくる。そして
「跳ぶ」ことを可能にするくらい、アルジャーノン指数が高まっているのだった。
首猛夫の杣台入りを察知したNOVA警察による攻撃に違いなかった。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/686n-689

(束北大学経由で鰍主任科学官に会うつもりだったが、事態は急を要する。
アポなしで杣台駐屯軍基地に駆けつけてみるか?)

脂汗をだらだらたらしながら首猛夫が算段していると、不意に、
銅鑼を叩くような巨大な音が、頭蓋骨の内側で鳴り響いた。

いぃいいいぃいいぃああらぁあああぁあああぁあああああぁあああああああーーーー

音は声だった。「いあら」と聞こえる。「いやだ」と叫んでいるのか? 究極的な、絶対的な、拒絶だった。

凄まじい声とともに、腹の底を どん! と殴られるような衝撃が来た。
全身の細胞がぞわぞわとざわめき、アルジャーノン指数がさらに高まった気配がする。
首猛夫は小便を漏らした。ズボンの前がみるみる変色してゆく。

――と。呆然と宙に向けられた首猛夫の空虚な眼のなかに、不思議な像が飛び込んできた。
それは両側の建物に切り取られた狭い空を背景に、宙に浮かんでいる黒いウェディングドレスの若い女性だった。
七弦琴を胸に抱いた彼女の顔に、首猛夫は見覚えがあった。

705 名前:柊の国の首猛夫:2008/02/01(金) 02:47:23
(ま、まさか・・ しかし)

それは首猛夫がまだ意気揚揚とした中年男だった頃のことだ。
富士の樹海から次元回廊を抜けてフダラク市に赴任してきた形而上物理学の天才がいた。
彼女、『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』の著者だ。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/586n-592
フダラク市から不可解な失踪を遂げた彼女が――

(なぜ、あの頃の姿のままで? し、しかも、ちゅ、宙に浮いて??)

首猛夫は自分が黒衣の花嫁姿の彼女を見るのはこれが初めてではないことを突然思い出した。

(あ! サンシャインで!!)

確かめるように、宙に浮く黒衣の花嫁の顔を路上から、見上げ・覗き込むと、


            <●>   <●>


彼女の澄んだ瞳が真っ直ぐ首猛夫の両眼を貫いてくる。
脳内に話し掛けられた。

――首さん、跳びませんか? 跳ばないと危ないですよ?

「き、君はなんなんだ! 俺をどうする気だ!!」

黒衣の花嫁は不思議な生き物を観察して楽しむこどもみたいに首猛夫をしばらく凝視めたあと、
あ! と何かに気づいたような顔をして口を開いた。

――そうだ、思い出しました。一個、質問しておきたいことがあったんです。
フダラク市がNOVA警察に襲われたとき、
首さんと矢場さん(矢場徹吾市長)がふたりで最後まで残ったんでしょう?
なんで、首さんは助かったのに、矢場さんは行方不明なんです?

「うがっ あ、」

首猛夫のなかで、もう何年も抑圧し、思い出さないできた状景が、不意に完全に蘇ってきた・・



しゅー  しゅー

自分の呼吸音しか聞こえないノーマルスーツのなか。
ハンドガンを手に持ち、重力源から遠ざかる方角にガス噴射をしながら
果てしない宇宙空間を漂い続ける。

首猛夫は、自分の隣りを飛ぶもう一個のノーマルスーツ―― 矢場徹吾市長に
無線で何か口実を言いながら近づくと、
不意打ちで彼のハンドガンをもぎ取り、両脚で彼を蹴った。

2倍の運動エネルギーを保障するもう一個のハンドガンを手にして、首猛夫は、
NOVA警察のマイクロブラックホールに襲撃されたフダラク市からひたすら遠ざかった。

推力を失った矢場徹吾市長の体が姿勢制御もかなわずくるくる回りながら遠ざかってゆく。
その背後には、もうプラモデルにしか見えない大きさになったフダラク市。
「果てしない無」である宇宙空間にぽっかりと浮かぶ、巨大な地球と、ちっぽけな太陽が見えた。



首猛夫は耳元で叫び続ける市長の声を消すために、無線を切った。

706 名前:柊の国の首猛夫:2008/02/01(金) 02:52:14
罰せられる!!

恐怖に駆られて首猛夫は
路上に座り込んだまま、後じさりした。
だらしなく開脚したズボンの股が漏らした小便で変色している。

黒衣の花嫁は小首をかしげて微笑むと、思い出したように再び忠告した。

――ところで、首さん。跳びませんか? 跳ばないと危ないですよ?
跳んでも危ないけど、跳ばないよりましです。

――跳べばガイアのどこかに漂着してモナドを保つことが可能だと思いますけど、
跳ばないでいると・・

首猛夫は「あがっ あがっ」と喚きながら後じさりする。
跳ぶ? 跳ぶ?? 脳内は色々な恐怖でいっぱいで、理性的に思考するどころではない。
「跳ぶ」というコトバに喚起された跳ぶことのイメージが
額の第3の眼に「跳ぶ」動作をさせ、チャートがぱらぱらとめくられ始める。

ぱらららららららららららららら・・・・・・

「いあら!!」
首猛夫は大声で喚くと
めくれ始めたチャートをしっかり押さえつけた。

「と、と、跳ぶのはいあら!!!! 跳べない!! 跳べない跳べない跳べない!!」

喚きながら首猛夫はアスファルト舗装に額をこすりつけ、首を振り続けた。土下座の格好だった。

突然、背中を触られた。
首猛夫が びくっ として後ろを向くと、にたにた笑う3人の人間がいた。
マンボウみたいに球体に太った男、スーツの中年サラリーマン、ブサイクな女子高生。
気がつくと首猛夫自身も、なぜだかこの4人で手を繋がなくてはいけない気分がしてきた。

胃壁が急激に高濃度の塩酸を分泌し、腹にどろりと穴が開く。
複雑な結び方をした8本の腕が、交差しながら互いの腹を探り始める。
長い長いチューブを、ずるずる引きずり出してゆく。

707 名前:柊の国の黒衣の花嫁:2008/02/03(日) 01:56:39
4体の人間たちが卍にもつれ合いながら融合してゆく。わたしはその姿を上空から眺め下ろしながら、
爪先で とんっ とガイアを――というか、杣台時空圏を蹴ると、
7次元時空のなかで「上空」に出る。「進水式」の情動爆発を投射された杣台時空圏は
ガイアとの切断面の至る所で炎上している。凄まじい乱流のなか、渦巻きに逆らわず
ふわふわ泳ぎながらわたしは「お姫さま」を探す。回収して、「王子さま(?)」のもとに届けるために。

エンジンが駆動を始め、船体が振動する。港の水が掻き混ぜられ、
水面に浮遊する小さなゴミがうねりに巻き込まれて沈む。
遊覧船がマリンゲート塩窯からゆっくりと出航する。
無数のウミネコが船にたかり、船と一緒に海を進む。>>651
〈杣台市〉の出航を眺めながらわたしのなかにふと、「塩窯」で見たチャートの状景が浮かぶ。

気がつくとわたしは大鴉になっていて、
ガイアから切り離され出航しつつある杣台時空圏を「上空」から鳥瞰している。
あ。あれかな? ――〈舟〉の縁のあたりから7次元時空に不意に跳び込んできた白い点が見える。
鰍ちゃんならきっと才能あるからある程度は泳げると思うけど、初めての海がこの荒れようだと、
やっぱり溺れるかも。

マリンゲート塩窯から出航する遊覧船に無数のウミネコがたかっていたように、
いまガイアから出航する〈杣台市〉のまわりにも
さまざまな組織体から派遣されてきた無数の観察子がたかっている。
NOVA警察の下部組織であるミドンさんたちの円盤ももちろん来ている。
いつもながらかれらが何を考えているのかはよくわからない。

708 名前:柊の国の鰍と黒衣の花嫁:2008/02/03(日) 02:04:56
『福裏橋』のうえで柊准尉が鰍のことを見上げ叫んでいる。「危ないよ、鰍。戻っておいで!」
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/697n-702
上空に上下逆さまに浮かぶ鰍は首を上げ、見上げるようにして橋の上を見下ろす。
「行ってくるねぇー ちゃんと戻るからねー」

そのとき大波が押し寄せてきた。鰍の躰は凄まじい勢いでガイアから巻き上げられ、
無数のチャートが 今、今、今、今、今、今、今、今、今、今、今、今、今、今、今、今、今、・・と、展開しては閉じてゆく。
すべてのモナドたちの営みの集積体としての〈地球〉の全景が
機械仕掛けのリンゴのような姿で7次元時空のなかに浮かんでいるのが一瞬見える。その巨大な状景に重なるようにして、
杣台時空圏とガイアとの切断面が爆発炎上する状景が浮かぶ。それに重なるようにして、
蟻たちがアスファルト舗装のうえを行ったり来たりする映像が見える。
多様なスケールの無数のチャートが鰍のうえをてんでばらばらに駆け抜けてゆく。

これが〈杣台市〉の出航であることを鰍自身は知らない。
『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』で学んだ「跳ぶ」ときの躰の制御を試みてみるが
凄まじい乱流のなかで揉みくちゃにされる。
そして、溺れた。

鰍の薄れゆく意識が最後に見たのは上空を悠々と飛ぶ鳥の、大きな黒い翼だった。大鴉。



ふと気づくと意識を取り戻していた。
大鴉と見えたのは黒いウェディングドレスを着た若い女性だった。
アイと同じか、あるいはもうちょっと年下かも知れない。
鰍の躰を抱きかかえるようにして7次元時空のなかを浮遊している。

「気がついた?」

黒衣の花嫁が話し掛けてきた。鰍は「はい」とうなづく。「あなたは、誰ですか?」

「わたしは―― そうねぇ、あなたに一番身近な自己紹介をするなら、
あなたの先輩よ。『モヨコ双対モナドのモジュライ構造について』の著者さん」

鰍が困惑していると黒衣の花嫁は言葉を継いだ。

「『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』、あれね、わたしが書いたの」

ふと、そうやってすぐ眼の前にいて鰍のことを抱きかかえている彼女の遥か背後に、
途方もなく大きな鳥が悠々と羽ばたいている姿が幻視された。
大鴉のごく一部分が鰍とコミュニケートするために顕現しているのだという感じがした。

709 名前:柊の国の鰍と黒衣の花嫁:2008/02/03(日) 02:07:28
鰍がした
いくつかの質問に黒衣の花嫁は答えてくれた。だが、
いくつかの質問には無言で微笑むだけだった。

そのあいだにも黒衣の花嫁は優雅な仕草で乱流のなかを舞い、無数のチャートをさばきながら
目的地への潮目を読んでいる。
両手を繋いで一緒に舞う鰍は、眼の前の黒衣の花嫁の背後にくるくると展開する7次元時空の巨大な状景に興奮した。

やがて、黒衣の花嫁が言った。

「さぁ、ここからならひとりで跳べると思うよ? 行って御覧」
「行く、って・・?」
「杣台駐屯軍基地・司令ビル地下、都市演奏室。そこにあなたの疑問の答えがある」

7次元時空という非日常の場で、得体の知れない女神から不意に
自分の日常に関わる単語を口にされて、鰍は面喰らった。

「都市演奏室?」
「そう。ふつうに思い浮かべれば、チャートが開くはず」

そう言うと黒衣の花嫁は鰍の両手を離し、紐に腕を通して背中側に回していた七弦琴を
胸の前に抱えて爪弾いた。
次の瞬間、黒衣の花嫁の姿はかき消えていた。

ひとりにされた鰍は一瞬戸惑ったが、
素直に都市演奏室の状景を思い浮かべてみる。

鍵盤・コントローラ・液晶画面・スピーカ群――などが装備された操作盤、
正面の巨大プラズマ・ディスプレイ、
人間工学的な設計を施された・航空機のコックピットみたいなソファ。

ドアを開けるような気分でゆっくりチャートを開くと、
鰍はそこにいた。

710 名前:柊の国の鰍とアイ:2008/02/03(日) 02:13:07
そこにはアイがいた。



「アイ! 信じられる? わたし、跳べたんだよ? 松嶋からここまで跳んできたの!」

都市演奏室でアイを眼にした鰍は、興奮して笑いながら叫ぶように言った。

「一代の奇書とか、美しい数学理論のあいだに一部妄想を含むとか言われていた
『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』は、やっぱり嘘じゃなかったの。
アルジャーノン指数が高まれば、ちゃんと跳べるの!」

興奮する鰍の意識のなかに、じょじょに違和感が染み込んでくる。
部屋中の液晶画面が点っている。
正面の巨大プラズマ・ディスプレイに映し出されている杣台市の地図と、沢山の分割画面。
フル稼働している都市演奏室の設備。
話を途中で止めた〈杣台SQ1〉の声。
コックピット座席から立ち上がったアイ。

アイの顔はなんだかうろたえて蒼ざめている。
どうして? アイはいったい――

アイはいったいここで何をしていたんだろう?

興奮から醒めた鰍はアイに訊いた。「アイ、ここで何をしていたの?」

711 名前:柊の国の鰍とアイ:2008/02/03(日) 02:14:22
アイは答えない。

「アイ、答えて。ここで何をしていたの?」

アイは答えない。鰍は直感で悟り、大声で命じた。「フリィィィーズ!!」

すると〈杣台SQ1〉を始め、都市演奏室の全システムが凍結された。
7次元時空のなかではガイアから離陸した〈舟〉が、
おのれの方向を定めようともがいているときだった。

712 名前:_:2008/02/14(木) 20:26:04
    

713 名前:柊の国の鰍とアイ:2008/02/18(月) 21:10:40
一瞬アイは悲鳴をあげそうになった。

鰍の出現はまったく予想外だった。まして
出現した鰍がヒステリックに全システムを凍結するなど、
眼の前で起こった今ですら、悪夢にしか思えない。

7次元時空のなかでガイアから離岸し、
一個のメガモナドとしての「自我」を形成しつつあった〈杣台市〉が、
この突然の「電源オフ」でどうなるのか、
脳髄をじりじり焼き焦がされてゆくような感じを味わいながら、
アイは鰍の眼を凝視め続ける。


            <●>   <●>


鰍は、そのアイの眼を凝視め続けている。
衝動的に全システムを凍結してしまったとはいえ、
鰍の瞳は冷静で、ほんとうのことを知りたいと真底から願っている。

沈黙と静寂が時間を占領する。
しばらくして、あるいはそれは数秒後のことだったかもしれないが、
不意にアイが走り出す。鰍を避けるように装置のあいだを縫い、都市演奏室後方の壁にたどり着くと、
ドアを開け、逃げる。

714 名前:柊の国の鰍とアイ:2008/02/18(月) 21:12:53
都市演奏室に出現した鰍が立っていたのも後方の壁沿いのスペースだったので、アイの遁走は
鰍の目前2、3メートルの距離で、まるで小学生の鬼ごっこみたいに行われたことになる。

不意を打たれた鰍が後を追ってドアの前に駆け、ドアノブをひねると、回らない。
考えてみると都市演奏室にこんなドアはなかったはずだ。
実際、杣台駐屯軍基地・司令ビルの廊下に出る本来のドアは、
見れば壁の正しい位置にある。それは鰍が出現した位置の真後ろだった。
鰍は「ドアを開けるような気分で」チャートを開いたのだから当然のことと言える。

存在しないはずのドアの前で一瞬、沈思した鰍は、宙を凝視めると床を とん と軽く蹴る。
7次元時空のなかで〈杣台市〉が成している4次元の「岩盤」を軽く蹴ると、
垂直な方角に跳び、素早く状景を把握する。

無数のチャートを額の第3の眼で繰りながら泳ぐ。
一度溺れかけた恐怖よりも、跳ぶことの楽しさのほうが大きい。
しかも、都市演奏室近辺ではどうやら7次元時空の状態が安定しているらしく、
凄まじい勢いの乱流に呑まれるようなことがない。
(舟としての〈杣台市〉の操縦区画としてアイが地鎮してあるのだから当然だ。)

7次元時空の状態が安定しているのなら、鰍には天成の跳ぶ才能があった。
そもそもチャートの切り替えは形而上物理学における座標変換の対応物であり、
鰍の脳髄にはこうした変換が「見える」のだ。 >>563
鰍は「見た」ものを見たままに数学の言葉で語り、
『モヨコ双対モナドのモジュライ構造について』を書いたのだし、
逆に「見える」ものを見えるがままに操作すればそれが跳ぶという行為だった。

〈杣台市〉の「岩盤」に垂直な方角から刺し込まれた白い箱を見つける。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/664n-666
チャートを開いて白い箱の内部にダイブする。

715 名前:柊の国の鰍とアイ:2008/02/18(月) 21:14:48
秘密基地の廊下を走っていたアイは、
鰍が自分の前方に不意に現れたことで、観念した。
〈杣台SQ1〉、都市演奏室自体のAI、そして秘密基地のAIの
三者を連繋させて〈杣台市〉を操縦していたアイは、
そのうちの前二者を鰍に凍結されてしまったので、最後の
秘密基地のAIの側から〈杣台市〉への支配を取り戻せないかと考えていたのだが、
初心者とは思えない鰍の跳躍力の前には最早、逃げようがない。

秘密基地の中核部分に鰍を導き入れてしまうよりはと、アイは廊下のとあるドアを開けた。
ドアの向こうは応接ビル最上階、「『獺祭』のバー」の迎賓室である。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/690n-693

壁一面ガラス張り、
広く広く広く――どこまでも広く広がる空と大地の状景を背後に従え、呼吸を整えながら
アイは鰍を待つ。

開いたドアから跳び込んで来た鰍は、弾丸のようにアイに抱きつくと「逃げないで!」と叫んだ。
アイにしがみつき、胸に顔をうずめて、しばらくいやいやをするように頭をこすりつけていたが、
やがて顔を上げ、透き通った瞳でじっと凝視めてくる。
その眼からは静かな涙が流れていたが、声は動揺していない。
涙声でない、しっかりとした、しかしかすれた声で、鰍は問いを発する。

「アイは・・ NOVA警察なの・・?」

716 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2008/02/19(火) 09:22:11
犬好き猫好きは見ない方が良い 中国・韓国
http://jp.youtube.com/watch?v=knmgd9_B9tA 

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717 名前:柊の国の鰍とアイ:2008/02/24(日) 02:54:40
鰍の言葉にアイは違和感を感じたが、一瞬その違和感の理由に気づけなかった。というか、
違和感という様式で立ち現われるのは、まだ意識化されるに至らない齟齬なのだから、
これは当たり前のことだ。

―― 鰍が「NOVA警察」と言った!!

気がついてみればそういうことだった。
政府高官であり、最近は形而上物理学の研究にも乗り出していた鰍が
「NOVA警察」を知っていたとしても不思議ではないが、
アイは鰍の口からこの言葉を一度も聞いたことがなかった。
(実際鰍は「NOVA警察」について、誰にも何も話していない。) >>576

アイは観念した。身近に接して鰍の能力はよく知っている。
鰍が「NOVA警察」というキーワードに達しているなら、下手に隠し立てしても無駄だ。
それに、二度と会えないつもりでいた鰍が >>657
両腕のあいだに、熱を帯びた華奢な柔らかい躰を現しているいま、鰍を避けて計画を進めるより、
鰍を口説いて、鰍と一緒に進むほうが好ましいのは当然だった。
アイは鰍の背中、天使の羽みたいな肩胛骨を撫でながら、静かな声で話し始める。

「まず、わたしがNOVA警察か?という質問だけど、答えはノー。わたしはアンチNOVA警察のエージェントなの。
それから、鰍がまだしてない質問に先に答えとくね。―― あなたのモナド融合実験の結果は、
ほんとうはネガティヴではなかった。わたしが結果データを偽造した。モナド融合でアルジャーノン指数は増加するよ。
で、わたしが都市演奏室で何をしていたか?という質問の答えだけど―― 一言でいえば、
〈舟〉を造ってた。〈杣台市〉をガイアから切り離して〈舟〉にするの。」

モナド融合実験の結果はポジティヴだったと聞いた瞬間から、鰍の瞳に
(それなら納得がゆく)という色が現われた。そして
「〈舟〉を造る」という構想を耳にした途端、鰍の顔が
花が咲き開くように輝いた。

718 名前:柊の国の鰍とアイ:2008/02/24(日) 02:57:35
モナド融合実験の「失敗」を受けて鰍は
『モヨコ双対モナドのモジュライ構造について』を形而上物理学の数学的側面の論文として提出したが、
ほんとうは理論の物理的妥当性にも自信を持っていた。 >>576
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/582n-584

―― そぅだょねぇー 絶ぇぇぇぇぇ対っ、アルジャーノン指数は上がるよ。

間違っていたパズルの断片が訂正されてみると、美事に辻褄が合う。

―― 何で、わたしは・・ うー わたしだけじゃなくて基地の関係者みんなは、
モナド融合実験のとき、通常物理の実験担当だったアイのことをもっと疑わなかったんだろう・・?
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/547n-555
装置のソフト面にも、ハード面にも、介入枝の痕跡は見つからなかった。そか、
アイだったら、多分、4次元時空にverticalな方向から枝をつければ良かったわけか・・
でも、物証ゼロでも、状況的にもっとアイを疑ってもおかしくなかった。
うーん・・ きっと、心理=化学的なバリアーを張ってたんだ・・
アイって、けっこう悪女(わる)だね。

『モヨコ双対モナドのモジュライ構造について』の物理学としての妥当性を前提にすれば、
「〈杣台市〉をガイアから切り離して〈舟〉を造る」という構想は、鰍のなかで
即座に焦点を結んだ。それはあまりにも魅力的なアイディアだった。

こうして事態の形而上物理学的な構図がきれいに描けてみると、
鰍にとって、アイがNOVA警察なのか否かはほとんどどうでもいいことなのだと、鰍自身、得心した。
アイが何者であれ、アイはアイなのだし、どっちにせよ
「〈杣台市〉をガイアから切り離して〈舟〉を造る」という構想は恐ろしく面白い。
感情的なこだわりの石があとひとつだけ溶けずに残っていたが、
肯定的な現実主義者としての鰍は既にすっかり納得していた。
すると現実的な問題が気になってくる。

「アイ・・ もしかしたら、
わたしがシステムをフリーズさせて、いま、とんでもないことになってたり、しない・・?」

719 名前:柊の国の鰍とアイ:2008/02/24(日) 03:00:11
ふたりは「『獺祭』のバー」の迎賓室を出ると、
秘密基地の廊下を都市演奏室に向かって歩く。

途中、ある開いたドアの向こうに、
アイは陽の燦々と降り注ぐ庭園に面したリビングを見、
鰍はだだっ広く無機質な直方体の仕事部屋を見た。
リビングはアイの脳に与えられた仮想現実なので、
仮想現実を与えられていない鰍には見えないのだ。

リビングには気持ちの悪い両棲類の死骸が打ち捨てられている。
死骸は人間の子どもくらいの大きさで、
四肢の無いつるっとしたおたまじゃくし状だった。
しかも、首が斬り落とされている。
噴出した血が作った凄まじい血だまりのなかに見えるのが、首だ。

アイは鰍がこの状景を見ていないのを、
鰍の反応からも理屈から考えても、知っていたが、
何となく通りすがりに脳内でクリックして投影する仮想現実のモードを、
柊おぢさんに与えた脚本版から、 >>700
棺桶型のカプセルのなかの軍用芋虫人のリアルタイム像に切り替えた。

リビングの血だまりと死骸が消え、代わりに
リビングの床上30cmくらいの宙に浮かんで、痴呆づらの軍用芋虫人が現われた。
軍用芋虫人の眼は死んでいた。
しかし無意味なあるじを失った脳髄は、
頭蓋骨のなかで、むしろ嬉々として、命令に応じて作動しているはずだ。

アイがそんなことをしているのを鰍はまったく気づかず、ただアイと並んで歩いていた。
あるドアの前でアイが立ち止まり、ふたりで手と手を繋いで都市演奏室に戻る。

720 名前:柊の国の鰍とアイ:2008/02/24(日) 03:01:42
アイが唖然とするほどに、鰍は
「〈杣台市〉をガイアから切り離して〈舟〉を造る」という構想を既に完璧に理解していた。
システムを立ち上げると、アイにいくつかの質問をしながら〈杣台SQ1〉に命じ、
切り離された〈杣台市〉とガイアの7次元時空のなかでの相対位置を観測して、
結果が出ると、アイに要望を訊きながらある8基の軍用芋虫人を選び、
AIを使ってのシミュレーション計算の後、
即座に32×4×8=1024体の市民を燃やして姿勢制御をした。

「ね?」
コックピットに寝そべるようにしながら傍らのアイを見上げ鰍が微笑んだ。
「わたしって、航宙士としても凄くない? アイ艦長。」
「うん。凄い・・ ―― 操縦は君に任せる。頑張りたまえ、鰍航宙士。」
「で、この〈舟〉はどこを目差してるの?」
「この世の果てよ。つまり、NOVA 」

721 名前:柊の国の黒衣の花嫁の記憶のなかの一つの状景:2008/02/25(月) 02:32:00
「NOVA警察って、何?」

日仏会館の喫茶室でわたしが訊くと、デュカスは珈琲を喉に詰まらせて咳き込み、そして狂人を見る眼でわたしを見た。
「いきなり言うに事欠いてNOVA警察だって? お嬢さん、正気?」
「7次元のなかで時間的前方を目差して飛ぶじゃない。前方では、いずれは太陽がNOVA(新星)化してるはずだけど、
わたしは太陽のNOVAを一度も見たことがない。NOVAに至る経路は全部、NOVA警察に封鎖されている。
連中はいったい何をしてるの?」

デュカスはしばらく言い渋っていたが、わたしがずっと凝視めていると、根負けして話し始めた。
「太陽系の誕生、これはもやもやとしたフィラメントのようないくつかの不確定な時空線を描いている。
でも、太陽のNOVA化、これはかなりの程度まで決定論的な事柄なんだ。
したがって、7次元のなかで可能世界がマルチプルに拡散したとしても、
時間的前方ではチャートは必ずほぼ一点に収束する。これがNOVAだ。」

「だから、〈ガイア〉を7次元のなかで見ると、チアガールのぼんぼりみたいな形をしてるわけだ。
いくつものフィラメントが飛び散ってるんだけど、根っこでは一点で握られている。
ただしこの根っこは、時間的後方の「始原」ではなく、逆に、時間的前方の「終局」、NOVAで握られているわけだ。
ここまでは分かるな?」
わたしはうなづき、デュカスに先をうながす。

「ところでな、話は変わるが、宇宙って奴は何でこんなに広いんだ? 宇宙はやばいくらい広い。どのくらい広いかというと、
〈人類の全体〉どうしが7次元のなかで、互いに完全に隔離されてしまうくらい広いんだ。
別々の星系に発生した〈ヒト〉どうしは、それぞれにフィラメントのぼんぼりを構成するが、それらは互いに触れることがない。」
「7次元のなかであちこちの星系まで跳んだことはあるけど、確かに〈ヒト〉と出会ったことはないわ。
どの星系に跳んでも死んだ惑星ばかり。別の人類なんていないのかと思ってた。」

「だろ? 見たことねーだろ? 太陽系人類が7次元のなかでどんなに跳んでも、
〈別のヒト〉がいるチャートには跳べねんだ。〈全体〉どうしが7次元のなかで隔離されてるからな。
あんたが他の星に飛んだとしても、その星は、
〈別の人類〉にとってのその星とは層(レイヤー)が異なるんだよ。
射影すると座標変換は可能だけどな。」

「他の星系から望遠鏡で観測可能なほど、星系に改造を施したらどうなの? 〈ヒト〉どうしは通信できなくても、
客観的な星系の改造にはアクセスできるんじゃない? 万里の長城ですら、衛星軌道から目視できるよ?」
「その場合は単純に、射影しても座標変換不能になるんだよ。チャートが成すモナドが異なる襞に分離する。」
「・・つまり、〈ヒト〉と〈ヒト〉は同じ宇宙を共有してるけど、見ている宇宙は互いに全然異なるということ?」
「そゆこと。よく理解したね。」

「しかも、見ている宇宙が異なると言ったって、
宇宙の巨大さのなかではその差異はノイズとして掻き消えてしまう程度のものなのさ。
異なる〈ヒト〉と〈ヒト〉の見てる宇宙が喰い違っていたとしても、宇宙は全然困らない。
個々の生がチャートを切り開き、チャートの列がモナドを描き、その総体が〈ヒト〉の多様体を成すにしても、
結局のところ、このチアガールのぼんぼりは、―― かすかな蜘蛛の巣みたいなものなのさ。」

「〈ヒト〉と〈ヒト〉は別々の物語を生きてくんだね・・」
「たっはっは・・ なあ、そのぶりっ子やめてくれない?」不意にデュカスが頭を掻く。
「どうして? 何も知らない振りしてた方が説明しやすくない?」
「まったくかなわねえなぁ・・ おれが悪かったよ。
あんた見てると、つい、何も知らない子に教えてる気分にさせられるんだよ。」

「同一カオスにおける多重コスモス場の理論は、むしろ、あんたの専門だったよな。」
わたしは黙ってデュカスの眼を凝視めている。
デュカスが言う。「分かった、それとNOVA警察の関係だよな・・」

722 名前:柊の国の黒衣の花嫁の記憶のなかの一つの状景:2008/02/25(月) 02:32:56
わたしは、広大な7次元時空のなかに、
「チアガールのぼんぼり」の形をしたちっぽけな蜘蛛の巣が落ちているのを想像する。これが〈ヒト〉の多様体だ。
個々の生がチャートを切り開き、チャートの列がモナドを描き、その総体が蜘蛛の巣を成す。

〈ヒト〉の多様体に折り重なるようにして、
猫の多様体や、蜥蜴の多様体、ミジンコの多様体、桜の多様体、・・などが落ちている。この複合体を
〈ガイア〉の多様体と呼んでもよいだろう。その裾野は、生命と物質と言葉の境界面である〈蟲〉の多様体に取り巻かれ、
やがては、海や岩や溶岩の成す物理的な多様体、そして〈太陽系〉の多様体へと接続してゆく。
その外は〈真空〉の多様体である。

〈真空〉の多様体のなかで、ヒトはチャートを接続することが出来ない。正確に言うと、接続を維持することが出来ないのだ。
〈真空〉の多様体を、物理宇宙における真空と完全に同一視してしまってはならない。
なぜなら物理宇宙そのものは、〈ヒト〉の多様体に既に包含されているからだ。(もちろん、猫の多様体にも。)
〈真空〉の多様体とは、物理宇宙における真空それ自身の躰のことなのである。7次元時空のなかでは
〈ガイア〉の多様体ですらちっぽけで、果てしなく広がる〈真空〉の多様体に埋もれて孤独だ。

涅槃とは、〈真空〉の多様体のなかにチャートを接続してゆく技術のことなのだと思う。
〈ヒト〉の多様体から、獣や植物、そして山の多様体などを経て、〈真空〉の多様体へとチャートを伸ばす。
だが、哲学者のベルクソンが言うように、ヒトの認識力は固体を把握するのが身上だ。〈真空〉に没入するうち、
自分が〈真空〉を想像しているだけなのか、ほんとうにアクセスしているのか、分からなくなってくる。
〈真空〉のなかに路を描くのは困難なのだ。

〈真空〉の彼岸は、したがって、見ることが出来ない。
そこに〈別のヒト〉が多様体を成しているのかどうか、見ることが出来ないのだ。
(ただし、物理宇宙的に他の星系に跳ぶことは、7次元のなかでわりあい容易に出来る。
だが、どの星系に跳んでも、そこには誰もいない。その結果、矛盾が生じたとしても、
襞成す宇宙は矛盾なく、というか、矛盾をも呑み込んで存在する。)

「〈ヒト〉の多様体どうしは〈真空〉に隔離されて互いに触れることがない。」デュカスが話を続ける。
「むかしある〈ヒト〉が、おのれの星系の有限の時間のなかに充満し、NOVAとともに閉じる自らの運命を知って嘆いた。
彼らの構築した物理学は太陽系人類のものと似てるから理解しやすい。彼らも同一カオスにおける多重コスモス場の理論を作った。
彼らはNOVAを「終局」として閉じる自らの多様体を嘆くとともに、太陽の新星化、NOVAのもつエナジーを使えば、
異なる多様体のあいだを接続できるのではないかという仮説を立てた。そして、NOVAに突っ込む次元船を構想した。」

「NOVAのなかに特異点はあった。次元船はNOVA回廊をたどって別の多様体に抜けた。この次元船の一族を、〈シ〉という。
―― 伝承によれば弥勒は、五十六億七千万年後に此の世に再来するという。でも、ほんとは
弥勒は再びやって来るんじゃないんだ。弥勒はむしろ、太陽の終わりとともに此の世に現れたのさ。
NOVAを通り抜けて〈太陽系〉の多様体にアクセスしてきた〈シ〉の一族は、
そこから遡って〈ヒト〉の歴史、生の総体を植民地化したんだ。」

「そして彼らはNOVA警察を作った。警察というより、むしろ、植民地駐屯軍といったほうが的確だろう。」
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/490n-493

723 名前:_:2008/03/01(土) 20:37:41
    

724 名前:柊の国の鰍とアイ:2008/03/09(日) 00:57:37
「反NOVA警察の組織の名前って、何?」
「―― 言わなきゃだめかな・・」
「・・・・」鰍が(いまさら隠すの?)という視線でアイを凝視める。



ふたりは二匹の猫みたいに寄り添い、
迎賓室のソファに寝そべるようにして座っている。

〈舟〉の航宙状態を安定させたふたりは、
都市演奏室後方の壁と「『獺祭』のバー」の迎賓室の壁とを直結させて、
ひとつの扉で行き来できるようにした。開けっ放しにした扉から、
いざというとき即座に都市演奏室に駆けつけることができ、かつ、
通常の航宙状態においては、〈杣台SQ1〉の声がつねに聴ける。

正面、壁一面のガラスの向こうには、強奪した〈杣台市〉が広がっている。
だが、果てしなく広がる天空はとうに「本物」ではない。
「進水式」のとき〈ガイア〉から切り離してしまったので、
いまの〈杣台市〉はパノラマ島みたいな仕方で存在しているのだ。

たとえば太陽は「太陽自体」ではなく、チャートのなかで「太陽」として与えられる要素に過ぎない。
(パノラマ島という比喩で言えば、ドーム状の内壁に描かれたペンキ絵みたいなものだ。)
「太陽自体」を目差してアクセスを試みると、じょじょに特異性が膨れ上がってゆき、
ついにはチャートがはじけ跳んでしまう。

「世界」は、喩えて言うなら、無数の箇条書きされた文の集合体のようなものだ。
現在の〈杣台市〉において、たとえば「太陽」は、様々なモナドたちのなかに
「文」の単語として登場するだけで、「太陽自体」のモナドが存在しない。
「太陽自体」のモナドは〈ガイア〉に残されていて、〈杣台市〉はそこから引き剥がされたからだ。

市民たちは、
「太陽自体」が既にここに無いということに気づけないまま、
「パノラマ島」と化した〈杣台市〉のなかで、
「何だかちょっと変な一日」という日常を送っているのだった。

たとえばこのあと「夜」になったとき、星座をよく知らない人間のモナドには
「何だかよくわからないけどこんなもんだった夜空」が映ずるだろう。
それは本人が「夜空とはこんなもんだった」と見るイメージそのものなので、当人はまったく間違いに気づけない。
より星座に詳しい人間と夜空について語り合いでもすれば齟齬が露呈するかも知れないが、
その場合は相手の話から知識を得るごとに「夜空とはこんなもんだった」というイメージが更新されてゆくので、
局所で見る限り、問題は何も起こらない。

とは言え、こんな状態が長く続けば、大域的な意味での〈杣台市〉の「客観世界」は、
至る所で螺子をゆるめられた機械のように、じょじょに渦を巻きながら崩壊してゆくだろう。事実、
操船区画としてアイが地鎮した杣台駐屯軍基地近辺ではある程度の「客観世界」が維持されているが、
〈舟〉の「周縁」ではそれぞれのモナドが
従来の蓄積を元におのれの見たい「世界」を見、
無数の齟齬によって「客観世界」は崩壊しつつあった。

「客観世界」は、モナドたちから析出してくる不確かな沈殿膜でしかない。 >>487 >>492
裏を返して言えば、無数の齟齬によって「客観世界」が崩壊してしまったとしても、
宇宙は別に困らない。それに、アイの予定では
この航海は、それほど長いものではなかった。



アイは恥かしそうに顔を伏せて口を開く。
「じゃ、言うけど、笑わない? 笑わないでね? ―― エイヴォン、て言うの。」
「エイヴォン? 何で笑うの? あ!」
「そう・・ エイ、ヴイ、オー、エヌ。エイヴォン(AVON)。何か、恥ずかしいでしょ・・?」
「うー・・ まぁ、恥ずかしいってゆぅか、いいんじゃない? わかりやすくて・・」

725 名前:柊の国の鰍とアイ:2008/03/11(火) 09:14:06
どんな経緯でエイヴォンに所属したのか?と問う鰍に、アイは、
「記憶がなくてわからない」と答える。アイの記憶は、
深海魚の形をした舟に乗ってフダラク市の近傍に出現するところから始まっているという。

アイは鰍に「フダラク市」について説明し、鰍もアイに、
杣台駐屯軍の図書室で出会った残存資料から情報を得ていたことを語る。

チャートの書き換えによって飛ぶアイの分裂飛行船(シゾ=フライト)は
フダラク市の近傍でガイアの4次元沈殿に出現するのと同時に
NOVA警察にレーザー照射され、航行不能にされた。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/527n-529

「それはちょうど、NOVA警察がフダラク市を抹消しに来てるタイミングだった。」
「アイの任務は何だったの?」
「エイヴォンには「これを達成せよ」みたいな明確なゲーム目的は、無いの。
スキルと機材を与えて、あとは各自、やりたい放題。
それぞれの局面において、最も行われるべきだと感じる行動を選ぶの。」

アイはNOVA警察に舟を航行不能にされた時、記憶喪失にでもなったのかというと、
そういう感じはしないという。むしろエイヴォンから旅立つ時、記憶を消去されたんじゃないかな・・

「わたしの頭蓋骨のなかには脳味噌じゃなくてAIチップか何かが入っていて、
記憶の書き込みも消去もデジタルに処理できるのかもねー
―― もしそうだったとしても、こうして動いている躰がわたしだから、同じことだけど。」
軽口のなかに表れる、〈生〉についてのアイの感覚は、
肯定的な現実主義者である鰍に、強い共感を与える。 >>633

アイは舟を捨て、「箱」を入れたバッグを腕から提げると、葦の原にダイヴしたという。
鰍が「モヨコ双対モナドのモジュライ構造の理論」で洞察した幾何学的構造は
「葦の原」として実在するのだと聞いて鰍は喜んだ。 >>563

「ほんとうに葦の原みたいだし、わたしも「葦の原」と呼んでた。ひとつひとつのモヨコ双対モナドは
葦みたいな形に析出していて、基層から生えている。でも、あれをきちんと定式化したのは鰍が初めてだよ。
テイスティングに出るたび、何て凄い子なんだろ・・って感動してた。「テイスティング」ってゆーのは
葦の原に秘密基地の「箱」を設置したあとのわたしの日常業務のひとつで、葦の原に出て、
「これは?」と感じる葦を見つけては背中を開いてなかに入るの。モナドをなかから味わう。」
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/535n-539

そう言えば、鰍は松嶋からここまで、どんな風に跳んできたの?とアイが訊く。
鰍は一瞬、何から話せばいいのかな・・と考え、そして切り出した。

「あのね、黒いウェディングドレスを着た女神さまが連れてきてくれたの。」

726 名前:柊の国の鰍とアイ:2008/03/11(火) 09:18:07
「黒衣の花嫁が??」

アイは驚き、絶句した。
舟を捨て葦の原にダイヴした初期の頃、遭遇し、遠望した黒衣の花嫁の姿が脳内に浮かぶ。
(あの時、黒衣の花嫁こそがわたしを、
この罠のような時空流へと誘い込んだのだったかも知れない・・)

葦の原に跳び込んだアイが思い知らされたのは、自分の時間的前方に広がるのが、
アルジャーノン指数が漸減し0に近づいてゆく時空流であることだった。
このままだと、いずれは「跳ぶ」ということがまったく不可能になってしまう。
アイが鰍の理論的成果―― モナド融合によるアルジャーノン指数増加を自分のために必要としたのは
何よりもまず、このためだった。

アイは、もっと詳しく聞かせて?と言い、鰍は、黒衣の花嫁って?と訊きかえす。
黒いドレスを身にまとい、七弦琴を抱いている、など、有名な特徴をアイが教えると、
鰍が、そう、そのひと!と答える。
「『同一カオスにおける多重コスモス場の理論』を書いたのは自分だ、って言ってたよ。」
「えー!? そうなんだ・・ それ、初めて聞いた。黒衣の花嫁が何者なのかって、謎だったはずだよ?」

鰍は、『福裏橋』から舞い上がり、7次元時空へと跳んだ自分が、乱流に巻き込まれて溺れ、
途方もなく大きな鴉の幻影を見たと思ったら、気がつくと
黒衣の花嫁にたすけられていた、という経緯を話すと、最後に、
「跳ぶのって、気持ち好いよね。」とつけ加えて、顔を赤くした。
「うん、気持ち好いよね。」と肯定しながら、何となく眼を「?」にしていたアイは、
自分の隣りに寝そべっている子猫の体温が急に上昇したのを感じる。

「あのね? 7次元時空のなかを飛んでいる時、質問したら教えてくれたんだけど、
―― 福裏島を歩いてる時、入り江でわたし、何百頭というアオスジアゲハの大群に襲われたのね、
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/680n-685
それって、黒衣の花嫁さんからの招待状だったみたい。額の第3の眼に刺激を与えたんだって、跳べるように。」

鰍にいくら素質がありそうだったにしても、いきなり跳べたのは凄すぎると感じていたアイは、
アオスジアゲハの挿話で納得がいった。でも、だとしたら、鰍を自分の元に届けることは、いよいよ
黒衣の花嫁の強い意思だったということになる。―― 何を考えてるんだろう・・?

しかも、ひととおり話したはずの鰍がなおも、もじもじしているのが気になる。
アイが、添い寝しているような距離感の鰍の顔をじっと凝視めると、鰍はぷいっと横を向いて話し始めた。

「うーっとね・・」
アオスジアゲハの奔流の洗礼を受けて額の第3の眼が開いてゆく。鰍にとって
それは、どうやらとても気持ちの好い体験だったらしい。
即物的に言うと、鰍はショーツを汚してしまったのである。それで、他のひとも―― アイも
「同じ」なのか、鰍は気にしていたのだった。

上気した鰍の頬を真横に眺めながらアイがどきどきしているとき、
不意にアイのなかで誰かがくすくす笑った。

727 名前:柊の国の鰍とアイと・・:2008/03/11(火) 09:26:36
(誰っ?)

頭から一気に冷水を浴びせられたような気分でアイは自分のなかを眺めた。すると、
そこに彼女はいた。


            <●>   <●>


アイは自分の脳内の「場所」を呆然と眺めた。
内界に黒い花が咲き誇っている。黒衣の花嫁がアイのなかに棲みついていて、
自分のなかを眺めるアイの眼をじっと凝視めかえしているのだった。

アイは即座に仮想現実のライン割り込みをチェックする。
ヴァーチャルリアリティシステム《窓》には何の枝もついていないことが判明する。

―― あなたは何? わたしのペルソナの一部をわたし自身が非自己として他者化でもしてるの?
アイが自分自身の分裂病発症の危険を疑い、心内声を発すると、
アイの内界で立てひざに七弦琴を抱いて座っている黒衣の花嫁は、楽しげに一言、ぽつりと言った。
―― テイスティング。
―― あ。

アイは驚愕した。
黒衣の花嫁は葦の原のいずこかに生えているアイの葦のなかに潜り込んで、
アイのモナドをテイスティングしているのだった。

―― ・・もしかして、あの時からずっと、わたしのなかに棲んでたわけ・・?
黒衣の花嫁はふふっと微笑むと、アイの問いには答えず、
―― 時間的前方のアルジャーノン指数を低下させたのは、わたしの仕組んだ罠じゃないよ。よぅく考えてみ?
と落ち着いた声音で断言した。そして七弦琴をかき鳴らし、
ほらほら、鰍ちゃんが心配するよ?と言いながら自分自身の姿を消した。

―― でも、きっと彼女は、まだわたしのなかにいる。

アイが現実に戻ると、
ソファから身を起こし、心配そうにアイの顔を上から覗き込んでいる鰍の顔が眼の前にあった。
アイは鰍のうなじに手をまわすと、小さく咲く顔を引き寄せて、
美味しそうな唇を唇で食べた。

728 名前: ◆USO800B5B. :2008/03/14(金) 00:36:55
あれからもう一年。
薄情なおいらを責めるかい?
でもキミのかわりはどこにもいないってわかった。
探し続けることは止めたけど、思うだけなら。

729 名前:◆.G.dDa2zds :2008/03/16(日) 17:37:35
>>728
きっと青い鳥じゃないけど◆USO800B5B. さんの傍にいると思います。見えないけど見守っててくれてるから。


730 名前::2008/03/18(火) 00:19:50
アイが見ていないリビング。

床上30cmくらいの宙に、もしもアイが視線を向けたら
与えられるはずのヴァーチャルリアリティ映像として、
痴呆づらの軍用芋虫人が浮かんでいる。それは
棺桶に封じ込められ浮かんでいる両棲類の
リアルタイム映像だった。 >>719

アイが見ていないリビング。
もしもアイが視線を向けたら与えられるはずの映像のなかで、
両棲類の口元がだらしなくにやける。 >>729
解体された自我の断片が時々思い出したように痙攣するのだろう。
軍用芋虫犬を噛み締めているのかも知れない。

731 名前:柊の国の〈ガイア〉:2008/03/18(火) 00:22:45
深海魚の形をした舟は、チャートの書き換えによる
分裂飛行(シゾ=フライト)で、〈ガイア〉のなかを飛んでいた。これに対して
〈杣台市〉は、モナド融合ドライブによって〈真空〉のなかを飛んでいる。

陸から資源の一部を切り離し、海に浮かべ、陸の別の地点まで移動させることを「船」とするなら、
〈杣台市〉はまさに「船」と言える。
〈ガイア〉から資源の一部を切り離し、〈真空〉に浮かべ、
〈ガイア〉の別の部分(時間的超遠前方のNOVA)まで移動させようとしているからだ。

〈真空〉の多様体のなかで、人間はチャートを維持できない。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/721n-722
モナド融合ドライブによる「船」が百万都市を必要とする、これが理由のひとつだった。
百万体の人間のモナドは、「船」のボディであり、外殻である。
「周縁」に配置されているモナドは「船」の外殻として〈真空〉にさらされ、
航海とともにすこしずつ、ほぐれ、ばらけてゆく。外殻がじょじょに〈真空〉に溶けてゆくとしても、
都市のボディがじゅうぶん大きいので、全体としての「船」は維持されるのだ。

また、航海のあいだも、軍用芋虫人システムはモナド融合を続けており、
「船」の時間的前方に「鰍粒子」を撒き散らして高アルジャーノン指数領域を展開し、
「船」を駆動している。これが
モナド融合ドライブによる「船」が百万都市を必要とする、ふたつ目の理由だった。
百万体の人間のモナドは、「船」の燃料でもあるのだ。

〈杣台市〉を「船」と成すためのメカニズムは、
軍用芋虫人システムや、それを制御する
AI群(〈杣台SQ1〉、都市演奏室自体のAI、そして秘密基地のAI)
など、高度なテクノロジーであったが、
〈舟〉としての〈杣台市〉自体は極めて素朴で、
構成資源を食い潰しながら浮かび、進む、筏程度の工作物と言えた。
技巧の粋を凝らして作られたオペラが、単なる痴話喧嘩を描いているようなものだ。

732 名前:柊の国の〈ガイア〉:2008/03/18(火) 00:28:55
7次元時空のなかで見ると、
〈ガイア〉の本流から噴き出し、〈真空〉を隔てて傍らを並走する小さな支流、それが〈杣台市〉である。

もともと〈ガイア〉自体が、いくつもの並行宇宙の筋を大雑把に束ねたものである。
並行宇宙は明確に一個二個と数えられるようなものではなく、
モナドたちから析出する4次元沈殿がゆるやかに複数の「客観世界」に分岐してしまうようなものだ。
他の「客観世界」からの孤立度が相対的に高く、「一個の並行宇宙」としての自我が育つ場合もあるが、
このような例として有名なものは「クチナワの親分が支配する1000年帝国」である。

この隠れ里は、ある晴れた日に何の前触れも無く終焉を迎えた。
「NOVA警察と取り引きできる」というクチナワの親分の考えが
女帝アグノーシアによって危険視されたのである。

アグノーシアの化身は1000年帝国のなかに顕現し、
ひとりの流刑囚と悲しげ顔で会話していたが、
不意に決意すると1000年帝国の時空を紙のようにくるくると丸め、
折って、さらに丸めて、こねて、
直径7mmの正露丸みたいな球体にすると、ぱくんと飲み込んでしまった。

一切のチャートの接続が途絶した。
「爆発」でも、「フェイドアウト」でもない。
ある瞬間から先に時間がなくなったのである。

こうして「クチナワの親分が支配する1000年帝国」は何の前触れも無く終焉を迎えた。
偏頗なわずか千年の時とは言え、1000年帝国は、
その時空のなかで生きたものたちにとっては世界のすべてだった。



〈杣台市〉はこのような隠れ里の規模が小さなものと考えることもできる。
ただし、〈ガイア〉に埋まるのではなく、〈真空〉のなかを飛んでいるので、
〈杣台市〉の速度は物凄く速い。
アイの計算では、〈杣台市〉がNOVAに到着するのは、内部の固有時間で
今夜、零時である。

733 名前:柊の国の〈ガイア〉:2008/03/18(火) 00:37:44
様々な「線」が〈ガイア〉のなかを走り、有機体としての〈ガイア〉の各部分を結び合わせている。
時間的超遠距離を高速で結び合わせている「線」を上手に読めば、
チャートの接続によってNOVAに至ることは可能だ。
だが、NOVAに至るすべての「線」はNOVA警察によって封鎖され、
実際には通り抜けることができない。

もちろん、封鎖されているのがほんとうに「すべて」なのかはわからない。
ただ、反NOVA警察勢力の実感としては「すべて」封鎖されているのだった。
もっとも、ここで言う「反NOVA警察勢力」とは、
人類が化石燃料を大量消費していた時代を中心に繁茂しているそれを言うので、
〈ガイア〉全体のなかでは一個の小さな動きでしかない。

(なお、黒衣の花嫁は、かつて一度、NOVA警察の封鎖をかいくぐって
NOVAを見たことがある、と言われている。)

〈杣台市〉は〈ガイア〉のなかではなく、〈真空〉のなかを飛んでいるので、
NOVA警察による通常の封鎖には掛からない。
〈真空〉のなかをNOVA警察が追撃してくる場合に備え、アイと〈杣台SQ1〉は、
杣台駐屯軍基地司令を行動アレイ〔ゴードン〕でお持て成ししていた。 >>679
持て成された基地司令は、
「俺が俺が俺が宇宙人の攻撃から杣台を守る」というマッチョな幻想で
すっかり砂糖漬けにされていた。

734 名前:柊の国の鰍とアイ:2008/03/20(木) 15:36:13
「・・でーも、たぶん、NOVA警察の追撃は無いよ? と思うよ?」

壁一面のガラス窓から展望する〈杣台市〉。その彼方に昇ってきた
少し齧られた満月を凝視めながら、
鰍がぽつりと言った。

ソファに横たわるように斜めに座ったアイの両脚のあいだに鰍が寝そべっている。
アイの両手は鰍の躰に優しく添えられていて、
時々撫でたり、くすぐったりしている。

「なぜそう思うの・・?」

アイが訊くと、首を後ろに向けた鰍は、何だか不思議な顔つきをして、
んー、勘、と言った。
何かを誤魔化してる様子だった。

735 名前:柊の国の鰍とアイと・・:2008/03/20(木) 15:44:32
ビル群のうえに昇った丸い鏡を凝視めながら鰍は
昨晩『福裏橋』のうえから見上げた満月を思い浮かべていた。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/650n-653

  夜の底はほんのり明るい。
  樹木に覆われた大小さまざまの島が
  夜の内海に黒い影のように点々と浮かぶ様子は
  無意識の底を撮影した写真のよう。
  見上げると満月。
  鏡のように光る月をじっと覗き込んでいるとだんだん爪先立ちになってきて、
  不意に向こう側とこちら側が入れ替わる――

わずか一日前の記憶だ、なのに、遠い過去の出来事みたいに感じられる。
この〈舟〉に乗ってしまった以上、たぶんもう二度と会えない彼のことを考えると、鰍は、
「ちゃんと戻るからねー」と約束して別れてしまったことを申し訳なく思った。
(鰍は自分が跳んだ直後に彼が死んだことを知らない。)
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/697n-702

アイは丸い鏡を凝視めながら
1か月前にこの迎賓室の同じガラス窓から眺めた満月を思い浮かべていた。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/624n-636

  壁一面がガラス張りで、眼下にミニチュア模型のような大地が広がっている。
  彼方に黴が燃え広がったような杣台市街。
  その背後に満月直前のぶよぶよと赤い月。
  まだ陽が沈んでしまう前で、おもちゃみたいな新幹線が
  ゆっくりゆっくり滑るように動いている様子も遠望できる。

あの時は、左の鰍と右のアイの真ん中に、もうひとり男性が座っていた。
福裏島に置いてきた彼のことを、鰍はいまどう思ってるんだろう・・
布地のうえから鰍の可愛らしい膨らみを撫でながらアイは漠然と考える。
(彼が死んだことをアイも知らない。)

背後に置き去りにしてきた世界への感傷のような甘い気分が、
垂れ落ちる蜜のように時間のうえをゆっくりと舐めてゆく。
強奪した都市のうえにかかげられた丸い鏡を覗きながら、
二匹の猫は甘い毛づくろいの時間を過ごしている。

と。

その満月のなかから円盤が飛び出してきて、都市の上空にふらつきながら停留した。

「まさか!」鰍が驚きの声をあげる。「追撃なんてありえないのに。」

迎賓室の隣りに接続された都市演奏室では〈杣台SQ1〉が報告を始めた。

「東方向より円盤一機出現、機動ヘリ部隊『ワルキューレ』発進します。」
「地対空ミサイル発射準備よし。マーク、3、2、1、0」

ソファから身を起こしたふたりが凝視めるなか、ガラス窓の向こうで、
大地から空へ、凄まじい矢が何本も、無音のまま発射される。
光景が光によって情報伝播され、一拍置いて音が、空気の衝撃として
迎賓室を最上階にいただく応接ビルを襲う。とは言え、小さく
「ガタ」という軋みが鳴っただけだ。同時に、杣台駐屯軍基地を飛び立った『ワルキューレ』が
上空の円盤に向かって騎行してゆく姿が、ガラス窓のなかに入ってくる。
戦闘機を飛ばすには、いまの〈杣台市〉の時空は狭すぎるのだ。
「パノラマ島」の周縁部を、戦闘機はいくらでも飛ぶことができるが
(いまだに〈杣台市〉はチャートにおける把握としては「地球」の一部なのだから)、
〈杣台市〉そのものから外れた周縁部を長い時間飛び続けていると、
パイロットと戦闘機を合わせたモナドが〈真空〉に溶けてばらけてしまう。
また、不規則飛行をする円盤に対処するという点から考えても、
空対空の戦力としては戦闘機ではなく、機動ヘリ部隊が選ばれていた。
砂糖漬けの脳内でいまや杣台駐屯軍司令は完全に〔ゴードン〕と化し、
美しい二匹の猫たちを守るためにアドレナリンを全開にしている。

736 名前:柊の国の鰍とアイと・・:2008/03/20(木) 15:48:29
まるで打ち上げ花火のような美しい光景に後ろ髪をひかれるようなことはなく、
一瞬でリアリストの顔に戻ったふたりは扉を抜けて都市演奏室に戻ると、
応接ビル最上階にある「『獺祭』のバー」迎賓室との危険な接続を断った。
都市演奏室は司令ビルの地下深くにあり、もちろん、シェルター化されている。
(もっとも、最終的に安全なのは、アイの秘密基地の「箱」のなかである。)

都市演奏室正面の巨大プラズマ・ディスプレイに、迎賓室からの展望に似た
杣台駐屯軍のカメラからの映像を流す。
都市の上空にふらつきながら停留する円盤に向けて、
繰り返しミサイルが撃ち込まれ凄まじい爆発が起こるが、そのつど、
閃光や煙がおさまったあとに姿を見せるのは
まったく不変の円盤だった。

「このゲームでは、〈杣台市〉が出航できてしまった時点で
アイの―― わたしたちの「勝ち」だったはず、なの。追跡は現実的には不可能だから。でも、万が一、
NOVA警察の追跡が成功してしまったら、その時点で
わたしたちの「負け」のはず。だって、NOVA警察がどんなポリシーで動いているにしても、
〈真空〉のなかを飛ぶ敵を殲滅するのに、何一つ限定条件なんてないから。
接敵即殲滅で、円盤を〈杣台市〉のなかに突っ込ませた瞬間に原爆でも投下すれば良い。
でも、まだあの円盤は何もしていない。追いつくのに精一杯で、もう何も兵器が残ってないのかなぁ
でもそれなら何で自爆しないんだろう。どうせ〈真空〉のなかを飛ぶ〈杣台市〉の追撃は
自殺作戦になる。円盤の乗員は死を前提に〈ガイア〉を発ってきているはず。
想定外の動きをしているということはあの円盤は最善手を指していないということ・・?
下位の乗員たちによる叛乱でもあったのかな、もしあれが「百万都市船」だと仮定すれば。
でも、「百万都市船」にしては小さすぎるんだよね。」

鰍が脳内の思考を整理しながら次々に述べてゆく。アイは質問する。「なぜ、追跡は不可能なの・・?」

「〈ガイア〉を取り巻く〈真空〉は、モナドが溶解してしまうくらい情報が希薄だし、
取りとめもなく広い。〈真空〉のなかにいて〈ガイア〉の気配を観測することはできるけど、
〈ガイア〉のなかから追撃の船を出すとして、〈真空〉のどこを狙えば良いのか、とても決めることができない。
あてずっぽうで当てるなら、膨大な数の船を「ハズレ」に賭けなくちゃならない。それは見合わないと思う。」
「〈杣台市〉の航跡が描く支流のなかでチャートを接続していったら・・?」
「だって、それは・・」

鰍が不思議な表情を見せて言いよどむ。


            <●>   <●>


―― アイちゃん、まだわかってないの・・? あんまり鰍ちゃんを困らせちゃ駄目だよ・・?
アイの脳内で黒衣の花嫁が笑いを含んだ声で言う。アイはいらいらして、
―― いま忙しいの、あとにしてくれる?
と斬って捨てる。黒衣の花嫁はまったく気にせず話を続ける。
―― ふつうなら一切のチャートは過去現在未来ともにアーカーシャ(7次元時空)のうえに配置されるけど、
〈杣台市〉の「時間」は瞬死してるんだよ? モナド融合ドライブの駆動原理を考えてみ?
実は「1000年帝国」なんかの場合と違って、〈杣台市〉は支流を描いていないの。いまそこにあるだけなの。

少し考えたあとでアイは呟いた。
―― ・・排気流・・
―― そ。ご名答。時間的前方に高アルジャーノン指数領域を展開する分、時間的後方には排気流が撒き散らされる。
航跡に相当するチャートは生まれると同時に瞬死し続けている。
〈杣台市〉の「時間」はアーカーシャ自体の「時間」と概ね平行なの。
―― ということは・・
―― 気づいた・・?
―― 鰍は気づいてるの・・?
―― 当たり前でしょ? だから困ってるんじゃない。

アイは真相を知り、呆然としていた。
フダラク市近傍でNOVA警察に舟を壊され、葦の原に潜伏したアイの
時間的前方に広がる時空流が、アルジャーノン指数が漸減し0に近づいてゆくものであったのは、
NOVA警察の罠なんかではない、
アイ自身の出航させた〈杣台市〉が〈ガイア〉に噴きつけた排気流が原因だったのだ。

737 名前:柊の国の鰍とアイと黒衣の花嫁:2008/03/20(木) 15:51:13
そしてもちろん、
形而上物理学者たちを震撼させた21世紀初頭におけるアルジャーノン指数の突然の低下も、
NOVA警察の謀略ではなく、〈杣台市〉の出航が近過去に及ぼした影響だった。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/482n-493

  チャートの書き換えによって飛ぶアイの分裂飛行船(シゾ=フライト)は
  フダラク市の近傍でガイアの4次元沈殿に出現するのと同時に
  NOVA警察にレーザー照射され、航行不能にされた。
  「それはちょうど、NOVA警察がフダラク市を抹消しに来てるタイミングだった。」 >>725

―― さっき鰍ちゃんに説明する時、嘘を言ってたの自覚してる?
記憶自体が書き換わっちゃったのかも知れないけどね。別に変な意味じゃなくて、
記憶って物語に合うように書き換わるものだもんね。
―― ・・
―― フダラク市を抹消しに来てたNOVA警察があなたの舟を航行不能にしたわけじゃない。
将来〈ガイア〉に排気流を噴きつけるという「暴挙」を実行するあなたを妨害しに来たNOVA警察が、
ついでにそこにいたフダラク市を抹消しただけ。
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/527n-529

  人類が化石燃料を大量消費していた時代の時空域のある点(地球周辺の宇宙空間)において、
  分裂飛行をする質量体を確認したミドンさんたち(NOVA警察の下部組織)は、
  質量体が当該時空域に出現するのと同時にレーザー光線を照射、
  深海魚の形をした舟を航行不能にした。

  ミドンさんたちの円盤は動きを止めた深海魚に近づくとき、
  近くにいたフダラク市に、通りすがりにマイクロブラックホールを投げ込んだ。
  小さな点はフダラク市の質量を飲み込みながら、市の中央を走るダイモン通りの上空で
  青い光を放ち続けた。

―― ふふっ 大宇宙、最悪の魔女ってとこかな。ご感想は・・?
―― あなたはここに何しに来てるの・・?

黒衣の花嫁は沈黙したままアイの脳内の視線をじっと凝視めかえすと、不意に唇を開いた。

―― さ。鰍ちゃんが心配してるよ?

「アイ、だいじょうぶ?」
「・・ん。だいじょぶ。あの円盤は心配ないよ。あれは・・」

738 名前:名無しちゃん…電波届いた?:2008/03/29(土) 14:17:51



739 名前:__:2008/04/04(金) 22:14:32
    

740 名前:__:2008/04/10(木) 12:28:57
     

741 名前:__:2008/04/18(金) 01:05:50
     

742 名前:真琴:2008/04/20(日) 01:08:40
    






『機械が坂を登ったら法律ができて女っぽくなった』【柊の国篇】未完
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/356n-







「排気流」や「黒衣の花嫁によるモナド・テイスティング」などの大きな伏線が回収できた時には
凄いカタルシスがあった。
それで気が抜けてしまったのと、リアルで忙しくなったのとかで、つづきを書くのが困難。とりあえず、
「未完」を確定してしまうことにする。

未回収の伏線など、脳内に残った蟲が騒ぐようなら、断片を書いて供養する。

743 名前:真琴:2008/04/20(日) 01:41:31
都市の水道管のなかを這い回る奇怪な生物、松島の福浦島、アイ、フダラク市の壊滅、…などは、
『機械が坂を登ったら法律ができて女っぽくなった』の最後のほうに原型がある。

福浦橋って、ほんとにカワイイ。

        ◆◇◆

わたしをわたしとして書き込んでいる真琴のなかのひとが窓を開けると夜の涼やかな空気と一緒に音が、
夜の黒い空間を越えて音が部屋のなかに侵入してくる。
車が走ってゆく音、遠くの電車の音、夜景のなかのどこかの明かりのしたでのキッチンの音(不意に聴こえる)、
黒い空間を越えてきた音はどれも潮騒のようなノイズに満ちていて、でも、それはやはり都市の声で、
ときおり怒りに震えるようにうなる。

気がつくとわたしは港のコンクリートのうえを歩いている。
この歩いているという「わたし」は誰のことなのか…?
夜を見下ろす窓の前、液晶の窓を覗き込みながらわたしをわたしとして書き込んでいる真琴のなかのひとの指先の下で、
わたしとして書き込まれているわたしは港を歩いている。
この港には以前にも来たことがある。

たぶんこの港は去年の夏に旅行した××の状景なんだと思うけど、
同時にこれはあのフダラク渡海船に乗り遅れた虚構の港でもあるのだと思う。
結局わたしは真琴のなかのひとの脳内の樹状突起の成す樹海のなかを航海しているのに違いない。
わたしがわたしとして書き込まれるとき真琴のなかのひとは確実に液晶の窓を覗きこんでいて、
そんな状態で流れる水を味わうことが出来ると思っているのでしょうか…? あなたは。

水を水道の蛇口から流してコップに注いでも飲む気になれない。
飲む水は必ず買って来たペットの水なのはよく考えると都市生活者の生活って、異常なのかも知れない。
――でも、こんなの、ありきたりな感想でしかない。
『人体の図鑑』の全身血管図みたいに、都市の皮膚の下を走る水道管を透かし見たら、
水道管のなかに棲むぶにょぶにょした楕円形の生き物が気になってくる。

港のすぐ眼の前に樹木に覆われた島が見えていて公園になっている。港から島までまっすぐ橋が伸びていて、
さっきNETで検索を掛けたら、橋のたもとから島を望む、記憶にあるとおりの映像が写真で載っていて懐かしかった。
不思議な感じだった。
島には遊歩道が走っている。いま誰かあの島にいて、この文章を読んだら自分が書かれている感じがするだろうか。
島のあの公園管理事務所みたいな建物に誰か棲んでいたとして、いまこの文章を読んでいたら。

744 名前:真琴:2008/04/20(日) 01:43:01
公園の管理事務所は殺風景なコンクリートの建物で、鉄材で支えられて斜面に建っており、
壁面は白く、しかし汚れていて、鉄材は錆止めで赤かった。アルミサッシの窓が無防備に外界に直面していて、
趣味の悪いカーテンが覗き込む視線を引き受けている。人間が棲んでいる気配はしない。むしろ、
誰かが殺されているような雰囲気がする。ばらばらにした人間の部品を床一面に撒き散らして、
ジグソーパズルのように掻き混ぜ続けているのかも知れない。

樹木が暗い遊歩道をおおっているあの島の状景をいくら回想してもあの島まで跳ぶことは出来ない。
にもかかわらず気がつくとわたしは公園の管理事務所の傍らに立っている。
遊歩道には街灯が無く、黒い闇。
殺風景な白い建物の軒下に小さな黄色い電球が灯っていて、光はそれしかない。
潮騒のノイズと草の匂い。――わたしの部屋の窓の外では雨が降っている。

雨の日は地面が近く聴こえる。さっき、開けた窓の四角い枠のなかを車のヘッドライトが動いていった。
地上の景色はミニチュア模型のように見える。旅行のとき、島を歩いていて気がつくと夕暮れで、遊歩道に街灯が無く、
もし日が完全に暮れてしまったら崖から転げ落ちる危険をおかさずに歩くことさえ出来ないと感じられた。
わたしがいまたたずんでいるのはもちろん実在のあの島そのものではなく、
わたしをわたしとして書いている真琴のなかのひとの脳内の樹海に浮かぶ島だ。この島は死の島なのかも知れない。

ベックリンの『死の島』については知っているという程度の知識しかない。特別好きな絵というわけでもない。
脳内の樹海には死の島が浮かんでいるものなのかも知れない。
公園の管理事務所のチャートは不意に焦点が甘くなり、掻き消え、
気がつくと死の島の突端に出て見晴らし台から内海を眺めている。道は暗く、一歩も動けない。
崖の下のほうに黒い海が平面を成し、上のほうに眼を向けると黒い闇が渦を巻いて広大な空間にいすわっている。

樹海を彼岸まで渡る旅をフダラク渡海という。フダラク渡海のもっとも単純な定義は「帰宅しない旅」ということだと思う。
現実の旅では別に「帰宅しない旅」がしたかったわけではないから、
内海にぽつりぽつりと島が浮かぶ黄泉の国のような状景を見て、
「この島、もしかしたら真っ暗になるんじゃない…?」という危険を感じ、橋を渡って街に戻った。
NETで検索して写真を見たあの橋だ。旅館では美味しい御膳をいただいた。

「帰宅しない旅」にふたりでおもむくことを心中という。物理的な意味での心中は同時に死ぬことに過ぎず、
これは同時自殺、または場合によっては同時互殺の契約が履行されるかどうかの問題でしかない。
でも、深い意味での心中はまさしくフダラク渡海で、
わたしとわたしがひとつの躰になるために邪魔になる肉体を放棄することだ。
肉体を放棄しても(=肉体を放棄したら)躰はひとつになるというのは世界の淵に至る限界的な確信であり、フダラク渡海だと思う。

肉体を放棄して躰がひとつになるなんていう観念的なおまじないを必要とせず、
機械のように同時に自殺、ないし互殺することこそに救いがあるのだろうか。
フダラク渡海がロマンティックに感じられるうちは岸辺から出発さえしていないのだと思う。
ロマンとはつねに此岸の物語だからだ。ロマンは必ず思い出話となり、思い出話は話す相手を必要とし、
どんな家であれ話し相手のいる家への帰宅を前提にしている。

745 名前:真琴:2008/04/20(日) 01:44:28
    

ファイヴ シクス セヴン エイ…
そして舟のチャートが開き、アイが覗き込む窓のしたに青い惑星がひろがった。
次の瞬間、舟は激しく動揺し、アイはジェットコースターのような座席のなかで安全バーに押しつけられた。
舟の後部から爆発音が聴こえてきた。
警報が鳴り響いた。

部屋を出てエレヴェータで地上に降り、街に一歩踏み出すといつも世界の大きさに驚く。
建造物、幅員の広い道路、走る車、歩道を歩くひとたち。
空を見上げると境い目もなく宇宙空間までつながっている。
大気圏のなかに不純物のように滲み出した水は雲を作り、
ビーカーのなかの生成物みたいな姿を、支えも無く宙に浮遊させている。

脂質分子は親水性の頭部と疎水性の尾部を持つので、水のなかでは自然に2重膜層を形成する。
すなわち、親水性の頭部を水に向け、尾部を膜の内側に向けて、2重の膜を成して配列する。
この2重膜にはトランスポーターとイオンチャネルと呼ばれる膜貫通型の蛋白質がモザイク状に組み込まれていて、
無機イオンを流入・流出させている。たとえばトランスポーター蛋白質は、「ポン」状態のとき細胞外の特定の溶質分子を捕獲し、
「ピン」状態に移るとその分子を細胞内に放出する。分子機械。

神経系が足の指を脳髄に接続しているように、WEBがわたしのPCを接続している。ただし、このWEBには中枢が無い。
WEBが進化して中枢を獲得するべきなのか、
それとも、神経系が脳髄の支配を脱して躰のインターネットと化すほうが良いのか。
中国の壺を考えると、足の裏は既に勝手に肩の凝りとか内臓とかと会話しているように思える。
<わたし>が躰を支配しているわけではなく、<わたし>は躰のうえを這う蜘蛛のようなものに過ぎない。

フダラク市の観測室はアルデバランの方角に閃光を確認、矢場徹吾市長に緊急電話を掛けた。
謎の舟が謎の敵からレーザー攻撃を受け、尾部に傷を負った模様。
その座標宙域には1分前まで未確認飛行物体は存在していなかった。
アルジャーノン以前の通常物理学の常識で考えれば、ステルス航宙船が攻撃とともに隠れ蓑を失ったと見るべきだが、
多重コスモス場理論的には、チャートの書き換えによる分裂飛行を採用した舟である可能性もあった。

NOVA族はガイアの100億年の時空に神経系をはりめぐらせていた。
夥しいチャートの群れ。それを束ねる無数の生い茂るモナドたち。
そのあいだを縫ってNOVA族の情報伝達経路がこまごまとした網の目を描いている。
人類が化石燃料を大量消費していた時代の時空域のある点において、分裂飛行をする質量体を確認したミドンさんたちは、
質量体が当該時空域に出現するのと同時にレーザー光線を照射、深海魚の形をした舟を航行不能にした。

アイは青い惑星を見下ろしながら、舟のAIが告げるNOVA警察の査察通告を聞き流していた。
――航行不能にしておいて「査察」もないもんだわ。
小説の登場人物にはなぜ明確にジェンダー化された発話が要求されるのだろうと思いながら内面をテキストに露出するのと同時に、
アイは畳んだ<箱>をバッグに仕舞ってひじに掛け、天井に「またね…」と声を掛けた。「またね」と声がこたえた。
眼下の惑星へのチャートを開き、跳ぶ…  チャートが閉じたあとの舟は査察官を待ち構える虎ばさみの罠となる。

七弦の琴を抱いてサンシャインの階段に腰を下ろしている。不意に弦が共鳴して
    …………ブウウ――――――ンンン――――――ンンンン………………
と鳴る。
何かが来る。7次元空間のなかを何かが跳んで来る…
わたしはサンシャインが垂直に伸びてゆく青い空を見上げる。

同時刻、地球の表面では60億のモナドがチャートを束ねながら繁茂していた。もちろんこれはヒトのモナドでしかない。
猫のモナド、魚のモナド、ミトコンドリアのモナド、カブトムシのモナド、ウイルスのモナド、こけのモナド、桜のモナド、鉄のモナド、泥のモナド、水のモナド…
森羅万象が声なく私語するモナドはヒトのモナドといりまざるように7次元空間のなかで縞模様の層を描いている。
地球の内部にも、マグマのモナド、コアのモナド。
蠢くすべての蟲たちが機械のようにみずからあることを遊び続けている。

746 名前:真琴:2008/04/20(日) 01:45:29
このまま物語をつづけるの…?
サンシャインの階段で脚を組んで七弦の琴をかき鳴らす。琴の音が7次元時空のなかに道を作ってゆく。
物語のなかで演技するわたしは、わたしであってわたしではない感じがする。
これでは脳内の樹海の探索ではなく、脳がこしらえたフィクションでしかないんじゃない…?
琴の音が異質なチャートを開くように祈りながらかき鳴らす。

蒸気機関のような商店街の座標がいまチラッと見えた。たぶんここはなんか凄いことになっている。
チャートが充分に開かないので着地することが出来ない。
角のたこ焼き屋さんの上空で不安定に揺れている。
強引に着地すると着地した瞬間に座標が飛ばされてしまう感じがする。
水平に動きながら地上に降りてゆく解曲線を慎重に選ぶ。

一本の曲線が物凄い速度で時間的前方に走っている。
うっかりこれに乗ってしまうとたぶん10億年くらい飛ばされてしまう。
視界がだんだん濁ってきて、蒸気機関のような商店街の状景がぼたぼたした黒いノイズにまみれてゆく。
仕方ない、一度跳ぼうかな…
わたしは4次元空間をつま先で蹴って勢いよく浮上する。

7次元空間のなかで、ガイアの多様体からすこし浮上したあたりに、まるい草原のような場所が出来ていることがある。
この辺の時空域に特有な現象なのかも知れないし、違うのかも知れない。地球ですら大き過ぎるのに、
ガイアの多様体の全貌なんてわからない。――パステルグリーンの空洞の隅っこに腰掛けて、ぼんやり、
牛の胃袋みたいな大きなひろがりを眺めていると、空洞を隔てた向こう側で、
ちいさな白いつぶがフラフラと軌跡を描いているのが見える。迷路を描きながら惑星表面へのチャートを開こうとしているらしい…

一面にひろがる葦の原。7次元空間のなかでガイアの多様体からすこし浮上するとこの葦の原に出る。
一本一本の葦は、実はひとつの<生>を体現している。
なぜこの場所にひとびとの<生>が葦の形をとって析出してくるのかはよくわからない。
人類の<眼>の構造がこのような情報処理の形式を要求するのかも知れない。
一本の葦を展開すると世界を覆う布が広がる。

どの一本の葦のなかにも世界の全体が包含されている。
逆に、通常の4次元時空とは葦たちの相互作用のなかから析出してくる沈殿なのだ、と見ることも出来る。
さらにいえば、通常の4次元時空とこの葦の原が分離して「見える」のも、
人類の<眼>の構造が要求する情報処理の一形式に過ぎないのかも知れない。
――そしてこの葦の原の傍らで膝を抱えてうずくまっているわたしの葦もまた、この原のどこかに生えている…

747 名前:真琴:2008/04/20(日) 01:46:21
ピシッ…
ガラスに罅が入るような音がしてフダラク市の外壁に小さな穴が開いた。
アルデバランの方角に突如現れた円盤から投げ込まれた謎の微小物体が外壁を貫通したのだ。
微小物体は軌道上都市の外壁をまるでバターで作られた壁ででもあるかのようにあっさりと貫通した。
円盤は航行不能になった深海魚の形の舟に近づきつつ、不意にフダラク市を踏み潰すことに決めたらしかった。

新宿都庁の北展望台から南展望台を眺めると蟻塚のなかの蟻のように人間たちがガラスの向こうでウロウロしているのが見える。
深海魚の形をした舟(ただし無人)の展望窓からは、いまやNOVA警察の円盤の異様な姿が間近に臨めた。
その表面は金属のようでもあり、ブラウン運動する無数のコバエのようでもある。
コバエが気まぐれに透明な窓を作ると、円盤のなかでウロウロしているミドンさんたちの姿が垣間見える。
円盤はこちらに接近しながら、近傍に存在していた軌道上都市に向けてマイクロブラックホールを投げた。

市長室から見下ろすと、フダラク市の中央を真っ直ぐに走るダイモン通りの上空で小さな点が青く光っている。
円盤がフダラク市に投げ込んだ謎の微小物体は小惑星ほどの質量をもちながら分子程度の大きさのマイクロブラックホールであり、
周囲の質量を次々呑み込みながら青い光を放っているのだ。マイクロブラックホールがフダラク市全体を呑み込んだあとは、
フダラク市+マイクロブラックホール系の正確な力学的重心の位置に小さな見えない点が残される。
――どうする…? 首猛夫がニヤニヤ笑いながら矢場徹吾に言った。

矢場徹吾は衛星都市開発事業団の職員であり、フダラク市の市長である。
一方の首猛夫は東京大学大学院新領域創生科学研究科衛星都市研究分室分室長であり、
このふたりが現地フダラクにおける最高権力だといえる。
市長はかたわらの行政一課長に命じた。
――衛星都市運用法第十二条にもとづき次元回廊を緊急封鎖します。実行準備、お願いします。

――で、それからどうするんだい…? 首猛夫がチェシャ猫のように笑いながら訊く。
――地球に対して出来ることはやりましたから、今度は私たちが助かる確率を可能な限り増やしていきましょう。
――やっぱり、爆弾かね。
――ええ。やってみる価値はあるでしょう。
――まあね。

ふたりの脳髄は既に同じ思考過程をたどっているらしい。
マイクロブラックホールは小惑星ほどの質量を持って「そこ」にいる。だから、フダラク市を「そこ」から動かしてしまえば良いわけだが、
なにしろ相手は質量的には小惑星だから市の軌道制御ジェット程度では脱出速度が得られない。
だから「爆弾」を爆発させてとにかくマイクロブラックホールがいる「そこ」からずれるのだ。
(もちろんずれるときにマイクロブラックホールは外壁に再び穴を開けるがそれはたいした被害ではない。)

首猛夫がひとりでニヤニヤ笑っている。その思考を読んだかのように矢場徹吾が声を掛ける。
――円盤の次元人の技術ではマイクロブラックホールを投げて「そこ」に置くことが出来たわけですよね。
もちろんマイクロブラックホールに電荷が与えられていれば電磁力によって動かすことが可能ですが、
どうやらかれらはそうしたわけではない。きっとアルジャーノン的な何かの操作があるのでしょう…
――あの子だったら解明したかも知れねえな。

市長のボタン操作と同時に、富士の樹海の奥に眠るある溶岩洞窟が不意に爆発し、地崩れを起こして埋まった。  
マイクロブラックホールが次元回廊を潜り抜けてしまった場合、樹海でツングース大爆発が起こる。だがそれ以前に、
地球-軌道上間で大きな質量が転移すること自体が形而上物理学的に危険視されていた。フダラク市側の開口部も爆破され、
フダラク市と地球を結ぶ次元回廊は抹消された。もし地球に還るつもりなら、重力井戸を下らなければならない。
衛星都市開発事業団の地球側本部、アメリカ政府、印度政府、などを交えた短い会議が行われた。

748 名前:__:2008/04/24(木) 22:18:33
     


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